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南へ、ヘルムントからの依頼
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「こちらに所属するネクロマンサーのゼロ殿にこの依頼をお願いしたい」
「えっ?」
ヘルムントの言葉にシーナは固まった。
「あっ、えっ・・と。あの、ネクロマンサーのゼロさんですか?」
「そのとおり、ゼロ殿に依頼したい」
聞き間違いでなく、ゼロを指名した依頼だ。
しかし、依頼主が聖務院、それも聖騎士団に所属する者であることからシーナは困惑した。
「あのっ、貴方様は聖務院の方ですよね?聖務院の方がネクロマンサーのゼロさんに依頼・・・ですか?」
「然り!」
シーナの懸念など分かりきっているとの表情で頷いた。
「貴殿の心配は分かる。聖務院が何かを企んでゼロ殿に害をもたらすのではないかと懸念しているのだろう?」
「いえ、そこまでは・・・。でも、聖務院の方がゼロさんに依頼を出していいのかな?と思いまして」
「それには心配及ばん。此度の依頼は我が個人的に頼むのだ。多少は教義に反するが、教義に縛られて大局を見逃すのは本末転倒というものだ」
「はぁ・・・。わかりました」
シーナは訝しげながらも依頼受理の手続きを進めた。
「それでは、依頼を受理します。ただ、ゼロさんは2、3日お休みすると言っていましたが、事案の概要からも急いだ方がいいと思いますので呼びに行ってきますのでこちらでお待ちください」
シーナは説明するとゼロを呼びに行くためにギルドを出た。
シーナが行かなければいけない理由はないのだが、ゼロの住む家の周辺の森の中はゼロのアンデッドが警戒という名目で野放しにされているため他の職員は訪問したがらないのである。
シーナ自身も好き好んで立ち入るわけではないが、何度か訪問したことがあり、ある程度は慣れているので自分で呼びに行くことにしたのだった。
シーナに呼び出されたゼロはヘルムントから依頼の詳細を聞いた。
「そうしますと、冒険者のパーティーが次々と行方不明になり、調査に向かったイザベラさん達まで行方不明になったと?」
「そのとおり。南の山奥にある古城に何者かが住み着いたとの依頼で調査に向かったのだ。依頼を出した貴族からの情報では城に至る山に大型の魔物がいるらしいとのことだが、そんなものに遅れを取るような連中ではない」
「なるほど。高位の司祭のみならず特務兵のイザベラさん達までとなると、尋常ではない事態が起きているのでしょう。依頼を引き受けることは構いませんが、イザベラさん達ですら対処出来なかった事態に私では力不足ではありませんか?」
ゼロの心配をよそにヘルムントは自信がありそうだ。
「仰ることは分かる。ただ、イザベラ達でも対処できないとなると、我としてはイザベラと対等に渡り合ったゼロ殿ならばどうかと思い至った。それに、特務兵として得ている情報によれば、先のドラゴン・ゾンビの件、ゼロ殿がドラゴン・ゾンビを足止めしていたと聞き及んでいる。決して力不足ではないと判断したのだ」
「かいかぶり過ぎですよ」
「我はそうは思わん。それに此度は我が同行するだけではない。現地では王都の冒険者ギルドで我が依頼した他の冒険者が合流する予定だ。決して力不足にはなるまい」
どちらにせよゼロは指名依頼を断るつもりはない。
「分かりました。直ぐに出発しましょう」
ゼロは立ち上がって依頼受諾の手続きをすべくギルドのカウンターに向かった。
「ヘルムントさんからの依頼を受けます。直ぐに出発します」
依頼受諾の手続きをしようとするゼロの言葉にシーナはいつもの笑顔を見せようとせずに憮然としている。
「ゼロさん!私達との約束を忘れたのですか?ゼロさんはレナさんとパーティーを組んだではありませんか!それなのに1人で行くんですか?」
「そうは言っても今回の依頼は私を指名しての依頼ですから。それに1人で行くわけではありません。依頼主のヘルムントさんが同行しますし、他の冒険者も合流してくるようですから」
それでもシーナは納得していない様子だったが、突然表情を変えて笑顔を浮かべた。
「わかりました。それではゼロさんだけでの依頼受諾でいいのですね?」
「はい」
「本当にいいんですね?」
念を押すシーナの表情にゼロは悪寒を感じた。
いつの間にか背後に何者かが立っているが、今後ろを振り返ってはいけないと本能が訴えかけている。
ゼロの右肩に手をかけられた。
視線だけを右肩に向ければ、そこには細くしなやかな指がかけられているのが見える。
「ゼロ!何をしているの?」
その声にゼロは自分が常に監視されているのではないかと思った。
彼女からは逃れることはできないと悟ったのだった。
結局ゼロはレナに押し切られただけでなく、イズとリズにまで見つかってしまった。
レナだけでなくイズ達からも同行することを求められたヘルムントだが
「魔導師殿の実力は武闘大会で目の当たりにしたが、申し分ないから助力してくれるとありがたい。ダーク、いや、シルバーエルフの2人もかなりの手練れと見受けられる」
と申し立て、レナ達の同行について、追加依頼を出して承諾し、5人は南に向かって旅立つことになった。
「えっ?」
ヘルムントの言葉にシーナは固まった。
「あっ、えっ・・と。あの、ネクロマンサーのゼロさんですか?」
「そのとおり、ゼロ殿に依頼したい」
聞き間違いでなく、ゼロを指名した依頼だ。
しかし、依頼主が聖務院、それも聖騎士団に所属する者であることからシーナは困惑した。
「あのっ、貴方様は聖務院の方ですよね?聖務院の方がネクロマンサーのゼロさんに依頼・・・ですか?」
「然り!」
シーナの懸念など分かりきっているとの表情で頷いた。
「貴殿の心配は分かる。聖務院が何かを企んでゼロ殿に害をもたらすのではないかと懸念しているのだろう?」
「いえ、そこまでは・・・。でも、聖務院の方がゼロさんに依頼を出していいのかな?と思いまして」
「それには心配及ばん。此度の依頼は我が個人的に頼むのだ。多少は教義に反するが、教義に縛られて大局を見逃すのは本末転倒というものだ」
「はぁ・・・。わかりました」
シーナは訝しげながらも依頼受理の手続きを進めた。
「それでは、依頼を受理します。ただ、ゼロさんは2、3日お休みすると言っていましたが、事案の概要からも急いだ方がいいと思いますので呼びに行ってきますのでこちらでお待ちください」
シーナは説明するとゼロを呼びに行くためにギルドを出た。
シーナが行かなければいけない理由はないのだが、ゼロの住む家の周辺の森の中はゼロのアンデッドが警戒という名目で野放しにされているため他の職員は訪問したがらないのである。
シーナ自身も好き好んで立ち入るわけではないが、何度か訪問したことがあり、ある程度は慣れているので自分で呼びに行くことにしたのだった。
シーナに呼び出されたゼロはヘルムントから依頼の詳細を聞いた。
「そうしますと、冒険者のパーティーが次々と行方不明になり、調査に向かったイザベラさん達まで行方不明になったと?」
「そのとおり。南の山奥にある古城に何者かが住み着いたとの依頼で調査に向かったのだ。依頼を出した貴族からの情報では城に至る山に大型の魔物がいるらしいとのことだが、そんなものに遅れを取るような連中ではない」
「なるほど。高位の司祭のみならず特務兵のイザベラさん達までとなると、尋常ではない事態が起きているのでしょう。依頼を引き受けることは構いませんが、イザベラさん達ですら対処出来なかった事態に私では力不足ではありませんか?」
ゼロの心配をよそにヘルムントは自信がありそうだ。
「仰ることは分かる。ただ、イザベラ達でも対処できないとなると、我としてはイザベラと対等に渡り合ったゼロ殿ならばどうかと思い至った。それに、特務兵として得ている情報によれば、先のドラゴン・ゾンビの件、ゼロ殿がドラゴン・ゾンビを足止めしていたと聞き及んでいる。決して力不足ではないと判断したのだ」
「かいかぶり過ぎですよ」
「我はそうは思わん。それに此度は我が同行するだけではない。現地では王都の冒険者ギルドで我が依頼した他の冒険者が合流する予定だ。決して力不足にはなるまい」
どちらにせよゼロは指名依頼を断るつもりはない。
「分かりました。直ぐに出発しましょう」
ゼロは立ち上がって依頼受諾の手続きをすべくギルドのカウンターに向かった。
「ヘルムントさんからの依頼を受けます。直ぐに出発します」
依頼受諾の手続きをしようとするゼロの言葉にシーナはいつもの笑顔を見せようとせずに憮然としている。
「ゼロさん!私達との約束を忘れたのですか?ゼロさんはレナさんとパーティーを組んだではありませんか!それなのに1人で行くんですか?」
「そうは言っても今回の依頼は私を指名しての依頼ですから。それに1人で行くわけではありません。依頼主のヘルムントさんが同行しますし、他の冒険者も合流してくるようですから」
それでもシーナは納得していない様子だったが、突然表情を変えて笑顔を浮かべた。
「わかりました。それではゼロさんだけでの依頼受諾でいいのですね?」
「はい」
「本当にいいんですね?」
念を押すシーナの表情にゼロは悪寒を感じた。
いつの間にか背後に何者かが立っているが、今後ろを振り返ってはいけないと本能が訴えかけている。
ゼロの右肩に手をかけられた。
視線だけを右肩に向ければ、そこには細くしなやかな指がかけられているのが見える。
「ゼロ!何をしているの?」
その声にゼロは自分が常に監視されているのではないかと思った。
彼女からは逃れることはできないと悟ったのだった。
結局ゼロはレナに押し切られただけでなく、イズとリズにまで見つかってしまった。
レナだけでなくイズ達からも同行することを求められたヘルムントだが
「魔導師殿の実力は武闘大会で目の当たりにしたが、申し分ないから助力してくれるとありがたい。ダーク、いや、シルバーエルフの2人もかなりの手練れと見受けられる」
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