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公子十三面相
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いやいや……生徒の諸君。そんな、遠くから珍獣を見る目で見られても困るんだが……。
さっさと買うなら買って消えてくれ。
そにしても……男子比率……多いな。
「おい、お前ら何してんだ……。あ、佐倉さん。こんにちは。先ほどはどうも!
いやぁ……恥ずかしながら僕ね、独身!独身なんですよ~。だからお弁当作ってくれる人がいなくてさぁ~。毎日ここで、パンを買ってるんです。いやぁ~佐倉さんの様な、可愛らしい!人が来てくれて良かったです。明日からの楽しみが出来ちゃいましたよ~。そう言えばーー」
いや……話し長ぇわ!あと声……うっせえわ!私みたいな模範人間を見習え!小さな頃からちっちゃい優等生を見習え!
えっと……筋肉ダルマ男だっけ?肌くっろ……。腕の血管気……持ち悪……黒い肌から見える歯も白すぎてきもいし……。
ニカッと歯を出して、オチで笑うなって!お前の家の犬が転んで笑った話しなんか。毛ほどの興味もねぇんだって……。
そして……はよぅ、いね(帰れ)!子供達がパン買えねぇだろが!まぁ、ガキ共も動かないんだが……。これ、どうすりゃいいんだ?
「筋美先生、パン買いたいんですけど~」
「お?ふゆきか!お前、今日はちゃんと来たんだな!」
「イタイ、イタイ!先生叩きすぎ。力強いんだから加減してよ」
「あぁ。すまん!コイツね、たまにしか学校来ないんですよ!出席日数もギリギリ!佐倉さんも何か言ってやってくださいよ」
「そ、そうなんですね……」
おい、筋肉!何かって、何をだよ!
孤独を愛し、孤独に愛された、蠱毒女、公子!に言える事は、孤独はジャスティス!位しかねぇんだよ!
「も~良いから。俺らパン買わないと昼休み終わっちゃうじゃん」
「それもそうだな、公子さん牛乳とアンパンを……はや!凄いですね!カールルイスもビックリの早さ……」
「先生!早く!」
「ん、あぁ。おい!お前ら!公子さんに迷惑かけるんじゃないぞ!……じゃ、何かあったら、この、筋美成男に言ってくださいね!」
「あ、ありがとうございます」
だから、歯を見せるな……。まぁ、きんびなるお?私に迷惑をかけないように言った事に対しては1ポイントやろう。
だから何でみんな、手を振っていくんだ。マイナス10ポイント!
「さくら……きみこさんって言うんだね。俺、木下冬樹!ふゆきって呼んでね!まさきじゃないよ!じゃ、俺はクリームパンと、コロッケパンをくださ……はや!」
「よろしく……」
チッ……。覚えてやがったか……。まぁ、さっき会ってから、10分やそこらだしな……。
まぁいい、騒然とした感じかと思ったが……ちゃんと列になってて、偉いじゃないか子供達よ……。並びは……100人位か?パチ屋の新装開店の並びみたいだな?おりゃおりゃ!じゃんじゃんバリバリだしまっせ~!
約20分……。思ったよりも楽勝だったな……しかし、ふゆきの野郎。変な流れを作りやがって……並んだ生徒全員に挨拶されたじゃねぇか!
そして、何だこれ!お菓子置いてくやつ!座敷わらしかなんかと間違えてんじゃねぇのか?うまい棒48本!
学校の売店にうまい棒なんか置くな!しかも、こんなにいらねぇわ!
でも以外だな。ちゃんとみんな教室に帰るんだな~。フリースペースには、1、2……2人か……。可愛らしいちびちゃんと、眼鏡勉ちゃん……あれはラノベ……。お、『こんすば』か!
ガリ勉に見せかけたムッツリだなアヤツ……。
ふむふむ……なる程……ここはボッチスペースと見た。
さっきは、滅びろ!とか思ったんだけど……ごめんな……お前達よ……。ここはボッチの聖域だったんだな……。トイレ飯しなくていい場所……それはとても良い場所だ……。
ボッチ先輩としてここの有り難みがわかりすぎる……。
そうだ!ボッチ仲間の印としてうまい棒をわけてやろうではないか!私は、ボッチには優しいんだ!48本もいらんし……。
「え?……あの……僕、何も……」
「いいんだ……何もいうな……」
ああ、何も言わなくて良い……ちびっ子よ。その内お友達が出来るさ……学校でのお友達が……な!
にしても……しょたなんて何が良いのか?と思ってたが……。まぁ、中々……保護欲そそられる物があるな……。ついつい頭を撫でてしまった。
さてさて次は……勉ちゃん……。ほれ、君にも両手いっぱいのうまい棒を進呈しよう!
「……ありがとうございます……」
素直な子供には、ニコリと笑顔を返しといてやろう……。しかし勉ちゃん!あんたイケボだなオイ!でもその眼鏡はちょっと……。いやぁ、結構ダサいな~。
……デジャブ……。これ同じ事、私も妹に言われたわ。こういうことか。
ごめん勉ちゃん……私……酷い事、言っちゃったね……。好きでかけてるのよね?お気に入りなんだから、良いじゃない!このフォルムが好きなんだから、仕方ないじゃない!眼鏡は人のためにかけてるんじゃ無いの!だから……ダサいなんて関係ないの……あなただから良いのよ……グスン……。
……はぁ~。思い出したらなんか、腹が立ってきたわ……今度妹にあったら蹴飛ばそ……。
「きみこさん終わった~?モンスタやろ!」
「あ、うん」
ふゆきめ、覚えてやがったか……。
まぁ、変な流れを作ったが、きん……?にくダルマを追い払った礼だ。破邪の塔、手伝ってやろう。
「募集した~!え!シルファー2体いんの?スゲぇじゃん!」
「まぁ……昔からやってるから……」
今はログイン勢だが、7~8年前からやってるからな、大体のはあるぞ。ったく無邪気に笑いおってからに……金髪ピアスしててもやっぱり子供だな……。
「スゲ、すぐ終わった。じゃ~次!……ってか。きみこさん、なんかさっきと雰囲気ちがうくない?」
「え?そ、そうかな?」
忘れろ!あれは、荒れ果てた私だ……。人様の前では封印されし者なのだ。出て来たら無条件で私が死んでしまう。
「なんか、さっきの方が好きだな俺」
「そ、そう……」
はぁ……子供に好きと言われてもなぁ……。弟にしかみえん。
10後なら……まぁ、悪くないな。イケメンの部類だし……。あの筋肉ダルマは何年後でも前でも無理だけど……。
「彼氏とかいんの?」
「いない……」
「え、もったいな、可愛いのに……ねぇ、俺が彼氏になろうか?」
「はぁ?……子供に興味はねぇ」
「はは、キッツ。結構俺、もてんだけど?」
「あのねぇ、子供が求めてるもんと大人が求めてるもんは違うの……よ」
またやった……コイツとは弟とのノリで喋ってしまう……。
会話のテンポが弟と同じなのだ……まさきなら既にはりたおしてるが……。
「大人ね、大人って何を求めるのさ?」
「さぁ、わかんない……私、子供だし」
「何それ?おもろ」
「ほら、チャイムなるから行け。散れ」
しっし。まったく、あしらわれて嬉しそうにするなっての。そして!手をふるな!恥ずかしい!
まぁ。アイツ、ひとりにバレたところでどうって事はないさね。
「へぇ~、さくらちゃん、本当はそういう感じなんだね~。可愛い感じなのに~」
「……い、いらっしゃいませ~」
き、気づかんかった~!いつからいたんだ!?えっと……かわいいぶりこ?だっけ?
「あ、クリームパンくだ……はや」
「ありがとうございました~」
香水くせぇし、化粧もばっちりでミニスカートとか、男受けとあざとさの塊……。
そしてお前……その目の下のホクロ……完全に書いてんだろ、あざとが過ぎるわ!
無味無臭無添加の私を見習え!
「フフフ……さくらちゃんとは仲良くできそ。またね~」
「あ、ありがとやんした~……」
だから!手を振るなって!そして仲良くはむりだと思うよ?
私の苦手を凝縮した、女の中の女で、女を武器にした女は、絶対に無理。
いやぁ~ん。とか言った時点で、真顔でビンタする自信がある。
「あの……うまい棒ありがとう……ございました」
「え!……あぁ、君か……。いいんだ、そんなことは気にするな、何か困ったことがあったら、お姉さんに言いなさい」
「は、はい!僕、春山勇気と言います!じゃ、失礼します!」
まったく、へにゃりと笑いおってからに、八重歯が可愛いではないか、ペットにしちゃいたいな……。
フフフ……手の振り方も控えめで可愛らしい……ピヨピヨとヒヨコかよ!まったく……私もふりかえしてあげよ。
「あの……ありがとうございました」
「おぉ……ラノベの君か……」
気配を消すな!気配を!無理なんだって、直接的なのは!
「俺、谷川悠人です」
「そ、そう……よろしくね」
いや、無理にふらなくて良いんだよ?手……。
恥ずかしくて小さくふってる手が、早すぎてもげちゃいそうじゃないの……。
一応ふり返しておくか……シカトは可哀想過ぎる……。
はぁ、やっとチャイムだ……。疲れた……。久々にこんなに人と喋ったわ~。3年分くらい喋ったんじゃないか?
まぁ、でも何とかやってけそうだな……。
昼休み後は、掃除しなきゃな。
この音楽……エデールスワイスだっけ?なんかそれっぽいの……流れてるし、向かいの校舎も掃除してる……。
あ~もう、あれはふゆきか?窓から身を乗り出して手を振るんじゃない!危ないだろ!今度あったら説教だな。
「……あ、あの……先生……そ、掃除に来ました……私……山口直人です……よろしくお願いします」
「あ、え?あ、よろしく……」
女の子?いや、直人だから男か……。
「へ、変ですよね……私……」
「あ!いや……可愛いなぁ~って思って。髪の毛も長いのに綺麗にしてて凄いって、私も見習わなくちゃ!」
いやいや、本当に何処からどう見ても女の子なんだが、私なんか告白されたら一発でオッケーしちゃうんじゃないか?
美少女大好きだし。百合も男の娘も全然おkだ。会ったのは初めてだけど。
「先生も、綺麗にしてるじゃないですか、その可愛いと思います」
「そ、そうかい?ありがとうよ。さ、掃除にするかい!」
い、いかん。褒められると、どうすればわからなくなって、おっさんみたいになってしまう……。私の数々と数ある悪い癖の1つだ。
まぁ、髪の毛は美容院に行ってやって貰ったので、私の手柄は何一つ無いけどもね。
それにしても、あの子……。ちゃんと付いてんだよね?チ㊙コ?女の子にしか見えんのだが。声も……声変わり、終わってるんだよね?動きもナヨナヨじゃなくて、女の子の動きだし……。
ハッ!いかんいかん、見過ぎだ……。ジェンダー問題は繊細なのだ。サボテンを枯らしてしまう私が触れて良い問題ではない。
「それでは、失礼します」
「はい。ありがとうね」
ふむふむ、手はああいう風にふれば可愛いのか……笑顔の横で指に力を入れずにふりふりふり……。ふむ、尊い。
さて掃除も終わったし、ゲームタイムだな、さすがにもう誰も来ないだろう……。
その後は、ちらほら生徒や職員が、文房具やお菓子を買いに来たくらいで、何事も無く定時を迎え。私は理事長室に向かった。
「やぁ、さくらさん、お疲れさまでした。どうでしたか?初日は?」
「えっと、何とか大丈夫でした」
封印されし者が出てくる。というイレギュラーはあったが、あれくらいであれば、全然大丈夫だ。
「それは良かった。では、帰りましょう」
「お仕事はもう、いいんですか?」
まだ、4時だ。流石に早いんじゃないのか?社長退社か?そうなのか?ズルは許されんぞ?ズボラな私でも出勤時間は守るんだからな!
「フフフ……早めに、終わらせました。今日はお祝いに、ちょっとこれをしていきませんか?」
「よろこんで!」
まったく、それならそう言えよ~。その右手をクイクイって……憎いね~アレだろ?じゃんじゃんバリバリ~。これは、怒れねぇ!うん、怒れん!奇跡よ起これ~!
3万全部負けた……。
「これ、ほら、僕、勝ったから」
「う、受け取れません」
くそ、海が1000円でヒットして5連した時は行ける!と思ったんだ!その後……800までハマりやがった……。
しかも、単発って!うぜぇ~!途中から玉までじいさんにもらって……金まで貰ったらギャンブラー失格だ。
「気にしなくて良いですよ。今日は就職のお祝いなんですから!」
「じゃあ、前借りって形でお願いします……」
これ……ヤバイヤツじゃ無いのか、抜け出せなくなって……最後には……沈められる……。
まぁ、でも3万前借りしても、27万あれば余裕だわな。うん、問題は無い。
「気にしないで良いのに。さて、たつえさんもまってますし、帰りましょう」
「はい」
しかし疲れた……久々に何か……ちゃんと人の顔見て仕事した気がする……。
ん?レインだ……。誰だ?まさきか?……はぁ?ふゆき?はぁ……?なんで?
ふゆふゆ
『明日何時に来るの?
朝からいる?』
さくら
『何で、私のレイン
知ってる? 』
ふゆふゆ
『モンスタのボックス
見せて貰った時に
登録しちゃったw』
さくら
『wじゃねぇ馬鹿者
すぐ消せ! 』
ふゆふゆ
『無理w彼氏いない
なら、いいじゃん』
さくら
『 死なす 』
ふゆふゆ
『死なすってwきみち
ゃんになら殺されて
もいいよw』
小僧め……ダル……。明日携帯たたき割ってやろう。とりあえずブロック。
「どうかされましたか?」
「いえ!何でもないです。弟からレインが来てまして……」
クソ……何で私が嘘をつかにゃならんのだ!正直者である、この私が!
アイツまじで、明日ビンタだ!
さっさと買うなら買って消えてくれ。
そにしても……男子比率……多いな。
「おい、お前ら何してんだ……。あ、佐倉さん。こんにちは。先ほどはどうも!
いやぁ……恥ずかしながら僕ね、独身!独身なんですよ~。だからお弁当作ってくれる人がいなくてさぁ~。毎日ここで、パンを買ってるんです。いやぁ~佐倉さんの様な、可愛らしい!人が来てくれて良かったです。明日からの楽しみが出来ちゃいましたよ~。そう言えばーー」
いや……話し長ぇわ!あと声……うっせえわ!私みたいな模範人間を見習え!小さな頃からちっちゃい優等生を見習え!
えっと……筋肉ダルマ男だっけ?肌くっろ……。腕の血管気……持ち悪……黒い肌から見える歯も白すぎてきもいし……。
ニカッと歯を出して、オチで笑うなって!お前の家の犬が転んで笑った話しなんか。毛ほどの興味もねぇんだって……。
そして……はよぅ、いね(帰れ)!子供達がパン買えねぇだろが!まぁ、ガキ共も動かないんだが……。これ、どうすりゃいいんだ?
「筋美先生、パン買いたいんですけど~」
「お?ふゆきか!お前、今日はちゃんと来たんだな!」
「イタイ、イタイ!先生叩きすぎ。力強いんだから加減してよ」
「あぁ。すまん!コイツね、たまにしか学校来ないんですよ!出席日数もギリギリ!佐倉さんも何か言ってやってくださいよ」
「そ、そうなんですね……」
おい、筋肉!何かって、何をだよ!
孤独を愛し、孤独に愛された、蠱毒女、公子!に言える事は、孤独はジャスティス!位しかねぇんだよ!
「も~良いから。俺らパン買わないと昼休み終わっちゃうじゃん」
「それもそうだな、公子さん牛乳とアンパンを……はや!凄いですね!カールルイスもビックリの早さ……」
「先生!早く!」
「ん、あぁ。おい!お前ら!公子さんに迷惑かけるんじゃないぞ!……じゃ、何かあったら、この、筋美成男に言ってくださいね!」
「あ、ありがとうございます」
だから、歯を見せるな……。まぁ、きんびなるお?私に迷惑をかけないように言った事に対しては1ポイントやろう。
だから何でみんな、手を振っていくんだ。マイナス10ポイント!
「さくら……きみこさんって言うんだね。俺、木下冬樹!ふゆきって呼んでね!まさきじゃないよ!じゃ、俺はクリームパンと、コロッケパンをくださ……はや!」
「よろしく……」
チッ……。覚えてやがったか……。まぁ、さっき会ってから、10分やそこらだしな……。
まぁいい、騒然とした感じかと思ったが……ちゃんと列になってて、偉いじゃないか子供達よ……。並びは……100人位か?パチ屋の新装開店の並びみたいだな?おりゃおりゃ!じゃんじゃんバリバリだしまっせ~!
約20分……。思ったよりも楽勝だったな……しかし、ふゆきの野郎。変な流れを作りやがって……並んだ生徒全員に挨拶されたじゃねぇか!
そして、何だこれ!お菓子置いてくやつ!座敷わらしかなんかと間違えてんじゃねぇのか?うまい棒48本!
学校の売店にうまい棒なんか置くな!しかも、こんなにいらねぇわ!
でも以外だな。ちゃんとみんな教室に帰るんだな~。フリースペースには、1、2……2人か……。可愛らしいちびちゃんと、眼鏡勉ちゃん……あれはラノベ……。お、『こんすば』か!
ガリ勉に見せかけたムッツリだなアヤツ……。
ふむふむ……なる程……ここはボッチスペースと見た。
さっきは、滅びろ!とか思ったんだけど……ごめんな……お前達よ……。ここはボッチの聖域だったんだな……。トイレ飯しなくていい場所……それはとても良い場所だ……。
ボッチ先輩としてここの有り難みがわかりすぎる……。
そうだ!ボッチ仲間の印としてうまい棒をわけてやろうではないか!私は、ボッチには優しいんだ!48本もいらんし……。
「え?……あの……僕、何も……」
「いいんだ……何もいうな……」
ああ、何も言わなくて良い……ちびっ子よ。その内お友達が出来るさ……学校でのお友達が……な!
にしても……しょたなんて何が良いのか?と思ってたが……。まぁ、中々……保護欲そそられる物があるな……。ついつい頭を撫でてしまった。
さてさて次は……勉ちゃん……。ほれ、君にも両手いっぱいのうまい棒を進呈しよう!
「……ありがとうございます……」
素直な子供には、ニコリと笑顔を返しといてやろう……。しかし勉ちゃん!あんたイケボだなオイ!でもその眼鏡はちょっと……。いやぁ、結構ダサいな~。
……デジャブ……。これ同じ事、私も妹に言われたわ。こういうことか。
ごめん勉ちゃん……私……酷い事、言っちゃったね……。好きでかけてるのよね?お気に入りなんだから、良いじゃない!このフォルムが好きなんだから、仕方ないじゃない!眼鏡は人のためにかけてるんじゃ無いの!だから……ダサいなんて関係ないの……あなただから良いのよ……グスン……。
……はぁ~。思い出したらなんか、腹が立ってきたわ……今度妹にあったら蹴飛ばそ……。
「きみこさん終わった~?モンスタやろ!」
「あ、うん」
ふゆきめ、覚えてやがったか……。
まぁ、変な流れを作ったが、きん……?にくダルマを追い払った礼だ。破邪の塔、手伝ってやろう。
「募集した~!え!シルファー2体いんの?スゲぇじゃん!」
「まぁ……昔からやってるから……」
今はログイン勢だが、7~8年前からやってるからな、大体のはあるぞ。ったく無邪気に笑いおってからに……金髪ピアスしててもやっぱり子供だな……。
「スゲ、すぐ終わった。じゃ~次!……ってか。きみこさん、なんかさっきと雰囲気ちがうくない?」
「え?そ、そうかな?」
忘れろ!あれは、荒れ果てた私だ……。人様の前では封印されし者なのだ。出て来たら無条件で私が死んでしまう。
「なんか、さっきの方が好きだな俺」
「そ、そう……」
はぁ……子供に好きと言われてもなぁ……。弟にしかみえん。
10後なら……まぁ、悪くないな。イケメンの部類だし……。あの筋肉ダルマは何年後でも前でも無理だけど……。
「彼氏とかいんの?」
「いない……」
「え、もったいな、可愛いのに……ねぇ、俺が彼氏になろうか?」
「はぁ?……子供に興味はねぇ」
「はは、キッツ。結構俺、もてんだけど?」
「あのねぇ、子供が求めてるもんと大人が求めてるもんは違うの……よ」
またやった……コイツとは弟とのノリで喋ってしまう……。
会話のテンポが弟と同じなのだ……まさきなら既にはりたおしてるが……。
「大人ね、大人って何を求めるのさ?」
「さぁ、わかんない……私、子供だし」
「何それ?おもろ」
「ほら、チャイムなるから行け。散れ」
しっし。まったく、あしらわれて嬉しそうにするなっての。そして!手をふるな!恥ずかしい!
まぁ。アイツ、ひとりにバレたところでどうって事はないさね。
「へぇ~、さくらちゃん、本当はそういう感じなんだね~。可愛い感じなのに~」
「……い、いらっしゃいませ~」
き、気づかんかった~!いつからいたんだ!?えっと……かわいいぶりこ?だっけ?
「あ、クリームパンくだ……はや」
「ありがとうございました~」
香水くせぇし、化粧もばっちりでミニスカートとか、男受けとあざとさの塊……。
そしてお前……その目の下のホクロ……完全に書いてんだろ、あざとが過ぎるわ!
無味無臭無添加の私を見習え!
「フフフ……さくらちゃんとは仲良くできそ。またね~」
「あ、ありがとやんした~……」
だから!手を振るなって!そして仲良くはむりだと思うよ?
私の苦手を凝縮した、女の中の女で、女を武器にした女は、絶対に無理。
いやぁ~ん。とか言った時点で、真顔でビンタする自信がある。
「あの……うまい棒ありがとう……ございました」
「え!……あぁ、君か……。いいんだ、そんなことは気にするな、何か困ったことがあったら、お姉さんに言いなさい」
「は、はい!僕、春山勇気と言います!じゃ、失礼します!」
まったく、へにゃりと笑いおってからに、八重歯が可愛いではないか、ペットにしちゃいたいな……。
フフフ……手の振り方も控えめで可愛らしい……ピヨピヨとヒヨコかよ!まったく……私もふりかえしてあげよ。
「あの……ありがとうございました」
「おぉ……ラノベの君か……」
気配を消すな!気配を!無理なんだって、直接的なのは!
「俺、谷川悠人です」
「そ、そう……よろしくね」
いや、無理にふらなくて良いんだよ?手……。
恥ずかしくて小さくふってる手が、早すぎてもげちゃいそうじゃないの……。
一応ふり返しておくか……シカトは可哀想過ぎる……。
はぁ、やっとチャイムだ……。疲れた……。久々にこんなに人と喋ったわ~。3年分くらい喋ったんじゃないか?
まぁ、でも何とかやってけそうだな……。
昼休み後は、掃除しなきゃな。
この音楽……エデールスワイスだっけ?なんかそれっぽいの……流れてるし、向かいの校舎も掃除してる……。
あ~もう、あれはふゆきか?窓から身を乗り出して手を振るんじゃない!危ないだろ!今度あったら説教だな。
「……あ、あの……先生……そ、掃除に来ました……私……山口直人です……よろしくお願いします」
「あ、え?あ、よろしく……」
女の子?いや、直人だから男か……。
「へ、変ですよね……私……」
「あ!いや……可愛いなぁ~って思って。髪の毛も長いのに綺麗にしてて凄いって、私も見習わなくちゃ!」
いやいや、本当に何処からどう見ても女の子なんだが、私なんか告白されたら一発でオッケーしちゃうんじゃないか?
美少女大好きだし。百合も男の娘も全然おkだ。会ったのは初めてだけど。
「先生も、綺麗にしてるじゃないですか、その可愛いと思います」
「そ、そうかい?ありがとうよ。さ、掃除にするかい!」
い、いかん。褒められると、どうすればわからなくなって、おっさんみたいになってしまう……。私の数々と数ある悪い癖の1つだ。
まぁ、髪の毛は美容院に行ってやって貰ったので、私の手柄は何一つ無いけどもね。
それにしても、あの子……。ちゃんと付いてんだよね?チ㊙コ?女の子にしか見えんのだが。声も……声変わり、終わってるんだよね?動きもナヨナヨじゃなくて、女の子の動きだし……。
ハッ!いかんいかん、見過ぎだ……。ジェンダー問題は繊細なのだ。サボテンを枯らしてしまう私が触れて良い問題ではない。
「それでは、失礼します」
「はい。ありがとうね」
ふむふむ、手はああいう風にふれば可愛いのか……笑顔の横で指に力を入れずにふりふりふり……。ふむ、尊い。
さて掃除も終わったし、ゲームタイムだな、さすがにもう誰も来ないだろう……。
その後は、ちらほら生徒や職員が、文房具やお菓子を買いに来たくらいで、何事も無く定時を迎え。私は理事長室に向かった。
「やぁ、さくらさん、お疲れさまでした。どうでしたか?初日は?」
「えっと、何とか大丈夫でした」
封印されし者が出てくる。というイレギュラーはあったが、あれくらいであれば、全然大丈夫だ。
「それは良かった。では、帰りましょう」
「お仕事はもう、いいんですか?」
まだ、4時だ。流石に早いんじゃないのか?社長退社か?そうなのか?ズルは許されんぞ?ズボラな私でも出勤時間は守るんだからな!
「フフフ……早めに、終わらせました。今日はお祝いに、ちょっとこれをしていきませんか?」
「よろこんで!」
まったく、それならそう言えよ~。その右手をクイクイって……憎いね~アレだろ?じゃんじゃんバリバリ~。これは、怒れねぇ!うん、怒れん!奇跡よ起これ~!
3万全部負けた……。
「これ、ほら、僕、勝ったから」
「う、受け取れません」
くそ、海が1000円でヒットして5連した時は行ける!と思ったんだ!その後……800までハマりやがった……。
しかも、単発って!うぜぇ~!途中から玉までじいさんにもらって……金まで貰ったらギャンブラー失格だ。
「気にしなくて良いですよ。今日は就職のお祝いなんですから!」
「じゃあ、前借りって形でお願いします……」
これ……ヤバイヤツじゃ無いのか、抜け出せなくなって……最後には……沈められる……。
まぁ、でも3万前借りしても、27万あれば余裕だわな。うん、問題は無い。
「気にしないで良いのに。さて、たつえさんもまってますし、帰りましょう」
「はい」
しかし疲れた……久々に何か……ちゃんと人の顔見て仕事した気がする……。
ん?レインだ……。誰だ?まさきか?……はぁ?ふゆき?はぁ……?なんで?
ふゆふゆ
『明日何時に来るの?
朝からいる?』
さくら
『何で、私のレイン
知ってる? 』
ふゆふゆ
『モンスタのボックス
見せて貰った時に
登録しちゃったw』
さくら
『wじゃねぇ馬鹿者
すぐ消せ! 』
ふゆふゆ
『無理w彼氏いない
なら、いいじゃん』
さくら
『 死なす 』
ふゆふゆ
『死なすってwきみち
ゃんになら殺されて
もいいよw』
小僧め……ダル……。明日携帯たたき割ってやろう。とりあえずブロック。
「どうかされましたか?」
「いえ!何でもないです。弟からレインが来てまして……」
クソ……何で私が嘘をつかにゃならんのだ!正直者である、この私が!
アイツまじで、明日ビンタだ!
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そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
博士の愛しき発明品たち!
夏夜やもり
キャラ文芸
近年まで、私と妹は常識的でゆるやかな日常を送っていました。
しかし、ご近所に住む博士の発明品で、世界と一緒に振り回されてしまいます!
そんなお話。あと斉藤さん。
【あらすじ】
氏名・年齢・性別などを問われたとき、かならず『ひみつ』と答える私は、本物の科学者と出会った!
博士は、その恐るべき科学力と体をなげうつ研究努力と独自理論によって、悍ましき発明品を次々生み出し、世界と私たちの日常を脅かす!
そんな博士と私と妹たちで繰り広げるS・Fの深淵を、共に覗きましょう。
**―――――
「ねえ、これ気になるんだけど?」
居間のソファーですっごい姿勢の妹が、適当に取り繕った『あらすじ』をひらひらさせる。
「なこが?」
「色々あるけどさ……SFってのはおこがましいんじゃない?」
「S・F(サイエンス・ファンキー)だから良いのだよ?」
「……イカレた科学?」
「イカした科学!」
少しだけ妹に同意しているが、それは胸にしまっておく。
「文句があるなら自分もお勧めしてよ」
私は少し唇尖らせ、妹に促す。
「んー、暇つぶしには最適! あたしや博士に興味があって、お暇な時にお読みください!」
「私は?」
「本編で邪魔ってくらい語るでしょ?」
「…………」
えっとね、私、これでも頑張ってますよ? いろいろ沸き上がる感情を抑えつつ……。
本編へつづく
*)小説家になろうさん・エブリスタさんにも同時投稿です。
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