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ある魔術師の冒険2
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風の都市に戻ったレナはギルドで依頼達成の報酬を受け取った後、受付のカウンターにいたシーナに声をかけた。
「誰か鍛冶師を紹介してくれませんか?」
「鍛冶師ですか?レナさんが?」
「はい。ちょっと思うところがありまして、自衛の為の武器を持ちたいと思いました」
シーナは笑顔で頷いて立ち上がった。
「そういうことでしたら、いい鍛冶師さんを紹介します。ギルド長に紹介状を貰ってきますのでお待ちください。」
受付で待つこと数分、ギルド長の部屋から戻ったシーナは1通の封書を差し出す。
「こちらが紹介状です。モースさんという鍛冶師さんのお店です。」
レナはギルドを出たその足で紹介されたモースの鍛冶屋に向かった。
モースは店を訪ねてきた客を見て面食らった。
扉を開けて店に入ってきた若い女性は明らかに魔術師、体つきを見ても間違いなく前衛職ではない。
どう考えてもモースの剣を扱える筋力はない。
店にあるショートソードや細身のレイピアならば多少は扱えるかもしれないが、それすらも疑問だった。
首に下げた認識票は紫だ、紫等級の魔術師ならばそれなりの実力のはずであり、今まで剣に頼らずに生き残ってきたのではないだろうか。
「娘さん、こんな裏路地の鍛冶屋に何のようだね?見たところ、お前さんは魔術師か何かだろう?」
モースの問いを受けた魔術師のレナは紹介状を差し出した。
「私は冒険者、魔術師のレナ・ルファードです。身を守るための武器が欲しいので相談に乗って欲しいのです」
「詳しく話してみなさい」
モースはレナに椅子を勧めた。
「お察しのとおり私は魔術師です。今までは魔術の力のみで生き抜いてきました。でも、先日の戦闘において自分の認識の甘さを痛感しました。魔力に頼らなくても少なくとも自分の身を守る必要があることを実感したのです。」
モースは頷きながら話を聞いていた。
「なるほどの。儂の友人にもそういった考えの奴がいるがの、その考えは全く持って正しいと思うぞ。お前さんもギルドに所属しているならば知っているだろうが、ネクロマンサーのクセに最前線で剣を振りたがる変わり者だ」
「ゼロのことですか?」
「知っているのか?ならば話は早い。奴の剣は5年以上前に儂が打った剣だ」
「そうだったんですか?」
「お前さんと同じくギルドからの紹介での。彼奴め、なまじ剣の腕が立つものだから魔物やらを斬りまくっている割には全く剣が傷まない。全く金にならない客だよ」
それを聞いたレナはクスクスと笑った。
「さて、お前さんの武器のことだが、うちにある在庫の中でお前さんが扱えそうなのはショートソードか、レイピアくらいのもんだが、剣の心得は少しくらいはあるのか?」
レナは首を振った。
「正直に言って全くありません」
「だろうの。だとしたら在庫の剣では扱えなかろう。そうなると新しい剣を打つことになるぞ」
「お願いします」
「よし、手を見せてみなさい」
モースは差し出されたレナの手を確認した。
傷一つ無い手で腕も細い。
細身軽量の剣でなければ扱えないが、その程度の剣を打つのは造作もない。
「ふむ、剣を打つのはよいが、心得のないお前さんが実戦で使いこなせるようになれるのか?」
「それについては何か訓練を考えます」
モースはレナの持つ杖を見た。
「一つ聞くが、その杖は何か特別な素材かね?」
「?いえ、埋め込まれているのは魔力を帯びた特別な宝石ですが、杖本体は特別な物ではなく、ただの樫の木です」
「つまり、埋め込まれた宝石があれば良いのか?」
「はい、杖の方が使い勝手がいいので杖に埋め込んでいますが、別に杖である必要はありません。丈夫な樫の木なので打撃用にも使ってました」
「ふむ・・・なるほど」
モースは思案する。
レナは既に杖を持ち歩いているので新たに剣を持つとなるとレナの負担が大きくなる。
杖は持っているが、杖本体はただの樫の木で必要なのは埋め込まれている宝石だけ、だとすると・・・。
モースの頭に浮かんだ剣のイメージをレナに説明し、レナの承諾を得る。
「よし、引き受けよう。ちょうど他の注文もないから10日もあれば十分だ。ただし、儂が打つのはただの剣だ、剣自体には魔力はないし、特別な力もない。ただ、扱いやすさと切れ味だけは保証してやる。それでもいいかね?」
「はい、よろしくお願いします」
正式な契約を結び、レナの剣がモースの手により打たれることとなった。
「誰か鍛冶師を紹介してくれませんか?」
「鍛冶師ですか?レナさんが?」
「はい。ちょっと思うところがありまして、自衛の為の武器を持ちたいと思いました」
シーナは笑顔で頷いて立ち上がった。
「そういうことでしたら、いい鍛冶師さんを紹介します。ギルド長に紹介状を貰ってきますのでお待ちください。」
受付で待つこと数分、ギルド長の部屋から戻ったシーナは1通の封書を差し出す。
「こちらが紹介状です。モースさんという鍛冶師さんのお店です。」
レナはギルドを出たその足で紹介されたモースの鍛冶屋に向かった。
モースは店を訪ねてきた客を見て面食らった。
扉を開けて店に入ってきた若い女性は明らかに魔術師、体つきを見ても間違いなく前衛職ではない。
どう考えてもモースの剣を扱える筋力はない。
店にあるショートソードや細身のレイピアならば多少は扱えるかもしれないが、それすらも疑問だった。
首に下げた認識票は紫だ、紫等級の魔術師ならばそれなりの実力のはずであり、今まで剣に頼らずに生き残ってきたのではないだろうか。
「娘さん、こんな裏路地の鍛冶屋に何のようだね?見たところ、お前さんは魔術師か何かだろう?」
モースの問いを受けた魔術師のレナは紹介状を差し出した。
「私は冒険者、魔術師のレナ・ルファードです。身を守るための武器が欲しいので相談に乗って欲しいのです」
「詳しく話してみなさい」
モースはレナに椅子を勧めた。
「お察しのとおり私は魔術師です。今までは魔術の力のみで生き抜いてきました。でも、先日の戦闘において自分の認識の甘さを痛感しました。魔力に頼らなくても少なくとも自分の身を守る必要があることを実感したのです。」
モースは頷きながら話を聞いていた。
「なるほどの。儂の友人にもそういった考えの奴がいるがの、その考えは全く持って正しいと思うぞ。お前さんもギルドに所属しているならば知っているだろうが、ネクロマンサーのクセに最前線で剣を振りたがる変わり者だ」
「ゼロのことですか?」
「知っているのか?ならば話は早い。奴の剣は5年以上前に儂が打った剣だ」
「そうだったんですか?」
「お前さんと同じくギルドからの紹介での。彼奴め、なまじ剣の腕が立つものだから魔物やらを斬りまくっている割には全く剣が傷まない。全く金にならない客だよ」
それを聞いたレナはクスクスと笑った。
「さて、お前さんの武器のことだが、うちにある在庫の中でお前さんが扱えそうなのはショートソードか、レイピアくらいのもんだが、剣の心得は少しくらいはあるのか?」
レナは首を振った。
「正直に言って全くありません」
「だろうの。だとしたら在庫の剣では扱えなかろう。そうなると新しい剣を打つことになるぞ」
「お願いします」
「よし、手を見せてみなさい」
モースは差し出されたレナの手を確認した。
傷一つ無い手で腕も細い。
細身軽量の剣でなければ扱えないが、その程度の剣を打つのは造作もない。
「ふむ、剣を打つのはよいが、心得のないお前さんが実戦で使いこなせるようになれるのか?」
「それについては何か訓練を考えます」
モースはレナの持つ杖を見た。
「一つ聞くが、その杖は何か特別な素材かね?」
「?いえ、埋め込まれているのは魔力を帯びた特別な宝石ですが、杖本体は特別な物ではなく、ただの樫の木です」
「つまり、埋め込まれた宝石があれば良いのか?」
「はい、杖の方が使い勝手がいいので杖に埋め込んでいますが、別に杖である必要はありません。丈夫な樫の木なので打撃用にも使ってました」
「ふむ・・・なるほど」
モースは思案する。
レナは既に杖を持ち歩いているので新たに剣を持つとなるとレナの負担が大きくなる。
杖は持っているが、杖本体はただの樫の木で必要なのは埋め込まれている宝石だけ、だとすると・・・。
モースの頭に浮かんだ剣のイメージをレナに説明し、レナの承諾を得る。
「よし、引き受けよう。ちょうど他の注文もないから10日もあれば十分だ。ただし、儂が打つのはただの剣だ、剣自体には魔力はないし、特別な力もない。ただ、扱いやすさと切れ味だけは保証してやる。それでもいいかね?」
「はい、よろしくお願いします」
正式な契約を結び、レナの剣がモースの手により打たれることとなった。
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