5 / 34
第1章 学校一のイケメン 鴻巣翔流の正体は!
4 山城まどかと取り巻きたち
しおりを挟む
翌日
親友の暎子と一緒に登校した菜月は、教室に入るなり、クラスのみんなに囲まれた。
「車にひかれそうになったって聞いて、心配したよ」
「学校に来てだいじょうぶなの?」
「ありがとう。この通りなんともないの。翔流くんに……」
助けてもらったと、言いかけて菜月は口を閉ざす。
ちらりと窓際に座る翔流を見る。
彼は頬杖をつき、窓の外を眺めていた。
「え、何? 翔流くんがどうしたの」
女子たちがざわめきだした。
背が高くて整った顔立ち。
頭もよく、スポーツ万能。
時どき、ああやって遠くを見つめている姿もミステリアスだと、女子たちの間で翔流は人気が高い。
学校一のイケメンといわれ、学年とはず、毎日のように誰かしらから告白を受けている。けれど、翔流はその告白を、ことごとく断っている。
だから、翔流に今のところ彼女はいない。
改めて、昨日助けてくれたお礼と、怪我のことを聞こうと、菜月は椅子から立ち上がったその時、背後からドンと強い衝撃を受け、足をよろめかせた。
誰かがぶつかってきたのだ。
ぶつかってきた相手は菜月のことなどおかまいなしに、真っ直ぐ翔流の元へと歩み寄る。
男の子たちの間から、おお、と嬉しそうな声があがった。
現れたのは、隣のクラスの山城まどかだ。
モデル級のきれいな子で、男子たちの憧れの存在である。
派手な雰囲気で人を引きつける彼女の回りには、いつも取り巻きが多い。
「翔流くん、ちょっといいかしら」
まどかは軽く腕を組み、小首を傾げた。
窓の外を見ていた翔流は頬杖をついたまま、ゆっくりとまどかを見上げる。
まどかは口角を上げ、にこりと微笑む。
「おお……まどかさんが微笑んだ」
「やっぱ、かわいいな~」
周りにいた男子たちが、だらしない顔でニヤけている。
「あのね、まどかのお友達がね、翔流くんと、お話がしたいって言うの」
まどかは人差し指を軽く口元に当て、くすりと笑う。
「この子よ」
こっちに来なさい、とまどかは後方にいる取り巻きの一人を手招きする。
まどかと目があったその女子は、おどおどとした様子で前に進み出た。
ぽっちゃりした体型に、髪を後ろで一つに束ねた、よく言えば真面目そう、悪く言えば地味目の女の子だ。
まどかのいる派手なグループには、少し浮いた存在に見えた。
「この子、小山佳珠子っていって、翔流くんのことが好きで告白したいんだって」
まどかの発言に、クラス中がざわついた。
ひそひそ声が耳に入る。
「翔流くんに告白したいってあの子、正気?」
「違うわよ。まどかに嫌がらせされてんのよ」
ああ、という納得の声が周りからもれる。
佳珠子は顔を真っ赤にしながらうつむきいている。
濡れたような口紅を塗ったまどかの唇に、小悪魔的な笑みが広がる。
「だから、まどかね。勇気を出して告白してみたら、って言ったの。ほら佳珠子、翔流くんが目の前にいるよ。告白のチャンスだよ、がんばって。まどか、応援するよ」
「手作りクッキーを渡すんでしょ?」
「ハート型のクッキーをね!」
まどかの取り巻きたちも、佳珠子をせっついては、クツクツと忍び笑う。
教室がしんとなる。
クラス中の視線が、佳珠子に注目する。
「なーにが、応援するよ。あの意地悪女。最悪ー」
親友の暎子が、菜月の耳元でこそっと呟いた。するとまどかが、きっとなって振り返った。
「今あたしの悪口言わなかった! 誰? 聞こえたわよ!」
「はーい、意地悪女だなんて、あたし、言ってませーん」
ニタリと笑って暎子が手をあげる。
文句を言いたいところをぐっとこらえ、まどかは、ちっと舌打ちを鳴らした。
その顔がゆがむ。
愛らしい顔がだいなしの、すさまじい表情であった。
学年一の秀才である暎子には、まどかも一目置いている。
だから、何も言い返せないのだ。
だが、それがまずかった。
かわりに、まどかの苛立ちの矛先が、佳珠子に向けられるはめになる。
「佳珠子、はやく告りなさいよ。せっかくまどかが翔流くんとお話しできる機会を作ってあげたのよ」
「うん……」
耳まで顔を真っ赤にした佳珠子は、手に持っていた小さな包みを翔流の前に差し出した。
「あの、鴻巣くん……クッキー作ったの。よかったら食べてください……」
消え入りそうな声で佳珠子は言う。
「翔流くんに言いたいことは、それだけじゃないでしょう」
「でも、あたしなんか……」
佳珠子は泣きそうな目でまどかをみる。
「言ってみないとわからないじゃない。ほら、勇気を出して!」
告白の後押しをしているようで、単なる嫌がらせだ。
半眼になったまどかの目が、佳珠子を見据える。
言うことをきかないと、あたしたちの仲間に入れてあげないよ、と言っているようであった。
「あのね、あたしずっと前から、翔流くんのことが好き……」
震える声で、たどたどしく言う佳珠子の言葉を最後まで聞かず、翔流は遮った。
「気持ち悪っ」
そう言って翔流は椅子から立ち上がり、教室を出て行こうと足早に去って行く。
一方、気持ち悪いと言われた佳珠子は、顔に手を当て、わあっと泣きだした。
まどかの取り巻きたちが、お腹を抱えて笑い出す。
「気持ち悪いって、いくらなんでもないわー」
「仕方がないわよ。そもそも翔流くんと佳珠子じゃ、レベルが全然違うもの。釣り合わない感じ? 本気で付き合えると思ってたのかなあ」
まどかは口元に手を当て、おかしそうに笑った。
「ひどい!」
泣きながら、佳珠子はまどかを睨みつける。
「ええ! ひどいって、そんなこと言われるなんて心外。あたしは佳珠子の恋を応援しようと思っただけなのに。ひどいのは佳珠子よ」
嘘泣きを始めるまどかの周りを、男子たちがここぞとばかりに寄ってきて、ご機嫌をとり始めた。
「まどかさん、泣かないで」
「だって、まどかが悪いって言うんだよ。まどかのせいなの?」
男たちは揃って首を横に振る。
「まどかさんは全然悪くないです!」
そんなまどかから菜月は視線を外し、教室を出て行く翔流の後ろ姿を目で追った。
親友の暎子と一緒に登校した菜月は、教室に入るなり、クラスのみんなに囲まれた。
「車にひかれそうになったって聞いて、心配したよ」
「学校に来てだいじょうぶなの?」
「ありがとう。この通りなんともないの。翔流くんに……」
助けてもらったと、言いかけて菜月は口を閉ざす。
ちらりと窓際に座る翔流を見る。
彼は頬杖をつき、窓の外を眺めていた。
「え、何? 翔流くんがどうしたの」
女子たちがざわめきだした。
背が高くて整った顔立ち。
頭もよく、スポーツ万能。
時どき、ああやって遠くを見つめている姿もミステリアスだと、女子たちの間で翔流は人気が高い。
学校一のイケメンといわれ、学年とはず、毎日のように誰かしらから告白を受けている。けれど、翔流はその告白を、ことごとく断っている。
だから、翔流に今のところ彼女はいない。
改めて、昨日助けてくれたお礼と、怪我のことを聞こうと、菜月は椅子から立ち上がったその時、背後からドンと強い衝撃を受け、足をよろめかせた。
誰かがぶつかってきたのだ。
ぶつかってきた相手は菜月のことなどおかまいなしに、真っ直ぐ翔流の元へと歩み寄る。
男の子たちの間から、おお、と嬉しそうな声があがった。
現れたのは、隣のクラスの山城まどかだ。
モデル級のきれいな子で、男子たちの憧れの存在である。
派手な雰囲気で人を引きつける彼女の回りには、いつも取り巻きが多い。
「翔流くん、ちょっといいかしら」
まどかは軽く腕を組み、小首を傾げた。
窓の外を見ていた翔流は頬杖をついたまま、ゆっくりとまどかを見上げる。
まどかは口角を上げ、にこりと微笑む。
「おお……まどかさんが微笑んだ」
「やっぱ、かわいいな~」
周りにいた男子たちが、だらしない顔でニヤけている。
「あのね、まどかのお友達がね、翔流くんと、お話がしたいって言うの」
まどかは人差し指を軽く口元に当て、くすりと笑う。
「この子よ」
こっちに来なさい、とまどかは後方にいる取り巻きの一人を手招きする。
まどかと目があったその女子は、おどおどとした様子で前に進み出た。
ぽっちゃりした体型に、髪を後ろで一つに束ねた、よく言えば真面目そう、悪く言えば地味目の女の子だ。
まどかのいる派手なグループには、少し浮いた存在に見えた。
「この子、小山佳珠子っていって、翔流くんのことが好きで告白したいんだって」
まどかの発言に、クラス中がざわついた。
ひそひそ声が耳に入る。
「翔流くんに告白したいってあの子、正気?」
「違うわよ。まどかに嫌がらせされてんのよ」
ああ、という納得の声が周りからもれる。
佳珠子は顔を真っ赤にしながらうつむきいている。
濡れたような口紅を塗ったまどかの唇に、小悪魔的な笑みが広がる。
「だから、まどかね。勇気を出して告白してみたら、って言ったの。ほら佳珠子、翔流くんが目の前にいるよ。告白のチャンスだよ、がんばって。まどか、応援するよ」
「手作りクッキーを渡すんでしょ?」
「ハート型のクッキーをね!」
まどかの取り巻きたちも、佳珠子をせっついては、クツクツと忍び笑う。
教室がしんとなる。
クラス中の視線が、佳珠子に注目する。
「なーにが、応援するよ。あの意地悪女。最悪ー」
親友の暎子が、菜月の耳元でこそっと呟いた。するとまどかが、きっとなって振り返った。
「今あたしの悪口言わなかった! 誰? 聞こえたわよ!」
「はーい、意地悪女だなんて、あたし、言ってませーん」
ニタリと笑って暎子が手をあげる。
文句を言いたいところをぐっとこらえ、まどかは、ちっと舌打ちを鳴らした。
その顔がゆがむ。
愛らしい顔がだいなしの、すさまじい表情であった。
学年一の秀才である暎子には、まどかも一目置いている。
だから、何も言い返せないのだ。
だが、それがまずかった。
かわりに、まどかの苛立ちの矛先が、佳珠子に向けられるはめになる。
「佳珠子、はやく告りなさいよ。せっかくまどかが翔流くんとお話しできる機会を作ってあげたのよ」
「うん……」
耳まで顔を真っ赤にした佳珠子は、手に持っていた小さな包みを翔流の前に差し出した。
「あの、鴻巣くん……クッキー作ったの。よかったら食べてください……」
消え入りそうな声で佳珠子は言う。
「翔流くんに言いたいことは、それだけじゃないでしょう」
「でも、あたしなんか……」
佳珠子は泣きそうな目でまどかをみる。
「言ってみないとわからないじゃない。ほら、勇気を出して!」
告白の後押しをしているようで、単なる嫌がらせだ。
半眼になったまどかの目が、佳珠子を見据える。
言うことをきかないと、あたしたちの仲間に入れてあげないよ、と言っているようであった。
「あのね、あたしずっと前から、翔流くんのことが好き……」
震える声で、たどたどしく言う佳珠子の言葉を最後まで聞かず、翔流は遮った。
「気持ち悪っ」
そう言って翔流は椅子から立ち上がり、教室を出て行こうと足早に去って行く。
一方、気持ち悪いと言われた佳珠子は、顔に手を当て、わあっと泣きだした。
まどかの取り巻きたちが、お腹を抱えて笑い出す。
「気持ち悪いって、いくらなんでもないわー」
「仕方がないわよ。そもそも翔流くんと佳珠子じゃ、レベルが全然違うもの。釣り合わない感じ? 本気で付き合えると思ってたのかなあ」
まどかは口元に手を当て、おかしそうに笑った。
「ひどい!」
泣きながら、佳珠子はまどかを睨みつける。
「ええ! ひどいって、そんなこと言われるなんて心外。あたしは佳珠子の恋を応援しようと思っただけなのに。ひどいのは佳珠子よ」
嘘泣きを始めるまどかの周りを、男子たちがここぞとばかりに寄ってきて、ご機嫌をとり始めた。
「まどかさん、泣かないで」
「だって、まどかが悪いって言うんだよ。まどかのせいなの?」
男たちは揃って首を横に振る。
「まどかさんは全然悪くないです!」
そんなまどかから菜月は視線を外し、教室を出て行く翔流の後ろ姿を目で追った。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説

こちら御神楽学園心霊部!
緒方あきら
児童書・童話
取りつかれ体質の主人公、月城灯里が霊に憑かれた事を切っ掛けに心霊部に入部する。そこに数々の心霊体験が舞い込んでくる。事件を解決するごとに部員との絆は深まっていく。けれど、彼らにやってくる心霊事件は身の毛がよだつ恐ろしいものばかりで――。
灯里は取りつかれ体質で、事あるごとに幽霊に取りつかれる。
それがきっかけで学校の心霊部に入部する事になったが、いくつもの事件がやってきて――。
。
部屋に異音がなり、主人公を怯えさせる【トッテさん】。
前世から続く呪いにより死に導かれる生徒を救うが、彼にあげたお札は一週間でボロボロになってしまう【前世の名前】。
通ってはいけない道を通り、自分の影を失い、荒れた祠を修復し祈りを捧げて解決を試みる【竹林の道】。
どこまでもついて来る影が、家まで辿り着いたと安心した主人公の耳元に突然囁きかけてさっていく【楽しかった?】。
封印されていたものを解き放つと、それは江戸時代に封じられた幽霊。彼は門吉と名乗り主人公たちは土地神にするべく扱う【首無し地蔵】。
決して話してはいけない怪談を話してしまい、クラスメイトの背中に危険な影が現れ、咄嗟にこの話は嘘だったと弁明し霊を払う【嘘つき先生】。
事故死してさ迷う亡霊と出くわしてしまう。気付かぬふりをしてやり過ごすがすれ違い様に「見えてるくせに」と囁かれ襲われる【交差点】。
ひたすら振返らせようとする霊、駅まで着いたがトンネルを走る窓が鏡のようになり憑りついた霊の禍々しい姿を見る事になる【うしろ】。
都市伝説の噂を元に、エレベーターで消えてしまった生徒。記憶からさえもその存在を消す神隠し。心霊部は総出で生徒の救出を行った【異世界エレベーター】。
延々と名前を問う不気味な声【名前】。
10の怪異譚からなる心霊ホラー。心霊部の活躍は続いていく。
【完】ことうの怪物いっか ~夏休みに親子で漂流したのは怪物島!? 吸血鬼と人造人間に育てられた女の子を救出せよ! ~
丹斗大巴
児童書・童話
どきどきヒヤヒヤの夏休み!小学生とその両親が流れ着いたのは、モンスターの住む孤島!?
*☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆*
夏休み、家族で出掛けた先でクルーザーが転覆し、漂流した青山親子の3人。とある島に流れ着くと、古風で顔色の悪い外国人と、大怪我を負ったという気味の悪い執事、そしてあどけない少女が住んでいた。なんと、彼らの正体は吸血鬼と、その吸血鬼に作られた人造人間! 人間の少女を救い出し、無事に島から脱出できるのか……!?
*☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆*
家族のきずなと種を超えた友情の物語。
山姥(やまんば)
野松 彦秋
児童書・童話
小学校5年生の仲良し3人組の、テッカ(佐上哲也)、カッチ(野田克彦)、ナオケン(犬塚直哉)。
実は3人とも、同じクラスの女委員長の松本いずみに片思いをしている。
小学校の宿泊研修を楽しみにしていた4人。ある日、宿泊研修の目的地が3枚の御札の昔話が生まれた山である事が分かる。
しかも、10年前自分達の学校の先輩がその山で失踪していた事実がわかる。
行方不明者3名のうち、一人だけ帰って来た先輩がいるという事を知り、興味本位でその人に会いに行く事を思いつく3人。
3人の意中の女の子、委員長松本いずみもその計画に興味を持ち、4人はその先輩に会いに行く事にする。
それが、恐怖の夏休みの始まりであった。
山姥が実在し、4人に危険が迫る。
4人は、信頼する大人達に助けを求めるが、その結果大事な人を失う事に、状況はどんどん悪くなる。
山姥の執拗な追跡に、彼らは生き残る事が出来るのか!
児童絵本館のオオカミ
火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。
荒川ハツコイ物語~宇宙から来た少女と過ごした小学生最後の夏休み~
釈 余白(しやく)
ライト文芸
今より少し前の時代には、子供らが荒川土手に集まって遊ぶのは当たり前だったらしい。野球をしたり凧揚げをしたり釣りをしたり、時には決闘したり下級生の自転車練習に付き合ったりと様々だ。
そんな話を親から聞かされながら育ったせいなのか、僕らの遊び場はもっぱら荒川土手だった。もちろん小学生最後となる六年生の夏休みもいつもと変わらず、いつものように幼馴染で集まってありきたりの遊びに精を出す毎日である。
そして今日は鯉釣りの予定だ。今まで一度も釣り上げたことのない鯉を小学生のうちに釣り上げるのが僕、田口暦(たぐち こよみ)の目標だった。
今日こそはと強い意気込みで釣りを始めた僕だったが、初めての鯉と出会う前に自分を宇宙人だと言う女子、ミクに出会い一目で恋に落ちてしまった。だが夏休みが終わるころには自分の星へ帰ってしまうと言う。
かくして小学生最後の夏休みは、彼女が帰る前に何でもいいから忘れられないくらいの思い出を作り、特別なものにするという目的が最優先となったのだった。
はたして初めての鯉と初めての恋の両方を成就させることができるのだろうか。
おっとりドンの童歌
花田 一劫
児童書・童話
いつもおっとりしているドン(道明寺僚) が、通学途中で暴走車に引かれてしまった。
意識を失い気が付くと、この世では見たことのない奇妙な部屋の中。
「どこ。どこ。ここはどこ?」と自問していたら、こっちに雀が近づいて来た。
なんと、その雀は歌をうたい狂ったように踊って(跳ねて)いた。
「チュン。チュン。はあ~。らっせーら。らっせいら。らせらせ、らせーら。」と。
その雀が言うことには、ドンが死んだことを(津軽弁や古いギャグを交えて)伝えに来た者だという。
道明寺が下の世界を覗くと、テレビのドラマで観た昔話の風景のようだった。
その中には、自分と瓜二つのドン助や同級生の瓜二つのハナちゃん、ヤーミ、イート、ヨウカイ、カトッぺがいた。
みんながいる村では、ヌエという妖怪がいた。
ヌエとは、顔は鬼、身体は熊、虎の手や足をもち、何とシッポの先に大蛇の頭がついてあり、人を食べる恐ろしい妖怪のことだった。
ある時、ハナちゃんがヌエに攫われて、ドン助とヤーミがヌエを退治に行くことになるが、天界からドラマを観るように楽しんで鑑賞していた道明寺だったが、道明寺の体は消え、意識はドン助の体と同化していった。
ドン助とヤーミは、ハナちゃんを救出できたのか?恐ろしいヌエは退治できたのか?

ぼくの家族は…内緒だよ!!
まりぃべる
児童書・童話
うちの家族は、ふつうとちょっと違うんだって。ぼくには良く分からないけど、友だちや知らない人がいるところでは力を隠さなきゃならないんだ。本気で走ってはダメとか、ジャンプも手を抜け、とかいろいろ守らないといけない約束がある。面倒だけど、約束破ったら引っ越さないといけないって言われてるから面倒だけど仕方なく守ってる。
それでね、十二月なんて一年で一番忙しくなるからぼく、いやなんだけど。
そんなぼくの話、聞いてくれる?
☆まりぃべるの世界観です。楽しんでもらえたら嬉しいです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる