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孝則、家族計画について考えてみる
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「あ、パパ、お帰りなさい!」
おう、愛娘のお帰りだ。相変わらず可愛いな。
「ああ、ただいま。今日はもう買い物は済ませてるし、俺が夕飯を作るからな」
「わーい! ……あれ? ゴンザレスは? いつもはソファーでごろごろしてるのに」
「何か良く分からんが、隅でいじけているみたいだぞ?」
キョロキョロソファーの周囲を見回している沙織に、リビングの隅を指さしながら教えてやると、膝を抱えて背中を向けて丸まっている奴を見て納得したが、すぐに怪訝な顔になった。
「あ、本当だ。でもどうして?」
「さあ……。お前の方が分かるんじゃないのか?」
「えぇ? 私にだって分からないわよ。宇宙人の気持ちなんて。じゃあ、さっさと宿題やっちゃおうっと」
うん、やっぱりあっさりしてるよな。久々だ、この感じ。
職場はどっちかと言うと、体育会系だから新鮮だ。
「いやぁ、やっぱり我が家は良いよなぁ……」
久し振りに皆で食卓を囲みながら、心の底からの感想を口にする。しかし美和子達の反応も、実に相変わらずだった。
「沙織が顔を忘れる前に、帰って来られて良かったわね」
「もう四年生だし。一・二年いなくても大丈夫よ」
サラッと流されてしまったが、まあ、いつもの事だ。
しかし一応、ちょっとした願望を口にしてみる。
「沙織……。ここは一つ可愛らしく、『顔を忘れちゃうと嫌だから、今度は早く帰って来てね』とか」
「私、そんなに記憶力悪くないから」
うん……。お前は頭の良い子だ、沙織。
ただもうちょっと、お父さんを労って欲しいな……。(涙)
「あらあら。前はすっかり忘れちゃって、孝則が帰って来た時にぎゃん泣きしたくせに」
笑いながら美和子が口を挟んできた為、沙織が納得しかねる顔付きで言い返した。
「それ、いつの話よ?」
「二歳児の頃だったかしら?」
「無理でしょ! そりゃあ泣くわよ、不可抗力! 目の前にいきなり知らない人が出てきたら、小さな子供はビビッて泣くでしょ」
沙織が力一杯主張してきた為、帰宅時の事を思い出した俺は、苦笑いで再び会話に混ざった。
「そうだなぁ、ゴンザレスも俺にビビッて警察に通報しようとしたもんな」
そう言った瞬間、沙織が物凄い勢いでクマに顔を向けた。
「は? あんたそんな事、本当にしようとしたの? ちょっと止めてよ! 通報を受けてお巡りさんが踏み込んだ時、クマのぬいぐるみが動いて喋ってたら、うちが悪の秘密結社のアジト並みに変な目で見られるわ!」
いや、別にクマのぬいぐるみが動いてたからって、悪の秘密結社のアジトだなんて思われないんじゃないのか? それとも、最近そういうドラマとかアニメとかが、流行ってるんだろうか?
クマのぬいぐるみが動き回る、悪の秘密結社のアジト……。随分フレンドリーな秘密結社だな。
そんなにゆるゆるな雰囲気で、悪事なんてできるのか?
思わず真面目に考え込んでいると、食卓の片隅で、台布巾と共に直立不動で待機していたゴンザレスが喚いた。
「この家は十分変だろ!? なんで長期出張中の旦那さんや親の写真を、仏壇に飾ったりするんだよ! 普通は死んだ人の写真だろ!? 縁起悪いし、非常識にもほどがあるよ!!」
「存在自体が非常識なあんたにだけは、常識を語られたく無いわ!! そもそも資格無しだからね!」
「差別だ!! クマにも常識位、語る権利はある!」
「生きたクマのコミュニティーでは語ってるかもしれないけど、クマのぬいぐるみにはないわよっ!! 賭けても良いわ!!」
そのままギャイギャイと言い合っている一人と一匹(いや、一個と数えるべきか?)をぼんやりと眺めてから、俺は隣の美和子に囁いた。
「なあ、美和子。今、思ったんだが」
「何を?」
「なんだか沙織が、前より明るくなってないか?」
「そう? 普段と変わらないと思うけど」
「ずっと一緒に居たら、分からないかもしれないがな」
こういう時、淡々としている美和子には、苦笑するしかない。
だが美和子も色々思う所はあったようで、少し考え込みながら答えた。
「確かに、以前よりは口数は多くなったわね。でも明るいと言うより、五月蠅いと思うわ。ほぼ毎日、ゴンザレスと揉めるか漫才をしてるし」
「毎日こんな調子か。なるほどな」
これだけ賑やかなら、嫌でも口数は多くなるか。沙織はあの性格に加えて、一人っ子だからな……。
「なあ、美和子」
「何?」
「もう一人、子供を作るか?」
「……いきなり何を言い出すのよ?」
ちょっと驚いた顔を向けてきた美和子に、笑いだしそうになった。
一見そうは見えないけど、これは相当驚いているよな?
「あんな沙織を見てたらさ、下に弟とか妹とかいた方が、情操教育に良いんじゃないかと思ってな。なんか角が取れてきたとか、丸くなってきた感じがするし」
正直に感想を口にしてみると、美和子からは容赦の無い冷笑が返ってくる。
「情操教育ですって? これまでは基本的に放任主義だったのに、随分似合わない事を口にする様になったのね。砂漠の太陽にやられたの?」
「ほったらかし云々を言われると、おしまいなんだがな」
全く反論できずに苦笑いすると、美和子は小さく肩を竦めてから皮肉げな笑みを消し、何やらブツブツと呟き始めた。
「取り敢えず一つ、大きなプロジェクトの目処は付いたし、言われてみれば、ここら辺が最後のチャンスなのかしらね?」
「美和子?」
何を言っているんだろうと思ったら、美和子が相変わらず素っ気ない口調で言ってきた。
「言っておくけど、もう高齢出産の分類に入るのよ? リスクも負担も大きいってところ、ちゃんと分かってるんでしょうね? 沙織の出産の時以上に、こき使うわよ?」
「おう! 勿論分かってるさ!」
言ってみるもんだな。今までは美和子の仕事や俺の仕事の関係で、二人目なんてなかなか気軽に口にできなかったが。
そうと決まれば、もうちょっと海外出張が少なくできるように、あと一年位の間に後輩達をビシビシ鍛えておかないとな。
「パパ、何ニヤニヤしてるわけ?」
「うん、オッサン顔だよな」
いつの間にか言い争いを止めて、俺の顔を凝視しながら言ってきた二人と一匹。
なんだ、そんなに正直に顔に出てたか?
ちらっと美和子の様子を窺うと、相変わらず我関せずって感じで、黙々と食べ続けている。平常運転だな。まあ言質は取ったし、これはこれで良いか。
「そりゃあオッサンだからオッサン顔だよな? ゴンザレスは良いよなぁ……。中身がオッサンでも、見た目がそう見えないもんなぁ……」
心の底から羨ましそうに言ってやったら、沙織が心底嫌そうな顔でクマを見やった。
「あんたオッサンなの? まさか私の着替えとかお風呂とか、覗いてないでしょうね!?」
「誰がそんな事するか! っていうか、僕はオッサンなんかじゃないよ!!」
「オッサンなのに僕って言ってたら、相当キモイわね」
「というか、宇宙人の年齢って測定できるのか?」
「だから宇宙人じゃないし、オッサンでもないって言ってるじゃないか!! もう嫌だ、この家族!!」
俺と美和子も淡々と感想を口にすると、クマが「うわあぁぁぁん!」泣き叫んでテーブルに突っ伏した。しかし俺が慰めの言葉を口にする前に、沙織が冷静に言い出す。
「あ、ママ。また泣き出した」
「宇宙人のくせに、メンタル弱いわね。沙織」
「らじゃ」
「うわわっ!! 泣いてないよ! 濡れてないから、たーすーけーてー!」
何やら端的に母娘でやり取りを済ませ、沙織はクマの頭をがっしと掴み、無造作に手にぶら下げながら部屋から出て行った。
「どうしたんだ?」
「大した事じゃないわ。ここ暫くの恒例行事よ」
「すっかり賑やかになったな」
相変わらず淡々と食べ続けながらの美和子のコメントに、俺は苦笑を禁じえなかった。
おう、愛娘のお帰りだ。相変わらず可愛いな。
「ああ、ただいま。今日はもう買い物は済ませてるし、俺が夕飯を作るからな」
「わーい! ……あれ? ゴンザレスは? いつもはソファーでごろごろしてるのに」
「何か良く分からんが、隅でいじけているみたいだぞ?」
キョロキョロソファーの周囲を見回している沙織に、リビングの隅を指さしながら教えてやると、膝を抱えて背中を向けて丸まっている奴を見て納得したが、すぐに怪訝な顔になった。
「あ、本当だ。でもどうして?」
「さあ……。お前の方が分かるんじゃないのか?」
「えぇ? 私にだって分からないわよ。宇宙人の気持ちなんて。じゃあ、さっさと宿題やっちゃおうっと」
うん、やっぱりあっさりしてるよな。久々だ、この感じ。
職場はどっちかと言うと、体育会系だから新鮮だ。
「いやぁ、やっぱり我が家は良いよなぁ……」
久し振りに皆で食卓を囲みながら、心の底からの感想を口にする。しかし美和子達の反応も、実に相変わらずだった。
「沙織が顔を忘れる前に、帰って来られて良かったわね」
「もう四年生だし。一・二年いなくても大丈夫よ」
サラッと流されてしまったが、まあ、いつもの事だ。
しかし一応、ちょっとした願望を口にしてみる。
「沙織……。ここは一つ可愛らしく、『顔を忘れちゃうと嫌だから、今度は早く帰って来てね』とか」
「私、そんなに記憶力悪くないから」
うん……。お前は頭の良い子だ、沙織。
ただもうちょっと、お父さんを労って欲しいな……。(涙)
「あらあら。前はすっかり忘れちゃって、孝則が帰って来た時にぎゃん泣きしたくせに」
笑いながら美和子が口を挟んできた為、沙織が納得しかねる顔付きで言い返した。
「それ、いつの話よ?」
「二歳児の頃だったかしら?」
「無理でしょ! そりゃあ泣くわよ、不可抗力! 目の前にいきなり知らない人が出てきたら、小さな子供はビビッて泣くでしょ」
沙織が力一杯主張してきた為、帰宅時の事を思い出した俺は、苦笑いで再び会話に混ざった。
「そうだなぁ、ゴンザレスも俺にビビッて警察に通報しようとしたもんな」
そう言った瞬間、沙織が物凄い勢いでクマに顔を向けた。
「は? あんたそんな事、本当にしようとしたの? ちょっと止めてよ! 通報を受けてお巡りさんが踏み込んだ時、クマのぬいぐるみが動いて喋ってたら、うちが悪の秘密結社のアジト並みに変な目で見られるわ!」
いや、別にクマのぬいぐるみが動いてたからって、悪の秘密結社のアジトだなんて思われないんじゃないのか? それとも、最近そういうドラマとかアニメとかが、流行ってるんだろうか?
クマのぬいぐるみが動き回る、悪の秘密結社のアジト……。随分フレンドリーな秘密結社だな。
そんなにゆるゆるな雰囲気で、悪事なんてできるのか?
思わず真面目に考え込んでいると、食卓の片隅で、台布巾と共に直立不動で待機していたゴンザレスが喚いた。
「この家は十分変だろ!? なんで長期出張中の旦那さんや親の写真を、仏壇に飾ったりするんだよ! 普通は死んだ人の写真だろ!? 縁起悪いし、非常識にもほどがあるよ!!」
「存在自体が非常識なあんたにだけは、常識を語られたく無いわ!! そもそも資格無しだからね!」
「差別だ!! クマにも常識位、語る権利はある!」
「生きたクマのコミュニティーでは語ってるかもしれないけど、クマのぬいぐるみにはないわよっ!! 賭けても良いわ!!」
そのままギャイギャイと言い合っている一人と一匹(いや、一個と数えるべきか?)をぼんやりと眺めてから、俺は隣の美和子に囁いた。
「なあ、美和子。今、思ったんだが」
「何を?」
「なんだか沙織が、前より明るくなってないか?」
「そう? 普段と変わらないと思うけど」
「ずっと一緒に居たら、分からないかもしれないがな」
こういう時、淡々としている美和子には、苦笑するしかない。
だが美和子も色々思う所はあったようで、少し考え込みながら答えた。
「確かに、以前よりは口数は多くなったわね。でも明るいと言うより、五月蠅いと思うわ。ほぼ毎日、ゴンザレスと揉めるか漫才をしてるし」
「毎日こんな調子か。なるほどな」
これだけ賑やかなら、嫌でも口数は多くなるか。沙織はあの性格に加えて、一人っ子だからな……。
「なあ、美和子」
「何?」
「もう一人、子供を作るか?」
「……いきなり何を言い出すのよ?」
ちょっと驚いた顔を向けてきた美和子に、笑いだしそうになった。
一見そうは見えないけど、これは相当驚いているよな?
「あんな沙織を見てたらさ、下に弟とか妹とかいた方が、情操教育に良いんじゃないかと思ってな。なんか角が取れてきたとか、丸くなってきた感じがするし」
正直に感想を口にしてみると、美和子からは容赦の無い冷笑が返ってくる。
「情操教育ですって? これまでは基本的に放任主義だったのに、随分似合わない事を口にする様になったのね。砂漠の太陽にやられたの?」
「ほったらかし云々を言われると、おしまいなんだがな」
全く反論できずに苦笑いすると、美和子は小さく肩を竦めてから皮肉げな笑みを消し、何やらブツブツと呟き始めた。
「取り敢えず一つ、大きなプロジェクトの目処は付いたし、言われてみれば、ここら辺が最後のチャンスなのかしらね?」
「美和子?」
何を言っているんだろうと思ったら、美和子が相変わらず素っ気ない口調で言ってきた。
「言っておくけど、もう高齢出産の分類に入るのよ? リスクも負担も大きいってところ、ちゃんと分かってるんでしょうね? 沙織の出産の時以上に、こき使うわよ?」
「おう! 勿論分かってるさ!」
言ってみるもんだな。今までは美和子の仕事や俺の仕事の関係で、二人目なんてなかなか気軽に口にできなかったが。
そうと決まれば、もうちょっと海外出張が少なくできるように、あと一年位の間に後輩達をビシビシ鍛えておかないとな。
「パパ、何ニヤニヤしてるわけ?」
「うん、オッサン顔だよな」
いつの間にか言い争いを止めて、俺の顔を凝視しながら言ってきた二人と一匹。
なんだ、そんなに正直に顔に出てたか?
ちらっと美和子の様子を窺うと、相変わらず我関せずって感じで、黙々と食べ続けている。平常運転だな。まあ言質は取ったし、これはこれで良いか。
「そりゃあオッサンだからオッサン顔だよな? ゴンザレスは良いよなぁ……。中身がオッサンでも、見た目がそう見えないもんなぁ……」
心の底から羨ましそうに言ってやったら、沙織が心底嫌そうな顔でクマを見やった。
「あんたオッサンなの? まさか私の着替えとかお風呂とか、覗いてないでしょうね!?」
「誰がそんな事するか! っていうか、僕はオッサンなんかじゃないよ!!」
「オッサンなのに僕って言ってたら、相当キモイわね」
「というか、宇宙人の年齢って測定できるのか?」
「だから宇宙人じゃないし、オッサンでもないって言ってるじゃないか!! もう嫌だ、この家族!!」
俺と美和子も淡々と感想を口にすると、クマが「うわあぁぁぁん!」泣き叫んでテーブルに突っ伏した。しかし俺が慰めの言葉を口にする前に、沙織が冷静に言い出す。
「あ、ママ。また泣き出した」
「宇宙人のくせに、メンタル弱いわね。沙織」
「らじゃ」
「うわわっ!! 泣いてないよ! 濡れてないから、たーすーけーてー!」
何やら端的に母娘でやり取りを済ませ、沙織はクマの頭をがっしと掴み、無造作に手にぶら下げながら部屋から出て行った。
「どうしたんだ?」
「大した事じゃないわ。ここ暫くの恒例行事よ」
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