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第十四話 ゼルバのお家②

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「……もしかして、その女になにか言われたの?」
「!?」
「言われたんだね。顔に出てるよ」
「え!?」

 嘘!? 私ってそんなに顔に出やすいのかしら!? 私は動揺を隠すため、慌てて無表情を作った。

「なにも言われてないわ」
「嘘だよ。あ、そう言えばさっき、キノルルさんも女がどうとか言ってたよね? キノルルさんに聞けば事情を話してくれるかな?」
「だ、だめよ! 聞かないで!」

 きっとキノルルは、ゼルバに問い詰められたら正直に話してしまうだろう。
 私はあの時の話をゼルバに知られたくなかった。だって話したら、ゼルバにあの女性がしたことを告げ口するみたいじゃない。
 告げ口なんてカッコ悪い。そういう陰湿なことはしたくないわ。
 そんな謎のプライドがあったのて、私は今日のことをゼルバに話すつもりはなかった。
 だが、ゼルバはなかなか引いてくれない。しつこくあの女性のことを聞きたがる。

「なんて言われたの? キノルルさんに聞けばすぐにバレるんだよ?」
「……」

 私はゼルバの質問には答えず、プイッとそっぽを向いた。

「あっそう。そういう態度取るんだ。――じゃあ、今から武器屋行ってこようっと」

 そう言って立ち上がったので、私は慌ててゼルバの服の裾を掴んだ。

「あの女性の言ったことは関係ないの!」
「関係あるよ。その女のせいで別れそうになってるんだよ? その女が誰だか割り出してとっちめてやる」
「そんなことしちゃダメ!」
「……」

 今にも部屋を出ていきそうだったゼルバは、私が止めるのを聞いて考えを改めたようだ。
 ストンとソファに座り、私の頰を優しく撫でた。

「じゃあ、教えて。その女になにを言われたの?」
「……」
「教えてくれたら、なにもしないよ。でも、このまま黙ってるならキノルルさんに聞きに行く。それでその女をとっちめる」
「……」
「さぁ、レノン。教えて」

 ニコリと微笑むゼルバだったが、その笑顔には有無を言わさぬ迫力があった。
 結局その笑顔に圧倒されて、私は先程女性に言われたことを洗いざらい話してしまったのだった。
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