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第17話 監視の輪
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監視役の男を除き、一通りの犯人達への尋問は終わったため、ここからは日本までの残り時間を監視するだけだ。熟睡中のケインを起こし、ジンが犯人達の監視体制の素案を述べる。
「見てわかるように、犯人達は何もできない拘束状態だから、何か起こすとしたら大きな挙動となるはず。気合いを入れて見なくとも気付けると思うから、全員で気にかけて欲しい」
ジンは一人一人に目を合わせ、頷きを返すと、ソフィア達の方向に正対してさらに続ける。
「その上で、監視の隙間が空かないために30分ずつの交代制で監視したい。これは、ながらのチラ見でかまわない。監視担当以外は寝ててもOK。順番はソフィア、マコト、イル、ケインの4人輪番制でケインはまたソフィアに引き継ぐ。何か気付いたらオレかジェイムズに知らせて欲しい。ケインは突然の話だが、簡単だから前の人達を見ればわかると思う」
「そうね、ピンとこないけど、まぁ、わかったわ」
「あぁ、それとおかしな挙動を見つけて、もしも緊急だと思ったら、みんなならできるシールド拘束は躊躇なくやってかまわない。犯人達全体を包む方法でも特定個人の両足拘束を強化するでも、死ぬような方法でなければ、状況に応じて自由な方法でやってくれてかまわない」
「ソフィア了解よ。マコちゃ、イルちゃ、ケインも大丈夫よね?」
「「うん」」「了解よ」
再びジェイムズ達の方向に向き直すジン。
「ソフィア達のグループとは別にジェイムズ、とその部下の人?」
「あ、アレックスです」
「あぁ、申し訳ない。アレックスさんですね。今更ですがジンです。よろしくお願いします」
「はい、こちらこそ。アレックスと呼び捨てでかまいません。ジェイムズともども、私も記憶に留めていただけると光栄です」
「はい。あなたにも守秘義務よりも固い誓約を課させていただきたいです。大丈夫ですか?」
「はい、もちろんです。私にも秘密を共有させてもらえるなんて至極光栄です」
「ご理解いただけて助かります」
「で、話を戻すけど、ジェイムズ、アレックス、オレ。この3人がメインの監視体制で30分交代。こちらもチラ見程度でOKだが、心持ち強めの監視粒度であたりたい。それで……」
「ちょ、ちょっと待った!」
「え? あ、市長さん? こちらもご挨拶がまだでしたね。申し訳ありません。まずは決めるべきを決めることが最優先事項だったので。ジン イチノセと申します。あとで別件でお話しさせていただきたいと思っています。それで、どうかなされましたか?」
「あ、アーネスト ディランです。市長の任に就いています。お噂はかねがね伺っておりまして、私もあなたに憧れる1人なのです。聞けば知らない間に命まで救っていただいたとのこと。言葉に尽くせないほどの感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございます」
「いや、あははは……」
いきなりの感謝の言葉に照れ笑いしか返せないジン。やや興奮気味に話し始めたアーネストの舌は渇くことを忘れたかのように、話は続く。
「それにこれも聞いた話で見てはいませんが、今日のこの数十分の間にいくつもの激しい戦闘が行われたとのこと。そんなこととは露知らず、安穏としていた私は恥ずかしい限りですが、ジェイムズ達の戻りが遅いことにイライラしていたくらいです。まさに人知れず平和を守る正義のヒーローと言っても過言ではないと思います。実は私は日本の時代劇やヒーローもの、それとアニメなどが大好きでしてね。それを地でいくあなたの存在に心をときめかせていたのですよ。今の私はすっかりあなたに心酔しきっています。見ていなくとも、この場を見れば、戦いがどれほど凄かったのかも、人智を超える力が振るわれたことも容易に想像できます。私もアレックス同様に誓約を交わしたいです。秘密を共有させていただきたいです。アナタに救われたこの命です。叶うことなら、あなたを支援させてはいただけないでしょうか?」
ひとしきり思いの丈を話しきったアーネスト。ハッと我に返り、話の元を辿り言い加える。
「それで話を戻しますが、私も市長という役職柄、人の命や人生を預かっているという自負があります。そんな私がこの場でお客さまのような扱いをされることは大変心苦しいと思っています。私もぜひ、その監視シフトに組み込んでいただけないでしょうか?」
「え? あ、ありがとうございます。でも大丈夫なんですか? 市長という偉い役職の方に、この場合の監視が重要とはいえ、通常、監視といえば現場的些末な作業になりますから、ふつうなら周囲から猛反対を受けるものかと。そのようなことをお願いするのは大変気が引……」
「いえ! それなら心配は無用です。幸い私の部下はここにはいません。それにここは孤立無援の閉鎖空間であり、あなた達がいなければ、今頃誰も生きてはいなかった。反対に窮地を脱した今ですが、混乱を防ぐ意味でも事情を知らない他の乗客に任せることは到底できないでしょう。そうなるとあなた達だけに負担がかかり続けてしまいます。そこへ事情を知ることになってしまった私ですが、僅かでもあなた達の負担を減らすことに貢献できるのであれば、是非私も使っていただきたい。この孤立空間では、市長なんて肩書きはゴミクズにも劣りますよ」
「わかりました。そういうことなら是非そのお力をお貸しいただきたいと思います。アレックスの次にアーネストさん、そして私の4人体制のシフトでいきます。自分の担当時間外は極力休むこと。寝るのもOKです。ただし私かジェイムズはどちらかが起きているようにするので、何かあればどちらかに伝えてください。それでは今から開始です。よろしくお願いします」
「「「よろしくお願いしま~すっ!」」」
そんなところへパーティション入り口付近でフリージャーナリストのサトルがひょっこり顔を覗かせ、声をかけられたことにジンが気付く。
「あのぉーーっ」
「あれ? サトルさん」
「ジンさんたちはもちろん、イルさんたちも席を立って戻らないので何かあったのかなと」
ザックの件以降の経緯は当然なにも知るはずのないサトル。
「あー、ごめんなさい。こちらでいろいろなゴタゴタがあって席に戻れなくなったんです」
「え? それはどのような? 何やらただ事ではない雰囲気に見えますが……」
着陸直前までは一般の乗客を刺激しない方針だったが、いろいろと関わりをもったサトルだから、ジンは軽く状況を説明する。
「そ、そうですよね。サトルさんだから、まぁ仕方ないか。えーと実は本物のハイジャックが起こって何とか制圧できたので拘束監視中なんです。だからジェイムズたちも一緒で……」
一般人ならまだしも、ジャーナリストを生業とするサトルにとっては見逃せない話題だ。
「えー! なんだぁ、教えてくださいよ。なら、今は交替で監視しているわけですね? 僕もその輪に混ぜてくださいよ」
「え? でもこれは遊びでもないし、実際危険な連中なんですよ?」
排除されそうな雰囲気を感じ取るサトルは、約束していたことを思い出す。
「えっと、後でお話ししたいと言ったことを覚えていらっしゃいますか?」
「えぇ、もちろん」
「なら、それと併せて僕もこの場に居させて欲しいんです。ジンさんたちにお聞きしたいことも沢山ありますが、僕はジャーナリストなので、こんな特殊な状況なら取材させていただきたいわけです。もちろんジンさんたちの持つ、何か不思議な力については触れないつもりです」
さっきと違ってやや押しの強いサトルに押し切られるジンだった
「わかりました。要領は逐一聞いてもらうことと、何か特殊なものを目にしても決して口外しないと約束してください。それができるのならお手伝いしていただきます」
「もちろんです。それとあちらにいらっしゃるのは市長さんですか?」
「はい。ジェイムズの警護対照でもあったので同席と、ついでに監視もお願いしています」
「おぉぉ、市長さんとはなかなか接点が持てないのですが、いろいろお話が聞けそうですね」
市長との接点を求めるサトルに対し、市長に迷惑はかけたくないジンは牽制する。
「あ、いや、無理を言って同席をお願いしているので、ほどほどでお願いしますね」
「はい。わかっていますよ。今押しが強く見えているかもですが、この同席を勝ち取るためにテンションを上げているだけで、実態はへなちょこジャーナリストなのでご安心ください」
そういえば、と今日の初対面でのサトルの印象を思い出し、胸を撫で下ろすジン。
「はぁ、まぁ、お手柔らかにね。それと私に聞きたいこととはなんですか?」
「あ、たくさんあるけど、あまりお聞きするつもりはないです。お話ししているうちにいろいろわかってくるものもあるでしょうから。いったんは放置していただいて大丈夫です」
ひとまず、特別な応対は必要ないことを認識し、監視の任に就くことを宣言するジン。
「はぁ、わかりました。ひとまず監視は今から私とペアで。それではよろしくお願いします」
「了解しました。皆さん、ジャーナリストのサトルと申します。監視の傍ら、状況取材させてください。特にお邪魔とならないように気を付けますのでどうかよろしくお願いいたします」
「「「「了解」」」」
「見てわかるように、犯人達は何もできない拘束状態だから、何か起こすとしたら大きな挙動となるはず。気合いを入れて見なくとも気付けると思うから、全員で気にかけて欲しい」
ジンは一人一人に目を合わせ、頷きを返すと、ソフィア達の方向に正対してさらに続ける。
「その上で、監視の隙間が空かないために30分ずつの交代制で監視したい。これは、ながらのチラ見でかまわない。監視担当以外は寝ててもOK。順番はソフィア、マコト、イル、ケインの4人輪番制でケインはまたソフィアに引き継ぐ。何か気付いたらオレかジェイムズに知らせて欲しい。ケインは突然の話だが、簡単だから前の人達を見ればわかると思う」
「そうね、ピンとこないけど、まぁ、わかったわ」
「あぁ、それとおかしな挙動を見つけて、もしも緊急だと思ったら、みんなならできるシールド拘束は躊躇なくやってかまわない。犯人達全体を包む方法でも特定個人の両足拘束を強化するでも、死ぬような方法でなければ、状況に応じて自由な方法でやってくれてかまわない」
「ソフィア了解よ。マコちゃ、イルちゃ、ケインも大丈夫よね?」
「「うん」」「了解よ」
再びジェイムズ達の方向に向き直すジン。
「ソフィア達のグループとは別にジェイムズ、とその部下の人?」
「あ、アレックスです」
「あぁ、申し訳ない。アレックスさんですね。今更ですがジンです。よろしくお願いします」
「はい、こちらこそ。アレックスと呼び捨てでかまいません。ジェイムズともども、私も記憶に留めていただけると光栄です」
「はい。あなたにも守秘義務よりも固い誓約を課させていただきたいです。大丈夫ですか?」
「はい、もちろんです。私にも秘密を共有させてもらえるなんて至極光栄です」
「ご理解いただけて助かります」
「で、話を戻すけど、ジェイムズ、アレックス、オレ。この3人がメインの監視体制で30分交代。こちらもチラ見程度でOKだが、心持ち強めの監視粒度であたりたい。それで……」
「ちょ、ちょっと待った!」
「え? あ、市長さん? こちらもご挨拶がまだでしたね。申し訳ありません。まずは決めるべきを決めることが最優先事項だったので。ジン イチノセと申します。あとで別件でお話しさせていただきたいと思っています。それで、どうかなされましたか?」
「あ、アーネスト ディランです。市長の任に就いています。お噂はかねがね伺っておりまして、私もあなたに憧れる1人なのです。聞けば知らない間に命まで救っていただいたとのこと。言葉に尽くせないほどの感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございます」
「いや、あははは……」
いきなりの感謝の言葉に照れ笑いしか返せないジン。やや興奮気味に話し始めたアーネストの舌は渇くことを忘れたかのように、話は続く。
「それにこれも聞いた話で見てはいませんが、今日のこの数十分の間にいくつもの激しい戦闘が行われたとのこと。そんなこととは露知らず、安穏としていた私は恥ずかしい限りですが、ジェイムズ達の戻りが遅いことにイライラしていたくらいです。まさに人知れず平和を守る正義のヒーローと言っても過言ではないと思います。実は私は日本の時代劇やヒーローもの、それとアニメなどが大好きでしてね。それを地でいくあなたの存在に心をときめかせていたのですよ。今の私はすっかりあなたに心酔しきっています。見ていなくとも、この場を見れば、戦いがどれほど凄かったのかも、人智を超える力が振るわれたことも容易に想像できます。私もアレックス同様に誓約を交わしたいです。秘密を共有させていただきたいです。アナタに救われたこの命です。叶うことなら、あなたを支援させてはいただけないでしょうか?」
ひとしきり思いの丈を話しきったアーネスト。ハッと我に返り、話の元を辿り言い加える。
「それで話を戻しますが、私も市長という役職柄、人の命や人生を預かっているという自負があります。そんな私がこの場でお客さまのような扱いをされることは大変心苦しいと思っています。私もぜひ、その監視シフトに組み込んでいただけないでしょうか?」
「え? あ、ありがとうございます。でも大丈夫なんですか? 市長という偉い役職の方に、この場合の監視が重要とはいえ、通常、監視といえば現場的些末な作業になりますから、ふつうなら周囲から猛反対を受けるものかと。そのようなことをお願いするのは大変気が引……」
「いえ! それなら心配は無用です。幸い私の部下はここにはいません。それにここは孤立無援の閉鎖空間であり、あなた達がいなければ、今頃誰も生きてはいなかった。反対に窮地を脱した今ですが、混乱を防ぐ意味でも事情を知らない他の乗客に任せることは到底できないでしょう。そうなるとあなた達だけに負担がかかり続けてしまいます。そこへ事情を知ることになってしまった私ですが、僅かでもあなた達の負担を減らすことに貢献できるのであれば、是非私も使っていただきたい。この孤立空間では、市長なんて肩書きはゴミクズにも劣りますよ」
「わかりました。そういうことなら是非そのお力をお貸しいただきたいと思います。アレックスの次にアーネストさん、そして私の4人体制のシフトでいきます。自分の担当時間外は極力休むこと。寝るのもOKです。ただし私かジェイムズはどちらかが起きているようにするので、何かあればどちらかに伝えてください。それでは今から開始です。よろしくお願いします」
「「「よろしくお願いしま~すっ!」」」
そんなところへパーティション入り口付近でフリージャーナリストのサトルがひょっこり顔を覗かせ、声をかけられたことにジンが気付く。
「あのぉーーっ」
「あれ? サトルさん」
「ジンさんたちはもちろん、イルさんたちも席を立って戻らないので何かあったのかなと」
ザックの件以降の経緯は当然なにも知るはずのないサトル。
「あー、ごめんなさい。こちらでいろいろなゴタゴタがあって席に戻れなくなったんです」
「え? それはどのような? 何やらただ事ではない雰囲気に見えますが……」
着陸直前までは一般の乗客を刺激しない方針だったが、いろいろと関わりをもったサトルだから、ジンは軽く状況を説明する。
「そ、そうですよね。サトルさんだから、まぁ仕方ないか。えーと実は本物のハイジャックが起こって何とか制圧できたので拘束監視中なんです。だからジェイムズたちも一緒で……」
一般人ならまだしも、ジャーナリストを生業とするサトルにとっては見逃せない話題だ。
「えー! なんだぁ、教えてくださいよ。なら、今は交替で監視しているわけですね? 僕もその輪に混ぜてくださいよ」
「え? でもこれは遊びでもないし、実際危険な連中なんですよ?」
排除されそうな雰囲気を感じ取るサトルは、約束していたことを思い出す。
「えっと、後でお話ししたいと言ったことを覚えていらっしゃいますか?」
「えぇ、もちろん」
「なら、それと併せて僕もこの場に居させて欲しいんです。ジンさんたちにお聞きしたいことも沢山ありますが、僕はジャーナリストなので、こんな特殊な状況なら取材させていただきたいわけです。もちろんジンさんたちの持つ、何か不思議な力については触れないつもりです」
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市長との接点を求めるサトルに対し、市長に迷惑はかけたくないジンは牽制する。
「あ、いや、無理を言って同席をお願いしているので、ほどほどでお願いしますね」
「はい。わかっていますよ。今押しが強く見えているかもですが、この同席を勝ち取るためにテンションを上げているだけで、実態はへなちょこジャーナリストなのでご安心ください」
そういえば、と今日の初対面でのサトルの印象を思い出し、胸を撫で下ろすジン。
「はぁ、まぁ、お手柔らかにね。それと私に聞きたいこととはなんですか?」
「あ、たくさんあるけど、あまりお聞きするつもりはないです。お話ししているうちにいろいろわかってくるものもあるでしょうから。いったんは放置していただいて大丈夫です」
ひとまず、特別な応対は必要ないことを認識し、監視の任に就くことを宣言するジン。
「はぁ、わかりました。ひとまず監視は今から私とペアで。それではよろしくお願いします」
「了解しました。皆さん、ジャーナリストのサトルと申します。監視の傍ら、状況取材させてください。特にお邪魔とならないように気を付けますのでどうかよろしくお願いいたします」
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基本的には、金持ちで最強の勇者が、ハーレムの女の子たちとまったりするだけのスローライフコメディです。
異世界版の光源氏のようなストーリーです!
……やっぱりちょっと違います笑
また、AIイラストは初心者ですので、あくまでも小説のおまけ程度に考えていただければ……(震え声)
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