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連邦国侵入
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ゼロ連隊は数日を要して雪山を突破して東の連邦国に入った。
とりあえず付近に魔王軍や魔物の姿は無いようだ。
ゼロは予め用意しておいた連邦国の地図を確認する。
「連邦国も広いからな。どうする?」
ゼロの横に立つオックスが問いかける。
「そうですね。ここから少し北に向かった所に町がありますね。とりあえずそこに行ってみましょう」
ゼロは地図の一点を指差した。
魔王軍が王国に攻め入る侵攻ルートから北に外れた場所に小さな町がある。
今の場所からは北に1日ほど歩いた場所であるが、町としての規模は小さく、軍事的に見ると重要度は低いので捨て置かれている可能性もある。
仮に攻められていたとしても、敵はそれほど多い数は割いていないだろう。
「この土地で遊撃戦を展開するならば拠点とまではいかなくても協力者は確保したいですからね」
ゼロ達は偵察にスペクターを先行させながら北に向かって歩き始めた。
件の町に向かう道すがら、幾度かの魔物との遭遇戦はあったものの、ゼロ達にしてみれば何の問題もなかった。
それらの魔物が魔王軍の部隊ではなく野良の魔物か、魔王軍からはぐれたか何らかの理由で単独でいたものばかりで、アンデッドを使う必要もなく撃退しながら進むことができた。
一行は難なく目的の町に近づいたところで偵察のために先行していたスペクターが報告に戻ったのだが、その報告を受けてゼロの表情が変わった。
ゼロは更に5体のスペクターとオメガを召喚する。
「町の情報を集めてきてください。些細なことも漏らさず、詳細にです」
「造作もないことです。お任せくださいマスター」
オメガはスペクターと共に姿を消した。
「ゼロ、一体何があった?」
ライズがゼロに問う。
皆もゼロの様子が変わったことが気になっているようだ。
「連邦国に来ていきなりハズレを引き当てたようです。・・見方を変えれば大当たりですかね」
「どういうことだ?勿体ぶらずに教えろよ」
「件の町ですが、何者かに占拠されています」
「魔王軍か?」
「違います。何やら組織だった人間達ですね。で、その町に監禁されているのが、連邦国の町の住民でなくて、王国を含めた周辺国の人々やエルフやドワーフ、獣人達なんですよ」
レナが息を飲んだ。
「それって・・・」
ゼロが頷く。
「はい、いつぞやの人身売買組織の一部、攫ってきた人々の集積地のようです」
それを聞いたオックスが憤る。
「そんな連中を見過ごしてはおけんぞ!」
「はい。連邦国に潜入したばかりだからあまり目立たないようにしようと思っていましたが、早速計画変更ですね」
そうこうしている間に偵察に出たオメガが戻ってきた。
「マスターの推察したとおり、かの町は攫われた人々を一時集めておいて、帝国、魔王軍に売却する中継点です」
「なるほど。そうしますと、やはり放ってはおけませんね」
ゼロは全員を見渡した。
「早速荒事になりそうですよ」
ライズがニヤリと笑う。
「まあ、お前についていくと決めた時からこうなるだろうと思っていたよ」
「荒事大歓迎だ!それが捕らわれの人々を助けるためならば尚更だ!」
オックスも肩を鳴らす。
ゼロは頷くと改めて地図に目を落とす。
「さて、どうしますか・・・。ことを急ぐと中継点1つ潰しただけで手懸かりが潰えてしまいかねませんね」
ゼロの言葉に皆が思案する中でゼロの背後に控えるオメガが口を開いた。
「恐れながら申し上げます。偵察に出た折に奴らの背後組織の一部と思しき者共を捕らえて情報を得た後に始末しました」
「詳しく聞きましょう」
ゼロはオメガの更なる報告を聞いた。
「なるほど。オメガ、大手柄ですよ。おかげで良い案が浮かびました」
「恐れ多いお言葉です。マスターのお役に立てて無上の喜びです」
オメガは膝をついて恭しく頭を垂れた。
「オメガの情報を元に作戦を考えました」
翌日の夜明け前、多くの人々が捕らわれた町に近づく影が3人。
姿を隠すわけでもなく、正面から堂々と近づいてくる。
町の入口で見張りに就いていた男は一度は警戒の姿勢を見せるも、近づいてくる3人の風体を見て武器を下ろした。
近づいてきたのは漆黒のマントに全身を包んだ魔法使いにダークエルフが2人。
しかも、魔法使いは取引きの目印である金属製の札を持っていた。
「見ない顔だな。いつもの旦那達はどうした?」
見張りの男は疑っているというよりは単なる雑談や挨拶のような軽々しさで3人に声を掛けた。
「奴等は死んだよ。こんな組織にいるんだ、大して珍しいことではない」
魔法使いの男は淡々と答える。
「そいつは違えねえ。ところで、えらい別嬪を連れているな」
男は魔法使いの背後に立つダークエルフに目を向けた。
1人は女のダークエルフでその美しさは桁違いである。
全身を舐めまわすような男の視線を気にも止めていないように無表情で立つダークエルフだが、魔法使いの男の凍りつくような視線に慌ててダークエルフの女から視線を逸らす。
「くだらん冗談で無駄に時間を費やすつもりはない。早く商品の確認をさせて貰おうか」
魔法使いの視線と声に肝を冷やした見張りの男は3人を町の中に案内した。
その様子を町から少し離れた場所の木の上で見ているエルフが2人、イリーナとリリスだ。
2人はゼロとイズ、リズが無事に町に入ったのを見届けると木の下に身を隠しているほかの3人に状況を伝えた。
「とりあえず、第一段階は上手くいったな」
リリス達の報告を聞いた男はひとまず胸をなで下ろした。
捕らわれた人々を救い出さんと占拠された町に乗り込んだゼロとイズ、リズの兄妹。
当初はゼロ1人で乗り込むと言い出したのをゼロ以外の全員が止めた。
その結果、かつては闇の軍勢にも加担したこともあるダークエルフと呼ばれていたシルバーエルフのイズとリズが同行することが条件で作戦が決行されることになり、ゼロとイズ、リズの3人はまんまと町の中に入り込むことに成功したのだ。
とりあえず付近に魔王軍や魔物の姿は無いようだ。
ゼロは予め用意しておいた連邦国の地図を確認する。
「連邦国も広いからな。どうする?」
ゼロの横に立つオックスが問いかける。
「そうですね。ここから少し北に向かった所に町がありますね。とりあえずそこに行ってみましょう」
ゼロは地図の一点を指差した。
魔王軍が王国に攻め入る侵攻ルートから北に外れた場所に小さな町がある。
今の場所からは北に1日ほど歩いた場所であるが、町としての規模は小さく、軍事的に見ると重要度は低いので捨て置かれている可能性もある。
仮に攻められていたとしても、敵はそれほど多い数は割いていないだろう。
「この土地で遊撃戦を展開するならば拠点とまではいかなくても協力者は確保したいですからね」
ゼロ達は偵察にスペクターを先行させながら北に向かって歩き始めた。
件の町に向かう道すがら、幾度かの魔物との遭遇戦はあったものの、ゼロ達にしてみれば何の問題もなかった。
それらの魔物が魔王軍の部隊ではなく野良の魔物か、魔王軍からはぐれたか何らかの理由で単独でいたものばかりで、アンデッドを使う必要もなく撃退しながら進むことができた。
一行は難なく目的の町に近づいたところで偵察のために先行していたスペクターが報告に戻ったのだが、その報告を受けてゼロの表情が変わった。
ゼロは更に5体のスペクターとオメガを召喚する。
「町の情報を集めてきてください。些細なことも漏らさず、詳細にです」
「造作もないことです。お任せくださいマスター」
オメガはスペクターと共に姿を消した。
「ゼロ、一体何があった?」
ライズがゼロに問う。
皆もゼロの様子が変わったことが気になっているようだ。
「連邦国に来ていきなりハズレを引き当てたようです。・・見方を変えれば大当たりですかね」
「どういうことだ?勿体ぶらずに教えろよ」
「件の町ですが、何者かに占拠されています」
「魔王軍か?」
「違います。何やら組織だった人間達ですね。で、その町に監禁されているのが、連邦国の町の住民でなくて、王国を含めた周辺国の人々やエルフやドワーフ、獣人達なんですよ」
レナが息を飲んだ。
「それって・・・」
ゼロが頷く。
「はい、いつぞやの人身売買組織の一部、攫ってきた人々の集積地のようです」
それを聞いたオックスが憤る。
「そんな連中を見過ごしてはおけんぞ!」
「はい。連邦国に潜入したばかりだからあまり目立たないようにしようと思っていましたが、早速計画変更ですね」
そうこうしている間に偵察に出たオメガが戻ってきた。
「マスターの推察したとおり、かの町は攫われた人々を一時集めておいて、帝国、魔王軍に売却する中継点です」
「なるほど。そうしますと、やはり放ってはおけませんね」
ゼロは全員を見渡した。
「早速荒事になりそうですよ」
ライズがニヤリと笑う。
「まあ、お前についていくと決めた時からこうなるだろうと思っていたよ」
「荒事大歓迎だ!それが捕らわれの人々を助けるためならば尚更だ!」
オックスも肩を鳴らす。
ゼロは頷くと改めて地図に目を落とす。
「さて、どうしますか・・・。ことを急ぐと中継点1つ潰しただけで手懸かりが潰えてしまいかねませんね」
ゼロの言葉に皆が思案する中でゼロの背後に控えるオメガが口を開いた。
「恐れながら申し上げます。偵察に出た折に奴らの背後組織の一部と思しき者共を捕らえて情報を得た後に始末しました」
「詳しく聞きましょう」
ゼロはオメガの更なる報告を聞いた。
「なるほど。オメガ、大手柄ですよ。おかげで良い案が浮かびました」
「恐れ多いお言葉です。マスターのお役に立てて無上の喜びです」
オメガは膝をついて恭しく頭を垂れた。
「オメガの情報を元に作戦を考えました」
翌日の夜明け前、多くの人々が捕らわれた町に近づく影が3人。
姿を隠すわけでもなく、正面から堂々と近づいてくる。
町の入口で見張りに就いていた男は一度は警戒の姿勢を見せるも、近づいてくる3人の風体を見て武器を下ろした。
近づいてきたのは漆黒のマントに全身を包んだ魔法使いにダークエルフが2人。
しかも、魔法使いは取引きの目印である金属製の札を持っていた。
「見ない顔だな。いつもの旦那達はどうした?」
見張りの男は疑っているというよりは単なる雑談や挨拶のような軽々しさで3人に声を掛けた。
「奴等は死んだよ。こんな組織にいるんだ、大して珍しいことではない」
魔法使いの男は淡々と答える。
「そいつは違えねえ。ところで、えらい別嬪を連れているな」
男は魔法使いの背後に立つダークエルフに目を向けた。
1人は女のダークエルフでその美しさは桁違いである。
全身を舐めまわすような男の視線を気にも止めていないように無表情で立つダークエルフだが、魔法使いの男の凍りつくような視線に慌ててダークエルフの女から視線を逸らす。
「くだらん冗談で無駄に時間を費やすつもりはない。早く商品の確認をさせて貰おうか」
魔法使いの視線と声に肝を冷やした見張りの男は3人を町の中に案内した。
その様子を町から少し離れた場所の木の上で見ているエルフが2人、イリーナとリリスだ。
2人はゼロとイズ、リズが無事に町に入ったのを見届けると木の下に身を隠しているほかの3人に状況を伝えた。
「とりあえず、第一段階は上手くいったな」
リリス達の報告を聞いた男はひとまず胸をなで下ろした。
捕らわれた人々を救い出さんと占拠された町に乗り込んだゼロとイズ、リズの兄妹。
当初はゼロ1人で乗り込むと言い出したのをゼロ以外の全員が止めた。
その結果、かつては闇の軍勢にも加担したこともあるダークエルフと呼ばれていたシルバーエルフのイズとリズが同行することが条件で作戦が決行されることになり、ゼロとイズ、リズの3人はまんまと町の中に入り込むことに成功したのだ。
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