教科書通りの恋を教えて

山鳩由真

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後日談ーもう一度あの時をー 双子の義弟27

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「……んっ……、あっ、だ、だめだ……っ」

 両手首を纏めて縛る布は、木製のベッドヘッドの飾り枠にくくりつけられていた。重厚な木彫りで、ちょっとやそっとでは壊れそうにない代物だが、郁が敏感に反応するたびに布が擦れてギッと音をたてる。

「なんで? 好きでしょ? ここ舐められるの。何度出してもいいから」

 両手を捕らえられた郁は足を閉じようともがくが、室見に体重をかけてのしかかられてままならない。室見の眼前に、黒いレース下着の穴のあいた箇所から完全に勃ちあがったぺニスを剥き出しでさらけ出す形になり、郁は羞恥のあまり目を閉じた。しかし、目を閉じたことで感覚は鋭敏になり、急所を執拗に舐め啜る室見の舌の感触がより繊細に感じとれた。滑る舌先に竿の裏筋を何度も舐めあげられた後に、鈴口からゆっくりと湿った咥内に迎え入れられる。くるくると陰茎のまわりに舌を這わせながら、じゅっと吸われて、郁は大腿を痙攣させて射精を堪えた。

「んーっ、はっ、一花、だ、だめ……っ離してくれ……っ、はずして……っ恥ずかしい……」

「イッていいのに」

 室見は愛しそうに郁の陰茎にキスをしながら微笑む。その艶かしい表情に反応して、鈴口からはまた透明な液が滲みだして乾く間がない。まだ触れてもいない後ろも、すでにしっとりと潤んでいた。

「俺がするから、外してくれ……」

 郁は涙を浮かべて訴えるが、室見はゆるく首を左右に振った。

「それもすごくうれしいけど、郁が俺の愛撫でトロトロになっちゃうとこがみたいから」

 ね、と室見は再び郁の陰茎を舌でねぶり始める。今度は薄いレースで覆われた陰嚢をやわやわと揉みながら、先端部を執拗に舌先で弄った。やがて指は後ろの孔の入口を、溢れる愛液を絡めてマッサージする。

「滴るほど濡れてる……下着も濡れちゃったね」

「ん、うぅ……」

 愛液は既に臀部のレースにまで垂れて染みていた。黒いレースの下着の意図的に開けられた穴から、室見はゆっくりと指を挿し入れた。

「前より後ろのほうが好きだよね」

 中指の第二関節まで中に入れると、腹側の少しだけ膨らんでいる箇所を小刻みに刺激する。一定のリズムで優しく撫で続けると、郁の膝がぶるっと震え口淫を続ける室見の身体を強く挟んだ。自由にならない腕を引いて隠そうとする郁の表情は羞恥と快感がない交ぜになっていた。

「ん、ん……っ、一花っ……恥ずかしい……から……っ」

 ぶるぶると腰を震わせ、爪先をきゅっと閉じて射精感を堪えている郁の恥態に、室見は興奮を隠しきれずに小さく唸る。

「大丈夫……すごくかわいい」

 ため息混じりにそう呟き指を引き抜くと、室見は誘い込むように揺れる郁の腰をおさえつけて、硬く張りつめている自身のペニスをそこにあてがった。

「焦らしてごめんね。挿れるよ」

「あ……っ」

 にゅる、とようやく先端が入った瞬間に、一気に血が増えたかのように郁の心臓がドクリと跳ねた。
 ほぼ同時に同じ感覚を受けた室見も息を飲む。

「郁……もしかして」

「……はあ……、は……っ、……なんで……まだ、前のヒートから……二週間しか……」

 ぶるっと全身を震わせた郁から、番である室見にだけ感知できる甘い香りが漂いだす。
 こんなタイミングで、と郁が焦った顔で室見を見上げた。

「普段と環境が変わって、負担をかけちゃったかな……」

 室見は吸い寄せられるように郁の首筋に顔を寄せて、濃い香りをすん、と吸った。そして黒いレースの首輪ごと、そこを甘噛みする。

「あ……っ、ああ……っ!」

 たったそれだけの刺激で、急激に高められていく身体を持て余した郁は射精して息を激しく乱していた。
 抑制剤を飲んでいない郁は、ヒートになると興奮状態が全く抑えられなくなる。今まで達するのを必死に堪えていた身体は、一瞬で強烈な肉欲に支配された。郁はぼうっと薄く開いた瞳を潤ませて、疼く身体を震わせる。
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