カラダだけが目当てなの！？

第二部 学校編

２．

　お風呂から上がって部屋に戻ると、充電をしていたスマートフォンが点滅していた。

「小山田くん！」

　ぼくは濡れた髪もそのままに、スマートフォンに飛びついた。

『カズ？　今、大丈夫か？』
「うん！　お風呂にも入ったし、もう寝るだけだよ。小山田くんは？」
『俺も課題やったら寝る』
「数Ⅰのやつ、一応解いてみたんだけど、自信ないから明日答え合わせしてもいいかな？」
『ああ、じゃあ、朝礼前にやっちまおう」
「ありがとう！　あ、あとさ、英語のやつの……」

　小山田くんとはちょくちょく電話をしていたけれど、恋人同士になってからは初めてだ。
　ついつい、いらないことまでしゃべってしまう。もうちょっと落ち着け、ぼく！！

『カズ？　緊張してる？』

　ぼくは、手の汗で落としそうなスマートフォンを握りしめながら、うなずいた。

「してる。なんか照れる……」
『俺も。でも、うれしいほうが大きい』
「そうなの？」

　ぼくなんかとおしゃべりしても、おもしろいことなんてないと思うけど、小山田くんはやさしいねえ。

「あ、そうだ。キィちゃんにプレゼントもらった」
『久遠から？　なに？』
「小山田くんと付き合うなら、一生童貞だなって、オナホールを……」

　ゴトンって、ものすごい音がした。

「お、小山田くん？」
『悪い。スマホ、床に落とした……』

　ああ、オナホールなんてぼくが口にしたから、おどろいちゃったんだね。

　ぼくとけっこうすごいことしてるのに、純情なのは相変わらずだ。そこが、小山田くんのカワイイところなんだけどね！

『それ、使ったのか？』
「まだだけど」

　アナニー信者のぼくとしては、あんまり心が動かされないんだよね。

『カズが使ってるとこ、見たい』
「は？」

　ビックリした。

　抜きっこし合ってた仲間だし、えっちしている今ではオナニーなんて、今さらのような気がするんだけど。

「え、えーと……それじゃあ、いつにする？　小山田くんの部活が休みの日がいいよね？」
『いま』
「へっ！？」

　小山田くん、今って言った？
　今？　ここで、オナホールを使ってオナニーをしろ、と？

「む、無理じゃない？」
『ビデオ通話にすればいいだろ』
「わっ！」

　スマートフォンの画面にイケメンが映った。
　あっ、小山田くんじゃないですかーこんばんは――じゃない！！