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総力戦3
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戦いの状況を見守っていたベルベットは攻勢を強めることにした。
「アンデッドの防御線を押し切りなさい!合わせてダークエルフはネクロマンサーを殺しなさい」
ベルベットの命令を受けて最前線のミノタウロスが攻勢を強めた瞬間、ミノタウロスの攻撃を受け止めていた大盾の壁が突如として開き、壁の内側から槍を構えたスケルトンナイト、スケルトンウォリアーが逆撃に出てきた。
一糸乱れぬ予想外の反撃にミノタウロスの攻撃の足が止まり、逆に押し戻される。
更に、ミノタウロス隊の後方に控えていたリザードマンの集団の中心部にデュラハン、スケルトンナイト、スケルトンウォリアー数百体が這い出して襲いかかり、集団を大混乱に陥れた。
「よし、うまく行きました。敵の混乱に乗じて逃げましょう」
満足気に頷いたゼロが振り返る。
「逃げる?優勢なのにか?」
オックスが首を傾げる。
「はい、敵の意表を突いてきましたが、ここらが限界です。敵は我々よりも強く、敵将は私よりも遥かに優秀ですからね。そろそろ本気で攻めてきます。そうなりますと一気に潰されかねません。そうなる前に逃げて、別に戦場を設定しましょう」
ゼロの説明にイズ、リズ、コルツが頷いている。
ゼロの言うことならば間違いはないと信じている様子であり、それはそれで困ったものである。
「しかし、逃げるって、どこに逃げるんだ?」
「決まっています。後方にですよ」
しれっと説明するゼロだが、レナがため息をつく。
「後方って帝国領側じゃない・・・」
ライズですら呆れ顔だ。
「それって、逃げるんじゃなくて帝国に攻め込むってことになんないか?」
ゼロを信奉しつつある3人を除いた他の隊員から呆れられてもゼロは涼しい顔だ。
「まあ、結果的にはそうなりますね」
話しながらゼロは周囲を見渡す。
そこに警戒に出ていたオメガが舞い戻ってきた。
「マスターのお命を狙う不埒者が近づいてきます。数は52、今は泳がせていますが、お許し頂けるならば片付けてご覧にいれます」
ゼロは頷いた。
「間もなくこの戦場を放棄します。そのタイミングで行動を開始、殲滅してください。方法は任せます、オメガの好きなようにしなさい」
ゼロの命にオメガは冷たい笑みを浮かべた。
「宜しいのですか?」
「任せます」
オメガは再び姿を消した。
眼下の戦場では魔王軍の混乱が収束しつつあった。
「ここまでです。皆さん、後退の用意を。・・・今っ!」
ゼロの合図でオックス達は後方、帝国領方面に後退を開始した。
皆が離れたのを見届けたゼロは戦場で戦っていたアンデッドを全て消し去った。
次々と変化する状況に魔王軍は呆気に取られ、再び足を止めてしまう。
ゼロの傍らにいたレナがゼロを見る。
「お好きにどうぞ」
ゼロが言うや否や、レナは魔王軍前線部隊に向かって強烈な雷撃魔法を撃ち込んだ。
レナが魔法を撃ち込んだのはミノタウロス隊とリザードマン隊の間であり、両部隊共に百近い損害が発生した。
「見ているだけでイライラしていたのよ。これでスッとしたわ。行きましょうゼロ」
踵を返して歩き出すレナ、唖然としたゼロがその後を追った。
ゼロ達が後退を開始すると同時に周囲に潜んでいたダークエルフ達がゼロを抹殺すべく行動を開始した。
ゼロを追い始めたダークエルフの前にオメガが立ちはだかる。
「ここまでにしていただきましょう。我が主の温情により貴方達には3つの選択肢を与えます。1つ、これが一番賢明な判断ですが、このまま撤退すること。2つ、戦って死ぬこと。そして、3つ目もなかなかに魅力的ですよ。我が眷族となりて私と共にマスターに仕えること」
オメガの背後に20体の中位ヴァンパイアが姿を現した。
男もいれば女もいる。
人間のみならず、エルフやドワーフ、ホビットもいる。
全てオメガの眷族であるが、オメガはゼロの許可無しでは決して呼び出すことはない者達だ。
後退しながらその様子を目の当たりにしたレナは思わず足を止めた。
「ゼロがオメガ以外のヴァンパイアを召喚したのを始めて見たわ」
レナの言葉にゼロは首を振った。
「彼等はオメガの眷族で私が召喚したわけでも、使役しているわけでもありません。私が魔力を消費することもありませんし、オメガの命令しか聞かない連中ですよ」
「でも、オメガが眷族?を呼び出したのを見たことはないわ」
「オメガが呼びたがらないのです。私に仕えている立場で私の命令を聞かない眷族を呼び出すことは不敬に値する、なんて言ってました。なので私の許可を得るという条件を満たしたときだけ呼び出すことにしたのです」
ゼロが説明している間にオメガとその眷族がダークエルフ達に襲いかかり、戦闘が始まっていた。
ふと周りを見ると副連隊長オックスの了承を得たリリス、イリーナ、リズの3人が戻ってきて遠距離からの弓矢の攻撃でオメガ達を援護していた。
「ここは彼女達とオメガに任せて大丈夫なようですね。私達は先に後退しましょう」
ゼロとレナは彼等を守るスケルトンロード3体を従えて帝国領に向けて後退した。
「アンデッドの防御線を押し切りなさい!合わせてダークエルフはネクロマンサーを殺しなさい」
ベルベットの命令を受けて最前線のミノタウロスが攻勢を強めた瞬間、ミノタウロスの攻撃を受け止めていた大盾の壁が突如として開き、壁の内側から槍を構えたスケルトンナイト、スケルトンウォリアーが逆撃に出てきた。
一糸乱れぬ予想外の反撃にミノタウロスの攻撃の足が止まり、逆に押し戻される。
更に、ミノタウロス隊の後方に控えていたリザードマンの集団の中心部にデュラハン、スケルトンナイト、スケルトンウォリアー数百体が這い出して襲いかかり、集団を大混乱に陥れた。
「よし、うまく行きました。敵の混乱に乗じて逃げましょう」
満足気に頷いたゼロが振り返る。
「逃げる?優勢なのにか?」
オックスが首を傾げる。
「はい、敵の意表を突いてきましたが、ここらが限界です。敵は我々よりも強く、敵将は私よりも遥かに優秀ですからね。そろそろ本気で攻めてきます。そうなりますと一気に潰されかねません。そうなる前に逃げて、別に戦場を設定しましょう」
ゼロの説明にイズ、リズ、コルツが頷いている。
ゼロの言うことならば間違いはないと信じている様子であり、それはそれで困ったものである。
「しかし、逃げるって、どこに逃げるんだ?」
「決まっています。後方にですよ」
しれっと説明するゼロだが、レナがため息をつく。
「後方って帝国領側じゃない・・・」
ライズですら呆れ顔だ。
「それって、逃げるんじゃなくて帝国に攻め込むってことになんないか?」
ゼロを信奉しつつある3人を除いた他の隊員から呆れられてもゼロは涼しい顔だ。
「まあ、結果的にはそうなりますね」
話しながらゼロは周囲を見渡す。
そこに警戒に出ていたオメガが舞い戻ってきた。
「マスターのお命を狙う不埒者が近づいてきます。数は52、今は泳がせていますが、お許し頂けるならば片付けてご覧にいれます」
ゼロは頷いた。
「間もなくこの戦場を放棄します。そのタイミングで行動を開始、殲滅してください。方法は任せます、オメガの好きなようにしなさい」
ゼロの命にオメガは冷たい笑みを浮かべた。
「宜しいのですか?」
「任せます」
オメガは再び姿を消した。
眼下の戦場では魔王軍の混乱が収束しつつあった。
「ここまでです。皆さん、後退の用意を。・・・今っ!」
ゼロの合図でオックス達は後方、帝国領方面に後退を開始した。
皆が離れたのを見届けたゼロは戦場で戦っていたアンデッドを全て消し去った。
次々と変化する状況に魔王軍は呆気に取られ、再び足を止めてしまう。
ゼロの傍らにいたレナがゼロを見る。
「お好きにどうぞ」
ゼロが言うや否や、レナは魔王軍前線部隊に向かって強烈な雷撃魔法を撃ち込んだ。
レナが魔法を撃ち込んだのはミノタウロス隊とリザードマン隊の間であり、両部隊共に百近い損害が発生した。
「見ているだけでイライラしていたのよ。これでスッとしたわ。行きましょうゼロ」
踵を返して歩き出すレナ、唖然としたゼロがその後を追った。
ゼロ達が後退を開始すると同時に周囲に潜んでいたダークエルフ達がゼロを抹殺すべく行動を開始した。
ゼロを追い始めたダークエルフの前にオメガが立ちはだかる。
「ここまでにしていただきましょう。我が主の温情により貴方達には3つの選択肢を与えます。1つ、これが一番賢明な判断ですが、このまま撤退すること。2つ、戦って死ぬこと。そして、3つ目もなかなかに魅力的ですよ。我が眷族となりて私と共にマスターに仕えること」
オメガの背後に20体の中位ヴァンパイアが姿を現した。
男もいれば女もいる。
人間のみならず、エルフやドワーフ、ホビットもいる。
全てオメガの眷族であるが、オメガはゼロの許可無しでは決して呼び出すことはない者達だ。
後退しながらその様子を目の当たりにしたレナは思わず足を止めた。
「ゼロがオメガ以外のヴァンパイアを召喚したのを始めて見たわ」
レナの言葉にゼロは首を振った。
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「でも、オメガが眷族?を呼び出したのを見たことはないわ」
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ゼロが説明している間にオメガとその眷族がダークエルフ達に襲いかかり、戦闘が始まっていた。
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「ここは彼女達とオメガに任せて大丈夫なようですね。私達は先に後退しましょう」
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