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王女殿下は胡蝶の夢を見るか?
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私は幼いころから不思議な夢を見ていてそれは16歳になった今も変わらず見続けているのです。その夢は一人の女性の夢であまりにも幼いころから見続けているせいで大変影響を受けて成長いたしました。
その夢の世界では膨大な量の情報があふれていて、また、この世界では考えられないような便利なものがたくさんあるのです。遠い場所にいる人と簡単に話をすることができたり、鉄の箱に乗ると馬車よりずっと速く走ってくれたりと、素敵なものであふれています。
とにかくあまりに幼いころからその夢を見続けているせいか私にとってその女性は特別な方です。この世界では時折、前世の記憶を持って生まれる特別な方がいらっしゃると聞くことがあります。もしかしたら私もそのような前世の記憶を持って生まれた者なのかもしれません。
その女性の夢を見ながら育ったせいか私は、幼いころから物分かりがよく両親の手はおろか侍女たちの手を煩わせることもありませんでした。特に国王夫妻として多忙な両親にとって7人兄弟の3女でなおかつ大人しくあまり自己主張しない私は忘れられた存在となっておりましたがこの度、私に縁談が来たということで珍しく多忙なお二人が私の為にそろってく時間をとってくださいました。お話を聞いてみると我が国より小さな国ですがお相手は3兄弟の長子で王太子であり、その婚約者になるということは将来は王妃ということになります。ひそかに心の中の夢の女性がめんどくせーなと思っているのが分かります、私も内心そう思っていたからです。
私が大人しく両親から忘れられがちとはいっても、夢の中の女性がいつも忙しく働いているためか私は一人で静かに過ごすほうが好きですし、たくさんいる兄弟たちも私のもとに尋ねてくれることもありますし、それにお友達だってちゃんといるのです。
そんななか、隣国とはいえ他国に嫁に行くなど面倒以外の何ものでもありません。私の将来の夢は せんぎょうしゅふ なるものです。旦那様がお仕事に行っているあいだ、家内を仕切り、子が生まれればいつくしんで育て旦那様を愛しお世話する。未来の王妃ではとてもそんなことはできませんわ。
私があまり乗り気でないと気付くと両親は言葉を尽くして説得してきます、ですが私は不満が顔に出てしまっていたようで両親が驚いています。
両親の中の私は何でもはいはいと大人しく言うことを聞き、兄弟たちが騒がしく自己主張する中聞き分けよく両親に従う娘なのでしょう。それなのに今回に限り私が素直に承諾しないものなので両親はとても困ています。
ですが私も困ります今まで大人しくしていたのはもともとの性格もあるのでしょうがやはり夢の中の女性の影響で少しいばかり年齢より大人びていたせいだと思います。忙しい両親を困らせるほどのやりたいことはあまりなかったのです。
ただ、いまより数年前に1度どうしてもと言って、行ったわがままは、穀物の改良です夢で見た方法を確かめたかったのです。それはたくさんの実はなるけど味が悪く家畜のえさにしかならない植物と味はとてもよく、王家でも使用するほどだが取れる実の量がとても少ない植物を受粉させ、育てる方法です初めはうまく出来ませんでしたが近年になりやっと、味もよくなり収穫量も増えてきたと報告を受けています。
私のわがままはその程度のものですですが今回はとてもその気にはなれませんさりげなく一つ下の妹を嫁がせてはどうかと勧めたところ、両親はとても慌てていかに隣国の王子が素晴らしいかを説明して説得してきます。
よほど困っているのでしょう、仕方がありません私もこれでも王女として育てられたのです。民に恩を返す時が来たと思い受け入れましょう。
「分かりましたわ。隣国に嫁ぐことに同意します。それで、結婚はいつになりますの?」
両親はひどく安堵して今後の予定を教えてくれました。まず、結婚は18歳になってから、それまでは隣国の王立学園に入り王太子様と友好を深めることになりました。
それからしばらくは準備のためにばたばたとした日々が続きましたが1月が立ち、明日には出立となった日の晩には忙しい両親に兄弟全員がそろって食事をし皆で昔話などをしながら時間が過ぎていきました。
隣国なのでそれほど遠い道のりではありませんがそれでも、私の道具や警護の方などで結構な大所帯になってしまい、1週間もあればつくはずの道のりを2週間もかけてたどり着きました。こんなときに しんかんせん
があればいいのにと思ってしまいます。
やっと王宮にたどり着き休める部屋に案内されました。疲れているだろうということであいさつは明日になることが決まりましたが旅装束を着替え、少しゆったりした服に身を包みゆっくりとお茶を飲んでいると突然扉の外が騒がしくなりました、そしてノックもなく男性の方が部屋に入ってきたのです。
「俺はこの国の王太子ユリウスだ!、俺にはすでに好きな女性がいるいくらお前が婚約者になろうとそれは変わらない!」
と、言い捨てて出て行ってしまいました。私はぽかんとしてしまいましたがすでに好きな女性がいるからどうしろというのかさっぱりわかりません、この国では側室や愛妾を持つことは禁じられていませんのでそれを許可しろということなのでしょうか?こんな時こそ夢の中の女性の知識が活用できないかと思いましたが彼女は
ぶらっくきぎょう に勤めるしゃちく というものだそうで、恋愛方面はさっぱりわからないようです。
困ってしまいましたが、とりあえず明日こちらの国の国王陛下と王妃殿下にお会いするためにも疲れを取らなくてはなりません。その日はゆっくりとお風呂につかり侍女にマッサージをしてもらってから眠りにつきました。
翌日の夜は王家の方々を紹介してくださる身内だけの晩餐会となりました。そろったのは国王陛下と王妃殿下
そのお子様方である大太子殿下ユリウス様をはじめ年子でわたくしと同じ年になるマリウス様一つ下のエリウスさまでした、少し遅れて部屋に入ってこられたのは国王陛下の弟君で王弟殿下のレオナード様でした。
レオナードさまは国王陛下の年の離れた弟君で側室の方がお産みになられたそうです。まだ結婚しておらず、普段は何かよくわからない研究をしているとか。ですが晩餐の際に私が主導した穀物の研究の話が出て王弟殿下と少し盛り上がってしまいました。いけませんここは私と王太子殿下が友好を深めるための席の様なものです。慌てて話を切り上げたところで王妃様がよければ1週間後から王立学園に通ってはどうかとおしゃいましたそして王太子殿下によく私の面倒を見るようにと話しておりますが、昨日の騒ぎはお耳に入っていないのかしら?
「大丈夫ですよ母上」
シリウス様は昨日のことがなかったように話しています。そのような感じでその日の晩餐会は和やかに過ぎていきました。
1週間がたち王立学園に通う日になりましたがそれまでも今も王太子殿下が私に近づいてくることはありません。婚約者として友好を深めるためにこの国に早めに来て王立学園に通うと言うのにまったく意味がありませんね。
この国に来てしばらくたちお友達もできました。それなりに楽しくやっておりますが一つ困ったことがありました。それは王太子殿下の恋人とおもわれる女性にやけに絡まれるのです廊下ですれ違うと、突然転び私が足を引っかけたと騒ぎ、私物がなくなったと言っては私がとったのだと騒ぐ。学園でのお茶化ではわざわざ離れているところに席を取った私の近くに近づいて、自分の持った紅茶をご自分のドレスにかけてわたくしがお茶をかぶせたと騒ぐ、とても困った方です。ですがそれ以上に困った方はその言い分をすべて信じる大太子殿下でした。
私には学内であってもボデーガード代わりになれる侍女が一人必ず王妃様より選ばれてついています。それにお友達もそばにいますので話を聞けばすぐに困ったちゃんなご令嬢が嘘を言っていることはわかるはずです。事実すでに王妃様から国王陛下に話は通され国王陛下直々に
「必ず何とかする、もう少し猶予をくれ」
と言われておりました。わたしには しゃちくだましい というものが心の中にあり理不尽を我慢することが大変得意であったためこの件もぐっと我慢して日々を過ごしておりました。
この国に来て一年近くになり王太子殿下は卒業を間近にされていますが相変わらず行動は変わりません。困ったちゃんの令嬢も相変わらずです。
そんな中、卒業パーティの日になり卒業式の後にパーティ用のドレスに着替て王太子様を待っておりましたがいつまでたっても迎えが来ないため帰ろうかと思いましたが、侍女に止められ仕方なく一人でパーティ会場に向かいました。
すると、王太子殿下と殿下にエスコートされた困ったちゃん令嬢が話しかけてきました。
「遅かったな!さては自分の行った悪行におそれをなしてにげようとしたのではないか!!」
と、大きな声で怒鳴られます、遅かったのはあなたがエスコートに来なかったからだし、悪行とは何かさっぱりわかりません。困った私は周りを見回しましたが皆そっと目をそらしてしまいます。
とにかく誰も助けてくれる様子はないので自分で何とかするしかありません
「遅れてきたのは申し訳ございません。エスコートの方が現れなかったためパーティに出席すべきか悩んでおりました。そして、悪行とは何のことですか?」
前半の嫌味を全く気にせず王太子殿下は相変わらず大声でいまだに、困ったちゃん令嬢を廊下に転ばせただのお茶をかけたのと喚いています。その件はすでに国王陛下にまで話がいっており、必ず何とかしてくださるとのお約束でしたのにまったく何ともなっておりませんわ。そのうえ今度は新しいお話が出てきました
「今日お前は私の恋人であるマリーナに嫉妬して卒業式後に階段から突き落としたであろう!打ち所が悪ければ死んでいてもおかしくはないのだぞ!」
あら、あの困ったちゃん令嬢はマリーナとおっしゃるのですね、長くて呼びにくいと思っておりましたから私も今度からはマリーナさんとよばせていただきましょう。それにしても卒業式後に階段から突き落とすとはどういうことでしょうか?式の後は一応王太子殿下の婚約者の為主役の一人として卒業パーティの準備にかかっておりましたので忙しくてとてもそんなことをしている暇はありませんでした。
またも困っていると、どこからともなく両陛下が現れ国王陛下が怒鳴ります
「馬鹿者このような場所で何をやっている!」
「父上、ですがこの女は私の愛しいマリーナを階段から突き落とし殺そうとしたのです」
いつの間にか、死んでいたかもしれないが、殺そうとしたことになっています。ため息しか出ませんわ。
「黙れ!話にならんこ奴らを連れていけ」
と、陛下たちと一緒に入ってきた騎士たちによって王太子殿下とマリーナさんはどこかに連れていかれました、そして私も話があるといわれ別室へ行くことになりました。
そこにはマリウス様とエリウス様がソファにかけておりました、そして窓ぎわに外を眺めながらレオナード様が立っています。
そして、王太子殿下のユリウス様とマリーナさんが縄で縛られ床の上に座っています。
「父上これはどうゆうことですか、とらえるのは私達ではなくマリーナを殺そうとしたそこの女ですよ!」
この方大声でしか話せないのかしらと思いながら国王陛下を見てみると沈痛の面持ちで、
「この馬鹿者は何度話してもこの度の婚約がどれほど重要か、理解せん。」
一応話はされていましたのね、我が国のほうが大きな国であるのもありますがこの国は海がありません、私との政略結婚はそのあたりがかかわっているのでしょう。
「よって、ユリウスは廃嫡として王席からも抜くことにする」
「なにを言っているのですか!父上!!」
「なにを言っているも当然のことだ、国の王太子ともあろうものが一人の女にうつつを抜かしすぐにでもわかる冤罪を信じ込むとは何たることだ!そもそも階段から突き落としたなどと不可能なこと言うのは聞くに堪えん。
王女は貴賓席からすぐの特別室でパーティの準備をしていたのだぞすれ違いもしない女をどうやって突き落とすのだ。」
「そんな馬鹿なマリーナどういうことだ?」
「あの、その、そう突然後ろから押されて階段から転がり落ちたから気が動転していたの、振り向いたら王女様と似た髪色の人が去っていくのが見えたのでつい、いつも虐められている王女様に突き落とされたのかと思って」
そこまで言うとマリーナさんはしくしくと泣き出し顔を覆ってしまった。
「どうです父上ただの勘違いですし、そもそも日ごろの行いが悪い王女のせいではありませんか」
今度はお王妃様が話し出しました
「その件についても何度も話したでしょう、王女様はそのようなことはしていないと、それとも私がつけた侍女が信じられないとでもいうのですか?」
まだ何か言おうとするユリウス様に向かって陛下が
「話にならん別室に連れていけ、王女この度は本当に悪いことをした親として謝罪する」
陛下と王妃様が並んで頭をおさげになったので私は慌てて止めた、いくら親としてとは言ってもお二人は国王夫妻であることに変わりはない。
「詫びにもならんがこの婚約は破棄にするわけにはいかないのだ、せめて王女の気に入った者を婚約者としたいと思うがどうであろう?」
「それは、王家の血を引いている方ならどなたでもよろしいのですか?」
「できたら息子のどちらかを選んでほしいが、この際仕方のないことだ好きなものを選んでもらってかまわない」
誰でもいいのなら少し年が離れているけど、話の合いそうなレオナード様が良いと思っている、だがこんな形で指名するのはおかしな気がしていたら突然王妃様が笑い出した。
「おほほ、レナード様何か言いたいことがるのではなくて?」
レナード様は王妃様にせっつかれるようにこちらを振り向いたがしばらく私を見つめて決心したように口を開いた
「王女様はじめてお会いした時から気になっていました、話してみると話も合いユリウスの婚約者でなければと思っていました。もしよろしければ私を選んでいただけませんか?」
心の中で何かが叫んでいる キタコレ―――!!! と、だがもちろん表には出さずしずしずと
「私も初めてお話した時に気が合いそうだと思っておりました、不束者ではございますがよろしければ私と婚約していただけると光栄ですわ」
その後もいろいろあったが私とレオナード様との仲はとてもうまくいっている。
実家のお父様へは簡単な説明と納得のいく形で婚約者を変更したことを伝えた。恐らくユリウス様の性格をある程度つかんでいたため我の強い妹ではなく大人しく我慢強いと思われていた私に婚約を振った父はあまり強くいってくることはなかった。
またその後のユリウス様は断種の上、戒律の厳しい神殿に入るか爵位剥奪された元男爵家のマリーナさんと結婚するかの二択であった。また、貴族用の牢に軟禁という話も出たが国費の無駄であると国王陛下が一蹴してしまった。どちらを選んだのかはあえて私は聞いていない。
私はというと、夢の中の不思議な出来事などを参考に穀物の時のように色々研究などしていますそしてそういう事は、レオナード様ととても話が合うのです。
それに王妃という重責から逃れ、時折思います。わたくしが夢の中の女性の夢を見ているのか夢の中の女性が私の夢を見ているのかわからなくなるのです。
ですが私は今とても幸せですのでどちらでもかまいませんわ。
その夢の世界では膨大な量の情報があふれていて、また、この世界では考えられないような便利なものがたくさんあるのです。遠い場所にいる人と簡単に話をすることができたり、鉄の箱に乗ると馬車よりずっと速く走ってくれたりと、素敵なものであふれています。
とにかくあまりに幼いころからその夢を見続けているせいか私にとってその女性は特別な方です。この世界では時折、前世の記憶を持って生まれる特別な方がいらっしゃると聞くことがあります。もしかしたら私もそのような前世の記憶を持って生まれた者なのかもしれません。
その女性の夢を見ながら育ったせいか私は、幼いころから物分かりがよく両親の手はおろか侍女たちの手を煩わせることもありませんでした。特に国王夫妻として多忙な両親にとって7人兄弟の3女でなおかつ大人しくあまり自己主張しない私は忘れられた存在となっておりましたがこの度、私に縁談が来たということで珍しく多忙なお二人が私の為にそろってく時間をとってくださいました。お話を聞いてみると我が国より小さな国ですがお相手は3兄弟の長子で王太子であり、その婚約者になるということは将来は王妃ということになります。ひそかに心の中の夢の女性がめんどくせーなと思っているのが分かります、私も内心そう思っていたからです。
私が大人しく両親から忘れられがちとはいっても、夢の中の女性がいつも忙しく働いているためか私は一人で静かに過ごすほうが好きですし、たくさんいる兄弟たちも私のもとに尋ねてくれることもありますし、それにお友達だってちゃんといるのです。
そんななか、隣国とはいえ他国に嫁に行くなど面倒以外の何ものでもありません。私の将来の夢は せんぎょうしゅふ なるものです。旦那様がお仕事に行っているあいだ、家内を仕切り、子が生まれればいつくしんで育て旦那様を愛しお世話する。未来の王妃ではとてもそんなことはできませんわ。
私があまり乗り気でないと気付くと両親は言葉を尽くして説得してきます、ですが私は不満が顔に出てしまっていたようで両親が驚いています。
両親の中の私は何でもはいはいと大人しく言うことを聞き、兄弟たちが騒がしく自己主張する中聞き分けよく両親に従う娘なのでしょう。それなのに今回に限り私が素直に承諾しないものなので両親はとても困ています。
ですが私も困ります今まで大人しくしていたのはもともとの性格もあるのでしょうがやはり夢の中の女性の影響で少しいばかり年齢より大人びていたせいだと思います。忙しい両親を困らせるほどのやりたいことはあまりなかったのです。
ただ、いまより数年前に1度どうしてもと言って、行ったわがままは、穀物の改良です夢で見た方法を確かめたかったのです。それはたくさんの実はなるけど味が悪く家畜のえさにしかならない植物と味はとてもよく、王家でも使用するほどだが取れる実の量がとても少ない植物を受粉させ、育てる方法です初めはうまく出来ませんでしたが近年になりやっと、味もよくなり収穫量も増えてきたと報告を受けています。
私のわがままはその程度のものですですが今回はとてもその気にはなれませんさりげなく一つ下の妹を嫁がせてはどうかと勧めたところ、両親はとても慌てていかに隣国の王子が素晴らしいかを説明して説得してきます。
よほど困っているのでしょう、仕方がありません私もこれでも王女として育てられたのです。民に恩を返す時が来たと思い受け入れましょう。
「分かりましたわ。隣国に嫁ぐことに同意します。それで、結婚はいつになりますの?」
両親はひどく安堵して今後の予定を教えてくれました。まず、結婚は18歳になってから、それまでは隣国の王立学園に入り王太子様と友好を深めることになりました。
それからしばらくは準備のためにばたばたとした日々が続きましたが1月が立ち、明日には出立となった日の晩には忙しい両親に兄弟全員がそろって食事をし皆で昔話などをしながら時間が過ぎていきました。
隣国なのでそれほど遠い道のりではありませんがそれでも、私の道具や警護の方などで結構な大所帯になってしまい、1週間もあればつくはずの道のりを2週間もかけてたどり着きました。こんなときに しんかんせん
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やっと王宮にたどり着き休める部屋に案内されました。疲れているだろうということであいさつは明日になることが決まりましたが旅装束を着替え、少しゆったりした服に身を包みゆっくりとお茶を飲んでいると突然扉の外が騒がしくなりました、そしてノックもなく男性の方が部屋に入ってきたのです。
「俺はこの国の王太子ユリウスだ!、俺にはすでに好きな女性がいるいくらお前が婚約者になろうとそれは変わらない!」
と、言い捨てて出て行ってしまいました。私はぽかんとしてしまいましたがすでに好きな女性がいるからどうしろというのかさっぱりわかりません、この国では側室や愛妾を持つことは禁じられていませんのでそれを許可しろということなのでしょうか?こんな時こそ夢の中の女性の知識が活用できないかと思いましたが彼女は
ぶらっくきぎょう に勤めるしゃちく というものだそうで、恋愛方面はさっぱりわからないようです。
困ってしまいましたが、とりあえず明日こちらの国の国王陛下と王妃殿下にお会いするためにも疲れを取らなくてはなりません。その日はゆっくりとお風呂につかり侍女にマッサージをしてもらってから眠りにつきました。
翌日の夜は王家の方々を紹介してくださる身内だけの晩餐会となりました。そろったのは国王陛下と王妃殿下
そのお子様方である大太子殿下ユリウス様をはじめ年子でわたくしと同じ年になるマリウス様一つ下のエリウスさまでした、少し遅れて部屋に入ってこられたのは国王陛下の弟君で王弟殿下のレオナード様でした。
レオナードさまは国王陛下の年の離れた弟君で側室の方がお産みになられたそうです。まだ結婚しておらず、普段は何かよくわからない研究をしているとか。ですが晩餐の際に私が主導した穀物の研究の話が出て王弟殿下と少し盛り上がってしまいました。いけませんここは私と王太子殿下が友好を深めるための席の様なものです。慌てて話を切り上げたところで王妃様がよければ1週間後から王立学園に通ってはどうかとおしゃいましたそして王太子殿下によく私の面倒を見るようにと話しておりますが、昨日の騒ぎはお耳に入っていないのかしら?
「大丈夫ですよ母上」
シリウス様は昨日のことがなかったように話しています。そのような感じでその日の晩餐会は和やかに過ぎていきました。
1週間がたち王立学園に通う日になりましたがそれまでも今も王太子殿下が私に近づいてくることはありません。婚約者として友好を深めるためにこの国に早めに来て王立学園に通うと言うのにまったく意味がありませんね。
この国に来てしばらくたちお友達もできました。それなりに楽しくやっておりますが一つ困ったことがありました。それは王太子殿下の恋人とおもわれる女性にやけに絡まれるのです廊下ですれ違うと、突然転び私が足を引っかけたと騒ぎ、私物がなくなったと言っては私がとったのだと騒ぐ。学園でのお茶化ではわざわざ離れているところに席を取った私の近くに近づいて、自分の持った紅茶をご自分のドレスにかけてわたくしがお茶をかぶせたと騒ぐ、とても困った方です。ですがそれ以上に困った方はその言い分をすべて信じる大太子殿下でした。
私には学内であってもボデーガード代わりになれる侍女が一人必ず王妃様より選ばれてついています。それにお友達もそばにいますので話を聞けばすぐに困ったちゃんなご令嬢が嘘を言っていることはわかるはずです。事実すでに王妃様から国王陛下に話は通され国王陛下直々に
「必ず何とかする、もう少し猶予をくれ」
と言われておりました。わたしには しゃちくだましい というものが心の中にあり理不尽を我慢することが大変得意であったためこの件もぐっと我慢して日々を過ごしておりました。
この国に来て一年近くになり王太子殿下は卒業を間近にされていますが相変わらず行動は変わりません。困ったちゃんの令嬢も相変わらずです。
そんな中、卒業パーティの日になり卒業式の後にパーティ用のドレスに着替て王太子様を待っておりましたがいつまでたっても迎えが来ないため帰ろうかと思いましたが、侍女に止められ仕方なく一人でパーティ会場に向かいました。
すると、王太子殿下と殿下にエスコートされた困ったちゃん令嬢が話しかけてきました。
「遅かったな!さては自分の行った悪行におそれをなしてにげようとしたのではないか!!」
と、大きな声で怒鳴られます、遅かったのはあなたがエスコートに来なかったからだし、悪行とは何かさっぱりわかりません。困った私は周りを見回しましたが皆そっと目をそらしてしまいます。
とにかく誰も助けてくれる様子はないので自分で何とかするしかありません
「遅れてきたのは申し訳ございません。エスコートの方が現れなかったためパーティに出席すべきか悩んでおりました。そして、悪行とは何のことですか?」
前半の嫌味を全く気にせず王太子殿下は相変わらず大声でいまだに、困ったちゃん令嬢を廊下に転ばせただのお茶をかけたのと喚いています。その件はすでに国王陛下にまで話がいっており、必ず何とかしてくださるとのお約束でしたのにまったく何ともなっておりませんわ。そのうえ今度は新しいお話が出てきました
「今日お前は私の恋人であるマリーナに嫉妬して卒業式後に階段から突き落としたであろう!打ち所が悪ければ死んでいてもおかしくはないのだぞ!」
あら、あの困ったちゃん令嬢はマリーナとおっしゃるのですね、長くて呼びにくいと思っておりましたから私も今度からはマリーナさんとよばせていただきましょう。それにしても卒業式後に階段から突き落とすとはどういうことでしょうか?式の後は一応王太子殿下の婚約者の為主役の一人として卒業パーティの準備にかかっておりましたので忙しくてとてもそんなことをしている暇はありませんでした。
またも困っていると、どこからともなく両陛下が現れ国王陛下が怒鳴ります
「馬鹿者このような場所で何をやっている!」
「父上、ですがこの女は私の愛しいマリーナを階段から突き落とし殺そうとしたのです」
いつの間にか、死んでいたかもしれないが、殺そうとしたことになっています。ため息しか出ませんわ。
「黙れ!話にならんこ奴らを連れていけ」
と、陛下たちと一緒に入ってきた騎士たちによって王太子殿下とマリーナさんはどこかに連れていかれました、そして私も話があるといわれ別室へ行くことになりました。
そこにはマリウス様とエリウス様がソファにかけておりました、そして窓ぎわに外を眺めながらレオナード様が立っています。
そして、王太子殿下のユリウス様とマリーナさんが縄で縛られ床の上に座っています。
「父上これはどうゆうことですか、とらえるのは私達ではなくマリーナを殺そうとしたそこの女ですよ!」
この方大声でしか話せないのかしらと思いながら国王陛下を見てみると沈痛の面持ちで、
「この馬鹿者は何度話してもこの度の婚約がどれほど重要か、理解せん。」
一応話はされていましたのね、我が国のほうが大きな国であるのもありますがこの国は海がありません、私との政略結婚はそのあたりがかかわっているのでしょう。
「よって、ユリウスは廃嫡として王席からも抜くことにする」
「なにを言っているのですか!父上!!」
「なにを言っているも当然のことだ、国の王太子ともあろうものが一人の女にうつつを抜かしすぐにでもわかる冤罪を信じ込むとは何たることだ!そもそも階段から突き落としたなどと不可能なこと言うのは聞くに堪えん。
王女は貴賓席からすぐの特別室でパーティの準備をしていたのだぞすれ違いもしない女をどうやって突き落とすのだ。」
「そんな馬鹿なマリーナどういうことだ?」
「あの、その、そう突然後ろから押されて階段から転がり落ちたから気が動転していたの、振り向いたら王女様と似た髪色の人が去っていくのが見えたのでつい、いつも虐められている王女様に突き落とされたのかと思って」
そこまで言うとマリーナさんはしくしくと泣き出し顔を覆ってしまった。
「どうです父上ただの勘違いですし、そもそも日ごろの行いが悪い王女のせいではありませんか」
今度はお王妃様が話し出しました
「その件についても何度も話したでしょう、王女様はそのようなことはしていないと、それとも私がつけた侍女が信じられないとでもいうのですか?」
まだ何か言おうとするユリウス様に向かって陛下が
「話にならん別室に連れていけ、王女この度は本当に悪いことをした親として謝罪する」
陛下と王妃様が並んで頭をおさげになったので私は慌てて止めた、いくら親としてとは言ってもお二人は国王夫妻であることに変わりはない。
「詫びにもならんがこの婚約は破棄にするわけにはいかないのだ、せめて王女の気に入った者を婚約者としたいと思うがどうであろう?」
「それは、王家の血を引いている方ならどなたでもよろしいのですか?」
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誰でもいいのなら少し年が離れているけど、話の合いそうなレオナード様が良いと思っている、だがこんな形で指名するのはおかしな気がしていたら突然王妃様が笑い出した。
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レナード様は王妃様にせっつかれるようにこちらを振り向いたがしばらく私を見つめて決心したように口を開いた
「王女様はじめてお会いした時から気になっていました、話してみると話も合いユリウスの婚約者でなければと思っていました。もしよろしければ私を選んでいただけませんか?」
心の中で何かが叫んでいる キタコレ―――!!! と、だがもちろん表には出さずしずしずと
「私も初めてお話した時に気が合いそうだと思っておりました、不束者ではございますがよろしければ私と婚約していただけると光栄ですわ」
その後もいろいろあったが私とレオナード様との仲はとてもうまくいっている。
実家のお父様へは簡単な説明と納得のいく形で婚約者を変更したことを伝えた。恐らくユリウス様の性格をある程度つかんでいたため我の強い妹ではなく大人しく我慢強いと思われていた私に婚約を振った父はあまり強くいってくることはなかった。
またその後のユリウス様は断種の上、戒律の厳しい神殿に入るか爵位剥奪された元男爵家のマリーナさんと結婚するかの二択であった。また、貴族用の牢に軟禁という話も出たが国費の無駄であると国王陛下が一蹴してしまった。どちらを選んだのかはあえて私は聞いていない。
私はというと、夢の中の不思議な出来事などを参考に穀物の時のように色々研究などしていますそしてそういう事は、レオナード様ととても話が合うのです。
それに王妃という重責から逃れ、時折思います。わたくしが夢の中の女性の夢を見ているのか夢の中の女性が私の夢を見ているのかわからなくなるのです。
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