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捕らわれた人々を救え4
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ゼロとレナは町の広場に戻ってきた。
町中での戦闘は既に終わっており、捕縛された組織の者達もクロウとその部下に連行されていった。
広場には解放された人々が集まっていたが、皆一様に怯えている。
それもその筈である、ライズ達が事情を説明しているものの、広場の周囲を守っているのは禍々しいアンデッドの集団であるのだから。
見た目だけでいうならば人身売買組織の方が構成員が人であるだけにまともに見えたかもしれない。
「怖がらせて申し訳ないが、我々はアイラス王国から派遣されてきた。連隊長がネクロマンサー故にアンデッドがいるが、彼等が諸君を傷つけることは絶対にない。信じられないのも当然だが、思い返してほしい。この町で戦闘になった時にアンデッド達が諸君に刃を向けたかどうか。諸君が捕らわれていた場所を守っていたのが何者であったかを」
ライズがよく通る声で皆に問いかける。
ハイエルフのイリーナを連れたライズならば見かけだけであれば英雄や勇者っぽくも見えるため、助け出された人々もライズの声に耳を傾けている。
「これから皆さんを王国領内まで移送します。他国の方もいるでしょうが、王国経由で自国に帰れるように取り計らいますから安心してください」
些か口の悪いオックスに代わってリリスも声を上げる。
こちらもハイエルフであることから皆は静かに聞き入っている。
その様子を見たゼロはオックス達に合流せずに姿を隠した。
「これは、私は姿を見せない方がよさそうですね。余計な混乱を招きかねません」
そう話すゼロに流石のレナも反論できない。
なにしろゼロの出で立ちときたら上から下まで漆黒で揃えられた装備に顔の半分を覆う恐ろしげな仮面。
魔王軍の幹部だといっても不思議ではない風体である。
結局ゼロは姿を隠したまま組織が使用していた屋敷で諸々の処理をすることになった。
クロウが使っていた執務室の机に地図を広げて移送計画を練る。
室内にいるのは連隊長ゼロ、副官レナ、副連隊長オックスとイズとリズだ。
「142人、老人はいないが女、子供は多い。馬車や食料は組織が残したものがあるから問題はない。まあ、馬車は檻付きだが、仕方あるまい」
オックスの報告にゼロは頷く。
「移送そのものはそれで大丈夫でしょう。商品としての人間ですから健康な者が殆どですし。体調不良者も幾人かはいますが、深刻なものではありません」
「で、どうするの?私達が越えてきた雪山を抜けて王国に移送するの?」
レナが地図を見ながら聞いてきた。
「雪山は駄目ですね。険しすぎて馬車では抜けられません。南に向かって山道を抜けた方がいいですね」
「しかし、それも危険だな。魔王軍の支配地域を通過するってことだろう?」
オックスの懸念も尤もである。
142人もの人をたった8人とアンデッドだけで護衛しながら敵中突破である。
アンデッドを総動員すれば連隊規模の兵力を有するが、それでも危険な策だと言わざるを得ない。
「危険には違いありませんが、他に手段を思いつきません。それにそれほど無謀というまではいきません」
「どういうことだ?」
ゼロは地図上の山道出口を指示した。
「現在、再編した王国軍と連邦国軍の残存兵力を集めて逆侵攻が行われている筈です。私が出発前に軍務省の役人から聞いた予定では既に作戦は決行されている筈ですし、クロウさんからも同様の情報は得ています。予定通りならば山道出口にある都市を奪還しているころでしょう」
ゼロの説明にオックスが唸る。
「そう上手く事が運ぶか?」
「それについては私は断言できませんが、大丈夫だと思います。魔王軍は侵略にばかり重点を置き、あまり守りに目を向けていません。まして、その侵略を試みた軍団を2つも失った後ですから勝機は十分にあると思います」
「まあな・・・他に手はないか」
最終的にオックスもゼロの案を受け入れた。
「そうと決まれば早速行動を開始しましょう!」
ゼロは立ち上がった。
広場に並べられたのは10人程が乗り込める馬車が12台。
内2台は食料等の輸送に使用するので人々の移送に使えるのは10台だ。
救出した全員を乗せることはできないので交代で歩く者が出てしまう。
「救出した中に15人ばかり元軍人や冒険者で戦いの心得がある奴等がいて協力を申し出てくれたぜ。他に馬車を扱える者が何人もいたから御者も任せて良いだろう」
人々が馬車に乗り込むのを遠巻きに見ていたゼロにライズが報告する。
「それは助かります。彼等には組織の連中が残した武具を使ってもらいましょう」
この時点でゼロはアンデッドの大半を戻してしまっている。
残っているのはオメガとアルファだけだ。
馬車を牽く馬を必要以上に怖がらせないためであった。
やがて馬車の車列が次々と町を出発する。
馬車に乗れない者も徒歩で馬車の間を進む。
そんな列をレナ、オックス、リリス、ライズ、イリーナに加えて救出された中で戦いの心得がある連中が並進しながら護衛する。
ゼロとイズ、リズにオメガとアルファは車列と少し距離を置いてから誰もいなくなった町を後にした。
町中での戦闘は既に終わっており、捕縛された組織の者達もクロウとその部下に連行されていった。
広場には解放された人々が集まっていたが、皆一様に怯えている。
それもその筈である、ライズ達が事情を説明しているものの、広場の周囲を守っているのは禍々しいアンデッドの集団であるのだから。
見た目だけでいうならば人身売買組織の方が構成員が人であるだけにまともに見えたかもしれない。
「怖がらせて申し訳ないが、我々はアイラス王国から派遣されてきた。連隊長がネクロマンサー故にアンデッドがいるが、彼等が諸君を傷つけることは絶対にない。信じられないのも当然だが、思い返してほしい。この町で戦闘になった時にアンデッド達が諸君に刃を向けたかどうか。諸君が捕らわれていた場所を守っていたのが何者であったかを」
ライズがよく通る声で皆に問いかける。
ハイエルフのイリーナを連れたライズならば見かけだけであれば英雄や勇者っぽくも見えるため、助け出された人々もライズの声に耳を傾けている。
「これから皆さんを王国領内まで移送します。他国の方もいるでしょうが、王国経由で自国に帰れるように取り計らいますから安心してください」
些か口の悪いオックスに代わってリリスも声を上げる。
こちらもハイエルフであることから皆は静かに聞き入っている。
その様子を見たゼロはオックス達に合流せずに姿を隠した。
「これは、私は姿を見せない方がよさそうですね。余計な混乱を招きかねません」
そう話すゼロに流石のレナも反論できない。
なにしろゼロの出で立ちときたら上から下まで漆黒で揃えられた装備に顔の半分を覆う恐ろしげな仮面。
魔王軍の幹部だといっても不思議ではない風体である。
結局ゼロは姿を隠したまま組織が使用していた屋敷で諸々の処理をすることになった。
クロウが使っていた執務室の机に地図を広げて移送計画を練る。
室内にいるのは連隊長ゼロ、副官レナ、副連隊長オックスとイズとリズだ。
「142人、老人はいないが女、子供は多い。馬車や食料は組織が残したものがあるから問題はない。まあ、馬車は檻付きだが、仕方あるまい」
オックスの報告にゼロは頷く。
「移送そのものはそれで大丈夫でしょう。商品としての人間ですから健康な者が殆どですし。体調不良者も幾人かはいますが、深刻なものではありません」
「で、どうするの?私達が越えてきた雪山を抜けて王国に移送するの?」
レナが地図を見ながら聞いてきた。
「雪山は駄目ですね。険しすぎて馬車では抜けられません。南に向かって山道を抜けた方がいいですね」
「しかし、それも危険だな。魔王軍の支配地域を通過するってことだろう?」
オックスの懸念も尤もである。
142人もの人をたった8人とアンデッドだけで護衛しながら敵中突破である。
アンデッドを総動員すれば連隊規模の兵力を有するが、それでも危険な策だと言わざるを得ない。
「危険には違いありませんが、他に手段を思いつきません。それにそれほど無謀というまではいきません」
「どういうことだ?」
ゼロは地図上の山道出口を指示した。
「現在、再編した王国軍と連邦国軍の残存兵力を集めて逆侵攻が行われている筈です。私が出発前に軍務省の役人から聞いた予定では既に作戦は決行されている筈ですし、クロウさんからも同様の情報は得ています。予定通りならば山道出口にある都市を奪還しているころでしょう」
ゼロの説明にオックスが唸る。
「そう上手く事が運ぶか?」
「それについては私は断言できませんが、大丈夫だと思います。魔王軍は侵略にばかり重点を置き、あまり守りに目を向けていません。まして、その侵略を試みた軍団を2つも失った後ですから勝機は十分にあると思います」
「まあな・・・他に手はないか」
最終的にオックスもゼロの案を受け入れた。
「そうと決まれば早速行動を開始しましょう!」
ゼロは立ち上がった。
広場に並べられたのは10人程が乗り込める馬車が12台。
内2台は食料等の輸送に使用するので人々の移送に使えるのは10台だ。
救出した全員を乗せることはできないので交代で歩く者が出てしまう。
「救出した中に15人ばかり元軍人や冒険者で戦いの心得がある奴等がいて協力を申し出てくれたぜ。他に馬車を扱える者が何人もいたから御者も任せて良いだろう」
人々が馬車に乗り込むのを遠巻きに見ていたゼロにライズが報告する。
「それは助かります。彼等には組織の連中が残した武具を使ってもらいましょう」
この時点でゼロはアンデッドの大半を戻してしまっている。
残っているのはオメガとアルファだけだ。
馬車を牽く馬を必要以上に怖がらせないためであった。
やがて馬車の車列が次々と町を出発する。
馬車に乗れない者も徒歩で馬車の間を進む。
そんな列をレナ、オックス、リリス、ライズ、イリーナに加えて救出された中で戦いの心得がある連中が並進しながら護衛する。
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