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竜騎兵との激闘2
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足を止めた竜騎兵に対して左右に展開していたスケルトンウォリアーが次々と飛びかかった。
ワイバーンに取り付いて剣や槍を打ち込むが、固い鱗に阻まれてダメージを与えるには至らない。
それどころか、騎乗する竜人に巧みに操られたワイバーンが鋭い牙や強靭な尾を駆使して纏わりつくスケルトンウォリアーを振りほどく。
「敵を休ませてはいけません!」
ゼロは吹き飛ばされて倒れたスケルトンウォリアーを再召喚しながら間断無く攻撃を繰り返す。
スケルトンウォリアーでは力不足でダメージを与えきれないことは承知のうえで一瞬の隙を生み出すためにひたすら攻撃を続ける。
オックス達はアンデッドが生み出す隙を見逃すまいと何時でも飛び出せるように構えている。
レナはスケルトンウォリアーが竜騎兵に取り付き、ゼロ距離での戦闘を行っているために魔法を撃ち込むことが出来ずにいた。
その間にも地上の竜騎兵を援護しようと上空の竜騎兵が弩を撃ち下ろしてくるが、放たれた矢の大半は上空警戒のオメガ達アンデッドによって払い落とされ、それらを逃れた矢も対空防御に当たるスケルトンウォリアーの大盾に受け止められている。
その間に1騎の竜騎兵がスケルトンウォリアーの猛攻に脚を取られてバランスを崩して地面に倒れ込んだ。
倒れた竜騎兵に更にスケルトンウォリアーが殺到すると同時にオックス、ライズ、イズが動いた。
「そりゃあっ!」
オックスがワイバーンの頭部を叩き潰し、ライズとイズが騎乗していた竜人に斬りかかる。
竜人も即座に倒れたワイバーンから飛び降りて2人の剣を受け止め、更に弾き飛ばした。
「うおっと!」
「クッ!」
飛ばされたライズとイズは体勢を立て直して構え直す。
竜人は剣と盾を携えて目の前の2人を竜人特有の無機質な目で見ていた。
「流石に手強いな」
「確かに強敵ではありますが。どうにも太刀打ちできない、というほどではありません」
「だな。こんなのに手こずっていたらゼロ連隊の名折れってやつだ」
2人は左右に分かれて同時に攻撃を仕掛けたが、人間とは違う竜人独特の広い視野のせいか、2人の攻撃は難なく捌かれた。
「おい!手が足りないならば手伝うぞ!」
そんな2人の様子を見たオックスが声をかける。
「必要ねえよ。こんな相手、俺達2人で十分だ。そっちはリリス達の援護を頼むぜ」
笑いながら答えるライズを見たオックスは大きく頷いて戦鎚を担ぐと後退していく。
双剣を構えるイズが横目でライズを見た。
「強がりが上手いですね」
「な~に、強がり上等だ。意地張って、強がって男は強くなるんだぜ」
「だからイリーナさんにバカとか言われるんじゃないですか?でも、私も貴方の意見には同意しますよ」
「だろ?さあ、強がった手前はこいつは俺達で片付けるぞ」
2人は対峙している竜人に立ち向かっていった。
ゼロはスケルトンウォリアーの再召喚を続けながら戦況を冷静に見ていた。
戦闘開始から僅かな時間でゼロ連隊は数百に及ぶ損害を出していた。
損害といっても再召喚が可能なアンデッドばかりであるため実質的な損害は皆無であり、対する竜騎兵は半数弱の損害だ。
総合的に見れば竜騎兵部隊を相手に数に任せて圧倒しているといってもいい。
ネクロマンサーとしての戦いとすればセオリー通りで上手く運んでいるだろう。
しかし、連隊長の立場として見た場合、オックスやライズ、イズが格上の敵に直接戦闘に入っているうえ、リリス達後衛は敵の接近を許せばひとたまりもない。
連隊としては薄氷を踏むような戦いを強いられている。
「このままでは危険ですね。デュラハンは前進して戦線に参加しなさい。自分達で判断して最善と思う行動を取りなさい」
ゼロの命令を受けて10体のデュラハンが動きだした。
デュラハン等は直ぐに5体ごとの二手に分かれ、5体は前線に、残りの5体は守りの薄いリリス達後衛の援護に向かった。
「なかなかやりますね。いい判断です」
その動きを見たゼロは満足げに頷いた。
リリス達の援護に向かった5体は1体ずつがそれぞれリリス、イリーナ、リズの傍らに立ち、残りの2体は3人の立つ位置の中間に立って遊撃の構えだ。
攻撃に向かった5体は一丸となって狙いを付けた竜騎兵に突撃する。
3体がワイバーンを牽制して他の2体が騎乗している竜人を引きずり下ろそうとしている。
個々の動きも洗練されているが、何よりもデュラハン同士の連携は目を見張るものがあった。
まるで1体の生物のように全く無駄の無い動きで徐々に竜騎兵を追い詰めていく。
その頃、竜人を相手に渡り合っていたライズとイズだが、決着の時を迎えていた。
ライズが竜人に向かって正面から斬りかかり、大上段から振り下ろされたライズの剣を竜人が受け止め、一瞬だけ2人の動きが止まる。
「ライズ殿、失礼!」
ライズの背後から走り込んでいたイズがライズの肩を踏み台にして高く跳躍し、双剣を竜人に向かって叩き込んだ。
イズの剣は竜人が装備している鎧の肩当てを叩き割り、固い鱗に包まれた両肩に食い込んだ。
敗れた竜人が力尽きて膝をついて倒れた。
「やったな、イズ。しかし、その剣はすげぇな」
「モース・グラント師の剣です。この剣のおかげですよ。私などまだまだです。これがゼロ様ならば一刀両断だったでしょう」
ライズとイズは次の敵を見繕おうと竜騎兵に目を向けた。
そこではワイバーンから引きずり下ろされた竜人に首なしの騎士が殺到していた。
そこに至り、さっきまで突撃、攻撃の意志を見せていた竜騎兵の動きが止まった。
ワイバーンに取り付いて剣や槍を打ち込むが、固い鱗に阻まれてダメージを与えるには至らない。
それどころか、騎乗する竜人に巧みに操られたワイバーンが鋭い牙や強靭な尾を駆使して纏わりつくスケルトンウォリアーを振りほどく。
「敵を休ませてはいけません!」
ゼロは吹き飛ばされて倒れたスケルトンウォリアーを再召喚しながら間断無く攻撃を繰り返す。
スケルトンウォリアーでは力不足でダメージを与えきれないことは承知のうえで一瞬の隙を生み出すためにひたすら攻撃を続ける。
オックス達はアンデッドが生み出す隙を見逃すまいと何時でも飛び出せるように構えている。
レナはスケルトンウォリアーが竜騎兵に取り付き、ゼロ距離での戦闘を行っているために魔法を撃ち込むことが出来ずにいた。
その間にも地上の竜騎兵を援護しようと上空の竜騎兵が弩を撃ち下ろしてくるが、放たれた矢の大半は上空警戒のオメガ達アンデッドによって払い落とされ、それらを逃れた矢も対空防御に当たるスケルトンウォリアーの大盾に受け止められている。
その間に1騎の竜騎兵がスケルトンウォリアーの猛攻に脚を取られてバランスを崩して地面に倒れ込んだ。
倒れた竜騎兵に更にスケルトンウォリアーが殺到すると同時にオックス、ライズ、イズが動いた。
「そりゃあっ!」
オックスがワイバーンの頭部を叩き潰し、ライズとイズが騎乗していた竜人に斬りかかる。
竜人も即座に倒れたワイバーンから飛び降りて2人の剣を受け止め、更に弾き飛ばした。
「うおっと!」
「クッ!」
飛ばされたライズとイズは体勢を立て直して構え直す。
竜人は剣と盾を携えて目の前の2人を竜人特有の無機質な目で見ていた。
「流石に手強いな」
「確かに強敵ではありますが。どうにも太刀打ちできない、というほどではありません」
「だな。こんなのに手こずっていたらゼロ連隊の名折れってやつだ」
2人は左右に分かれて同時に攻撃を仕掛けたが、人間とは違う竜人独特の広い視野のせいか、2人の攻撃は難なく捌かれた。
「おい!手が足りないならば手伝うぞ!」
そんな2人の様子を見たオックスが声をかける。
「必要ねえよ。こんな相手、俺達2人で十分だ。そっちはリリス達の援護を頼むぜ」
笑いながら答えるライズを見たオックスは大きく頷いて戦鎚を担ぐと後退していく。
双剣を構えるイズが横目でライズを見た。
「強がりが上手いですね」
「な~に、強がり上等だ。意地張って、強がって男は強くなるんだぜ」
「だからイリーナさんにバカとか言われるんじゃないですか?でも、私も貴方の意見には同意しますよ」
「だろ?さあ、強がった手前はこいつは俺達で片付けるぞ」
2人は対峙している竜人に立ち向かっていった。
ゼロはスケルトンウォリアーの再召喚を続けながら戦況を冷静に見ていた。
戦闘開始から僅かな時間でゼロ連隊は数百に及ぶ損害を出していた。
損害といっても再召喚が可能なアンデッドばかりであるため実質的な損害は皆無であり、対する竜騎兵は半数弱の損害だ。
総合的に見れば竜騎兵部隊を相手に数に任せて圧倒しているといってもいい。
ネクロマンサーとしての戦いとすればセオリー通りで上手く運んでいるだろう。
しかし、連隊長の立場として見た場合、オックスやライズ、イズが格上の敵に直接戦闘に入っているうえ、リリス達後衛は敵の接近を許せばひとたまりもない。
連隊としては薄氷を踏むような戦いを強いられている。
「このままでは危険ですね。デュラハンは前進して戦線に参加しなさい。自分達で判断して最善と思う行動を取りなさい」
ゼロの命令を受けて10体のデュラハンが動きだした。
デュラハン等は直ぐに5体ごとの二手に分かれ、5体は前線に、残りの5体は守りの薄いリリス達後衛の援護に向かった。
「なかなかやりますね。いい判断です」
その動きを見たゼロは満足げに頷いた。
リリス達の援護に向かった5体は1体ずつがそれぞれリリス、イリーナ、リズの傍らに立ち、残りの2体は3人の立つ位置の中間に立って遊撃の構えだ。
攻撃に向かった5体は一丸となって狙いを付けた竜騎兵に突撃する。
3体がワイバーンを牽制して他の2体が騎乗している竜人を引きずり下ろそうとしている。
個々の動きも洗練されているが、何よりもデュラハン同士の連携は目を見張るものがあった。
まるで1体の生物のように全く無駄の無い動きで徐々に竜騎兵を追い詰めていく。
その頃、竜人を相手に渡り合っていたライズとイズだが、決着の時を迎えていた。
ライズが竜人に向かって正面から斬りかかり、大上段から振り下ろされたライズの剣を竜人が受け止め、一瞬だけ2人の動きが止まる。
「ライズ殿、失礼!」
ライズの背後から走り込んでいたイズがライズの肩を踏み台にして高く跳躍し、双剣を竜人に向かって叩き込んだ。
イズの剣は竜人が装備している鎧の肩当てを叩き割り、固い鱗に包まれた両肩に食い込んだ。
敗れた竜人が力尽きて膝をついて倒れた。
「やったな、イズ。しかし、その剣はすげぇな」
「モース・グラント師の剣です。この剣のおかげですよ。私などまだまだです。これがゼロ様ならば一刀両断だったでしょう」
ライズとイズは次の敵を見繕おうと竜騎兵に目を向けた。
そこではワイバーンから引きずり下ろされた竜人に首なしの騎士が殺到していた。
そこに至り、さっきまで突撃、攻撃の意志を見せていた竜騎兵の動きが止まった。
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