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第2章 アルティナの縁談
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「アルティナ様、どうかされましたか!」
「何やら、尋常ではない物音がしましたが!?」
「兄さん! 賊でも押し入ったのか!?」
それぞれ武器になる物を手にしながら、住み込みの使用人達や弟が駆け込んで来た為、ケインはゆっくりと自力で立ち上がりながら説明する。
「いや、賊が侵入した訳じゃない。彼女にやられただけだ。正確には『彼に』と、言うべきだろうが」
「はい?」
「どういう意味ですか?」
ケインと、彼に手で指し示されたアルティナを交互に見ながら、やって来た者達は一様に怪訝な顔になったが、そんな中ケインは半ば彼らを無視して、アルティナに向かって提案した。
「アルティン。ここだと手狭だし、きちんとした所で話をしないか? 俺の他に家族にも、この状況の説明をして欲しいんだが」
その申し出に、アルティナが真面目に頷く。
「それは当然の要求だな。分かった。そうしよう」
「勿論、侍女殿も同席して貰う」
「畏まりました。それではアルティン様。上に何か羽織りませんと」
「ああ、それもそうだな」
そして女二人が話し合っているのを横目で見ながら、ケインはガウスに指示を出した。
「ガウス。悪いが父上と母上、それとマリエルを寝ているなら起こして、急いで応接室に来るように言ってくれ」
「しかしケイン様」
「兄さん、それだったら俺が皆を呼んでくる。ガウスは応接室に明かりを点けて、人数分の椅子を揃えておいてくれ」
「畏まりました」
主人一家が既に就寝していた場合、叩き起こす役目を担わされそうになったガウスがたじろいだのを見て、すぐにクリフが役目を引き受けつつ指示を出したのを見て、ケインは自身が相当動揺しているらしい事を自覚した。それと同時に、これから家族を自分以上に驚愕させそうだと考えて、頭痛を覚えた。
それから短時間で身支度を整えたアルティナとユーリアが応接室に出向くと、徐々にシャトナー家の面々と、屋敷内に住み込みの使用人達が集まって来ていた。そして伯爵夫妻が三人掛けのソファーに並んで腰を下ろすと、向かい側の同様のソファーにはケインとクリフの他、十代後半に見える女性が座る。
それらのソファーとは直角に位置する場所に椅子が二つ並べられており、ガウスに促されたアルティナ達はおとなしくそちらに腰を下ろした。そして使用人達が何事かと壁際に佇んで見守る中、ケインがアルティナに声をかけた。
「アルティン。俺の両親とクリフは知っているか?」
それに頷いた彼女が、初対面の人物について尋ねる。
「ああ。アルティナが顔を合わせたからな。ところでそちらの可憐なレディは、もしかしてお前の妹君か?」
「下の妹のマリエルだ。俺とクリフの間に、嫁いだ上の妹のサーラがいる。今後機会があったら、引き合わせよう」
「そうか。……マリエル嬢、今回はお休みのところお騒がせして、誠に申し訳ありません」
微笑んでから殊勝に頭を下げたアルティナを見て、兄嫁になる女性が屋敷に来ているとだけ聞いていたマリエルは、困惑した表情で彼女と長兄の顔を交互に見やった。
「え、ええと……。あの、お気遣いなく。ベッドに入ったばかりでしたので。その……、ケイン兄様?」
「ケイン? お前、これはどういう事だ?」
「意味が分からないのだけど……」
「兄さん? それにアルティナ殿の、その口調は……」
マリエル同様、全く訳が分からないシャトナー家の者達が口々にケインに説明を求めたが、彼はそれに答えようともせずにアルティナを詰問し始めた。
「さあ、アルティン。説明して貰おうか。どうしてアルティナ殿とお前が入れ替わっているんだ? それにいつの間に彼女から両親やクリフの事を聞いて、どうやって入れ替わった? そんな暇はさほど無かった筈だ。そもそも、お前が死んだ話は嘘なのか? そうなると随分大掛かりな陰謀の臭いがするんだが」
矢継ぎ早に質問を繰り出した兄に、クリフが呆れ気味に口を挟む。
「兄さん、いきなり騒ぎを引き起こした挙句に、何を意味不明な事を言い出すんですか。アルティナ殿はアルティナ殿でしょう? 何を錯乱しているやら。それに帰宅した時は素面かと思っていたのに、相当酔っているんですか?」
「いや、クリフ殿。ケインは錯乱しても泥酔してもいない」
「え?」
そこで唐突に割り込んだ声に、クリフが思わず声のした方に顔を向けると、室内中の人間の視線を一身に受けながら、アルティナが堂々と言い切った。
「単刀直入に説明しよう。この身体は確かに双子の妹のアルティナの物だが、今現在妹の意識は眠っていて、私、アルティン・グリーバスの意識が表に出ている。その為、この体を私の思い通りに動かす事ができるし、会話もできると言うわけだ」
「…………」
真顔で告げられたその内容を聞いた面々は、揃ってきょとんとした顔つきになり、室内に微妙な沈黙が漂う。しかしそれはすぐに、悲鳴じみた泣き声によって破られた。
「だっ、だからあれほど、大人しくしていて下さいと、私が何度も申し上げましたのに! これでもう、アルティナ様の人生は終わりです! 何て幸薄い、お気の毒なアルティナ様!」
そう叫ぶなり椅子に座ったまま両手で顔を覆い、「うわあぁぁぁ!」と盛大に泣き叫んだユーリアを見て、シャトナー家の面々は我に返った。
「侍女殿、取り敢えず落ち着いて貰えるか?」
「そうですね。それでは話ができませんから」
「も、申し訳……、ありませんっ……」
当主夫妻に困惑気味に促されたユーリアは、声を詰まらせながらも何とか泣き止んで涙を拭いた。そして気を取り直した様に見せかけながら、彼女がアルティナと打ち合わせていた内容を、徐に語り出す。
「ケイン様が誤解されない様に申し上げますと、アルティン様がお亡くなりになったのは事実です。私を含め、何人もの使用人が領地の館で看取って、埋葬いたしましたから」
それを聞いたケインは、ちらりとアルティナの顔を見てから、ユーリアに確認を入れた。
「それではアルティンの死亡情報は、公爵家が公にした通りなんだな」
「はい。そして葬儀を済ませた翌日、私はアルティン様の死亡直後に倒れられた、アルティナ様を看病していました。ですが夜半に急に目を覚まされたと思ったら、『苦労かけるな、ユーリア。アルティナの事を宜しく頼む』と、依然と変わらない口調のまま仰って。暗闇の中の事でしたし、驚きで心臓が止まるかと思いました」
そこで恨みがましい視線を向けた彼女に、アルティナがわざとらしく笑いかける。
「誓って、驚かせるつもりは無かったんだがな」
「誰だって驚きますよ! だって普通人が死んだら、その魂はもれなく天上の神の国に逝くんですよ? 国教のグラード教では、地上に留まる魂は悪霊になって、取り憑いた人を狂わせて残虐行為に走らせたり、疫病を流行らせたりすると言われているのに!」
「そうは言っても、どうしてもアルティナの事が心配で心残りで……。うっかり天上に逝きそびれたんだ。逝き方も分からないし、当分アルティナの中に居るしかあるまい?」
真顔でそんな事を口にしたアルティナに、ユーリアは怒りの形相になった。
「何が『うっかり』ですか、何が!? アルティナ様の身体にアルティン様の魂が宿っているなんて事が知られたら、忽ちアルティナ様は教会に捕縛されて、良くて生涯幽閉。下手すると宗教裁判にかけられて、死罪になってしまうんですよ!?」
「だが、アルティナの嫁ぎ先がとんでもない守銭奴一家な上に、結婚相手がケインだというのが、どうしても我慢できなかったんだ!」
ユーリアに負けず劣らずの勢いで怒鳴り返しながら、シャトナー一家の座っている方にビシッと指を向けながら主張したアルティナを見て、ここでクリフが口を挟んた。
「あの……、アルティン殿は、私のグリーバス公爵邸での振る舞いをご存知なのですか?」
その問いに、アルティナは真面目くさって答えた。
「ああ。日中はアルティナの意識はしっかりしているが、私は妹の意識を通して彼女が見聞きした物、感じた物を認識しているからな。なかなかの守銭奴ぶりだった。いっそ感心したぞ」
「それならば、この場で謝罪と弁解をさせて下さい。本来なら明日、アルティナ殿には説明するつもりだったのですが」
「謝罪と弁解とは?」
一瞬ユーリアと顔を見合わせたアルティナに向かって、クリフは真顔で裏事情を打ち明けた。
「何やら、尋常ではない物音がしましたが!?」
「兄さん! 賊でも押し入ったのか!?」
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「はい?」
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「ああ、それもそうだな」
そして女二人が話し合っているのを横目で見ながら、ケインはガウスに指示を出した。
「ガウス。悪いが父上と母上、それとマリエルを寝ているなら起こして、急いで応接室に来るように言ってくれ」
「しかしケイン様」
「兄さん、それだったら俺が皆を呼んでくる。ガウスは応接室に明かりを点けて、人数分の椅子を揃えておいてくれ」
「畏まりました」
主人一家が既に就寝していた場合、叩き起こす役目を担わされそうになったガウスがたじろいだのを見て、すぐにクリフが役目を引き受けつつ指示を出したのを見て、ケインは自身が相当動揺しているらしい事を自覚した。それと同時に、これから家族を自分以上に驚愕させそうだと考えて、頭痛を覚えた。
それから短時間で身支度を整えたアルティナとユーリアが応接室に出向くと、徐々にシャトナー家の面々と、屋敷内に住み込みの使用人達が集まって来ていた。そして伯爵夫妻が三人掛けのソファーに並んで腰を下ろすと、向かい側の同様のソファーにはケインとクリフの他、十代後半に見える女性が座る。
それらのソファーとは直角に位置する場所に椅子が二つ並べられており、ガウスに促されたアルティナ達はおとなしくそちらに腰を下ろした。そして使用人達が何事かと壁際に佇んで見守る中、ケインがアルティナに声をかけた。
「アルティン。俺の両親とクリフは知っているか?」
それに頷いた彼女が、初対面の人物について尋ねる。
「ああ。アルティナが顔を合わせたからな。ところでそちらの可憐なレディは、もしかしてお前の妹君か?」
「下の妹のマリエルだ。俺とクリフの間に、嫁いだ上の妹のサーラがいる。今後機会があったら、引き合わせよう」
「そうか。……マリエル嬢、今回はお休みのところお騒がせして、誠に申し訳ありません」
微笑んでから殊勝に頭を下げたアルティナを見て、兄嫁になる女性が屋敷に来ているとだけ聞いていたマリエルは、困惑した表情で彼女と長兄の顔を交互に見やった。
「え、ええと……。あの、お気遣いなく。ベッドに入ったばかりでしたので。その……、ケイン兄様?」
「ケイン? お前、これはどういう事だ?」
「意味が分からないのだけど……」
「兄さん? それにアルティナ殿の、その口調は……」
マリエル同様、全く訳が分からないシャトナー家の者達が口々にケインに説明を求めたが、彼はそれに答えようともせずにアルティナを詰問し始めた。
「さあ、アルティン。説明して貰おうか。どうしてアルティナ殿とお前が入れ替わっているんだ? それにいつの間に彼女から両親やクリフの事を聞いて、どうやって入れ替わった? そんな暇はさほど無かった筈だ。そもそも、お前が死んだ話は嘘なのか? そうなると随分大掛かりな陰謀の臭いがするんだが」
矢継ぎ早に質問を繰り出した兄に、クリフが呆れ気味に口を挟む。
「兄さん、いきなり騒ぎを引き起こした挙句に、何を意味不明な事を言い出すんですか。アルティナ殿はアルティナ殿でしょう? 何を錯乱しているやら。それに帰宅した時は素面かと思っていたのに、相当酔っているんですか?」
「いや、クリフ殿。ケインは錯乱しても泥酔してもいない」
「え?」
そこで唐突に割り込んだ声に、クリフが思わず声のした方に顔を向けると、室内中の人間の視線を一身に受けながら、アルティナが堂々と言い切った。
「単刀直入に説明しよう。この身体は確かに双子の妹のアルティナの物だが、今現在妹の意識は眠っていて、私、アルティン・グリーバスの意識が表に出ている。その為、この体を私の思い通りに動かす事ができるし、会話もできると言うわけだ」
「…………」
真顔で告げられたその内容を聞いた面々は、揃ってきょとんとした顔つきになり、室内に微妙な沈黙が漂う。しかしそれはすぐに、悲鳴じみた泣き声によって破られた。
「だっ、だからあれほど、大人しくしていて下さいと、私が何度も申し上げましたのに! これでもう、アルティナ様の人生は終わりです! 何て幸薄い、お気の毒なアルティナ様!」
そう叫ぶなり椅子に座ったまま両手で顔を覆い、「うわあぁぁぁ!」と盛大に泣き叫んだユーリアを見て、シャトナー家の面々は我に返った。
「侍女殿、取り敢えず落ち着いて貰えるか?」
「そうですね。それでは話ができませんから」
「も、申し訳……、ありませんっ……」
当主夫妻に困惑気味に促されたユーリアは、声を詰まらせながらも何とか泣き止んで涙を拭いた。そして気を取り直した様に見せかけながら、彼女がアルティナと打ち合わせていた内容を、徐に語り出す。
「ケイン様が誤解されない様に申し上げますと、アルティン様がお亡くなりになったのは事実です。私を含め、何人もの使用人が領地の館で看取って、埋葬いたしましたから」
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「はい。そして葬儀を済ませた翌日、私はアルティン様の死亡直後に倒れられた、アルティナ様を看病していました。ですが夜半に急に目を覚まされたと思ったら、『苦労かけるな、ユーリア。アルティナの事を宜しく頼む』と、依然と変わらない口調のまま仰って。暗闇の中の事でしたし、驚きで心臓が止まるかと思いました」
そこで恨みがましい視線を向けた彼女に、アルティナがわざとらしく笑いかける。
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「誰だって驚きますよ! だって普通人が死んだら、その魂はもれなく天上の神の国に逝くんですよ? 国教のグラード教では、地上に留まる魂は悪霊になって、取り憑いた人を狂わせて残虐行為に走らせたり、疫病を流行らせたりすると言われているのに!」
「そうは言っても、どうしてもアルティナの事が心配で心残りで……。うっかり天上に逝きそびれたんだ。逝き方も分からないし、当分アルティナの中に居るしかあるまい?」
真顔でそんな事を口にしたアルティナに、ユーリアは怒りの形相になった。
「何が『うっかり』ですか、何が!? アルティナ様の身体にアルティン様の魂が宿っているなんて事が知られたら、忽ちアルティナ様は教会に捕縛されて、良くて生涯幽閉。下手すると宗教裁判にかけられて、死罪になってしまうんですよ!?」
「だが、アルティナの嫁ぎ先がとんでもない守銭奴一家な上に、結婚相手がケインだというのが、どうしても我慢できなかったんだ!」
ユーリアに負けず劣らずの勢いで怒鳴り返しながら、シャトナー一家の座っている方にビシッと指を向けながら主張したアルティナを見て、ここでクリフが口を挟んた。
「あの……、アルティン殿は、私のグリーバス公爵邸での振る舞いをご存知なのですか?」
その問いに、アルティナは真面目くさって答えた。
「ああ。日中はアルティナの意識はしっかりしているが、私は妹の意識を通して彼女が見聞きした物、感じた物を認識しているからな。なかなかの守銭奴ぶりだった。いっそ感心したぞ」
「それならば、この場で謝罪と弁解をさせて下さい。本来なら明日、アルティナ殿には説明するつもりだったのですが」
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