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決戦!2つの死闘1
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レオンとゴッセルの戦う魔王城。
カイルの魔法防御、ルシアの守りの祈り、セイラの守護の加護を三重に重ねて守りを固めた。
カイルとルシアの魔法と祈りは力不足であるが、無いよりはましである。
頼みの綱は聖女セイラの加護だが、これも魔王に対峙するには心許ない。
それでも魔王の攻撃を1度か2度防げればと期待を寄せる。
槍を構えたレオンだが、動くことができない。
どうしても一撃で返り討ちにあいそうな気がするのだ。
しかし、ゴッセルの方は全く攻撃してくる様子がない。
わざわざ前に出なくても放っておけば目の前の虫けらの方から餌食になりに来てくれると思っているのか、それでいながらレオン達が攻め倦ねている姿を楽しんでいるかのようだ。
(このまま睨み合っても何も好転しない)
レオンは覚悟を決めてゴッセルに向けて駆け出した。
(一撃だ!一撃に全てをかける!)
ゴッセルの目前で跳躍してその首目掛けて槍を突き出す。
イザベラとアランも左右に分かれてゴッセルの両脇を狙って切りかかる。
マッキとアイリアは牽制のためにゴッセルの目を狙って矢を放ち、カイル、ルシア、セイラは飛び出した3人の守りに集中した。
余裕の表情でその様子を窺っていたゴッセルがレオンに向けて巨大な剣を振るう。
その凄まじい剣風にマッキとアイリアの矢は吹き飛ばされ、跳躍したレオン目掛けて剣が迫る。
「クソッ!うわっ!」
咄嗟に槍の柄を盾にしてゴッセルの剣を受けるが、いとも簡単に弾き飛ばされて壁に叩きつけられた。
ゴッセルはレオンを弾き飛ばした剣撃のままに剣を振り抜いてアランとイザベラにも切りかかり、2人は間一髪でゴッセルの剣を躱す。
圧倒的な力の差であった。
(畜生!まるで相手にならないじゃないか!)
三重の守りのおかげで致命傷を免れたレオンは槍を杖にしてどうにか立ち上がる。
「ほう?余の剣を受け止めたか。面白い、他の虫けらとは違うようだな」
意外そうに笑うゴッセルだが、それ以上に驚いていたのはレオン本人だった。
ゴッセルの言葉を聞いて、ふとあることに気付いた。
(魔王の剣をまともに受けたのに、槍が壊れていない?)
確かに、ゴッセルの剣を受けた槍の柄には傷がついたものの、それ以上のダメージを受けていない。
レオンの槍は槍頭こそ新しくモースが打ったものだが、柄の方は以前にモースに拵えて貰った使い慣れたものだ。
モースが
「槍頭は幾らでも交換できるが、柄は手に馴染んだ物を長く使った方がいい」
と話していて、やけにこだわって作っていた。
(武器だけならば負けていないのか?)
古い柄だけでも魔王の剣を受け止めることができた。
ゼロの剣と同じ材質という新しい槍頭が魔王に届けば魔王に傷を負わせることができるのではないか。
「武器だけならば魔王に引けを取らない。可能性はゼロではないんだ!」
レオンの心に僅かな希望の光と闘志が灯った。
ゼロとゴッセルが戦う地下墳墓。
「ねえ、君は本当に僕に勝つつもりなの?」
立ち上がってゼロに近づいてくるゴッセル。
凄まじい圧力だが、ゼロは一歩も退かない。
「そのつもりです。そうでなければこの場に立っていません」
ゼロは剣を正眼に構えた。
「君、死霊術師でしょう?無謀だよ?たった1人で僕と戦うのは。馬鹿じゃないの?」
不思議そうな表情を浮かべるゴッセルにゼロは薄く笑う。
「馬鹿・・・ですか。そうですね、よくバカだと叱られますよ。でも、まあいいじゃないですか。貴方には関係のないことです。私は貴方を殺す、貴方も私を殺せばいい。たったそれだけのことですよ」
ゼロの言葉にゴッセルの表情が歪む。
「無礼じゃないのかな?たかが人間風情が軽々しく僕を殺すなんて言うのは」
変わったのは表情だけではない。
ゴッセルの身体全体が変質を始める。
華奢な少年のような身体の各所が膨張し、筋肉や骨が皮膚を破り悍ましい姿に変わる。
身の丈2メートルを超える身体に禍々しい邪気を纏う。
太い骨と筋肉に包まれた両脚、異様に太く長い左腕が1本、右肩から伸びた2本の腕、頭も膨張するが、それ以上に膨れ上がった肩の筋肉に包まれ、赤い眼がゼロを見下ろしている。
「不遜なる人間が!己が死をもって身の程を知るがよい!」
2本の腕から放たれた炎と雷撃の魔法がゼロを襲う。
ゼロは横に飛び退くと同時にスケルトンロード3体とジャック・オー・ランタンとスペクター2体を再召喚し、ゴッセルに対して四方から攻撃を浴びせた。
アルファ、ジャック・オー・ランタン、スペクターの魔法攻撃は右腕が張った魔法防御で散らされ、ゼロ、オメガ、スケルトンロードの直接攻撃は左腕1本で弾き返された。
吹き飛ばされ、受け身を取りながら剣を構えなおしたゼロ。
オメガやスケルトンロードも弾き飛ばされたがゼロが絶対の信頼を置く彼等故にダメージは受けていない。
「予想はしていましたが、流石は魔王。圧倒的な力ですね。しかし、絶望的なわけでもありません!」
ゼロとレオン、2人のゴッセルとの戦いは始まったばかり。
カイルの魔法防御、ルシアの守りの祈り、セイラの守護の加護を三重に重ねて守りを固めた。
カイルとルシアの魔法と祈りは力不足であるが、無いよりはましである。
頼みの綱は聖女セイラの加護だが、これも魔王に対峙するには心許ない。
それでも魔王の攻撃を1度か2度防げればと期待を寄せる。
槍を構えたレオンだが、動くことができない。
どうしても一撃で返り討ちにあいそうな気がするのだ。
しかし、ゴッセルの方は全く攻撃してくる様子がない。
わざわざ前に出なくても放っておけば目の前の虫けらの方から餌食になりに来てくれると思っているのか、それでいながらレオン達が攻め倦ねている姿を楽しんでいるかのようだ。
(このまま睨み合っても何も好転しない)
レオンは覚悟を決めてゴッセルに向けて駆け出した。
(一撃だ!一撃に全てをかける!)
ゴッセルの目前で跳躍してその首目掛けて槍を突き出す。
イザベラとアランも左右に分かれてゴッセルの両脇を狙って切りかかる。
マッキとアイリアは牽制のためにゴッセルの目を狙って矢を放ち、カイル、ルシア、セイラは飛び出した3人の守りに集中した。
余裕の表情でその様子を窺っていたゴッセルがレオンに向けて巨大な剣を振るう。
その凄まじい剣風にマッキとアイリアの矢は吹き飛ばされ、跳躍したレオン目掛けて剣が迫る。
「クソッ!うわっ!」
咄嗟に槍の柄を盾にしてゴッセルの剣を受けるが、いとも簡単に弾き飛ばされて壁に叩きつけられた。
ゴッセルはレオンを弾き飛ばした剣撃のままに剣を振り抜いてアランとイザベラにも切りかかり、2人は間一髪でゴッセルの剣を躱す。
圧倒的な力の差であった。
(畜生!まるで相手にならないじゃないか!)
三重の守りのおかげで致命傷を免れたレオンは槍を杖にしてどうにか立ち上がる。
「ほう?余の剣を受け止めたか。面白い、他の虫けらとは違うようだな」
意外そうに笑うゴッセルだが、それ以上に驚いていたのはレオン本人だった。
ゴッセルの言葉を聞いて、ふとあることに気付いた。
(魔王の剣をまともに受けたのに、槍が壊れていない?)
確かに、ゴッセルの剣を受けた槍の柄には傷がついたものの、それ以上のダメージを受けていない。
レオンの槍は槍頭こそ新しくモースが打ったものだが、柄の方は以前にモースに拵えて貰った使い慣れたものだ。
モースが
「槍頭は幾らでも交換できるが、柄は手に馴染んだ物を長く使った方がいい」
と話していて、やけにこだわって作っていた。
(武器だけならば負けていないのか?)
古い柄だけでも魔王の剣を受け止めることができた。
ゼロの剣と同じ材質という新しい槍頭が魔王に届けば魔王に傷を負わせることができるのではないか。
「武器だけならば魔王に引けを取らない。可能性はゼロではないんだ!」
レオンの心に僅かな希望の光と闘志が灯った。
ゼロとゴッセルが戦う地下墳墓。
「ねえ、君は本当に僕に勝つつもりなの?」
立ち上がってゼロに近づいてくるゴッセル。
凄まじい圧力だが、ゼロは一歩も退かない。
「そのつもりです。そうでなければこの場に立っていません」
ゼロは剣を正眼に構えた。
「君、死霊術師でしょう?無謀だよ?たった1人で僕と戦うのは。馬鹿じゃないの?」
不思議そうな表情を浮かべるゴッセルにゼロは薄く笑う。
「馬鹿・・・ですか。そうですね、よくバカだと叱られますよ。でも、まあいいじゃないですか。貴方には関係のないことです。私は貴方を殺す、貴方も私を殺せばいい。たったそれだけのことですよ」
ゼロの言葉にゴッセルの表情が歪む。
「無礼じゃないのかな?たかが人間風情が軽々しく僕を殺すなんて言うのは」
変わったのは表情だけではない。
ゴッセルの身体全体が変質を始める。
華奢な少年のような身体の各所が膨張し、筋肉や骨が皮膚を破り悍ましい姿に変わる。
身の丈2メートルを超える身体に禍々しい邪気を纏う。
太い骨と筋肉に包まれた両脚、異様に太く長い左腕が1本、右肩から伸びた2本の腕、頭も膨張するが、それ以上に膨れ上がった肩の筋肉に包まれ、赤い眼がゼロを見下ろしている。
「不遜なる人間が!己が死をもって身の程を知るがよい!」
2本の腕から放たれた炎と雷撃の魔法がゼロを襲う。
ゼロは横に飛び退くと同時にスケルトンロード3体とジャック・オー・ランタンとスペクター2体を再召喚し、ゴッセルに対して四方から攻撃を浴びせた。
アルファ、ジャック・オー・ランタン、スペクターの魔法攻撃は右腕が張った魔法防御で散らされ、ゼロ、オメガ、スケルトンロードの直接攻撃は左腕1本で弾き返された。
吹き飛ばされ、受け身を取りながら剣を構えなおしたゼロ。
オメガやスケルトンロードも弾き飛ばされたがゼロが絶対の信頼を置く彼等故にダメージは受けていない。
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