8 / 11
巡り合う日
1
しおりを挟む
「……私は、君を必ず見つける」
発した言葉と同時にぱたりと、読んでいた日記を閉じる。これは、私の日記の一つだ。もっとも、前世の私だが。
何を言っているんだと言われても、本当の事だ。私は、愛する人と共に未来を歩む為に、何度も何度も輪廻転生を繰り返して来た。そして、その記憶もある。
誰かに言えば、笑われるのは分かっているから誰にも言ってはいない。
日記は、今読んでいた一冊だけではなく生まれ変わった分だけある。内容は少しの変化はあっても、出会う日と死別する日は全て同じ日。
六月十二日。
毎回、毎回この日がくるのが怖くて仕方がなかった。次こそはと何度も何度も願った。けれど、願いは叶わず彼女は命を落とした。
そして、再び巡り合っても彼女に記憶はない。真っ新な、零からのスタートだ。
別にそれは構わない。また最初からやり直して行けばいい。私が憶えていればいいのだから。
とは言え、何度繰り返しても分からない事がある。
彼女は必ず私の目の前で命を終える事、彼女の死は非業の死である事。
出会いも別れも必ず六月十二日である事、紫蘭の咲く場所である事。
特定の日付、場所である以上、何かヒントがあるかも知れないと思ったりもしたが、何もなかった。
一体、何が私達をこうも引き裂くのだろう。
……、今は彼女を捜さないといけないんだ。原因は考えるな。
「さぁ、紫蘭の咲く場所を探そう。そこに彼女がいるはずだ」
今日も私は、あてもなく探し歩く。
この世でただ一人、私の最愛の人を。
ふらりと、あてもなく探し始めて数時間が経った。紫蘭の咲く場所は見つけたが、彼女はいない。
「まぁ、直ぐに見つかるわけはない、か。簡単に見つかれば、苦労はしない」
ポツリと呟いて、深くため息をつく。もしかしたら、ここ以外の場所なのだろうかと思いつつも周辺を探そうと思う。折角ここまで足を運んだんだ、探しもせずに帰るのは勿体無い。
朝早くに家を出たせいか、人気はまばらで、大半が犬の散歩やジョギング、はたまた通勤とで綺麗に咲く紫蘭や他の花々に目を止める人もほとんどいない。
あぁ勿体無い。たまにはゆっくりと過ごす事も必要だというのに。
まぁ、人には人の過ごし方があるのだから仕方はないが。
「綺麗な花達だ。……けど綺麗だというのに隣に彼女がいないだけで、何故色褪せて見えてしまうんだろう」
何色かは分かる。分かるんだ。けど、見えている色は本来の色じゃない様な気がして。
どれだけ私の中で彼女の存在が大きく、大切か改めて認識させられた瞬間と前向きに考える事にし、本来の目的を果たそう。
そう考え、足を踏み出した時後ろから聞き覚えのある声で名前を呼ばれ振り返る。
振り返った先にいたのは、古くからの友人だった。
「おはよう皇」
「おはよう瑠夏」
瑠夏は手を振りながらこちらへと近寄ってきて私の隣に立つと、バン!っと強い力で私の背中を叩いた。
「っ?!痛いんだが」
「なはは‼︎お前がなんか、思い詰めた様な顔してっからだろう?」
「……そんな顔してたか?」
「してた、してた」
で?どうしたんだと問いかける友人に、話すかどうか考える。
数分考えた後、彼は笑うような、馬鹿にする様な人間じゃないという今まで見てきた彼への信頼が勝ちゆっくりと、理由を話し始めた。
発した言葉と同時にぱたりと、読んでいた日記を閉じる。これは、私の日記の一つだ。もっとも、前世の私だが。
何を言っているんだと言われても、本当の事だ。私は、愛する人と共に未来を歩む為に、何度も何度も輪廻転生を繰り返して来た。そして、その記憶もある。
誰かに言えば、笑われるのは分かっているから誰にも言ってはいない。
日記は、今読んでいた一冊だけではなく生まれ変わった分だけある。内容は少しの変化はあっても、出会う日と死別する日は全て同じ日。
六月十二日。
毎回、毎回この日がくるのが怖くて仕方がなかった。次こそはと何度も何度も願った。けれど、願いは叶わず彼女は命を落とした。
そして、再び巡り合っても彼女に記憶はない。真っ新な、零からのスタートだ。
別にそれは構わない。また最初からやり直して行けばいい。私が憶えていればいいのだから。
とは言え、何度繰り返しても分からない事がある。
彼女は必ず私の目の前で命を終える事、彼女の死は非業の死である事。
出会いも別れも必ず六月十二日である事、紫蘭の咲く場所である事。
特定の日付、場所である以上、何かヒントがあるかも知れないと思ったりもしたが、何もなかった。
一体、何が私達をこうも引き裂くのだろう。
……、今は彼女を捜さないといけないんだ。原因は考えるな。
「さぁ、紫蘭の咲く場所を探そう。そこに彼女がいるはずだ」
今日も私は、あてもなく探し歩く。
この世でただ一人、私の最愛の人を。
ふらりと、あてもなく探し始めて数時間が経った。紫蘭の咲く場所は見つけたが、彼女はいない。
「まぁ、直ぐに見つかるわけはない、か。簡単に見つかれば、苦労はしない」
ポツリと呟いて、深くため息をつく。もしかしたら、ここ以外の場所なのだろうかと思いつつも周辺を探そうと思う。折角ここまで足を運んだんだ、探しもせずに帰るのは勿体無い。
朝早くに家を出たせいか、人気はまばらで、大半が犬の散歩やジョギング、はたまた通勤とで綺麗に咲く紫蘭や他の花々に目を止める人もほとんどいない。
あぁ勿体無い。たまにはゆっくりと過ごす事も必要だというのに。
まぁ、人には人の過ごし方があるのだから仕方はないが。
「綺麗な花達だ。……けど綺麗だというのに隣に彼女がいないだけで、何故色褪せて見えてしまうんだろう」
何色かは分かる。分かるんだ。けど、見えている色は本来の色じゃない様な気がして。
どれだけ私の中で彼女の存在が大きく、大切か改めて認識させられた瞬間と前向きに考える事にし、本来の目的を果たそう。
そう考え、足を踏み出した時後ろから聞き覚えのある声で名前を呼ばれ振り返る。
振り返った先にいたのは、古くからの友人だった。
「おはよう皇」
「おはよう瑠夏」
瑠夏は手を振りながらこちらへと近寄ってきて私の隣に立つと、バン!っと強い力で私の背中を叩いた。
「っ?!痛いんだが」
「なはは‼︎お前がなんか、思い詰めた様な顔してっからだろう?」
「……そんな顔してたか?」
「してた、してた」
で?どうしたんだと問いかける友人に、話すかどうか考える。
数分考えた後、彼は笑うような、馬鹿にする様な人間じゃないという今まで見てきた彼への信頼が勝ちゆっくりと、理由を話し始めた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)
幻田恋人
恋愛
夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。
でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。
親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。
童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。
許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…
僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる