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第二部 学校編
5.
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「君ら、ほんとうに仲がいいね」
くっくっと笑う相川くんの言葉に頬が熱くなる。
ぼくら今、バカップルみたいだった。はずかしい!!
「そ、それじゃあ、相川くん。また月曜日にね! 小山田くん、行くよ!」
ぼくは小山田くんの腕をぐいぐい引っ張った。
「おお? じゃあ、委員長またな」
「うん、また来週」
廊下やほかの教室は、文化祭の準備をする人で騒がしかった。
うちのクラスは、準備するものが遮光カーテンくらいだし、それも理科室から貸してもらえるみたいだし、プラネタリウムでよかったな。
相川くん、グッジョブ!
「カズ、委員長とずっといっしょだったのか?」
「うん。練習が終わったばっかりだったし」
「ふーん」
あれ? なんかおもしろくなさそうな顔してる。
ヤキモチを焼いてるのかな? なんて思ったけど、口にはしない。
ぼくは身の程をわきまえているからね!
昇降口から校門までつづく道の両脇も、文化祭の準備をする人たちでいっぱいだった。
校舎の外は、運動部の出し物がメインだ。
屋台には焼きそばやたこ焼きなんかの看板が取り付けられていて、文化祭というよりもお祭りに近いかも。
学校側は生徒の自主性を重んじるとか言って、アルコールやタバコ以外なら、たいていのことは目をつむってくれるらしい。
さすがは私立校だよね。
「サッカー部は鉄板焼きだったよね? 小山田くんも焼いたりするの?」
いや、俺は、と言って小山田くんが口ごもった。
「どうしたの?」
「俺には重大な使命が出来たんだ」
「えっ? そうなの? なんだろう? 呼び込みとか? 売上げって、そのまんま部費になるんでしょ? ぼくも売上げに貢献するね!」
「いや、ちがう」
ありゃ? ぼくは首をかしげる。
「鉄板焼き、しないの?」
「カズのためならする」
「いや、ぼくのためとかじゃなくて……」
小山田くんが鉄板焼きをしたら、あっという間に完売出来そうだなあって思っただけなのです。
「とりあえず、カズは鉄板焼きから離れて」
「了解」
「俺からは離れなくていいから」
「あら~」
ぐっと腕を引っ張られて、たたらを踏んだ。
小山田くんのとなりを歩きながら、うむう、と唸る。
鉄板焼きとは、べつの重大な使命とは!? 以下、次号!!
くっくっと笑う相川くんの言葉に頬が熱くなる。
ぼくら今、バカップルみたいだった。はずかしい!!
「そ、それじゃあ、相川くん。また月曜日にね! 小山田くん、行くよ!」
ぼくは小山田くんの腕をぐいぐい引っ張った。
「おお? じゃあ、委員長またな」
「うん、また来週」
廊下やほかの教室は、文化祭の準備をする人で騒がしかった。
うちのクラスは、準備するものが遮光カーテンくらいだし、それも理科室から貸してもらえるみたいだし、プラネタリウムでよかったな。
相川くん、グッジョブ!
「カズ、委員長とずっといっしょだったのか?」
「うん。練習が終わったばっかりだったし」
「ふーん」
あれ? なんかおもしろくなさそうな顔してる。
ヤキモチを焼いてるのかな? なんて思ったけど、口にはしない。
ぼくは身の程をわきまえているからね!
昇降口から校門までつづく道の両脇も、文化祭の準備をする人たちでいっぱいだった。
校舎の外は、運動部の出し物がメインだ。
屋台には焼きそばやたこ焼きなんかの看板が取り付けられていて、文化祭というよりもお祭りに近いかも。
学校側は生徒の自主性を重んじるとか言って、アルコールやタバコ以外なら、たいていのことは目をつむってくれるらしい。
さすがは私立校だよね。
「サッカー部は鉄板焼きだったよね? 小山田くんも焼いたりするの?」
いや、俺は、と言って小山田くんが口ごもった。
「どうしたの?」
「俺には重大な使命が出来たんだ」
「えっ? そうなの? なんだろう? 呼び込みとか? 売上げって、そのまんま部費になるんでしょ? ぼくも売上げに貢献するね!」
「いや、ちがう」
ありゃ? ぼくは首をかしげる。
「鉄板焼き、しないの?」
「カズのためならする」
「いや、ぼくのためとかじゃなくて……」
小山田くんが鉄板焼きをしたら、あっという間に完売出来そうだなあって思っただけなのです。
「とりあえず、カズは鉄板焼きから離れて」
「了解」
「俺からは離れなくていいから」
「あら~」
ぐっと腕を引っ張られて、たたらを踏んだ。
小山田くんのとなりを歩きながら、うむう、と唸る。
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