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第4章 血塗れ姫の誕生
8.エルメリアの誓い
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「確かに当時の私は、考えが甘い小娘だったわ。殿下と幸せになりたい、いいえ、殿下に幸せにして欲しいと心の底で思っていた事を見透かされた気がして、愕然としました。そして改めて、よくよく考えてみたのです。どうして殿下は私より家柄も容姿も良い他の数多の令嬢では無く、この私を選んで下さったのかを。それは私の見識によって、殿下を支える事を期待して選んで下さったのでは無いかと」
何やら、急にエルメリアが思いつめた口調で言い出した為、ナスリーンが控えめに口を挟んだ。
「あの……、差し出がましい事を申し上げてしまいますが、殿下は個人的に妃殿下に好意を持たれたから、求婚なさった筈ですが……」
「それは勿論、分かっております。殿下は全く好意を持てない女性に求婚する様な、自虐的とか嗜虐的な方で無い事は、私が一番良く存じ上げておりますわ」
「……そうですか」
アルティナは(その人物批評も、どうなのかしら)と頭を抱えたくなったが、そんな内心には構わずにエルメリアが話を続けた。
「ですからそれ以降、私は外野が何を言ってこようが、殿下に政務が忙しい時期に放っておかれようが、常に笑顔でいる事を心がける様にしました。私が殿下を幸せにしてみせると、それを至上の目標として。ですから私、アルティン殿には感謝しております。直にお礼も言いたかったのですが、なかなか個人的に顔を合わせる事も無いうちに、急逝されてしまいまして」
「そういう事がおありでしたか……。ですが妃殿下、その感謝のお心は、ちゃんとアルティン殿に伝わっていると思いますから。彼は何事も、無言のままに察する人物でしたし」
「そうだとしたら、嬉しいです」
少し湿っぽくなりかけたエルメリアの口調を、ナスリーンがやんわりと宥める。そのやり取りを聞きながら、アルティナは過去の所業を完全に思い出して、冷や汗を流した。
(はい、ばっちり聞かせて頂きました。そしてそこまで深く考えていなくて、単に皇太子殿下の婚約者がしけた面してないで堂々としていろと、文句を言っただけだったんです。すみません)
そんな彼女に視線を合わせて、エルメリアが決意溢れる表情で言い出した。
「ですがここ暫くは、些事に惑わされたり気弱になったりして、ジェラルドやセレーナにまで、余計な心労をかけてしまいました。それであなたが新たに白騎士隊に入隊する事を聞いた時、最近の私のありさまを不甲斐ないと思われた亡きアルティン殿が、自らの代わりにあなたを差し向けけたのではないかと思ったのです。単なる偶然かもしれませんが、私は王太子妃としての務めを最期まで果たす事を、アルティン殿の代わりに、あなたに誓います」
そう静かに宣言したエルメリアを見て、アルティナは何度か目を瞬かせてから、穏やかに尋ね返した。
「それでは失礼を承知でお尋ねしますが、妃殿下は今後、これまで以上にお心を強く持って、日々を過ごして頂けるのでしょうか?」
「はい。そのつもりです」
「それを聞いて安堵致しました。私は暫くは王宮にお仕えするつもりですが、ユーリアやマリエルも多少の事で動じる人間ではありません。何事でも遠慮なく、お申し付け下さい」
「ありがとう、アルティナ。頼りにしています」
真摯に申し出たアルティナに、エルメリアが陰りの無い笑顔で頷いて初対面の挨拶は無事終了し、アルティナ達はエルメリアの私室から退出した。
(エルメリア様が王太子妃になってからは、公式の場で数回顔を合わせた程度だけど、段々表情が暗くなっているのが、確かに心配と言えば心配だったのよね。でも久しぶりにお会いしたら、随分明るい表情になっていて良かったわ)
エルメリアの前を辞去して廊下を歩き出したアルティナは、ナスリーンと並んで歩きながら、密かに考えを巡らせた。そんな彼女の考えを読んだ様に、ナスリーンが話しかけてくる。
「少し前にお会いした時より、妃殿下の表情が随分柔らかくなっておられて、安心しました。これも全て、あなたのおかげですね」
確かに上級女官の推薦をしたのは自分ではあったが、対外的にはアルティンの推薦だと思われている為、アルティナは訳が分からないといった反応をしてみせた。
「隊長? 私は近衛騎士団に入ってから、まだ大した事はしていないと思いますが?」
「あ……、え、ええ……、そうでしたね。ちょっと言い方を間違えました。気にしないで下さい」
「はぁ……」
慌ててその場を取り繕おうとしている彼女を見て、アルティナは笑い出したいのを堪えた。
(上級女官を推薦したのは、アルティナではなくアルティンですから。気を付けて下さいね)
そんな事を考えていると、通路に立ち止まって話をしていた二人に近付く足音が聞こえた。
「少し宜しいでしょうか? ナスリーン様、アルティナ様」
咄嗟に身構えたアルティナだったが、小走りにやって来たグレイシアを見て、すぐに警戒心を解いた。しかし何故自分達を追って来たのか分からず、戸惑った声でナスリーンが尋ねる。
「グレイシア様? 何かご用でしょうか?」
「すみません、実は」
「二人とも、お静かに」
「え?」
「何か?」
誰かの声が微かに聞こえてきた為、アルティナは二人に鋭く声をかけて注意を促した。すぐに異常を察して口を閉ざした二人に手振りで合図して、慎重に通路を進む。
「……ったく! 見せびらかしてるんじゃないわよ! たかが冴えない伯爵家の次男を捕まえた位で、いい気になって! そんな貧乏伯爵家なんてドレイン侯爵様がその気になったら、すぐに取り潰されるんですからね! 今に見てらっしゃい、すぐに吠え面かかせてやるわっ!」
曲がり角に身を隠しながら、その向こうに広がっている庭園の片隅の様子を窺うと、深緑色のお仕着せを着た一人の侍女が、何かを踏みつけながら盛大に悪態を吐いていた。そして気が済んだらしい彼女が、自分達が潜んでいる方とは反対方向に歩き去ってから、アルティナ達は先程まで彼女が居た場所に歩み寄ってみる。
「今のは後宮勤務の侍女ですよね? ここで一体、何をしていたんでしょう?」
アルティナが不思議そうに屈んで、ひしゃげた小さな紙袋を摘み上げると、何やら焼き菓子の欠片の様な物が零れ落ちた。それを確認したグレイシアが、苦笑気味に事情を説明する。
「ユーリアがこちらに上級女官として勤め始めてから、毎日の様にシャトナー伯爵家のクリフ様が取り次ぎ所に出向いて、彼女に差し入れをしております」
「まあ……、クリフ殿もマメですね。婚約者が心配なのでしょうか」
「結構大量なので、ユーリアが周りの侍女達にお裾分けしていまして。大半はありがたく受け取って、友好関係を築くのに一役買っているのですが、中にはあの様な……」
そこでグレイシアが、先程の侍女が立ち去った方を眺めながら思わせぶりに口を閉ざした為、ナスリーンが後を引き取った。
「貴族に見初められた平民の女を妬む、下級貴族の方も存在するというわけですか。王太子殿下に見向きもされなかった上級貴族のご令嬢方が、エルメリア様を妬むのと同じ構図ですね。さぞかし話が合うでしょう」
「そういう心根に問題がある方を妃殿下の近くに配置したくはありませんし、先程は面白いお名前も聞けましたわ」
そう言って小さく笑うグレイシアに、ナスリーンとアルティナは揃ってその意図を悟った。
「ユーリアへの反感が増大するのを抑える為には、差し入れを止めさせるのが一番の筈ですが、それを放置させているのは……」
「ある程度不穏分子をあぶり出した所で、一斉に配置転換を行うおつもりですか」
「はい。初日にクリフ殿から頂いた箱の中に『幸せ一杯の顔でお裾分けすれば、色々面白くなるから』と書いた紙が入っていたので、どういう意味かとユーリアを初めとして上級女官達で当初首を捻ったのですが、予想以上の効果でした」
小さく笑いながらの説明に、ナスリーンが呆れ気味に感想を述べる。
「クリフ殿には直接お会いした事はありませんが、なかなか食えない方の様ですね」
「そのようです。こちらにとっては頼もしい限りですが。それで話が変わりますが、アルティナ様に個人的にお尋ねしたい事がありまして」
ここで急に指名されたアルティナは、戸惑いながら応じた。
「何でしょうか?」
「あなたが、彼の新しい主ですか?」
デニスについて問われたと正確に理解したものの、迂闊に事情を明かせない上、ナスリーンが居る場で言える事でも無いので、堂々としらを切る事にした。
「え? あの……、申し訳ありません。『彼』とは一体、誰の事でしょうか?」
そう惚けると、元々明確な返答を期待していなかったらしいグレイシアは、大人しく引き下がった。
「お分かりにならないのなら、それで構いません。お引き留めした上に変な事を申し上げて、大変失礼致しました」
そう謝罪して一礼して去ったグレイシアに不思議そうな顔になったものの、ナスリーンはすぐに気持ちを切り替えてアルティナを促した。
「それでは次に、セレーナ王女殿下へご挨拶に参りましょう」
「はい」
そして先程までと同様に、周囲の構造や設備を注意深く観察しながら、アルティナはナスリーンと共に回廊を回り込んで主庭園へと向かって行った。
何やら、急にエルメリアが思いつめた口調で言い出した為、ナスリーンが控えめに口を挟んだ。
「あの……、差し出がましい事を申し上げてしまいますが、殿下は個人的に妃殿下に好意を持たれたから、求婚なさった筈ですが……」
「それは勿論、分かっております。殿下は全く好意を持てない女性に求婚する様な、自虐的とか嗜虐的な方で無い事は、私が一番良く存じ上げておりますわ」
「……そうですか」
アルティナは(その人物批評も、どうなのかしら)と頭を抱えたくなったが、そんな内心には構わずにエルメリアが話を続けた。
「ですからそれ以降、私は外野が何を言ってこようが、殿下に政務が忙しい時期に放っておかれようが、常に笑顔でいる事を心がける様にしました。私が殿下を幸せにしてみせると、それを至上の目標として。ですから私、アルティン殿には感謝しております。直にお礼も言いたかったのですが、なかなか個人的に顔を合わせる事も無いうちに、急逝されてしまいまして」
「そういう事がおありでしたか……。ですが妃殿下、その感謝のお心は、ちゃんとアルティン殿に伝わっていると思いますから。彼は何事も、無言のままに察する人物でしたし」
「そうだとしたら、嬉しいです」
少し湿っぽくなりかけたエルメリアの口調を、ナスリーンがやんわりと宥める。そのやり取りを聞きながら、アルティナは過去の所業を完全に思い出して、冷や汗を流した。
(はい、ばっちり聞かせて頂きました。そしてそこまで深く考えていなくて、単に皇太子殿下の婚約者がしけた面してないで堂々としていろと、文句を言っただけだったんです。すみません)
そんな彼女に視線を合わせて、エルメリアが決意溢れる表情で言い出した。
「ですがここ暫くは、些事に惑わされたり気弱になったりして、ジェラルドやセレーナにまで、余計な心労をかけてしまいました。それであなたが新たに白騎士隊に入隊する事を聞いた時、最近の私のありさまを不甲斐ないと思われた亡きアルティン殿が、自らの代わりにあなたを差し向けけたのではないかと思ったのです。単なる偶然かもしれませんが、私は王太子妃としての務めを最期まで果たす事を、アルティン殿の代わりに、あなたに誓います」
そう静かに宣言したエルメリアを見て、アルティナは何度か目を瞬かせてから、穏やかに尋ね返した。
「それでは失礼を承知でお尋ねしますが、妃殿下は今後、これまで以上にお心を強く持って、日々を過ごして頂けるのでしょうか?」
「はい。そのつもりです」
「それを聞いて安堵致しました。私は暫くは王宮にお仕えするつもりですが、ユーリアやマリエルも多少の事で動じる人間ではありません。何事でも遠慮なく、お申し付け下さい」
「ありがとう、アルティナ。頼りにしています」
真摯に申し出たアルティナに、エルメリアが陰りの無い笑顔で頷いて初対面の挨拶は無事終了し、アルティナ達はエルメリアの私室から退出した。
(エルメリア様が王太子妃になってからは、公式の場で数回顔を合わせた程度だけど、段々表情が暗くなっているのが、確かに心配と言えば心配だったのよね。でも久しぶりにお会いしたら、随分明るい表情になっていて良かったわ)
エルメリアの前を辞去して廊下を歩き出したアルティナは、ナスリーンと並んで歩きながら、密かに考えを巡らせた。そんな彼女の考えを読んだ様に、ナスリーンが話しかけてくる。
「少し前にお会いした時より、妃殿下の表情が随分柔らかくなっておられて、安心しました。これも全て、あなたのおかげですね」
確かに上級女官の推薦をしたのは自分ではあったが、対外的にはアルティンの推薦だと思われている為、アルティナは訳が分からないといった反応をしてみせた。
「隊長? 私は近衛騎士団に入ってから、まだ大した事はしていないと思いますが?」
「あ……、え、ええ……、そうでしたね。ちょっと言い方を間違えました。気にしないで下さい」
「はぁ……」
慌ててその場を取り繕おうとしている彼女を見て、アルティナは笑い出したいのを堪えた。
(上級女官を推薦したのは、アルティナではなくアルティンですから。気を付けて下さいね)
そんな事を考えていると、通路に立ち止まって話をしていた二人に近付く足音が聞こえた。
「少し宜しいでしょうか? ナスリーン様、アルティナ様」
咄嗟に身構えたアルティナだったが、小走りにやって来たグレイシアを見て、すぐに警戒心を解いた。しかし何故自分達を追って来たのか分からず、戸惑った声でナスリーンが尋ねる。
「グレイシア様? 何かご用でしょうか?」
「すみません、実は」
「二人とも、お静かに」
「え?」
「何か?」
誰かの声が微かに聞こえてきた為、アルティナは二人に鋭く声をかけて注意を促した。すぐに異常を察して口を閉ざした二人に手振りで合図して、慎重に通路を進む。
「……ったく! 見せびらかしてるんじゃないわよ! たかが冴えない伯爵家の次男を捕まえた位で、いい気になって! そんな貧乏伯爵家なんてドレイン侯爵様がその気になったら、すぐに取り潰されるんですからね! 今に見てらっしゃい、すぐに吠え面かかせてやるわっ!」
曲がり角に身を隠しながら、その向こうに広がっている庭園の片隅の様子を窺うと、深緑色のお仕着せを着た一人の侍女が、何かを踏みつけながら盛大に悪態を吐いていた。そして気が済んだらしい彼女が、自分達が潜んでいる方とは反対方向に歩き去ってから、アルティナ達は先程まで彼女が居た場所に歩み寄ってみる。
「今のは後宮勤務の侍女ですよね? ここで一体、何をしていたんでしょう?」
アルティナが不思議そうに屈んで、ひしゃげた小さな紙袋を摘み上げると、何やら焼き菓子の欠片の様な物が零れ落ちた。それを確認したグレイシアが、苦笑気味に事情を説明する。
「ユーリアがこちらに上級女官として勤め始めてから、毎日の様にシャトナー伯爵家のクリフ様が取り次ぎ所に出向いて、彼女に差し入れをしております」
「まあ……、クリフ殿もマメですね。婚約者が心配なのでしょうか」
「結構大量なので、ユーリアが周りの侍女達にお裾分けしていまして。大半はありがたく受け取って、友好関係を築くのに一役買っているのですが、中にはあの様な……」
そこでグレイシアが、先程の侍女が立ち去った方を眺めながら思わせぶりに口を閉ざした為、ナスリーンが後を引き取った。
「貴族に見初められた平民の女を妬む、下級貴族の方も存在するというわけですか。王太子殿下に見向きもされなかった上級貴族のご令嬢方が、エルメリア様を妬むのと同じ構図ですね。さぞかし話が合うでしょう」
「そういう心根に問題がある方を妃殿下の近くに配置したくはありませんし、先程は面白いお名前も聞けましたわ」
そう言って小さく笑うグレイシアに、ナスリーンとアルティナは揃ってその意図を悟った。
「ユーリアへの反感が増大するのを抑える為には、差し入れを止めさせるのが一番の筈ですが、それを放置させているのは……」
「ある程度不穏分子をあぶり出した所で、一斉に配置転換を行うおつもりですか」
「はい。初日にクリフ殿から頂いた箱の中に『幸せ一杯の顔でお裾分けすれば、色々面白くなるから』と書いた紙が入っていたので、どういう意味かとユーリアを初めとして上級女官達で当初首を捻ったのですが、予想以上の効果でした」
小さく笑いながらの説明に、ナスリーンが呆れ気味に感想を述べる。
「クリフ殿には直接お会いした事はありませんが、なかなか食えない方の様ですね」
「そのようです。こちらにとっては頼もしい限りですが。それで話が変わりますが、アルティナ様に個人的にお尋ねしたい事がありまして」
ここで急に指名されたアルティナは、戸惑いながら応じた。
「何でしょうか?」
「あなたが、彼の新しい主ですか?」
デニスについて問われたと正確に理解したものの、迂闊に事情を明かせない上、ナスリーンが居る場で言える事でも無いので、堂々としらを切る事にした。
「え? あの……、申し訳ありません。『彼』とは一体、誰の事でしょうか?」
そう惚けると、元々明確な返答を期待していなかったらしいグレイシアは、大人しく引き下がった。
「お分かりにならないのなら、それで構いません。お引き留めした上に変な事を申し上げて、大変失礼致しました」
そう謝罪して一礼して去ったグレイシアに不思議そうな顔になったものの、ナスリーンはすぐに気持ちを切り替えてアルティナを促した。
「それでは次に、セレーナ王女殿下へご挨拶に参りましょう」
「はい」
そして先程までと同様に、周囲の構造や設備を注意深く観察しながら、アルティナはナスリーンと共に回廊を回り込んで主庭園へと向かって行った。
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✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
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