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(14)容赦ない反撃
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「それじゃあ、スタークさん。少しだけ、この円の外に出ていて貰える? さっきも言ったけど、ここで霊力の増強ができないか、私だけで集中して試してみたい事があるの」
内心を綺麗に押し隠しつつ天輝が営業スマイルを振り撒くと、スタークは彼女の台詞を全く疑わず、素直に頷いた。
「分かりました。お済みになるまで、私達は外側でお待ちします。何かお手伝いできる事がありましたら、お声をかけてください。終わりましたら聖女様をお迎えしての祝宴の準備に取り掛かりますので、その間、聖女様が待機するお部屋にご案内致します」
「あら、それは楽しみね。よろしくお願いします」
笑顔でスタークを追い払う事に成功した天輝は、改めて空中に光の図形を描いている、水晶に酷似した鉱石群を見上げた。
(さてと。取り敢えず邪魔者は追い払ったから、あの陣とやらを構成している光線を放つ鉱石を何とかしないと。この前みたいに、直接物理的攻撃ができれば良いけど、石柱の上に据え付けられているから、それは無理。となると……)
そして召喚陣を無効化させる方策について考えを巡らせた天輝は、他と比べて一際大きく、左右と反対側の鉱石に光を拡散させている鉱石に目をつけた。
(この世界では、あの方角が南と言うのかどうか分からないけど……、一番南端のあの鉱石があの方角から日光を受けて、光を拡散させているのよね。そうなると、あの鉱石がイレギュラーな方向から光を浴びた場合、どうなるのかしら? ここは試してみるべきかな?)
そして悩んだのは一瞬であり、天輝は躊躇わずにポケットから携帯用ミラーを取り出し、それを開きながらやる気満々で呟く。
「勿論、“試してみる”一択に決まっているわよね。伸也。貰って早々、これ以上は無い位の有効利用をさせて貰うわ」
そして開いたミラーの角度を調整し、それが反射させた日光が、本来光を受ける方向とは反対側の斜め下から、狙った鉱石に当たるようにする。
「さてと……。この小さな鏡で、どれ位効果があるかしら」
試してはみたものの、当初かなり懐疑的な表情の天輝だったが、それは1分も経過しないうちに満足げなものに変化した。
「おい、あれを見ろ!」
「えぇ!? 貴石群が!」
「様子が変だぞ!?」
「召喚陣が消えかかっている!!」
「あら? 意外に効果抜群? 結構繊細な造りだったみたい。こっちにしてみれば不幸中の幸いと言ったところかしら?」
他の方向から光が当たる事を想定していなかったのか、天輝が光を当てている鉱石がランダムに光を拡散させ、それを他の鉱石も乱反射させて空中の図形に不規則な線が加えられた。それと同時に、召喚陣を構築している全ての鉱石が、透明から徐々に白濁を帯びた状態になってくる。それを認めた天輝は満足げに微笑んだが、召喚陣の外側で狼狽していた男達の中から、スタークが血相を変えて駆け寄ってきた。
「聖女様!! 何をなさっておられるのですか!? それをお離しください!」
「五月蝿いわね、誘拐犯の親玉の分際で!」
「ぐあぁっ!」
「自分達がしでかした事に対する、相当の報いを受けなさい!!」
「ぐほぅっ!」
取りすがってくるスタークの脛を天輝は手加減無しで蹴りつけ、更に相手が怯んだ隙に足を上げて彼の腹部を蹴り飛ばす。それでスタークは呆気なく仰向けに転がり、天輝が動いた事で手元の携帯用ミラーの角度が変わり、反射光の位置も移動していた。
「おっと……、光がずれて……。へぇ? 1ヶ所だけじゃなくて2ヶ所に当てると、益々効果的みたいね。ラッキーだわ」
天輝が120度程に開いてあるミラーを調整し、同時に二個の鉱石に光が当たるように調節すると、一気に鉱石の白濁化が進むと共に召喚陣の光線が歪み始め、それと同時に周囲に強烈な光と不自然な風圧が生じた。
「うわぁあああっ!」
「召喚陣が!」
「祭司長様に何て事を!」
「聖女様、お待ちください!?」
光に包まれると同時にふわりと自分の身体が浮き上がるのを天輝は、この間召喚陣の外側で待機していた人間達に向かって、怒声を張り上げた。
「さっきからガタガタ五月蝿いわよ!! こっちだって、普段は老人をいたぶる趣味なんて無いんですからね!? 全面的に、そんな非常事態に私を追い込んだ、そっちの責任なんだから!! 逆恨みなんかしないでよ!?」
自分なりの精一杯の主張を天輝が連中に向かってぶつけると同時に、光が爆発的に増加した。その為、天輝は反射的に目を閉じたが、それはすぐに収束した。
内心を綺麗に押し隠しつつ天輝が営業スマイルを振り撒くと、スタークは彼女の台詞を全く疑わず、素直に頷いた。
「分かりました。お済みになるまで、私達は外側でお待ちします。何かお手伝いできる事がありましたら、お声をかけてください。終わりましたら聖女様をお迎えしての祝宴の準備に取り掛かりますので、その間、聖女様が待機するお部屋にご案内致します」
「あら、それは楽しみね。よろしくお願いします」
笑顔でスタークを追い払う事に成功した天輝は、改めて空中に光の図形を描いている、水晶に酷似した鉱石群を見上げた。
(さてと。取り敢えず邪魔者は追い払ったから、あの陣とやらを構成している光線を放つ鉱石を何とかしないと。この前みたいに、直接物理的攻撃ができれば良いけど、石柱の上に据え付けられているから、それは無理。となると……)
そして召喚陣を無効化させる方策について考えを巡らせた天輝は、他と比べて一際大きく、左右と反対側の鉱石に光を拡散させている鉱石に目をつけた。
(この世界では、あの方角が南と言うのかどうか分からないけど……、一番南端のあの鉱石があの方角から日光を受けて、光を拡散させているのよね。そうなると、あの鉱石がイレギュラーな方向から光を浴びた場合、どうなるのかしら? ここは試してみるべきかな?)
そして悩んだのは一瞬であり、天輝は躊躇わずにポケットから携帯用ミラーを取り出し、それを開きながらやる気満々で呟く。
「勿論、“試してみる”一択に決まっているわよね。伸也。貰って早々、これ以上は無い位の有効利用をさせて貰うわ」
そして開いたミラーの角度を調整し、それが反射させた日光が、本来光を受ける方向とは反対側の斜め下から、狙った鉱石に当たるようにする。
「さてと……。この小さな鏡で、どれ位効果があるかしら」
試してはみたものの、当初かなり懐疑的な表情の天輝だったが、それは1分も経過しないうちに満足げなものに変化した。
「おい、あれを見ろ!」
「えぇ!? 貴石群が!」
「様子が変だぞ!?」
「召喚陣が消えかかっている!!」
「あら? 意外に効果抜群? 結構繊細な造りだったみたい。こっちにしてみれば不幸中の幸いと言ったところかしら?」
他の方向から光が当たる事を想定していなかったのか、天輝が光を当てている鉱石がランダムに光を拡散させ、それを他の鉱石も乱反射させて空中の図形に不規則な線が加えられた。それと同時に、召喚陣を構築している全ての鉱石が、透明から徐々に白濁を帯びた状態になってくる。それを認めた天輝は満足げに微笑んだが、召喚陣の外側で狼狽していた男達の中から、スタークが血相を変えて駆け寄ってきた。
「聖女様!! 何をなさっておられるのですか!? それをお離しください!」
「五月蝿いわね、誘拐犯の親玉の分際で!」
「ぐあぁっ!」
「自分達がしでかした事に対する、相当の報いを受けなさい!!」
「ぐほぅっ!」
取りすがってくるスタークの脛を天輝は手加減無しで蹴りつけ、更に相手が怯んだ隙に足を上げて彼の腹部を蹴り飛ばす。それでスタークは呆気なく仰向けに転がり、天輝が動いた事で手元の携帯用ミラーの角度が変わり、反射光の位置も移動していた。
「おっと……、光がずれて……。へぇ? 1ヶ所だけじゃなくて2ヶ所に当てると、益々効果的みたいね。ラッキーだわ」
天輝が120度程に開いてあるミラーを調整し、同時に二個の鉱石に光が当たるように調節すると、一気に鉱石の白濁化が進むと共に召喚陣の光線が歪み始め、それと同時に周囲に強烈な光と不自然な風圧が生じた。
「うわぁあああっ!」
「召喚陣が!」
「祭司長様に何て事を!」
「聖女様、お待ちください!?」
光に包まれると同時にふわりと自分の身体が浮き上がるのを天輝は、この間召喚陣の外側で待機していた人間達に向かって、怒声を張り上げた。
「さっきからガタガタ五月蝿いわよ!! こっちだって、普段は老人をいたぶる趣味なんて無いんですからね!? 全面的に、そんな非常事態に私を追い込んだ、そっちの責任なんだから!! 逆恨みなんかしないでよ!?」
自分なりの精一杯の主張を天輝が連中に向かってぶつけると同時に、光が爆発的に増加した。その為、天輝は反射的に目を閉じたが、それはすぐに収束した。
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