186 / 196
決戦!2つの死闘1
しおりを挟む
レオンとゴッセルの戦う魔王城。
カイルの魔法防御、ルシアの守りの祈り、セイラの守護の加護を三重に重ねて守りを固めた。
カイルとルシアの魔法と祈りは力不足であるが、無いよりはましである。
頼みの綱は聖女セイラの加護だが、これも魔王に対峙するには心許ない。
それでも魔王の攻撃を1度か2度防げればと期待を寄せる。
槍を構えたレオンだが、動くことができない。
どうしても一撃で返り討ちにあいそうな気がするのだ。
しかし、ゴッセルの方は全く攻撃してくる様子がない。
わざわざ前に出なくても放っておけば目の前の虫けらの方から餌食になりに来てくれると思っているのか、それでいながらレオン達が攻め倦ねている姿を楽しんでいるかのようだ。
(このまま睨み合っても何も好転しない)
レオンは覚悟を決めてゴッセルに向けて駆け出した。
(一撃だ!一撃に全てをかける!)
ゴッセルの目前で跳躍してその首目掛けて槍を突き出す。
イザベラとアランも左右に分かれてゴッセルの両脇を狙って切りかかる。
マッキとアイリアは牽制のためにゴッセルの目を狙って矢を放ち、カイル、ルシア、セイラは飛び出した3人の守りに集中した。
余裕の表情でその様子を窺っていたゴッセルがレオンに向けて巨大な剣を振るう。
その凄まじい剣風にマッキとアイリアの矢は吹き飛ばされ、跳躍したレオン目掛けて剣が迫る。
「クソッ!うわっ!」
咄嗟に槍の柄を盾にしてゴッセルの剣を受けるが、いとも簡単に弾き飛ばされて壁に叩きつけられた。
ゴッセルはレオンを弾き飛ばした剣撃のままに剣を振り抜いてアランとイザベラにも切りかかり、2人は間一髪でゴッセルの剣を躱す。
圧倒的な力の差であった。
(畜生!まるで相手にならないじゃないか!)
三重の守りのおかげで致命傷を免れたレオンは槍を杖にしてどうにか立ち上がる。
「ほう?余の剣を受け止めたか。面白い、他の虫けらとは違うようだな」
意外そうに笑うゴッセルだが、それ以上に驚いていたのはレオン本人だった。
ゴッセルの言葉を聞いて、ふとあることに気付いた。
(魔王の剣をまともに受けたのに、槍が壊れていない?)
確かに、ゴッセルの剣を受けた槍の柄には傷がついたものの、それ以上のダメージを受けていない。
レオンの槍は槍頭こそ新しくモースが打ったものだが、柄の方は以前にモースに拵えて貰った使い慣れたものだ。
モースが
「槍頭は幾らでも交換できるが、柄は手に馴染んだ物を長く使った方がいい」
と話していて、やけにこだわって作っていた。
(武器だけならば負けていないのか?)
古い柄だけでも魔王の剣を受け止めることができた。
ゼロの剣と同じ材質という新しい槍頭が魔王に届けば魔王に傷を負わせることができるのではないか。
「武器だけならば魔王に引けを取らない。可能性はゼロではないんだ!」
レオンの心に僅かな希望の光と闘志が灯った。
ゼロとゴッセルが戦う地下墳墓。
「ねえ、君は本当に僕に勝つつもりなの?」
立ち上がってゼロに近づいてくるゴッセル。
凄まじい圧力だが、ゼロは一歩も退かない。
「そのつもりです。そうでなければこの場に立っていません」
ゼロは剣を正眼に構えた。
「君、死霊術師でしょう?無謀だよ?たった1人で僕と戦うのは。馬鹿じゃないの?」
不思議そうな表情を浮かべるゴッセルにゼロは薄く笑う。
「馬鹿・・・ですか。そうですね、よくバカだと叱られますよ。でも、まあいいじゃないですか。貴方には関係のないことです。私は貴方を殺す、貴方も私を殺せばいい。たったそれだけのことですよ」
ゼロの言葉にゴッセルの表情が歪む。
「無礼じゃないのかな?たかが人間風情が軽々しく僕を殺すなんて言うのは」
変わったのは表情だけではない。
ゴッセルの身体全体が変質を始める。
華奢な少年のような身体の各所が膨張し、筋肉や骨が皮膚を破り悍ましい姿に変わる。
身の丈2メートルを超える身体に禍々しい邪気を纏う。
太い骨と筋肉に包まれた両脚、異様に太く長い左腕が1本、右肩から伸びた2本の腕、頭も膨張するが、それ以上に膨れ上がった肩の筋肉に包まれ、赤い眼がゼロを見下ろしている。
「不遜なる人間が!己が死をもって身の程を知るがよい!」
2本の腕から放たれた炎と雷撃の魔法がゼロを襲う。
ゼロは横に飛び退くと同時にスケルトンロード3体とジャック・オー・ランタンとスペクター2体を再召喚し、ゴッセルに対して四方から攻撃を浴びせた。
アルファ、ジャック・オー・ランタン、スペクターの魔法攻撃は右腕が張った魔法防御で散らされ、ゼロ、オメガ、スケルトンロードの直接攻撃は左腕1本で弾き返された。
吹き飛ばされ、受け身を取りながら剣を構えなおしたゼロ。
オメガやスケルトンロードも弾き飛ばされたがゼロが絶対の信頼を置く彼等故にダメージは受けていない。
「予想はしていましたが、流石は魔王。圧倒的な力ですね。しかし、絶望的なわけでもありません!」
ゼロとレオン、2人のゴッセルとの戦いは始まったばかり。
カイルの魔法防御、ルシアの守りの祈り、セイラの守護の加護を三重に重ねて守りを固めた。
カイルとルシアの魔法と祈りは力不足であるが、無いよりはましである。
頼みの綱は聖女セイラの加護だが、これも魔王に対峙するには心許ない。
それでも魔王の攻撃を1度か2度防げればと期待を寄せる。
槍を構えたレオンだが、動くことができない。
どうしても一撃で返り討ちにあいそうな気がするのだ。
しかし、ゴッセルの方は全く攻撃してくる様子がない。
わざわざ前に出なくても放っておけば目の前の虫けらの方から餌食になりに来てくれると思っているのか、それでいながらレオン達が攻め倦ねている姿を楽しんでいるかのようだ。
(このまま睨み合っても何も好転しない)
レオンは覚悟を決めてゴッセルに向けて駆け出した。
(一撃だ!一撃に全てをかける!)
ゴッセルの目前で跳躍してその首目掛けて槍を突き出す。
イザベラとアランも左右に分かれてゴッセルの両脇を狙って切りかかる。
マッキとアイリアは牽制のためにゴッセルの目を狙って矢を放ち、カイル、ルシア、セイラは飛び出した3人の守りに集中した。
余裕の表情でその様子を窺っていたゴッセルがレオンに向けて巨大な剣を振るう。
その凄まじい剣風にマッキとアイリアの矢は吹き飛ばされ、跳躍したレオン目掛けて剣が迫る。
「クソッ!うわっ!」
咄嗟に槍の柄を盾にしてゴッセルの剣を受けるが、いとも簡単に弾き飛ばされて壁に叩きつけられた。
ゴッセルはレオンを弾き飛ばした剣撃のままに剣を振り抜いてアランとイザベラにも切りかかり、2人は間一髪でゴッセルの剣を躱す。
圧倒的な力の差であった。
(畜生!まるで相手にならないじゃないか!)
三重の守りのおかげで致命傷を免れたレオンは槍を杖にしてどうにか立ち上がる。
「ほう?余の剣を受け止めたか。面白い、他の虫けらとは違うようだな」
意外そうに笑うゴッセルだが、それ以上に驚いていたのはレオン本人だった。
ゴッセルの言葉を聞いて、ふとあることに気付いた。
(魔王の剣をまともに受けたのに、槍が壊れていない?)
確かに、ゴッセルの剣を受けた槍の柄には傷がついたものの、それ以上のダメージを受けていない。
レオンの槍は槍頭こそ新しくモースが打ったものだが、柄の方は以前にモースに拵えて貰った使い慣れたものだ。
モースが
「槍頭は幾らでも交換できるが、柄は手に馴染んだ物を長く使った方がいい」
と話していて、やけにこだわって作っていた。
(武器だけならば負けていないのか?)
古い柄だけでも魔王の剣を受け止めることができた。
ゼロの剣と同じ材質という新しい槍頭が魔王に届けば魔王に傷を負わせることができるのではないか。
「武器だけならば魔王に引けを取らない。可能性はゼロではないんだ!」
レオンの心に僅かな希望の光と闘志が灯った。
ゼロとゴッセルが戦う地下墳墓。
「ねえ、君は本当に僕に勝つつもりなの?」
立ち上がってゼロに近づいてくるゴッセル。
凄まじい圧力だが、ゼロは一歩も退かない。
「そのつもりです。そうでなければこの場に立っていません」
ゼロは剣を正眼に構えた。
「君、死霊術師でしょう?無謀だよ?たった1人で僕と戦うのは。馬鹿じゃないの?」
不思議そうな表情を浮かべるゴッセルにゼロは薄く笑う。
「馬鹿・・・ですか。そうですね、よくバカだと叱られますよ。でも、まあいいじゃないですか。貴方には関係のないことです。私は貴方を殺す、貴方も私を殺せばいい。たったそれだけのことですよ」
ゼロの言葉にゴッセルの表情が歪む。
「無礼じゃないのかな?たかが人間風情が軽々しく僕を殺すなんて言うのは」
変わったのは表情だけではない。
ゴッセルの身体全体が変質を始める。
華奢な少年のような身体の各所が膨張し、筋肉や骨が皮膚を破り悍ましい姿に変わる。
身の丈2メートルを超える身体に禍々しい邪気を纏う。
太い骨と筋肉に包まれた両脚、異様に太く長い左腕が1本、右肩から伸びた2本の腕、頭も膨張するが、それ以上に膨れ上がった肩の筋肉に包まれ、赤い眼がゼロを見下ろしている。
「不遜なる人間が!己が死をもって身の程を知るがよい!」
2本の腕から放たれた炎と雷撃の魔法がゼロを襲う。
ゼロは横に飛び退くと同時にスケルトンロード3体とジャック・オー・ランタンとスペクター2体を再召喚し、ゴッセルに対して四方から攻撃を浴びせた。
アルファ、ジャック・オー・ランタン、スペクターの魔法攻撃は右腕が張った魔法防御で散らされ、ゼロ、オメガ、スケルトンロードの直接攻撃は左腕1本で弾き返された。
吹き飛ばされ、受け身を取りながら剣を構えなおしたゼロ。
オメガやスケルトンロードも弾き飛ばされたがゼロが絶対の信頼を置く彼等故にダメージは受けていない。
「予想はしていましたが、流石は魔王。圧倒的な力ですね。しかし、絶望的なわけでもありません!」
ゼロとレオン、2人のゴッセルとの戦いは始まったばかり。
0
お気に入りに追加
286
あなたにおすすめの小説

側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

出戻り国家錬金術師は村でスローライフを送りたい
新川キナ
ファンタジー
主人公の少年ジンが村を出て10年。
国家錬金術師となって帰ってきた。
村の見た目は、あまり変わっていないようでも、そこに住む人々は色々と変化してて……
そんな出戻り主人公が故郷で錬金工房を開いて生活していこうと思っていた矢先。王都で付き合っていた貧乏貴族令嬢の元カノが突撃してきた。
「私に貴方の子種をちょうだい!」
「嫌です」
恋に仕事に夢にと忙しい田舎ライフを送る青年ジンの物語。
※話を改稿しました。内容が若干変わったり、登場人物が増えたりしています。

絶対婚約いたしません。させられました。案の定、婚約破棄されました
toyjoy11
ファンタジー
婚約破棄ものではあるのだけど、どちらかと言うと反乱もの。
残酷シーンが多く含まれます。
誰も高位貴族が婚約者になりたがらない第一王子と婚約者になったミルフィーユ・レモナンド侯爵令嬢。
両親に
「絶対アレと婚約しません。もしも、させるんでしたら、私は、クーデターを起こしてやります。」
と宣言した彼女は有言実行をするのだった。
一応、転生者ではあるものの元10歳児。チートはありません。
4/5 21時完結予定。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる