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第4章 血塗れ姫の誕生
2.入隊試験
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「はい、隊長。それで構いません。リディア副隊長、宜しくお願いします」
そう言って神妙に頭を下げた相手を見て、リディアは少々馬鹿にした様に笑った。
「へえ? お嬢様育ちの癖に度胸は良いのね。それとも、状況が全然分かっていないだけかしら?」
「それで試験と言うのは、どこで行われるのでしょうか? まさかこの室内ではしませんよね?」
「さっき訓練所だって言ったでしょう! さっさと付いて来なさい!」
「はい。案内を宜しくお願いします。ついでにそちらに行くまでに、他の建物や施設を教えて下さると嬉しいです」
「五月蠅いわよ! 黙って付いてきなさい!」
自分の嫌みを軽くスルーし、世間知らずを装ってあれこれ関係ない事を尋ねるアルティナを、苛立たし気に引き連れながらリディアは隊長室を出て行った。引き止める間もなく、それを茫然と見送ってから、アリシアとパネラが慌ててナスリーンにお伺いを立てる。
「隊長……」
「宜しいんですか?」
「納得できないと言うのなら、仕方がないでしょう。取り敢えず手合わせをしてみれば、相手の力量は分かる筈ですし」
「いえ、そうではなくて!」
「幾らあのアルティン隊長と瓜二つでも、公爵令嬢がまともに剣を使えるとは思えません!」
平然としている上司に二人が必死に訴えたが、ナスリーンは笑いを堪える表情で、ちょっとした事実を指摘した。
「それを言ったら、私もれっきとした侯爵令嬢なのですが。尤も『ご令嬢』と呼ばれる年齢は、とっくに過ぎてしまいましたが」
「…………」
途端に押し黙った部下二人を、ナスリーンは笑って宥めた。
「あなた達を困らせるつもりで、言った訳では無いのよ。それでは私は訓練所に行って来ます。どのみち判定する立場の人間が必要ですし」
そうナスリーンが宣言すると、二人は弾かれた様に同行を申し出た。
「私もご一緒します!」
「いざとなったら、副隊長を止めないといけませんし」
「リディアがそこまで物分かりが悪いとは、思いたくありませんけど」
(正直、どう転ぶかは分からないけど……。リディアの言う通り私が試験したとしても、部外者からは手心を加えたと言いがかりを付けられそうだし。アルティナ、お願いしますね)
苦笑して彼女達の同行を許可したナスリーンは、内心の不安と動揺を押し隠しつつ、リディア達の後を追って訓練所へと向かった。
「ここが訓練所の、主競技場よ」
「思ったより広いですね。王宮内にこの様な場所があるとは、思っていませんでした。ここで試験をされるのですか?」
「ここは訓練に使用する場合でも、厳密にスケジュールが決まっているの。今から使うのは他の予備競技場よ」
「そうですか」
すっかり案内役にされている事に苛立ちながらも、リディアは律儀に施設の説明をしながら建物の中を進んだ。そして先程目にした広い競技場よりは一回り小さい、建物に囲まれた中庭状の整地されたスペースに到着したリディアは、アルティナに言い付けながら側の建物内の一角に向かう。
「使用許可の手続きをしてくるから、ここで少し待っていて」
「はい」
(構造は説明されなくても、本当は分かっているけど。だけど、人目を集めちゃってるわね。あなた達、こっちをボケっと見てないで。訓練は良いの?)
アルティナが大人しくその広場の片隅に佇み、さり気なく周囲を観察していると、周囲の通路や渡り廊下などから興味津々の視線を向けられている事に気が付いて、少々うんざりした。そして何気なく空に目をやると、あまり高くない所を円を描きながら飛んでいる鳥に気が付いて、密かに驚く。
(あれは……、ひょっとしたらウェジーラ? と言う事は、どこかでデニスが見ているわね。良かった。最悪、手を貸して貰えそうだわ。……例の事を未だに怒って、根に持っていなければの話だけど)
そこで瞬時に腹を括った彼女の所にリディアが戻り、簡潔に告げた。
「待たせたわね。この第三競技場の使用許可を貰ったわ」
「分かりました。それでどうすれば、入隊を認めて頂けるのでしょうか?」
「それは」
「三本勝負で、入隊希望者は相手から一本取れば合格とします。ただし基本的に寸止めで、移動は競技場内のみです。実際の戦闘では無いのですから」
「隊長……」
「それから、寸止めできずに斬り付けてしまったら、それは相手が一本取った事になりますので、注意して下さい」
二人に追いついたナスリーンが、さり気なく会話に割り込んで説明を加えると、アルティナは素直に頷いて確認を入れた。
「それでは相手に致命傷を負わせずに、試合続行が不可能な状態に陥らせるか、もしくは相手にそう認識させれば一本取る事になるんですね」
「そうです。アルティナ、できますか?」
「やってみます」
それを受けて、ナスリーンは広場の中に設置されている競技場に向かって足を進めた。
「それでは二人とも中央へ」
それに無言で頷いたアルティナ達は、互いに相手を意識しながら指示された中央へと向かう。
(アルティナを装いながらはさすがに難しいけど、やるしか無いわね)
意外に骨が折れそうだと、うんざりしながら腰に下げていた剣を鞘から抜くと、同様に剣を抜いたリディアが、剣呑な視線を向けながら悪態を吐いてきた。
「……随分、舐められたものね」
その台詞に、アルティナが首を傾げる。
「別に副隊長を侮ったつもりはありませんが?」
「格好つける為のレイピアならともかく、ソードですって? あなたにそんな物、まともに扱えるわけ? 生憎と近衛騎士団は、ぬくぬくとお育ちになった公爵令嬢様の、お遊びの場じゃ無いのよ。痛い目を見る前に帰ったら?」
どうやらアルティンとして使っていたのと同型の剣が気に入らなかったらしいと悟ったアルティナだったが、他人に自分の得物についてどうこう言われる筋合いは無かった為、素っ気なく言い返した。
「ここには、遊びに来たわけではありませんので」
「あらそう。……それなら遠慮も手加減も無用と言う事ね」
「宜しくお願いします」
「それでは……、初め!!」
彼女の怒りを余計に煽ってしまったらしいのは分かったが、完全に腹を括ったアルティナは、軽く一礼してから剣を構えた。そしてナスリーンの試合開始の号令と共に、鋭い一撃を受ける。
「くっ……」
勿論油断などせず、その一撃を冷静に受け止めつつ打ち払ったアルティナだったが、想像以上に重い衝撃に、無意識に渋面になった。
(彼女もソード使い。それに女性にしては威力もなかなかだし、剣筋も良いわね。全力で当たれば勝てるとは思うけど、最近まで隠遁生活を送っていたアルティナがあっさり勝ったりしたら、さすがに不審がられるだろうし。さて、どうしたものかしら?)
積極的に斬り込んでくるリディアの剣を間一髪で避け、また受けては打ち返しているアルティナの様子は、傍から見れば防戦一方にしか見えなかった。
「ほらほら! どうしたのよ? 遊びに来たんじゃ無いんでしょう!?」
「…………」
(とにかく、彼女とはこれまで打ち合った事が皆無だし、少し動きを見て判断するしか無いわ)
そんな事を冷静に考えていたアルティナだったが、それに気を取られたか勢いに乗ったリディアの突きを交わし損ね、喉元に剣先を突き付けられた。
「…………っ!」
「はい、死んだわね」
「リディア、一本です」
得意げに笑ったリディアに、ナスリーンが冷静に判定を告げる。そして予想以上にあっさりと不覚を取ってしまったアルティナは、小さく息を吐いて意識を切り替えた。
(やれやれ、取られたか。どうやって手を抜くかなんて考えている余裕は、残念ながらあまり無さそうだわ)
しかしやはり全力で撃退するのではなく、偶然を装って何とか勝ったという風に持ち込みたかった彼女は、空を見上げて考えを巡らせた。
(ウェジーラは、まだ上空を飛んでいるわね……。そろそろデニスに、私の考えを読んで貰いたいものだけど)
そのまま少し考え込んでいたアルティナに、ナスリーンが落ち着き払った声をかけてくる。
「アルティナ。二本目を開始しても宜しいですか?」
「はい、お願いします」
「あら、まだやる気なの? 物好きね」
向き直って神妙に頭を下げた彼女を見て、リディアが嘲笑めいた笑みを見せた。しかしそれに気分を害する事無く、アルティナは競技場の中央に戻って、無言のまま再度剣を構える。
「それでは二本目、始め!!」
鋭いナスリーンの号令と共に、二人の剣が勢い良くぶつかり合った。先程までの相手の剣さばきと微妙に異なるのが瞬時に分かったリディアが、僅かに驚いた表情になったが、アルティナはそんな戸惑いには構わずに、無表情で剣を繰り出した。
そう言って神妙に頭を下げた相手を見て、リディアは少々馬鹿にした様に笑った。
「へえ? お嬢様育ちの癖に度胸は良いのね。それとも、状況が全然分かっていないだけかしら?」
「それで試験と言うのは、どこで行われるのでしょうか? まさかこの室内ではしませんよね?」
「さっき訓練所だって言ったでしょう! さっさと付いて来なさい!」
「はい。案内を宜しくお願いします。ついでにそちらに行くまでに、他の建物や施設を教えて下さると嬉しいです」
「五月蠅いわよ! 黙って付いてきなさい!」
自分の嫌みを軽くスルーし、世間知らずを装ってあれこれ関係ない事を尋ねるアルティナを、苛立たし気に引き連れながらリディアは隊長室を出て行った。引き止める間もなく、それを茫然と見送ってから、アリシアとパネラが慌ててナスリーンにお伺いを立てる。
「隊長……」
「宜しいんですか?」
「納得できないと言うのなら、仕方がないでしょう。取り敢えず手合わせをしてみれば、相手の力量は分かる筈ですし」
「いえ、そうではなくて!」
「幾らあのアルティン隊長と瓜二つでも、公爵令嬢がまともに剣を使えるとは思えません!」
平然としている上司に二人が必死に訴えたが、ナスリーンは笑いを堪える表情で、ちょっとした事実を指摘した。
「それを言ったら、私もれっきとした侯爵令嬢なのですが。尤も『ご令嬢』と呼ばれる年齢は、とっくに過ぎてしまいましたが」
「…………」
途端に押し黙った部下二人を、ナスリーンは笑って宥めた。
「あなた達を困らせるつもりで、言った訳では無いのよ。それでは私は訓練所に行って来ます。どのみち判定する立場の人間が必要ですし」
そうナスリーンが宣言すると、二人は弾かれた様に同行を申し出た。
「私もご一緒します!」
「いざとなったら、副隊長を止めないといけませんし」
「リディアがそこまで物分かりが悪いとは、思いたくありませんけど」
(正直、どう転ぶかは分からないけど……。リディアの言う通り私が試験したとしても、部外者からは手心を加えたと言いがかりを付けられそうだし。アルティナ、お願いしますね)
苦笑して彼女達の同行を許可したナスリーンは、内心の不安と動揺を押し隠しつつ、リディア達の後を追って訓練所へと向かった。
「ここが訓練所の、主競技場よ」
「思ったより広いですね。王宮内にこの様な場所があるとは、思っていませんでした。ここで試験をされるのですか?」
「ここは訓練に使用する場合でも、厳密にスケジュールが決まっているの。今から使うのは他の予備競技場よ」
「そうですか」
すっかり案内役にされている事に苛立ちながらも、リディアは律儀に施設の説明をしながら建物の中を進んだ。そして先程目にした広い競技場よりは一回り小さい、建物に囲まれた中庭状の整地されたスペースに到着したリディアは、アルティナに言い付けながら側の建物内の一角に向かう。
「使用許可の手続きをしてくるから、ここで少し待っていて」
「はい」
(構造は説明されなくても、本当は分かっているけど。だけど、人目を集めちゃってるわね。あなた達、こっちをボケっと見てないで。訓練は良いの?)
アルティナが大人しくその広場の片隅に佇み、さり気なく周囲を観察していると、周囲の通路や渡り廊下などから興味津々の視線を向けられている事に気が付いて、少々うんざりした。そして何気なく空に目をやると、あまり高くない所を円を描きながら飛んでいる鳥に気が付いて、密かに驚く。
(あれは……、ひょっとしたらウェジーラ? と言う事は、どこかでデニスが見ているわね。良かった。最悪、手を貸して貰えそうだわ。……例の事を未だに怒って、根に持っていなければの話だけど)
そこで瞬時に腹を括った彼女の所にリディアが戻り、簡潔に告げた。
「待たせたわね。この第三競技場の使用許可を貰ったわ」
「分かりました。それでどうすれば、入隊を認めて頂けるのでしょうか?」
「それは」
「三本勝負で、入隊希望者は相手から一本取れば合格とします。ただし基本的に寸止めで、移動は競技場内のみです。実際の戦闘では無いのですから」
「隊長……」
「それから、寸止めできずに斬り付けてしまったら、それは相手が一本取った事になりますので、注意して下さい」
二人に追いついたナスリーンが、さり気なく会話に割り込んで説明を加えると、アルティナは素直に頷いて確認を入れた。
「それでは相手に致命傷を負わせずに、試合続行が不可能な状態に陥らせるか、もしくは相手にそう認識させれば一本取る事になるんですね」
「そうです。アルティナ、できますか?」
「やってみます」
それを受けて、ナスリーンは広場の中に設置されている競技場に向かって足を進めた。
「それでは二人とも中央へ」
それに無言で頷いたアルティナ達は、互いに相手を意識しながら指示された中央へと向かう。
(アルティナを装いながらはさすがに難しいけど、やるしか無いわね)
意外に骨が折れそうだと、うんざりしながら腰に下げていた剣を鞘から抜くと、同様に剣を抜いたリディアが、剣呑な視線を向けながら悪態を吐いてきた。
「……随分、舐められたものね」
その台詞に、アルティナが首を傾げる。
「別に副隊長を侮ったつもりはありませんが?」
「格好つける為のレイピアならともかく、ソードですって? あなたにそんな物、まともに扱えるわけ? 生憎と近衛騎士団は、ぬくぬくとお育ちになった公爵令嬢様の、お遊びの場じゃ無いのよ。痛い目を見る前に帰ったら?」
どうやらアルティンとして使っていたのと同型の剣が気に入らなかったらしいと悟ったアルティナだったが、他人に自分の得物についてどうこう言われる筋合いは無かった為、素っ気なく言い返した。
「ここには、遊びに来たわけではありませんので」
「あらそう。……それなら遠慮も手加減も無用と言う事ね」
「宜しくお願いします」
「それでは……、初め!!」
彼女の怒りを余計に煽ってしまったらしいのは分かったが、完全に腹を括ったアルティナは、軽く一礼してから剣を構えた。そしてナスリーンの試合開始の号令と共に、鋭い一撃を受ける。
「くっ……」
勿論油断などせず、その一撃を冷静に受け止めつつ打ち払ったアルティナだったが、想像以上に重い衝撃に、無意識に渋面になった。
(彼女もソード使い。それに女性にしては威力もなかなかだし、剣筋も良いわね。全力で当たれば勝てるとは思うけど、最近まで隠遁生活を送っていたアルティナがあっさり勝ったりしたら、さすがに不審がられるだろうし。さて、どうしたものかしら?)
積極的に斬り込んでくるリディアの剣を間一髪で避け、また受けては打ち返しているアルティナの様子は、傍から見れば防戦一方にしか見えなかった。
「ほらほら! どうしたのよ? 遊びに来たんじゃ無いんでしょう!?」
「…………」
(とにかく、彼女とはこれまで打ち合った事が皆無だし、少し動きを見て判断するしか無いわ)
そんな事を冷静に考えていたアルティナだったが、それに気を取られたか勢いに乗ったリディアの突きを交わし損ね、喉元に剣先を突き付けられた。
「…………っ!」
「はい、死んだわね」
「リディア、一本です」
得意げに笑ったリディアに、ナスリーンが冷静に判定を告げる。そして予想以上にあっさりと不覚を取ってしまったアルティナは、小さく息を吐いて意識を切り替えた。
(やれやれ、取られたか。どうやって手を抜くかなんて考えている余裕は、残念ながらあまり無さそうだわ)
しかしやはり全力で撃退するのではなく、偶然を装って何とか勝ったという風に持ち込みたかった彼女は、空を見上げて考えを巡らせた。
(ウェジーラは、まだ上空を飛んでいるわね……。そろそろデニスに、私の考えを読んで貰いたいものだけど)
そのまま少し考え込んでいたアルティナに、ナスリーンが落ち着き払った声をかけてくる。
「アルティナ。二本目を開始しても宜しいですか?」
「はい、お願いします」
「あら、まだやる気なの? 物好きね」
向き直って神妙に頭を下げた彼女を見て、リディアが嘲笑めいた笑みを見せた。しかしそれに気分を害する事無く、アルティナは競技場の中央に戻って、無言のまま再度剣を構える。
「それでは二本目、始め!!」
鋭いナスリーンの号令と共に、二人の剣が勢い良くぶつかり合った。先程までの相手の剣さばきと微妙に異なるのが瞬時に分かったリディアが、僅かに驚いた表情になったが、アルティナはそんな戸惑いには構わずに、無表情で剣を繰り出した。
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