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森の都市からの依頼
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ゼロの新しい剣を作り始めたモースだが、完成までには時間がかかると言われている。
しかし、剣は無くても仕事はしなければならないのでゼロは毎日のようにギルドに足を運んで細々とした依頼を片付ける日々を送っていた。
そんな中でことあるごとにゼロに同行しようとしていた双子のシルバーエルフのイズとリズだが、ゼロから
「冒険者として見識を広めてください」
との言葉を受けて最近は2人で様々な依頼をこなしている。
ゼロは自分と共に行動することによって2人に不利益が生じないようにとの配慮のつもりだったが、イズ達の受け止め方は全く違っていた。
青等級だった彼等は黒等級のゼロに見合わないから精進する必要があると勝手に解釈していた。
現にゼロと共に行方不明の冒険者を救出した実績に加えて2人で困難な依頼を次々とこなし、現在は紫等級にまで昇級していた。
「あの2人、ゼロさんに認めてもらうんだって意気込みが凄いですよ。ゼロさんが紫等級に上がった時よりも早く紫に上がっていますからね」
ある日の夕方、ギルド内にも人はまばらで、仕事を終えて報告に戻ったゼロとレナはカウンターでシーナと雑談をしていた。
確かにゼロが紫等級に上がるまで5年を費やしたが、それでも早い方だ。
比べてイズ達は1年足らずで紫等級まで駆け上がっている。
冒険者になった時点での能力の高さが要因だが、それでも風の都市の冒険者ギルドで過去に例を見ない早さでの昇格だった。
「それは凄いですね」
ゼロは他人事のように感心する。
確かに他人事ではあるが、イズとリズの兄妹はゼロに追いつこうとしているのだ。
ゼロと共に戦いたい一心で駆け上がる2人に無関心な様子のゼロにレナとシーナはため息をつく。
そうこうしている間に若い受付職員がシーナを呼びにきてシーナは席を外した。
「さて、私は帰る前に食堂で食事をしていきます。レナさんはどうしますか?」
「私も付き合うわ。今から自分で作るのも面倒だし」
ゼロ達もカウンターを離れて併設された食堂に向かった。
この時間ならばまだ空いているはずで、未だに他の冒険者に避けられているゼロも気にすることなく食事ができる。
レナは都市の街中にある老夫婦が営む下宿に住んでいて普段は自炊しているが、ゼロが食堂に行くときにはたいてい付いて来るのだ。
2人は食堂の席に着いて注文を済ませる。
今日の仕事は終わりで明日は休もうと考えていたため2人共に食事と一緒に酒も注文した。
ゼロはエール、レナは果実酒を注文したが、それらが運ばれてくる前にシーナが2人を捜しにきた。
「ああ、良かった。ここにいましたね。今さっき郵便鳥が届きまして、ゼロさんに指名依頼が来ていましたよ」
郵便鳥とはギルド間の急ぎの連絡文書を運ぶ訓練された鳥で、その速度は早馬を遥かに凌ぐ通信連絡手段である。
ゼロはシーナが差し出した依頼書を手にとって内容を確認した。
「森の都市のギルド経由、オックスさんからですか?」
依頼書に記載された依頼主の名前はオックス・ガンツ、闘技大会の準決勝で戦った相手である。
ゼロの力を借りたいので急いで森の都市に来てほしいとの簡潔に過ぎる内容だ。
「随分とざっくりとした依頼ですね。具体的なことが何も分からないですよ」
さすがのゼロも呆れ顔だ。
「どうしますか?依頼を受けるならば返信の郵便鳥を飛ばしますが?」
ゼロは店員に注文した酒をキャンセルした。
「事情は分かりませんが、私の力が必要ならば断る理由はありません。急ぎのようなので食事を済ませたら直ぐに発ちます。レナさんはどうしますか?」
ゼロの問いにレナはゼロを睨み返した。
「私は貴方の何?」
「・・すみません、パーティーです」
「分かればよろしい」
そのやり取りを笑いながら聞いていたシーナはカウンターに向かって歩き出す。
「それではゼロさんとレナさんが向かう、でいいですね?そのように郵便鳥を飛ばします。詳細は森の都市のギルドで確認してください」
その後、ゼロ達は食事を済ませてシーナに見送られながら森の都市に向かい旅立った。
しかし、剣は無くても仕事はしなければならないのでゼロは毎日のようにギルドに足を運んで細々とした依頼を片付ける日々を送っていた。
そんな中でことあるごとにゼロに同行しようとしていた双子のシルバーエルフのイズとリズだが、ゼロから
「冒険者として見識を広めてください」
との言葉を受けて最近は2人で様々な依頼をこなしている。
ゼロは自分と共に行動することによって2人に不利益が生じないようにとの配慮のつもりだったが、イズ達の受け止め方は全く違っていた。
青等級だった彼等は黒等級のゼロに見合わないから精進する必要があると勝手に解釈していた。
現にゼロと共に行方不明の冒険者を救出した実績に加えて2人で困難な依頼を次々とこなし、現在は紫等級にまで昇級していた。
「あの2人、ゼロさんに認めてもらうんだって意気込みが凄いですよ。ゼロさんが紫等級に上がった時よりも早く紫に上がっていますからね」
ある日の夕方、ギルド内にも人はまばらで、仕事を終えて報告に戻ったゼロとレナはカウンターでシーナと雑談をしていた。
確かにゼロが紫等級に上がるまで5年を費やしたが、それでも早い方だ。
比べてイズ達は1年足らずで紫等級まで駆け上がっている。
冒険者になった時点での能力の高さが要因だが、それでも風の都市の冒険者ギルドで過去に例を見ない早さでの昇格だった。
「それは凄いですね」
ゼロは他人事のように感心する。
確かに他人事ではあるが、イズとリズの兄妹はゼロに追いつこうとしているのだ。
ゼロと共に戦いたい一心で駆け上がる2人に無関心な様子のゼロにレナとシーナはため息をつく。
そうこうしている間に若い受付職員がシーナを呼びにきてシーナは席を外した。
「さて、私は帰る前に食堂で食事をしていきます。レナさんはどうしますか?」
「私も付き合うわ。今から自分で作るのも面倒だし」
ゼロ達もカウンターを離れて併設された食堂に向かった。
この時間ならばまだ空いているはずで、未だに他の冒険者に避けられているゼロも気にすることなく食事ができる。
レナは都市の街中にある老夫婦が営む下宿に住んでいて普段は自炊しているが、ゼロが食堂に行くときにはたいてい付いて来るのだ。
2人は食堂の席に着いて注文を済ませる。
今日の仕事は終わりで明日は休もうと考えていたため2人共に食事と一緒に酒も注文した。
ゼロはエール、レナは果実酒を注文したが、それらが運ばれてくる前にシーナが2人を捜しにきた。
「ああ、良かった。ここにいましたね。今さっき郵便鳥が届きまして、ゼロさんに指名依頼が来ていましたよ」
郵便鳥とはギルド間の急ぎの連絡文書を運ぶ訓練された鳥で、その速度は早馬を遥かに凌ぐ通信連絡手段である。
ゼロはシーナが差し出した依頼書を手にとって内容を確認した。
「森の都市のギルド経由、オックスさんからですか?」
依頼書に記載された依頼主の名前はオックス・ガンツ、闘技大会の準決勝で戦った相手である。
ゼロの力を借りたいので急いで森の都市に来てほしいとの簡潔に過ぎる内容だ。
「随分とざっくりとした依頼ですね。具体的なことが何も分からないですよ」
さすがのゼロも呆れ顔だ。
「どうしますか?依頼を受けるならば返信の郵便鳥を飛ばしますが?」
ゼロは店員に注文した酒をキャンセルした。
「事情は分かりませんが、私の力が必要ならば断る理由はありません。急ぎのようなので食事を済ませたら直ぐに発ちます。レナさんはどうしますか?」
ゼロの問いにレナはゼロを睨み返した。
「私は貴方の何?」
「・・すみません、パーティーです」
「分かればよろしい」
そのやり取りを笑いながら聞いていたシーナはカウンターに向かって歩き出す。
「それではゼロさんとレナさんが向かう、でいいですね?そのように郵便鳥を飛ばします。詳細は森の都市のギルドで確認してください」
その後、ゼロ達は食事を済ませてシーナに見送られながら森の都市に向かい旅立った。
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