気が付けば奴がいる

篠原 皐月

文字の大きさ
上 下
3 / 21

巧、怒りに震える

しおりを挟む
 登校しようとマンションのエントランスを抜けて、学校へ向かう一直線の道路を歩き始めると、その少し先に見慣れた幼なじみの姿を発見した為、嬉しくなって駆け出した。
 今日は朝から幸先が良い。

「沙織、おはよう!」
「あ、巧。おはよう」
「今日は遅いんだな。金管クラブの朝練は無いのか?」
「そうなの」
「今日久しぶりに、家に行ってもいいか?」
「え? うぅ~ん、そうだな~」
 並んで歩きながら許可を求めると、普段なら即断即決の沙織が、何故か微妙に困った表情を見せた。
 随分とレアな表情だ。今日は朝から色々珍しい事がある日だな。

「誰かと約束でもあるのか? それなら止めておくけど」
「ううん、そうじゃ無いんだけど……」
 困らせる気は無かったから、約束があるならそっちを優先しろと言ってみたが、どうやらそういう事でも無いらしい。
 本当に何だろうと首を捻っていると、何か決心した様に沙織が頷き、一人で納得した様に喋り出した。

「うん、『百聞は一見にしかず』って言うし、直に見て貰った方が早いよね」
「何だ? 部屋の中が多少散らかってても、今更だろ?」
「そう言う訳でも無いんだけど……。とにかく分かったわ。それじゃあ帰りは、昇降口で待ってて。遅くはならないと思う」
「ああ」

 小さい頃は毎日の様に遊んでいたが、さすがにこの年になると男子と女子で交友関係が違ってくるし、沙織の家に行くのはほぼ1ヶ月ぶりだ。
 自然に浮き立つ内心を密かに抑えつつ、帰りに待ち合わせて話をしながら帰宅した俺達だったが、沙織の家の玄関を開けて中に足を踏み入れた瞬間、見慣れた家の中はSF、もしくはファンタジーの世界に侵食されていた。

「ただいま、ゴンザレス」
「あ、沙織ちゃん。おかえり」
「…………」
 玄関から奥に続く廊下を、滑るようにやって来たクマ。そして表情は全く変わらないのに、愛想の良い声での挨拶。

 こいつ、できる…………。
 いやいやいや、ちょっと待て! 落ち着け俺! そうじゃなくて!!

「掃除はこれで終わったよ」
「ご苦労様。今日は友達を連れて来たの。同じマンションに住んでる、長谷川巧よ」
「そうなんだ。俺はゴンザレス。宜しく」
 俺が内心で激しく葛藤しながら、脳細胞をフル回転させてるってのに、事も無げに会話するな!!
 しかもその白い掃除用のウェットシートを、拭き掃除の雑巾代わりにしているのは分かるが、その両手に嵌めた珍妙な物は何だ!?

「何だ? その手は」
 好奇心に負けて、得体の知れない奴が握手を求める様に差し出してきた腕の先を睨み付けながら尋ねると、奴はやっと気付いた様に動き出した。

「あ、うっかりして、嵌めたままだった」
 そして器用に両手を引っ掛け合い、スポッとそれから腕を抜く奴。それを見ながら沙織が補足説明してきた。

「ゴンザレスは全身布製だから、濡れてる物を触る時、素手だと当然濡れちゃうの。だからママがネットで探したのよ。ゴム製椅子の脚カバー3Lサイズ。この直径だと、ゴンザレスの手にぴったりフィット」
「本当に優れ物だよね」
 互いに頷きながら、どう見ても平常運転の一人と一匹(いや、この場合一人と一個と言うべきか?)に無性に苛ついた。

「……おい、沙織」
「何? まず上がったら?」
 沙織がきょとんとしながら促してきた為、それに益々イラッとしたものの、取り敢えず大人しく靴を脱いで上がり込んだ。それと同時に、さっさと話を進める事にする。

「沙織。これまで交わされたお前達の会話について、突っ込み所が色々あるんだが、一つずつ片付けていくぞ」
 真面目にそう宣言すると、沙織は溜め息を吐いてから、困った物を見るような目で俺を見てきた。

「巧ってさ……、普段はそんなにこだわりを見せないのに、時々妙に細かい時が有るよね」
 正直に言えば、「お前はいつも興味の無い事には殆どこだわらないタイプの人間だが、時々色々突き抜ける事が有るよな!」と叫びたかったが、グッと我慢した。
 今ここで、平常心を保てなくなったら困る。

「まず一つ目。そいつは何だ?」
 ビシッと喋る珍妙なクマを指さしながら問いただすと、二人(?)もしくは一人と一匹は、平然と答えた。

「未知のエネルギー生命体型宇宙人がうっかり入り込んでしまった、私のクマのぬいぐるみ」
「死んでしまって肉体を失った幽霊か、植物状態の身体から抜け出た魂がうっかり入ったクマのぬいぐるみ」
 自分の顔が引き攣るのが分かる。
 耐えろ、俺。まだ真実の追究は終わっていない。

「二つ目。この状態はいつからだ?」
 その問いにも、迷わず返答があった。

「先週の水曜から」
「九日前からだね」
 あまりにも淡々と答えてくれるので、頭痛がしてきた。
 頑張れ、俺。

「三つ目。これを見て、おばさんは何とも言わないのか? それとも隠してるのか?」
 保護者はどうしてるんだ、保護者は! 
 まさかとは思うが、公認なんじゃないだろうな!?

「隠す必要ってあるの? ここに居るなら働けって即答だったわ」
「食費の負担も躾もする必要は無いから、どうでも良い的な言われ方をされたけど……」
 ……まさかの公認だった。
 うん。確かにおばさんは沙織以上に理系脳で、ちょっとやそっとでは動じない人だと分かってはいたけどさ。

「四つ目。どうして名前がゴンザレスなんだ?」
 段々疲労感を覚えながら次の疑問を口にした途端、沙織達は声高に交互に主張し始めた。

「聞いてよ、巧! 呼び名をどうするかってなった時に、それまで通り『エリー』って呼ぼうとしたのに、生意気にもこのクマ風情が」
「何で俺が、明らかに女名で呼ばれなくちゃならないんだよ!」
「って主張したのよ。そうしたらママが『茶色だからゴン太で良いんじゃない?』とか言い出して」
「何で茶色だから『ゴン太』? 全然意味分からん!」
「それは確かに私も分からないけど。それでこいつがそう言ったら、ママが『じゃあゴンザレスね』って言い出して。そうしたら」
「だからどうして『ゴンザレス』なんだよ! ママさんの感性ってやっぱりおかしいよ!」
「って喚いたのよ。そうしたらママが『それならゴキブリね』って言い出して……」
「人生って……、妥協と譲歩の積み重ねだよな……」
 どこか遠い目をしながらの沙織の台詞に、能天気な表情のクマの声だけ沈鬱な台詞が続いた。

「『人生』じゃなくて『クマ生』よね。あ、正確には宇宙人生かな?」
「だからいい加減、宇宙人から離れようよ」
「あんたもいい加減、しつこいわね!」
「しつこいのはそっちだろ!?」
「おい、お前ら」
 そして重い空気から一転、俺を無視してぎゃいぎゃいと言い合っている二人を見ながら、自分の中で一気に不快感が増した。

「今までの話を総合して、そいつがおばさん公認の居候で、取り敢えず沙織に危害を加える危険性が無いのと、おばさんのネーミングセンスにかなりの問題がある事は分かった」
「それだけ分かれば十分よね」
「いや、不十分だ」
「え? 何かもっと聞きたい事があるの?」
 不思議そうに沙織が首を傾げた為、俺は当然の要求を繰り出した。

「話はもう良い。その代わり、家から解剖セットを持って来るから、そいつの頭と腹の中を切って見せてくれ」
「切る!? 切ったら切れちゃって裂けちゃうじゃないか!!」
 途端に狼狽しながら自分の頭やお腹を押さえつつ、支離滅裂な事を叫んだクマに、俺は冷ややかな視線を送った。

「沙織。こいつ、頭悪いのか?」
「私達よりは下だとは思う」
「酷いよ、沙織ちゃん!」
 真顔で容赦のない事を言った沙織だったが、奴の非難の声を受けて、軽く俺を睨みながら釘を刺してきた。

「一応言っておくけど、本当に切ったりしないでよ? 中身はどうあれ、体は私のぬいぐるみなんだから。それお気に入りなんだし、1ミリでも切ったりしたら、即刻出入り禁止だからね?」
「……分かった」
「沙織ちゃん、ありがとう! 怖かったよう!」
 途端に歓喜の叫びを上げた奴に、沙織が苦笑いしながら肩を竦めてみせる。

「私は化学系だけど、巧は生物系だからね。未知の昆虫や小動物を解剖したくてたまらないのよ。まあ、大して害は無いから」
「何か俺には、大有りな気がするんだけど!?」
「気のせいよ。ほら、取り敢えずリビングで待ってて。今、麦茶を持って来るわ」
「悪いな」
 今の今まで上り口で論争をしていた為、沙織の指示に大人しく従い、ランドセルを背負ったままリビングへと足を向けた。
 どうしても視界に入って来るクマは、俺の目の前を足音を立てずに歩いており、正直眩暈がしてきたが、それ以上に猛烈な怒りが湧き上がってきた。

「…………」
「何?」
 リビングでランドセルを下ろして、床に片膝を付いて奴を見下ろす。その視線を受けた奴が不思議そうに尋ねてきた為、俺は笑顔で話しかけた。

「別に? 本当にぬいぐるみっぽいなぁと。……ぬいぐるみの分際で、沙織と仲良く喋ってんじゃねぇよ。この畜生野郎」
「……え?」
 笑ったまま本音を垂れ流すと、奴の全身がピキッと固まったのが分かった。その隙を逃さず、素早く片手で奴の胴体を捕まえる。

「沙織はな。コミュ障まではいかないが、サバサバしている性格のせいか、気軽に話す人間がもの凄く少ないんだよ。それがたったの九日で、息がピッタリの夫婦漫才モードってどういう事だ。あぁ!?」
「ひっ!? ど、どういうって!?」
 奴を鷲掴みしたままソファーに座り、至近距離から悪態を吐いてやった。

「初対面の時、当時三歳の俺が沙織とまともに会話できる様になるまでに、どれだけ苦労したと思ってやがる。それなのに、貴様は楽々とこの家に居場所を確保しやがって。これか? この間抜け面が、警戒感や危機感を抱かせないのか?」
「いででででっ!」
 腹立ち紛れに奴の顔の両側を摘んで、思いきり左右に引っ張ってやると、途端に悲鳴が上がる。そこに両手にグラスを持った沙織がやって来た。

「ちょっと。何騒いでるの?」
「いや? 何でも無い。ちょっと親愛を込めた挨拶?」
「ちょっと。手荒に扱わないでよね」
「悪い」
 笑い返したものの、俺の手の中の奴を見て沙織が僅かに顔を顰めた為、それ以上悪ふざけはせずに奴をソファーに放り出した。
 あれだけ脅しておけば立場を弁えるだろうと思ったのだが、奴は相当のアホだったらしい。

「沙織ちゃん! 助けて!!」
「あ、ちょっと! こら! 離れてよ! 暑いんだけど!?」
 叫びながら、奴が俺の隣に座った沙織の背中に回り込んだと思ったら、そのシャツの下に潜り込んだのだ。
 ……本気で命が要らないらしいな。

「沙織、貰うぞ。あと取ってやるから、背中向けろ」
「うん、お願い」
「じゃあ……、よっと」
 麦茶入りのグラスを受け取った俺は、沙織に背中を向けさせると、その盛り上がっているシャツの中に手を入れ、勢い良く奴を引きずり出した。そして受け取ったグラスの中身を半分ほど、奴の頭に注ぐ。
 当然わざとだ。

「うわぁぁ――っ!」
「え? あ、ちょっと巧! 何してるのよ!?」
 当然奴は悲鳴を上げ、驚いて振り返った沙織は目を丸くした。それに対して、俺は一見素直に謝罪の言葉を口にする。

「悪い。勢い良く引きずり出したら、弾みで持ってたグラスを無意識に傾けたみたいで」
「もう! 気を付けてよね」
「こいつにもかかっちまったし、下手したらシミになるな。すぐに洗ってくるから、洗濯機を借りても良いか?」
「じゃあ頼める? 洗濯ネットと洗剤は、脱衣場の棚にあるから。私はその間、床を拭いておくわ」
「了解」
 間取りは当然分かっているし、俺は奴を手にぶら下げたまま、洗濯機がある脱衣所へと向かった。

「ま、待って! 沙織ちゃん! お願いだから、こいつと二人にしないで! それに洗わなくても大丈夫だから!!」
 俺に生殺与奪の権利を握られた奴は、面白い位狼狽してバタバタと手足を動かして抵抗してきた。
 うん、これ位生きが良くないと、いじめ甲斐が無いってもんだ。

「往生際が悪いぞ、クマ公。胸じゃなく背中に潜り込んだ事に関しては、温情をくれてやる」
「温情って言っても、お前絶対、大した手心を加える気無いよな!? それに前に潜り込んだって、どうせ胸なんか殆ど無いじゃないか!!」
 そうかそうか。
 お前、本格的に、命が惜しくないらしいな。
 良~く分かった。

「洗剤と柔軟剤、最大量コース決定だな。漂白剤もぶち込むか」
「ちょ、ちょっと待って!」
 益々暴れまくる奴を難無く押さえ込み、探した洗濯ネットに入れてドラム式洗濯機の中に放り込む。
 向け出そうとごそごそ奴が蠢いているが、ネットが絡んで身動きできないうちに、無事洗剤、柔軟剤、漂白剤をセットできた。

「身も心も綺麗になって、生まれ変わって来い」
「いや、生まれ変わるも何も」
 何か奴が言っていたが、蓋を閉めたのではっきりとは聞こえない。

「アディオス、ゴンザレス」
「うぎゃあぁぁぁぁぁ――――っ!!」
 別れの言葉を口にしながらスイッチを押して洗濯機を起動させた途端、内部から奴の悲鳴が上がり、俺はそれを背中で聞きながらリビングへと戻った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

旦那様には愛人がいますが気にしません。

りつ
恋愛
 イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。 ※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

【完結】愛も信頼も壊れて消えた

miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」 王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。 無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。 だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。 婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。 私は彼の事が好きだった。 優しい人だと思っていた。 だけど───。 彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。 ※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

余命-24h

安崎依代@『絶華の契り』1/31発売決定
ライト文芸
【書籍化しました! 好評発売中!!】 『砂状病(さじょうびょう)』もしくは『失踪病』。 致死率100パーセント、病に気付くのは死んだ後。 罹患した人間に自覚症状はなく、ある日突然、体が砂のように崩れて消える。 検体が残らず自覚症状のある患者も発見されないため、感染ルートの特定も、特効薬の開発もされていない。 全世界で症例が報告されているが、何分死体が残らないため、正確な症例数は特定されていない。 世界はこの病にじわじわと確実に侵食されつつあったが、現実味のない話を受け止めきれない人々は、知識はあるがどこか遠い話としてこの病気を受け入れつつあった。 この病には、罹患した人間とその周囲だけが知っている、ある大きな特徴があった。 『発症して体が崩れたのち、24時間だけ、生前と同じ姿で、己が望んだ場所で行動することができる』 あなたは、人生が終わってしまった後に残された24時間で、誰と、どこで、何を成しますか? 砂になって消えた人々が、余命『マイナス』24時間で紡ぐ、最期の最後の物語。

【完結】捨ててください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと貴方の側にいた。 でも、あの人と再会してから貴方は私ではなく、あの人を見つめるようになった。 分かっている。 貴方は私の事を愛していない。 私は貴方の側にいるだけで良かったのに。 貴方が、あの人の側へ行きたいと悩んでいる事が私に伝わってくる。 もういいの。 ありがとう貴方。 もう私の事は、、、 捨ててください。 続編投稿しました。 初回完結6月25日 第2回目完結7月18日

記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話

甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。 王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。 その時、王子の元に一通の手紙が届いた。 そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。 王子は絶望感に苛まれ後悔をする。

処理中です...