2 / 5
やって無駄な事は何も無い
しおりを挟む
いきつけのパチンコ屋で、財布の中の最後のお札を、サンドへゴミの様に入れ終えて、私は独り言ちる。
「何だこれ……」
ランプが光ればGOGOなスロット……。
今日は、全然光らん……店がゴミなら台もゴミクソだ……。
とりあえず軽くワンパンして、店の喫煙所に向かって煙草休憩。
仕事クビになった日くらい出せよ。いくら貯金してると思ってんだよ……ダル……私は煙草に火をつけ一気に吹かした。
外のベンチは蒸し暑い。さっさと近くのコンビニのATMで金を降ろして中に戻ろ……。
「さくらさん、こんにちわ」
「こ、こんにちわ」
「今日も暑いですね……」
「そうですね……」
だからさっさと店に戻りたいんだが……。
話しかけてきたのは、5,60位のおじさんだ。名前は忘れた。ささきだったか、さたべだったか?
スロットの目押しをしてやったら、懐かれて時々話すのだが、特に仲がいい訳でも無い。いつも独りでいるので独り者なのだろう。
時々、私が働いていたコンビニで弁当を買っていく。たまにコーヒーを奢ってくれるから、話くらいは付き合ってやらんとなと思うが、暑いので短めにして欲しい。
今日、貯金した1万を取り戻さにゃならんのだ。
「そういえば、今日、コンビニに行ったんですが、お仕事お辞めになったそうで……」
「お辞めにって言うか、クビになっちゃいました……」
「おや?それはまた何で?」
じいさんが買ったばかりのコーヒーを渡してきたので、気が利くじゃないか。サンキューと一応、感謝しながらコーヒーを受け取る。
「あ、ありがとう……ございます。……戴きます……」
ニコリとすんなよな。私は今から、さっきあった最悪で最低の傷心物語を話そうってんだから……。まぁ、ダル……って思ったってだけで、傷ついてもないんだけどね。
「クレームが……多かったみたいで、こ、声が小さいので私は……なので……クビになりました」
「えぇ~!それだけでかい?」
驚きすぎだ馬鹿者。マスオさんかっての。
接客業で声が小さいのは、致命的な欠陥なんだよ。あ~あ、パチプロにでもなろうかな。
「はい……まぁ、馴れてるんですけどね……へへへ……」
あぁ~、コーヒー美味ぇな。キンキンに冷えてやがる……って程でも無いが。
夜勤明けの身にはじゅうぶん染みる。
「レジ裁きは、凄かったのにね……あ!そうだ!」
なんだ?じいさん。財布なんか出して……同情して金くれんのか?くれるんなら、パチ仲間としてちゅ~位はしてやるぞ?万札求む。
「何か、困ったら事があったら、ここに電話しておいで」
金じゃねぇのか~い。どれどれ……。
『聖徳学園:理事長
森山 たもつ
住所:鹿児島県~ TEL 080~
Mail tamotamo~』
ささきでも、さたべでも無かったな。
てか、学校の理事長って……教育者が朝からパチンコなんかしてんなよな。
「あ、ありがとう……ございます」
「実はね、うちの購買部の店員さんが辞めちゃってね。いい人いないかな~ってさがしてたんですよ」
宗教団体の勧誘だったらビンタしてやろうか。と思ったが、しなくて良かった。
学校の購買部か……あの、何か小さい小窓から文房具出して渡すやつだろ?簡単で美味しい仕事じゃねぇの?喋らなくていいし。休み時間以外は自由だろうし。即決だろこんなん。
「あ、あの、私……こんな感じですし……大丈夫ですかね……」
「大丈夫、大丈夫!あ、ちょっと待ってね……」
電話か……私も持ってるぞ~弟以外からはかかってこないけどな……。
はぁ、捨てるクソデブいれば、拾うじじいアリだな……。
「ごめんごめん、急用ができちゃいました。ちょっと僕は今から、行かなきゃ行けないので、今度、電話してください。待ってますから」
「あ……はい」
「あ!それと……これ、さくらさんに……当たり中の台を休憩にして出て来ちゃったんですけど、戻れそうにないので、代わりにどうぞ」
「え!?まじですか!!」
「おや!?フフフ……大きなお声でビックリしました。マジです」
「す、すいません……ありがとうございます」
「いえいえ、では、今日はこれにて、ドロン……」
やべぇ、親切なお爺様をビックリさせてしまった。しかし、ドロンって一応愛想笑いはしてやったけど、キツいぞ?まだ手をふってるし……。ふりかえしておこう。サービスサービスだ。
良い人間って本当にいるんだな……。
さて、感傷に浸るのはこれくらいにして……フィーバータイムと行こうか!
「やば……今日死ぬかも!」
18万勝ったんだが……あのお爺様は神様だったんじゃなかろうか?とりあえず今度あったら、飯でも奢ろう。
「やば……今日死ぬかも……」
あれから1週間。18万を軍資金に増やそうと思ったのに……一昨日全部無くなった……。
煙草の買い溜めよりも先に、支払いと食料の買い溜め、しとけば良かった……。
昨日ガスも止まった……風呂入りたい。明日電気も止まる……。クーラー無いと死ぬ……。キャベツももう無いし……無職だから金も借りれん……家賃もどうにかせんといかん……腹減った。
あぁ、そうだった。神様に電話……。
「もしもし……森山です」
「あ、あの……さ、佐倉公子……です」
「あぁ!さくらさん、お待ちしてましたよ」
「あの……お仕事の件なのですが……」
「おぉ!やってくれますか?」
「あの……はい……よろしくお願いします……」
あれ?ヤバいな……これ、貧血だ……流石に3日、塩水のみは駄目だったか……。
「じゃ、今から面接に来られますか?使いの者を送りますので住所を教えて下さい」
「じゅ、住所はーーーーです……」
「わかりました……では、すぐに伺いますので」
「は……はい……ありがと……う、ございます……」
あぁ……飛ぶ……。
「さくらさん?気分が悪そうですが、大丈夫ですか?」
駄目っぽいぞ~。スマンじいさん……。
「さくらさん!?さくらさん!?」
はぁ……本当にいい人だな。私なんかを心配して……。仕事……死んでなかったら……よろ……し……く……。
「何だこれ……」
ランプが光ればGOGOなスロット……。
今日は、全然光らん……店がゴミなら台もゴミクソだ……。
とりあえず軽くワンパンして、店の喫煙所に向かって煙草休憩。
仕事クビになった日くらい出せよ。いくら貯金してると思ってんだよ……ダル……私は煙草に火をつけ一気に吹かした。
外のベンチは蒸し暑い。さっさと近くのコンビニのATMで金を降ろして中に戻ろ……。
「さくらさん、こんにちわ」
「こ、こんにちわ」
「今日も暑いですね……」
「そうですね……」
だからさっさと店に戻りたいんだが……。
話しかけてきたのは、5,60位のおじさんだ。名前は忘れた。ささきだったか、さたべだったか?
スロットの目押しをしてやったら、懐かれて時々話すのだが、特に仲がいい訳でも無い。いつも独りでいるので独り者なのだろう。
時々、私が働いていたコンビニで弁当を買っていく。たまにコーヒーを奢ってくれるから、話くらいは付き合ってやらんとなと思うが、暑いので短めにして欲しい。
今日、貯金した1万を取り戻さにゃならんのだ。
「そういえば、今日、コンビニに行ったんですが、お仕事お辞めになったそうで……」
「お辞めにって言うか、クビになっちゃいました……」
「おや?それはまた何で?」
じいさんが買ったばかりのコーヒーを渡してきたので、気が利くじゃないか。サンキューと一応、感謝しながらコーヒーを受け取る。
「あ、ありがとう……ございます。……戴きます……」
ニコリとすんなよな。私は今から、さっきあった最悪で最低の傷心物語を話そうってんだから……。まぁ、ダル……って思ったってだけで、傷ついてもないんだけどね。
「クレームが……多かったみたいで、こ、声が小さいので私は……なので……クビになりました」
「えぇ~!それだけでかい?」
驚きすぎだ馬鹿者。マスオさんかっての。
接客業で声が小さいのは、致命的な欠陥なんだよ。あ~あ、パチプロにでもなろうかな。
「はい……まぁ、馴れてるんですけどね……へへへ……」
あぁ~、コーヒー美味ぇな。キンキンに冷えてやがる……って程でも無いが。
夜勤明けの身にはじゅうぶん染みる。
「レジ裁きは、凄かったのにね……あ!そうだ!」
なんだ?じいさん。財布なんか出して……同情して金くれんのか?くれるんなら、パチ仲間としてちゅ~位はしてやるぞ?万札求む。
「何か、困ったら事があったら、ここに電話しておいで」
金じゃねぇのか~い。どれどれ……。
『聖徳学園:理事長
森山 たもつ
住所:鹿児島県~ TEL 080~
Mail tamotamo~』
ささきでも、さたべでも無かったな。
てか、学校の理事長って……教育者が朝からパチンコなんかしてんなよな。
「あ、ありがとう……ございます」
「実はね、うちの購買部の店員さんが辞めちゃってね。いい人いないかな~ってさがしてたんですよ」
宗教団体の勧誘だったらビンタしてやろうか。と思ったが、しなくて良かった。
学校の購買部か……あの、何か小さい小窓から文房具出して渡すやつだろ?簡単で美味しい仕事じゃねぇの?喋らなくていいし。休み時間以外は自由だろうし。即決だろこんなん。
「あ、あの、私……こんな感じですし……大丈夫ですかね……」
「大丈夫、大丈夫!あ、ちょっと待ってね……」
電話か……私も持ってるぞ~弟以外からはかかってこないけどな……。
はぁ、捨てるクソデブいれば、拾うじじいアリだな……。
「ごめんごめん、急用ができちゃいました。ちょっと僕は今から、行かなきゃ行けないので、今度、電話してください。待ってますから」
「あ……はい」
「あ!それと……これ、さくらさんに……当たり中の台を休憩にして出て来ちゃったんですけど、戻れそうにないので、代わりにどうぞ」
「え!?まじですか!!」
「おや!?フフフ……大きなお声でビックリしました。マジです」
「す、すいません……ありがとうございます」
「いえいえ、では、今日はこれにて、ドロン……」
やべぇ、親切なお爺様をビックリさせてしまった。しかし、ドロンって一応愛想笑いはしてやったけど、キツいぞ?まだ手をふってるし……。ふりかえしておこう。サービスサービスだ。
良い人間って本当にいるんだな……。
さて、感傷に浸るのはこれくらいにして……フィーバータイムと行こうか!
「やば……今日死ぬかも!」
18万勝ったんだが……あのお爺様は神様だったんじゃなかろうか?とりあえず今度あったら、飯でも奢ろう。
「やば……今日死ぬかも……」
あれから1週間。18万を軍資金に増やそうと思ったのに……一昨日全部無くなった……。
煙草の買い溜めよりも先に、支払いと食料の買い溜め、しとけば良かった……。
昨日ガスも止まった……風呂入りたい。明日電気も止まる……。クーラー無いと死ぬ……。キャベツももう無いし……無職だから金も借りれん……家賃もどうにかせんといかん……腹減った。
あぁ、そうだった。神様に電話……。
「もしもし……森山です」
「あ、あの……さ、佐倉公子……です」
「あぁ!さくらさん、お待ちしてましたよ」
「あの……お仕事の件なのですが……」
「おぉ!やってくれますか?」
「あの……はい……よろしくお願いします……」
あれ?ヤバいな……これ、貧血だ……流石に3日、塩水のみは駄目だったか……。
「じゃ、今から面接に来られますか?使いの者を送りますので住所を教えて下さい」
「じゅ、住所はーーーーです……」
「わかりました……では、すぐに伺いますので」
「は……はい……ありがと……う、ございます……」
あぁ……飛ぶ……。
「さくらさん?気分が悪そうですが、大丈夫ですか?」
駄目っぽいぞ~。スマンじいさん……。
「さくらさん!?さくらさん!?」
はぁ……本当にいい人だな。私なんかを心配して……。仕事……死んでなかったら……よろ……し……く……。
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる