66 / 196
休息
しおりを挟む
ゼロとレナが控え室に戻るとシーナが満面の笑みを浮かべて2人を待っていた。
「初戦突破、おめでとうございます!強敵のミラーさんに勝つなんて!流石はゼロさんです!」
ゼロは肩を竦めた。
「いや、ギリギリですよ。アンデッドの手を借りてどうにか勝てましたが、剣技だけでは勝てたかどうか・・・」
「あら?剣だけでも勝ち目があったの?」
レナがふと気付く。
「まあ、剣だけでも勝機が無かったわけではありませんでしたね」
話しながらミラーの大剣をまともに受けた自分の剣を点検している。
流石はモースの打った剣だけあって問題はない。
「次の第2試合はマイルズさんの出番ですね。ゼロさん、見に行きましょう」
シーナが誘うがゼロは首を振る。
「止めておきます。マイルズさんの勝利は間違いないと思いますが、2回戦で戦うことを楽しみにしておきますよ。それよりも疲れましたし、お腹も空きましたよ」
ゼロは話しながら立ち上がって歩き出したが、ゼロがそう言うのならばレナ達も続くしかなかった。
その夜、3人はギルドの食堂でささやかながら勝利の祝杯をあげた。
その席でレナはゼロに一つの質問をした。
「そういえば、今日の対戦だけど、なぜバンシーを召喚しなかったの?普段はスケルトンの他に真っ先にバンシーを呼ぶじゃない?」
「演出ですよ。アンデッドとしてはインパクトの薄い彼女よりもスペクターの方が雰囲気があるでしょう?それに、バンシーの本気の攻撃は泣き声による精神攻撃ですよ?そんな攻撃をしたら観客まで目を回してしまうじゃないですか」
ゼロは果実酒を飲みながら答えた。
明日は1回戦2日目なのでやることはない、ゆっくり休めるので少しだけ飲酒することにしたのだ。
「予想通りマイルズさんも勝ったようですね。水の都市の銀等級の冒険者さん相手でしたが、結果はマイルズさんの圧勝だったようです。凄いですね」
シーナの報告にゼロは杯を傾けながら頷いた。
「本気のマイルズさんとの対決ですか、いやはや恐ろしいですね」
「その割には楽しみのようね?」
「まあ、約束ですからね」
「で、明後日はサポートの私はどうしたらいいのかしら?」
レナの問いにゼロは首を振った。
「明後日はレナさんは出場しないでください。多分マイルズさんも1人で出てくると思います。真正面からの一騎打ちで挑みますよ」
そう決意するゼロの目は闘志に燃えていた。
レナもゼロがそう決めたならば異論はない。
それならば、2回戦はシーナと共に観戦することにした。
その時、ギルドの食堂に1回戦でゼロに敗れたミラーが青年魔術師を連れて訪ねてきて、ゼロの姿を見るや笑顔で声をかけてきた。
「おう、ここにいたか。あの後直ぐに控え室に行ったんだが、行き違いになっちまってな」
ズカズカと歩み寄ってきたミラーは大声で話しながら近くにあった椅子を引き寄せて座り、給仕を呼んで5人分の酒を注文した。
「奢らせてくれ!今日の対決は完敗だった。世界は広いってことを思い知らされたぜ!」
運ばれてきた酒を豪快に飲み干しながらミラーは笑った。
「いや、正直言って私もギリギリの勝負でしたよ」
「ハハハッ!俺もな、大抵の奴には勝てると自惚れていた、それを教えてくれただけで感謝しているよ。それにな、ネクロマンサーとの戦いなんて貴重な体験だった。いい経験になったぜ、ありがとうよ」
ミラーは経験したことの無かったネクロマンサーとの戦いについて、その敗北すらも貪欲に自分の糧とし、そのことをゼロに感謝している、さっぱりとした性格の持ち主だった。
ミラーに付き従う青年魔術師にしても自分の力不足を認めてレナに色々と質問している。
2人とも精鋭の呼び名の高い国境警備隊員だけのことはあり、敗北からも何かを学び取っていた。
そしてミラーはゼロの肩を組み
「俺達も優勝を狙っていたんで大会期間中は休暇を取っていたから明日からはすることがない。だからお前の試合を見届けるぞ!お前が勝ち上がってくれれば1回戦で負けたとしても、俺の面目が立つってもんだ。簡単に負けるんじゃねえぞ!」
と激励した。
その夜はミラーのペースに飲まれながらも心地よい晩餐を楽しんだのであった。
そして、翌日のゼロはギルドの自室にこもり、コンディションを整えることに専念した。
ミラーとの戦いのダメージは無いが、疲労は残っているので休息を取り、回復しなければならない。
その日のゼロは食事以外で部屋の外に出てくることは無く、マイルズとの対決に向けてひたすらに集中していた。
そして大会3日目、2回戦マイルズとの対決の時を迎えた。
「初戦突破、おめでとうございます!強敵のミラーさんに勝つなんて!流石はゼロさんです!」
ゼロは肩を竦めた。
「いや、ギリギリですよ。アンデッドの手を借りてどうにか勝てましたが、剣技だけでは勝てたかどうか・・・」
「あら?剣だけでも勝ち目があったの?」
レナがふと気付く。
「まあ、剣だけでも勝機が無かったわけではありませんでしたね」
話しながらミラーの大剣をまともに受けた自分の剣を点検している。
流石はモースの打った剣だけあって問題はない。
「次の第2試合はマイルズさんの出番ですね。ゼロさん、見に行きましょう」
シーナが誘うがゼロは首を振る。
「止めておきます。マイルズさんの勝利は間違いないと思いますが、2回戦で戦うことを楽しみにしておきますよ。それよりも疲れましたし、お腹も空きましたよ」
ゼロは話しながら立ち上がって歩き出したが、ゼロがそう言うのならばレナ達も続くしかなかった。
その夜、3人はギルドの食堂でささやかながら勝利の祝杯をあげた。
その席でレナはゼロに一つの質問をした。
「そういえば、今日の対戦だけど、なぜバンシーを召喚しなかったの?普段はスケルトンの他に真っ先にバンシーを呼ぶじゃない?」
「演出ですよ。アンデッドとしてはインパクトの薄い彼女よりもスペクターの方が雰囲気があるでしょう?それに、バンシーの本気の攻撃は泣き声による精神攻撃ですよ?そんな攻撃をしたら観客まで目を回してしまうじゃないですか」
ゼロは果実酒を飲みながら答えた。
明日は1回戦2日目なのでやることはない、ゆっくり休めるので少しだけ飲酒することにしたのだ。
「予想通りマイルズさんも勝ったようですね。水の都市の銀等級の冒険者さん相手でしたが、結果はマイルズさんの圧勝だったようです。凄いですね」
シーナの報告にゼロは杯を傾けながら頷いた。
「本気のマイルズさんとの対決ですか、いやはや恐ろしいですね」
「その割には楽しみのようね?」
「まあ、約束ですからね」
「で、明後日はサポートの私はどうしたらいいのかしら?」
レナの問いにゼロは首を振った。
「明後日はレナさんは出場しないでください。多分マイルズさんも1人で出てくると思います。真正面からの一騎打ちで挑みますよ」
そう決意するゼロの目は闘志に燃えていた。
レナもゼロがそう決めたならば異論はない。
それならば、2回戦はシーナと共に観戦することにした。
その時、ギルドの食堂に1回戦でゼロに敗れたミラーが青年魔術師を連れて訪ねてきて、ゼロの姿を見るや笑顔で声をかけてきた。
「おう、ここにいたか。あの後直ぐに控え室に行ったんだが、行き違いになっちまってな」
ズカズカと歩み寄ってきたミラーは大声で話しながら近くにあった椅子を引き寄せて座り、給仕を呼んで5人分の酒を注文した。
「奢らせてくれ!今日の対決は完敗だった。世界は広いってことを思い知らされたぜ!」
運ばれてきた酒を豪快に飲み干しながらミラーは笑った。
「いや、正直言って私もギリギリの勝負でしたよ」
「ハハハッ!俺もな、大抵の奴には勝てると自惚れていた、それを教えてくれただけで感謝しているよ。それにな、ネクロマンサーとの戦いなんて貴重な体験だった。いい経験になったぜ、ありがとうよ」
ミラーは経験したことの無かったネクロマンサーとの戦いについて、その敗北すらも貪欲に自分の糧とし、そのことをゼロに感謝している、さっぱりとした性格の持ち主だった。
ミラーに付き従う青年魔術師にしても自分の力不足を認めてレナに色々と質問している。
2人とも精鋭の呼び名の高い国境警備隊員だけのことはあり、敗北からも何かを学び取っていた。
そしてミラーはゼロの肩を組み
「俺達も優勝を狙っていたんで大会期間中は休暇を取っていたから明日からはすることがない。だからお前の試合を見届けるぞ!お前が勝ち上がってくれれば1回戦で負けたとしても、俺の面目が立つってもんだ。簡単に負けるんじゃねえぞ!」
と激励した。
その夜はミラーのペースに飲まれながらも心地よい晩餐を楽しんだのであった。
そして、翌日のゼロはギルドの自室にこもり、コンディションを整えることに専念した。
ミラーとの戦いのダメージは無いが、疲労は残っているので休息を取り、回復しなければならない。
その日のゼロは食事以外で部屋の外に出てくることは無く、マイルズとの対決に向けてひたすらに集中していた。
そして大会3日目、2回戦マイルズとの対決の時を迎えた。
0
お気に入りに追加
286
あなたにおすすめの小説

側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。

絶対婚約いたしません。させられました。案の定、婚約破棄されました
toyjoy11
ファンタジー
婚約破棄ものではあるのだけど、どちらかと言うと反乱もの。
残酷シーンが多く含まれます。
誰も高位貴族が婚約者になりたがらない第一王子と婚約者になったミルフィーユ・レモナンド侯爵令嬢。
両親に
「絶対アレと婚約しません。もしも、させるんでしたら、私は、クーデターを起こしてやります。」
と宣言した彼女は有言実行をするのだった。
一応、転生者ではあるものの元10歳児。チートはありません。
4/5 21時完結予定。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる