34 / 34
エピローグ
2 霊能者、はじめます!
しおりを挟む
「ところで菜月」
「なに?」
「もう一度確認するけど、僕の側にいると、菜月も僕と同じ側の人間になる。それがイヤなら前にも言ったけれど、僕とは距離をおいた方がいい。そうすれば普通の、いつもの日常を取り戻せる」
「うん……」
霊は怖いし、視たくない。
霊に頼られても、翔流くんのように、自分には何もしてあげられない。
でも、こうして仲良くなった翔流くんと、距離をおくことになるのは寂しい。
だって私、翔流くんのことが気になるの。
そう思った瞬間、頬が火照り始めた。
「顔が赤いけど、だいじょうぶか」
「え? 赤くないから、ぜんぜん赤く……」
唇を噛みしめてうつむく菜月の姿を、翔流は首を傾げながら見る。
「あのね、私、翔流くんとは、これからも、仲良くしたいなって、思ってる」
最後の方はほとんど聞き取れないくらい小さな声だった。
菜月が言った言葉を聞き取れたのか、どうかわからないが、翔流はにこりと笑った。
「視えるって能力は普通の人にはない力だから、もしかしたら、これから怖い思いをするかもしれない。でも、菜月のことは、僕が守る」
守ると言った翔流の言葉に、菜月は動揺してさらに耳まで真っ赤になる。
でも、この世になにかしらの思いを残し、成仏しきれずにいる霊たちの声を聞き、問題を解決する翔流くんの仕事を少しでも手伝えたらいいなと思ったのは事実。
「わ、私、翔流くんを超える霊能者になるかもよ!」
動揺していることを誤魔化すように、菜月は冗談交じりに言う。
「じゃあ、僕たちコンビを組もう」
「翔流くんと?」
うん、と翔流はうなずく。
霊能者、はじめます!
「なに?」
「もう一度確認するけど、僕の側にいると、菜月も僕と同じ側の人間になる。それがイヤなら前にも言ったけれど、僕とは距離をおいた方がいい。そうすれば普通の、いつもの日常を取り戻せる」
「うん……」
霊は怖いし、視たくない。
霊に頼られても、翔流くんのように、自分には何もしてあげられない。
でも、こうして仲良くなった翔流くんと、距離をおくことになるのは寂しい。
だって私、翔流くんのことが気になるの。
そう思った瞬間、頬が火照り始めた。
「顔が赤いけど、だいじょうぶか」
「え? 赤くないから、ぜんぜん赤く……」
唇を噛みしめてうつむく菜月の姿を、翔流は首を傾げながら見る。
「あのね、私、翔流くんとは、これからも、仲良くしたいなって、思ってる」
最後の方はほとんど聞き取れないくらい小さな声だった。
菜月が言った言葉を聞き取れたのか、どうかわからないが、翔流はにこりと笑った。
「視えるって能力は普通の人にはない力だから、もしかしたら、これから怖い思いをするかもしれない。でも、菜月のことは、僕が守る」
守ると言った翔流の言葉に、菜月は動揺してさらに耳まで真っ赤になる。
でも、この世になにかしらの思いを残し、成仏しきれずにいる霊たちの声を聞き、問題を解決する翔流くんの仕事を少しでも手伝えたらいいなと思ったのは事実。
「わ、私、翔流くんを超える霊能者になるかもよ!」
動揺していることを誤魔化すように、菜月は冗談交じりに言う。
「じゃあ、僕たちコンビを組もう」
「翔流くんと?」
うん、と翔流はうなずく。
霊能者、はじめます!
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話
赤髪命
大衆娯楽
少し田舎の土地にある女子校、華水黄杏女学園の1年生のあるクラスの乗ったバスが校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれてしまい、急遽トイレ休憩のために立ち寄った小さな公園のトイレでクラスの女子がトイレを済ませる話です(分かりにくくてすみません。詳しくは本文を読んで下さい)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる