75 / 196
決勝戦 イザベラとの再戦
しおりを挟む
ゼロは分銅を回しながらイザベラと間合いを取る。
イザベラのサーベルの間合いの外で分銅の射程内という微妙な距離を保つ。
今日は鎖鎌に連結してあるボーラは外してある。
そんな小細工が通用する相手ではない。
背後に立つレナは様子見をしているようで、魔力の変化は感じられない。
「まずは、戦いの場を綺麗に整えましょう」
イザベラの声にヘルムントが浄化の祈りを展開した。
強力な浄化の結界が闘技場全体を包んだ。
「ヘルムントの浄化は強力ですの。これでアンデッドは呼べませんわよ」
イザベラは勝ち誇ってゼロにサーベルを向ける。
ゼロは分銅を回しながら結界の様子を見ていたが、表情を変えることなくイザベラに冷たい視線を送る。
「それはどうですかね?」
言うや否や無造作にスケルトンナイト3体とスペクター2体、ウィル・オー・ザ・ウィスプ1体、そしてバンシーを召喚した。
いずれもが上位アンデッド、浄化にはある程度の耐性がある。
「強力な結界ですが、彼等ならば問題なさそうです。さあ、死霊術師の戦い、その身で存分に味わってください」
ゼロの合図でアンデッド達が前進する。
「相変わらず、ホントに忌々しいですわ!」
イザベラも浄化の祈りを展開し、それにスケルトンナイト1体が捕らわれて姿を消した。
しかし、直ぐにゼロの前に這い出してくる。
「無駄ですよ。彼等を止めるには私を倒すしかありません」
アンデッドがイザベラを取り囲んで次々と攻撃を加え始めた。
スケルトンナイトの物理攻撃、スペクターの衝撃魔法にウィル・オー・ザ・ウィスプの火炎魔法にバンシーの氷結魔法の波状攻撃である。
イザベラはそれらの攻撃を難なく躱すが、その間隙を突いてゼロの鎖鎌の分銅が投擲され、更にレナの雷撃魔法が襲う。
それすらも全て捌いたイザベラはゼロに向かって跳躍して距離を詰める。
鎧を身に纏っているとは思えない高い跳躍でアンデッドの包囲を飛び越えたイザベラはゼロに肉迫する。
ゼロは分銅を引き戻そうとするが間に合わない。
イザベラのサーベルがゼロの喉元に突き出される直前、ゼロの光熱魔法が光った。
咄嗟に身体を倒して避けたイザベラだが、その額をゼロの魔法が掠め、一筋の傷を刻んだ。
しかし、イザベラは引かない。
そのままゼロに体当たりしてゼロを押し倒すとゼロに馬乗りになってサーベルを振り下ろす。
スケルトンナイトがゼロとイザベラの間に大盾をねじ込んでイザベラのサーベルを受け止めた。
その隙に後方に飛び退いたゼロは直ぐにイザベラに飛びかかり、鎌を振り下ろす。
振り下ろされた鎌をサーベルで受け流したイザベラはサーベルの柄でゼロの腹部を打ち、ゼロが体勢を崩したところに首筋を狙ってサーベルを振り抜いた。
間一髪、ゼロは鎖を張ってイザベラのサーベルを受け流し、即座に分銅を振るう。
唸りを上げた分銅がイザベラの横腹、鎧の装甲が薄い部分を直撃した。
「グッ!」
重い一撃を受けて動きを止めたイザベラを狙ってアンデッド達が躍り掛かるが、その動きが鈍い。
ヘルムントが広範囲浄化を維持しながらより強力な浄化の祈りを展開し、それにスペクターと槍装備のスケルトンナイトが捕まって姿を消す。
他のアンデッドの攻撃もイザベラに躱された。
「やはりアンデッドの動きが鈍い。一度戻しますか・・・。いや、彼等無しでは勝ち目が無くなりますか・・・」
ゼロは再度スケルトンナイトとスペクターを召喚しながら光熱魔法でアンデッドを援護した。
レナもゼロの動きに呼応して雷撃魔法でイザベラを追い詰める。
ゼロ達の猛攻にイザベラは攻勢に転じられずにいた。
「このまま押し切れる、なんてことはないでしょうね」
守りに入っているとはいえイザベラの動きにはまだ余裕がある。
ここで判断を誤れば一気に形勢は逆転するだろう。
「やはりここは攻めの一手です!」
ゼロは自ら前進して分銅を投擲し、イザベラの持つサーベルに絡みつかせた。
一気に引き戻し、イザベラの体勢を崩そうとしたその時、イザベラはなんの躊躇も無くサーベルを手放した。
虚を突かれたゼロが逆に体勢を崩す。
その隙にイザベラが一気に距離を詰める。
やはりアンデッドの追撃が間に合わない。
ゼロは鎌を横薙ぎに振るうが身を翻して躱され、首筋に回し蹴りの直撃を食らった。
イザベラのキツい一撃にゼロは吹き飛ばされ、鎖鎌を手放してしまう。
転がるゼロにサーベルを回収したイザベラが追撃をかける。
レナが火炎弾で援護し、ゼロも袖口に隠した投げナイフを投擲して牽制してイザベラの追撃を鈍らせようとする。
そして、イザベラが火炎弾を躱し、ナイフを叩き落とす間にどうにか体勢を立て直したが、軽い脳震盪を起こしたのか足元がおぼつかず、膝をついてしまう。
「ここまでかしら!」
イザベラがとどめの一撃を繰り出そうとしたその直前、アンデッド達がゼロを守るようにイザベラの前に立ち塞がり、更にその目の前にバンシーが氷の防壁を作りだす。
「チッ!ホントに憎々しくて忌々しいですわ」
イザベラは後ずさりながら舌打ちする。
「聖職者の方にそう言ってもらえると光栄ですよ」
ゼロはゆっくりと立ち上がって剣を抜いた。
イザベラのサーベルの間合いの外で分銅の射程内という微妙な距離を保つ。
今日は鎖鎌に連結してあるボーラは外してある。
そんな小細工が通用する相手ではない。
背後に立つレナは様子見をしているようで、魔力の変化は感じられない。
「まずは、戦いの場を綺麗に整えましょう」
イザベラの声にヘルムントが浄化の祈りを展開した。
強力な浄化の結界が闘技場全体を包んだ。
「ヘルムントの浄化は強力ですの。これでアンデッドは呼べませんわよ」
イザベラは勝ち誇ってゼロにサーベルを向ける。
ゼロは分銅を回しながら結界の様子を見ていたが、表情を変えることなくイザベラに冷たい視線を送る。
「それはどうですかね?」
言うや否や無造作にスケルトンナイト3体とスペクター2体、ウィル・オー・ザ・ウィスプ1体、そしてバンシーを召喚した。
いずれもが上位アンデッド、浄化にはある程度の耐性がある。
「強力な結界ですが、彼等ならば問題なさそうです。さあ、死霊術師の戦い、その身で存分に味わってください」
ゼロの合図でアンデッド達が前進する。
「相変わらず、ホントに忌々しいですわ!」
イザベラも浄化の祈りを展開し、それにスケルトンナイト1体が捕らわれて姿を消した。
しかし、直ぐにゼロの前に這い出してくる。
「無駄ですよ。彼等を止めるには私を倒すしかありません」
アンデッドがイザベラを取り囲んで次々と攻撃を加え始めた。
スケルトンナイトの物理攻撃、スペクターの衝撃魔法にウィル・オー・ザ・ウィスプの火炎魔法にバンシーの氷結魔法の波状攻撃である。
イザベラはそれらの攻撃を難なく躱すが、その間隙を突いてゼロの鎖鎌の分銅が投擲され、更にレナの雷撃魔法が襲う。
それすらも全て捌いたイザベラはゼロに向かって跳躍して距離を詰める。
鎧を身に纏っているとは思えない高い跳躍でアンデッドの包囲を飛び越えたイザベラはゼロに肉迫する。
ゼロは分銅を引き戻そうとするが間に合わない。
イザベラのサーベルがゼロの喉元に突き出される直前、ゼロの光熱魔法が光った。
咄嗟に身体を倒して避けたイザベラだが、その額をゼロの魔法が掠め、一筋の傷を刻んだ。
しかし、イザベラは引かない。
そのままゼロに体当たりしてゼロを押し倒すとゼロに馬乗りになってサーベルを振り下ろす。
スケルトンナイトがゼロとイザベラの間に大盾をねじ込んでイザベラのサーベルを受け止めた。
その隙に後方に飛び退いたゼロは直ぐにイザベラに飛びかかり、鎌を振り下ろす。
振り下ろされた鎌をサーベルで受け流したイザベラはサーベルの柄でゼロの腹部を打ち、ゼロが体勢を崩したところに首筋を狙ってサーベルを振り抜いた。
間一髪、ゼロは鎖を張ってイザベラのサーベルを受け流し、即座に分銅を振るう。
唸りを上げた分銅がイザベラの横腹、鎧の装甲が薄い部分を直撃した。
「グッ!」
重い一撃を受けて動きを止めたイザベラを狙ってアンデッド達が躍り掛かるが、その動きが鈍い。
ヘルムントが広範囲浄化を維持しながらより強力な浄化の祈りを展開し、それにスペクターと槍装備のスケルトンナイトが捕まって姿を消す。
他のアンデッドの攻撃もイザベラに躱された。
「やはりアンデッドの動きが鈍い。一度戻しますか・・・。いや、彼等無しでは勝ち目が無くなりますか・・・」
ゼロは再度スケルトンナイトとスペクターを召喚しながら光熱魔法でアンデッドを援護した。
レナもゼロの動きに呼応して雷撃魔法でイザベラを追い詰める。
ゼロ達の猛攻にイザベラは攻勢に転じられずにいた。
「このまま押し切れる、なんてことはないでしょうね」
守りに入っているとはいえイザベラの動きにはまだ余裕がある。
ここで判断を誤れば一気に形勢は逆転するだろう。
「やはりここは攻めの一手です!」
ゼロは自ら前進して分銅を投擲し、イザベラの持つサーベルに絡みつかせた。
一気に引き戻し、イザベラの体勢を崩そうとしたその時、イザベラはなんの躊躇も無くサーベルを手放した。
虚を突かれたゼロが逆に体勢を崩す。
その隙にイザベラが一気に距離を詰める。
やはりアンデッドの追撃が間に合わない。
ゼロは鎌を横薙ぎに振るうが身を翻して躱され、首筋に回し蹴りの直撃を食らった。
イザベラのキツい一撃にゼロは吹き飛ばされ、鎖鎌を手放してしまう。
転がるゼロにサーベルを回収したイザベラが追撃をかける。
レナが火炎弾で援護し、ゼロも袖口に隠した投げナイフを投擲して牽制してイザベラの追撃を鈍らせようとする。
そして、イザベラが火炎弾を躱し、ナイフを叩き落とす間にどうにか体勢を立て直したが、軽い脳震盪を起こしたのか足元がおぼつかず、膝をついてしまう。
「ここまでかしら!」
イザベラがとどめの一撃を繰り出そうとしたその直前、アンデッド達がゼロを守るようにイザベラの前に立ち塞がり、更にその目の前にバンシーが氷の防壁を作りだす。
「チッ!ホントに憎々しくて忌々しいですわ」
イザベラは後ずさりながら舌打ちする。
「聖職者の方にそう言ってもらえると光栄ですよ」
ゼロはゆっくりと立ち上がって剣を抜いた。
0
お気に入りに追加
284
あなたにおすすめの小説
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
夫から国外追放を言い渡されました
杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。
どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。
抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。
そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる
兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。
「お姉様の赤ちゃん、私にちょうだい?」
サイコちゃん
恋愛
実家に妊娠を知らせた途端、妹からお腹の子をくれと言われた。姉であるイヴェットは自分の持ち物や恋人をいつも妹に奪われてきた。しかし赤ん坊をくれというのはあまりに酷過ぎる。そのことを夫に相談すると、彼は「良かったね! 家族ぐるみで育ててもらえるんだね!」と言い放った。妹と両親が異常であることを伝えても、夫は理解を示してくれない。やがて夫婦は離婚してイヴェットはひとり苦境へ立ち向かうことになったが、“医術と魔術の天才”である治療人アランが彼女に味方して――
父が再婚してから酷い目に遭いましたが、最終的に皆罪人にして差し上げました
四季
恋愛
母親が亡くなり、父親に新しい妻が来てからというもの、私はいじめられ続けた。
だが、ただいじめられただけで終わる私ではない……!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる