教科書通りの恋を教えて

山鳩由真

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後日談ーもう一度あの時をー 双子の義弟24

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 ちゅっ、ちゅっとついばむキスが深く、吸いあうものに変わる。口内を舌で擽り、ねっとりと舌を絡ませて唾液を吸うと、郁の瞳は潤み、蕩けた。
 しかし、白いリネンシャツの腰回りの裾から室見が手を差し入れようとすると、郁の形の良い指にやんわりと止められた。仕方なく、ズボンを脱がせようとしてもやはり手をおさえられる。不思議に思って唇を解放し顔を覗き込むと、郁は真っ赤になって下を向いた。

「やっぱり……ちょっと……、着替えてくる」

 そう言って離れて行こうとする熱が惜しく、室見は立ち上がった郁の腕を引いて自分の膝の上に向かい合う形で跨がらせた。

「このままでいいよ? 服が汚れるのが嫌なら脱ぐ?」

 着たまましたことはあまりないが、たまにすると多少は汚れる。それを気にしているなら脱げばいい。首回りまでしっかり留められたリネンシャツの前ボタンを開けようと伸ばした室見の手を、郁は慌てて掴んだ。

「いや、待って……やっぱり、着替えてきたいから離してくれ」

「待って。どうしたの?」

 膝の上から降りようと身じろぎする郁の腰を、室見は両手で固定して離さなかった。いつもとは違う、郁の不自然な言動を不審に思う。さっきまで積極的に愛を伝えあったし、キスもした。しかしなぜかその先に進もうとすると、拒まれる。

 なぜ服を脱ぐのを嫌がる……?

 室見は郁をじっと見つめた。

「離してくれ……一花」

 沈黙に耐えかねて、郁が耳まで赤くなって俯く。腰を掴む室見の手の力が一瞬緩んだので、郁はほっと胸を撫で下ろして膝から降りた。
 しかし、バスルームに向かおうとした郁を室見は後ろから抱き締めた。そしてすばやくリネンシャツの前ボタンの間から手を入れると、中をまさぐる。

「あ……。一花、だめ」

 室見の指先には常にはない感触があった。

「これって……」
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