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第2章 念願の魔道士になりました!
マルセルとルッツの企み 2
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「開けて! 誰かここから出して!」
何度も扉を叩き大声で叫んだ。けれど、どんなに叫んでも激しく扉を叩いても、誰かが助けに来てくれる気配はなく、ただ無情にも時が過ぎていくばかりであった。
「お願い、開けて! 誰か……」
扉にひたいを押しつける。
「お師匠様……助けて」
叫ぶ声がしだいに呟き声に変わり、扉を叩く手が徐々に弱々しくなっていく。
どうして、と悲痛な声をもらし、ツェツイはその場に座り込む。
用を済ませお師匠様の元へ戻ろうとしたところへ、ルッツに呼び止められたのだ。
マルセルが、この間のことで謝りたいからちょっと来てほしいと言われて。
ツェツイはちらりと時計台に視線を上げた。
「忙しいなら、今でなくてもいいんだけど……」
ルッツはそう言ったが、試験開始時刻まで、まだ少し時間があったし、自分もマルセルのことを叩いたことを謝りたいとずっと思っていた。けれど、自分からマルセルに言い出す勇気もなく、常にお師匠様が側にいたこともあって……だから、マルセルからそう言ってもらえて、ほんとに嬉しかった。この時を逃すと、謝る機会を失うのではないかと思って。
マルセルに会って謝って、すぐにお師匠様のところへ戻ればいいと思っていた。
「マルセルがさ、この間はやりすぎたって……その……反省してて……それに、君のこと怪我させちゃって……ずっと気にしてたんだ……」
最初は、どうしてマルセル本人が来ないのかという疑問も、どこか歯切れの悪い調子で喋るルッツの様子も、この時のツェツイはまったく不審にも思わなかった。けれど、どんどん〝灯〟の裏庭から、お師匠様の側から離れていくことに不安を覚え始めたものの、それでも、まだこの時のツェツイは二人を疑うことはなかった。
連れられた場所は〝灯〟の西側にある建物の最上階。
その一番奥の部屋の前で、マルセルは腕を組んで立っていた。
「ごめんね……」
すっと、視線を斜めにそらし、ルッツは申し訳なさそうに小声で言う。
この時のルッツのごめんねを、ツェツイは深く考えていなかった。
突然呼び出してごめんね、という意味だと思ったが、今思えば、騙すような真似をしてごめんねと言っていたのだ。
「マルセル……?」
不意にマルセルに腕をつかみとられ、奥の部屋へ押し込められ、扉に鍵をかけられた。扉が閉まる直前、マルセルが意地悪な笑みを浮かべて自分を見下ろしている姿と、目をそらしたままうなだれているルッツの姿が目に入った。
閉ざされた扉の向こうでおかしそうに笑うマルセルの声を聞く。
「おまえ、今日は試験の日なんだってな。十一時からだっけ? ああ、早く行かないと間に合わなくなるな。それにしても、そんな大切な日にのこのこ騙されてやってくるおまえもほんとバカだよな。正真正銘のバカ」
ようやくツェツイは、自分が二人にはめられたのだということに気づく。
すぐに立ち上がり扉にしがみつく。
「開けて!」
「ああ、開けてやるよ。頃合いをみてそのうちね。それまでせいぜい足掻いてるといいさ。おまえ、優秀な魔道士なんだろ? どうしても試験を受けたければ、自分でどうにかするんだな。じゃあな」
マルセルとルッツの足音が遠ざかっていく。やがて、その足音も聞こえなくなった。押しても引いても何をしても扉は開かず、ならば窓からの脱出を試みようとして愕然とした。
落ちたら絶対に助からない高さだった。部屋を見渡すと、雑然と物が積まれほこりをかぶっている。普段使われていない部屋なのだろう。
人気もないこんな部屋に閉じこめたということは、マルセルたちは冗談やおふざけではなく、本気で自分を潰しにかかっているということだ。ツェツイははっとなって顔を上げる。
「試験の時間!」
窓辺から大きく身を乗り出し〝灯〟の時計台を見る。試験開始まで後五分。
何とかここから抜け出したとしても、とうてい間に合わない。
もう、あきらめるしか。そんな考えが頭を過ぎりかけ、いいえ、とツェツイはくじけかけた心を叱咤する。最後の最後まであきらめたりはしない。
ぐっと手を強く握りしめる。
覚悟を決め、窓枠に手をかけよじ登る。
狭い窓の縁に立ち上がり、思わず眼下を見下ろし足をすくませた。
地上を歩く人たちが豆粒にしか見えない。ここから助けを求めても声が届かないことはすでに試した。
お師匠様と夕陽を見たあの日、木から飛び降りた時にふわりと身体が浮く感覚を思い出す。
あの方法で、ここから降りる方法は? しかし、ツェツイは首を振る。
もうそんな時間の余裕も悠長なことをやっている暇もない。いや、それよりもこの高さから地上へと降りるまで魔術を使い続ける集中力が持つかどうか自信がなかった。
魔術が途切れた瞬間、地上へと真っ逆さまだ。
ツェツイはごくりと唾を飲み込んだ。残されたたった一つの方法が脳裏をよぎる。
空間移動で直接試験場へ飛べば確実だ。それならば、ぎりぎり間に合う。けれど、空間移動は上級魔術。試したことなどあるわけもなく、唱えられたとしても、目的の場所へ移動できるとは限らない。最悪、時空の狭間へと迷い込み、元の場所へ戻れなくなるおそれもあるのだ。腕の未熟な魔道士が、好奇心とあるいは己の力を過信して空間魔術を使い、帰ってくることができなくなったという事故もよくあると聞いた。
だが、このまま何もしないでいるのはお師匠様に顔向けができない。
やるしかない。でも、とツェツイは身体を震わせた。
もし、失敗して時の狭間にさまようことになったら。帰ってくることもできず、そこで、ずっとひとりぼっちになったら。そもそも、時の狭間とはどういうところなのだろう。
何より、そうなったら、お師匠様ともう会うこともできない。
こわい……あたしにはできない。自信がない。
その時、強風が吹き抜けた。ひるがえったスカートを反射的に手で押さえる。
風にあおられ身体がぐらついた。よろめいた足が何もない虚空を踏む。
あっ、と声を上げた次の瞬間には、身体ががくりと沈んだ。
慌てて窓の縁に手を伸ばすが、その手はむなしく空をつかんだだけ。
何度も扉を叩き大声で叫んだ。けれど、どんなに叫んでも激しく扉を叩いても、誰かが助けに来てくれる気配はなく、ただ無情にも時が過ぎていくばかりであった。
「お願い、開けて! 誰か……」
扉にひたいを押しつける。
「お師匠様……助けて」
叫ぶ声がしだいに呟き声に変わり、扉を叩く手が徐々に弱々しくなっていく。
どうして、と悲痛な声をもらし、ツェツイはその場に座り込む。
用を済ませお師匠様の元へ戻ろうとしたところへ、ルッツに呼び止められたのだ。
マルセルが、この間のことで謝りたいからちょっと来てほしいと言われて。
ツェツイはちらりと時計台に視線を上げた。
「忙しいなら、今でなくてもいいんだけど……」
ルッツはそう言ったが、試験開始時刻まで、まだ少し時間があったし、自分もマルセルのことを叩いたことを謝りたいとずっと思っていた。けれど、自分からマルセルに言い出す勇気もなく、常にお師匠様が側にいたこともあって……だから、マルセルからそう言ってもらえて、ほんとに嬉しかった。この時を逃すと、謝る機会を失うのではないかと思って。
マルセルに会って謝って、すぐにお師匠様のところへ戻ればいいと思っていた。
「マルセルがさ、この間はやりすぎたって……その……反省してて……それに、君のこと怪我させちゃって……ずっと気にしてたんだ……」
最初は、どうしてマルセル本人が来ないのかという疑問も、どこか歯切れの悪い調子で喋るルッツの様子も、この時のツェツイはまったく不審にも思わなかった。けれど、どんどん〝灯〟の裏庭から、お師匠様の側から離れていくことに不安を覚え始めたものの、それでも、まだこの時のツェツイは二人を疑うことはなかった。
連れられた場所は〝灯〟の西側にある建物の最上階。
その一番奥の部屋の前で、マルセルは腕を組んで立っていた。
「ごめんね……」
すっと、視線を斜めにそらし、ルッツは申し訳なさそうに小声で言う。
この時のルッツのごめんねを、ツェツイは深く考えていなかった。
突然呼び出してごめんね、という意味だと思ったが、今思えば、騙すような真似をしてごめんねと言っていたのだ。
「マルセル……?」
不意にマルセルに腕をつかみとられ、奥の部屋へ押し込められ、扉に鍵をかけられた。扉が閉まる直前、マルセルが意地悪な笑みを浮かべて自分を見下ろしている姿と、目をそらしたままうなだれているルッツの姿が目に入った。
閉ざされた扉の向こうでおかしそうに笑うマルセルの声を聞く。
「おまえ、今日は試験の日なんだってな。十一時からだっけ? ああ、早く行かないと間に合わなくなるな。それにしても、そんな大切な日にのこのこ騙されてやってくるおまえもほんとバカだよな。正真正銘のバカ」
ようやくツェツイは、自分が二人にはめられたのだということに気づく。
すぐに立ち上がり扉にしがみつく。
「開けて!」
「ああ、開けてやるよ。頃合いをみてそのうちね。それまでせいぜい足掻いてるといいさ。おまえ、優秀な魔道士なんだろ? どうしても試験を受けたければ、自分でどうにかするんだな。じゃあな」
マルセルとルッツの足音が遠ざかっていく。やがて、その足音も聞こえなくなった。押しても引いても何をしても扉は開かず、ならば窓からの脱出を試みようとして愕然とした。
落ちたら絶対に助からない高さだった。部屋を見渡すと、雑然と物が積まれほこりをかぶっている。普段使われていない部屋なのだろう。
人気もないこんな部屋に閉じこめたということは、マルセルたちは冗談やおふざけではなく、本気で自分を潰しにかかっているということだ。ツェツイははっとなって顔を上げる。
「試験の時間!」
窓辺から大きく身を乗り出し〝灯〟の時計台を見る。試験開始まで後五分。
何とかここから抜け出したとしても、とうてい間に合わない。
もう、あきらめるしか。そんな考えが頭を過ぎりかけ、いいえ、とツェツイはくじけかけた心を叱咤する。最後の最後まであきらめたりはしない。
ぐっと手を強く握りしめる。
覚悟を決め、窓枠に手をかけよじ登る。
狭い窓の縁に立ち上がり、思わず眼下を見下ろし足をすくませた。
地上を歩く人たちが豆粒にしか見えない。ここから助けを求めても声が届かないことはすでに試した。
お師匠様と夕陽を見たあの日、木から飛び降りた時にふわりと身体が浮く感覚を思い出す。
あの方法で、ここから降りる方法は? しかし、ツェツイは首を振る。
もうそんな時間の余裕も悠長なことをやっている暇もない。いや、それよりもこの高さから地上へと降りるまで魔術を使い続ける集中力が持つかどうか自信がなかった。
魔術が途切れた瞬間、地上へと真っ逆さまだ。
ツェツイはごくりと唾を飲み込んだ。残されたたった一つの方法が脳裏をよぎる。
空間移動で直接試験場へ飛べば確実だ。それならば、ぎりぎり間に合う。けれど、空間移動は上級魔術。試したことなどあるわけもなく、唱えられたとしても、目的の場所へ移動できるとは限らない。最悪、時空の狭間へと迷い込み、元の場所へ戻れなくなるおそれもあるのだ。腕の未熟な魔道士が、好奇心とあるいは己の力を過信して空間魔術を使い、帰ってくることができなくなったという事故もよくあると聞いた。
だが、このまま何もしないでいるのはお師匠様に顔向けができない。
やるしかない。でも、とツェツイは身体を震わせた。
もし、失敗して時の狭間にさまようことになったら。帰ってくることもできず、そこで、ずっとひとりぼっちになったら。そもそも、時の狭間とはどういうところなのだろう。
何より、そうなったら、お師匠様ともう会うこともできない。
こわい……あたしにはできない。自信がない。
その時、強風が吹き抜けた。ひるがえったスカートを反射的に手で押さえる。
風にあおられ身体がぐらついた。よろめいた足が何もない虚空を踏む。
あっ、と声を上げた次の瞬間には、身体ががくりと沈んだ。
慌てて窓の縁に手を伸ばすが、その手はむなしく空をつかんだだけ。
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