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死の森の主4
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早速ゼロ達は死の森から少し外れた場所に移動して準備を始めた。
まずリズをシルバーエルフの集落に向かわせて度数の強い酒や油を集めるように依頼した。
エレメンタルイーターに対して火炎攻撃を行う際に威力を増すためだ。
リズが集落に走る間にイズは地の精霊魔法を使いゼロが指定した場所に大きな穴を開けた。
20メートル四方、深さ10メートル程の大穴だが、それですらエレメンタルイーターに対する落とし穴としては十分ではない。
「ゼロ様、相手は地の精霊魔法を使います。仮に落とすことに成功したとしても、効果は期待できないのではありませんか?」
イズは感じた疑問をゼロに問いかけたが、その疑問はゼロも予測済みである。
「たしかに、このままでは落とし穴としては効果は望めませんね。この穴は奴を足止めするためのもので、落ちた奴を焼く竃です」
そういうとゼロは複数のスケルトンを呼び出して死の森に向かわせて落ちている枯れ枝を集めさせ、穴の底に敷きつめた。
「薪ですか?」
イズの言葉にゼロが頷く。
「そうです。死の森にある枯れ木は丁度よく乾いていますし、樹脂が付着してますからよく燃えそうですよ」
ゼロはスケルトンを指揮しながら枝を敷きつめた後に穴に枝や枯れ葉を被せて擬装した。
更に周囲に大量の枯れ枝を集めさせている。
「この枝は?穴に入れないのですか?」
堆く積まれた枝を前にイズは首を傾げる。
「この枝は奴を落として火を焼べた後に上に被せるためのものです。その方がよく焼けそうじゃないですか」
まるでパイでも焼こうとしているかのような軽々しさでゼロが答えた。
イズが周囲を見渡せばスケルトンの集団が枝を集めたり自分達が潜むための穴を掘っていた。
「しかし、アンデッドの人海戦術ですか?便利なものですね」
「そうですね。彼等はこういった作業には非常に向いていますよ」
ゼロとイズとアンデッド達は着々と戦いの準備を整えていった。
リズが集落に向かってから2日、彼女は集落からの応援のシルバーエルフ4名と共に戻ってきた。
ドワーフと違ってあまり酒に強くない彼等の集落に度数の高い酒はあまり無いが、燃料や儀式用に備蓄してあったアルコールとありったけの油を揃えてきた。
それらを前にゼロは満足げに頷く。
「さあ、準備は整いました。始めましょうか」
ゼロはイズとリズ、応援のシルバーエルフに作戦を説明した。
「あとは奴をここまで案内するだけです。追跡のスペクターからの情報では奴は私達との戦闘の後、火炎攻撃が効いたのか森に潜んで回復をしようと大人しくしているようですね」
そう言うとバンシーを召喚した。
「まあ、奴に対して囮はスペクターでもいいのですが、貴女の方が見た目で美味しそうですからね。前回の意趣返しの意味も含めて貴女に命じます。奴をここまで誘導してきてください」
バンシーは涙を浮かべた瞳で微笑みながらゼロに向かってお決まりのカーテシーをすると
「畏まりました、主様」
言い残して死の森の奥に向かって飛び去り、ゼロは唖然としながらその姿を見送った。
「今、喋りましたか?」
バンシーが死の森の奥に向かってから数時間、周囲の空気に変化が表れた。
その変化にいち早く気が付いたのはイズだった。
「周囲の精霊が騒がしくなってきました。近づいてます」
「分かりました。リズさん、準備をお願いします。左目を任せます。私は右目を潰します」
ゼロは魔力を高めながらエレメンタルイーターが飛び出してくる予測地点を凝視した。
エレメンタルイーターが突進して枯れ木を薙ぎ倒す音が聞こえくる。
落とし穴を挟んで左右にゼロと弓を構えたリズが、スケルトンは枯れ葉の下や小さな穴の中に潜み、周辺の木の上にはイズと応援のシルバーエルフが待機する。
「来ましたね」
ゼロが呟いたその時、茂みの中からバンシーと追跡に放っていたスペクターが飛び出してきた。
「主様、今です」
バンシーが声を上げるや否や、バンシー達を追って来たエレメンタルイーターがその姿を現した。
「リズさん!」
ゼロの合図でリズはエレメンタルイーターの左目を狙いすまして矢を放ち、それと同時にゼロの光熱魔法がエレメンタルイーターの右目を貫いた。
両目を潰されたエレメンタルイーターはバランスを崩し、そのまま落とし穴に脚を取られて落下した。
即座にゼロは複数のウィル・オー・ザ・ウィスプを召喚して最大火力で落とし穴に火を放つ。
放たれた炎は程よく乾いた枯れ枝に一気に燃え広がり、穴の中を炎で包んだ。
グアァァァ!
炎に包まれたエレメンタルイーターは凄まじい声を上げてもがき苦しむ。
「次の段階です。始めなさい」
ゼロの号令で周囲に潜んでいたスケルトンが行動を開始し、次々と穴の中に薪を投げ込み、イズ達も用意しておいた酒や油を穴に投げ込んだ。
穴の中の火力が一気に増し、炎が渦を巻いて立ち上る。
エレメンタルイーターは地の精霊魔法を使って落とし穴から脱出しようとするが、イズが同じく精霊魔法で妨害してそれを許さない。
「さあ、どうですか。時間はかかるでしょうが、このまま焼き尽くしてあげますよ」
ゼロは次々とウィル・オー・ザ・ウィスプを召喚して絶え間なく炎を放つ。
やがて落とし穴からどうにか這い出してきたエレメンタルイーターは炎を振り解こうと暴れ回るがその体にこびり付いた油や樹脂、そして皮膚自体に燃え移った炎は容易に消すことができない。
その間にもウィル・オー・ザ・ウィスプの攻撃が続き、徐々にエレメンタルイーターの生命力を削っていく。
「このままいきます」
今回はゼロの心に隙はなかった。
エレメンタルイーターが倒れるその時まで手を緩めるつもりはなかった。
しかし、運命の悪戯か、エレメンタルイーターによる抵抗か、突如として天に雨雲が広がったかと思うと激しい豪雨を呼び寄せた。
「まさか!偶然にしてはタイミングが悪すぎます。奴の精霊魔法ですか?」
激しい雨はエレメンタルイーターの体に纏わりついた炎を徐々に洗い流し、更にウィル・オー・ザ・ウィスプの力を削ぎ落としていく。
「いけません!このままでは形勢が逆転します」
ゼロはウィル・オー・ザ・ウィスプによる攻撃を諦めて自ら光熱魔法を次々と叩き込む。
リズ達弓を持つシルバーエルフも援護するが、瀕死だった筈のエレメンタルイーターは徐々に回復していく。
「このままではいけません。ここで奴に回復を許したら打つ手が無くなります」
ゼロはスケルトンに近接戦闘の用意をさせ、自らも剣を抜いた。
イズも両手にサーベルを構える。
「こうなったら直接攻撃です。奴が回復する前でないと。危険ですがこの手しかありません」
「はい、ゼロ様!お供します!」
ゼロとイズは頷き合った。
「とつげ・・・」
「プラズマランス!」
バチッ!バリバリバリッ!
ゼロ達がエレメンタルイーターに突撃しようとした、まさにその時、周囲に眩い光と激しい轟音が響き渡った。
まずリズをシルバーエルフの集落に向かわせて度数の強い酒や油を集めるように依頼した。
エレメンタルイーターに対して火炎攻撃を行う際に威力を増すためだ。
リズが集落に走る間にイズは地の精霊魔法を使いゼロが指定した場所に大きな穴を開けた。
20メートル四方、深さ10メートル程の大穴だが、それですらエレメンタルイーターに対する落とし穴としては十分ではない。
「ゼロ様、相手は地の精霊魔法を使います。仮に落とすことに成功したとしても、効果は期待できないのではありませんか?」
イズは感じた疑問をゼロに問いかけたが、その疑問はゼロも予測済みである。
「たしかに、このままでは落とし穴としては効果は望めませんね。この穴は奴を足止めするためのもので、落ちた奴を焼く竃です」
そういうとゼロは複数のスケルトンを呼び出して死の森に向かわせて落ちている枯れ枝を集めさせ、穴の底に敷きつめた。
「薪ですか?」
イズの言葉にゼロが頷く。
「そうです。死の森にある枯れ木は丁度よく乾いていますし、樹脂が付着してますからよく燃えそうですよ」
ゼロはスケルトンを指揮しながら枝を敷きつめた後に穴に枝や枯れ葉を被せて擬装した。
更に周囲に大量の枯れ枝を集めさせている。
「この枝は?穴に入れないのですか?」
堆く積まれた枝を前にイズは首を傾げる。
「この枝は奴を落として火を焼べた後に上に被せるためのものです。その方がよく焼けそうじゃないですか」
まるでパイでも焼こうとしているかのような軽々しさでゼロが答えた。
イズが周囲を見渡せばスケルトンの集団が枝を集めたり自分達が潜むための穴を掘っていた。
「しかし、アンデッドの人海戦術ですか?便利なものですね」
「そうですね。彼等はこういった作業には非常に向いていますよ」
ゼロとイズとアンデッド達は着々と戦いの準備を整えていった。
リズが集落に向かってから2日、彼女は集落からの応援のシルバーエルフ4名と共に戻ってきた。
ドワーフと違ってあまり酒に強くない彼等の集落に度数の高い酒はあまり無いが、燃料や儀式用に備蓄してあったアルコールとありったけの油を揃えてきた。
それらを前にゼロは満足げに頷く。
「さあ、準備は整いました。始めましょうか」
ゼロはイズとリズ、応援のシルバーエルフに作戦を説明した。
「あとは奴をここまで案内するだけです。追跡のスペクターからの情報では奴は私達との戦闘の後、火炎攻撃が効いたのか森に潜んで回復をしようと大人しくしているようですね」
そう言うとバンシーを召喚した。
「まあ、奴に対して囮はスペクターでもいいのですが、貴女の方が見た目で美味しそうですからね。前回の意趣返しの意味も含めて貴女に命じます。奴をここまで誘導してきてください」
バンシーは涙を浮かべた瞳で微笑みながらゼロに向かってお決まりのカーテシーをすると
「畏まりました、主様」
言い残して死の森の奥に向かって飛び去り、ゼロは唖然としながらその姿を見送った。
「今、喋りましたか?」
バンシーが死の森の奥に向かってから数時間、周囲の空気に変化が表れた。
その変化にいち早く気が付いたのはイズだった。
「周囲の精霊が騒がしくなってきました。近づいてます」
「分かりました。リズさん、準備をお願いします。左目を任せます。私は右目を潰します」
ゼロは魔力を高めながらエレメンタルイーターが飛び出してくる予測地点を凝視した。
エレメンタルイーターが突進して枯れ木を薙ぎ倒す音が聞こえくる。
落とし穴を挟んで左右にゼロと弓を構えたリズが、スケルトンは枯れ葉の下や小さな穴の中に潜み、周辺の木の上にはイズと応援のシルバーエルフが待機する。
「来ましたね」
ゼロが呟いたその時、茂みの中からバンシーと追跡に放っていたスペクターが飛び出してきた。
「主様、今です」
バンシーが声を上げるや否や、バンシー達を追って来たエレメンタルイーターがその姿を現した。
「リズさん!」
ゼロの合図でリズはエレメンタルイーターの左目を狙いすまして矢を放ち、それと同時にゼロの光熱魔法がエレメンタルイーターの右目を貫いた。
両目を潰されたエレメンタルイーターはバランスを崩し、そのまま落とし穴に脚を取られて落下した。
即座にゼロは複数のウィル・オー・ザ・ウィスプを召喚して最大火力で落とし穴に火を放つ。
放たれた炎は程よく乾いた枯れ枝に一気に燃え広がり、穴の中を炎で包んだ。
グアァァァ!
炎に包まれたエレメンタルイーターは凄まじい声を上げてもがき苦しむ。
「次の段階です。始めなさい」
ゼロの号令で周囲に潜んでいたスケルトンが行動を開始し、次々と穴の中に薪を投げ込み、イズ達も用意しておいた酒や油を穴に投げ込んだ。
穴の中の火力が一気に増し、炎が渦を巻いて立ち上る。
エレメンタルイーターは地の精霊魔法を使って落とし穴から脱出しようとするが、イズが同じく精霊魔法で妨害してそれを許さない。
「さあ、どうですか。時間はかかるでしょうが、このまま焼き尽くしてあげますよ」
ゼロは次々とウィル・オー・ザ・ウィスプを召喚して絶え間なく炎を放つ。
やがて落とし穴からどうにか這い出してきたエレメンタルイーターは炎を振り解こうと暴れ回るがその体にこびり付いた油や樹脂、そして皮膚自体に燃え移った炎は容易に消すことができない。
その間にもウィル・オー・ザ・ウィスプの攻撃が続き、徐々にエレメンタルイーターの生命力を削っていく。
「このままいきます」
今回はゼロの心に隙はなかった。
エレメンタルイーターが倒れるその時まで手を緩めるつもりはなかった。
しかし、運命の悪戯か、エレメンタルイーターによる抵抗か、突如として天に雨雲が広がったかと思うと激しい豪雨を呼び寄せた。
「まさか!偶然にしてはタイミングが悪すぎます。奴の精霊魔法ですか?」
激しい雨はエレメンタルイーターの体に纏わりついた炎を徐々に洗い流し、更にウィル・オー・ザ・ウィスプの力を削ぎ落としていく。
「いけません!このままでは形勢が逆転します」
ゼロはウィル・オー・ザ・ウィスプによる攻撃を諦めて自ら光熱魔法を次々と叩き込む。
リズ達弓を持つシルバーエルフも援護するが、瀕死だった筈のエレメンタルイーターは徐々に回復していく。
「このままではいけません。ここで奴に回復を許したら打つ手が無くなります」
ゼロはスケルトンに近接戦闘の用意をさせ、自らも剣を抜いた。
イズも両手にサーベルを構える。
「こうなったら直接攻撃です。奴が回復する前でないと。危険ですがこの手しかありません」
「はい、ゼロ様!お供します!」
ゼロとイズは頷き合った。
「とつげ・・・」
「プラズマランス!」
バチッ!バリバリバリッ!
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