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第一章 初恋は婚約破棄から
17.騎士ラルフ・クルーガーの生い立ち
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そして公爵家での顔合わせの日がやって来た。
当日の朝、騎士団の宿舎を出たラルフが実家へ行くと、父もすでに身支度を済ませて待っていた。
父の隣りには相変わらず不機嫌を隠そうともしない顔のエリザベートが立っている。
先ほどまでさんざん苦情を言われていたのか、父はぐったりと疲れた顔をしていた。
エリザベートはそれでも言い足りないのか、馬車寄せのところにまでついて来て、馬車に乗り込む父の背中に向かって、
「大切なご令嬢のお心を誑かし、王太子殿下とのご婚約を駄目にされたことでクレヴィング公爵はさぞやお怒りのことでしょうね。厳罰が下されるのは避けられないとしても、くれぐれもそれが当家にまで及ぶようなことがないようにお願いいたしますよ。この度のことはすべてラルフさま個人がなさったことで、私やレイフォードには何の関わりもないのですから!」
と叫びたてた。
「……すまぬな」
馬車が走り出すと父が詫びた。
「あれも悪い人間ではないのだが」
「分かっていますよ。義母上は父上やクルーガーの家のことを大切に想って下さっているのです。この度のことで驚かれ、お心を痛められるのも無理なきことかと」
正しくは、エリザベートが大切に想っているのは自分の産んだレイフォードだけだろうが、それは口にしないでおく。
「すまぬ」
父がもう一度詫びた。
気の優しいこの父に、二人きりでいる時にこうして詫びてくれる以上のことを期待しても無駄なことをラルフは少年の頃からよく知っていた。
エリザベートの実家のザイフリート家は四大公爵家の一つで、彼女が嫁いできた当初から父は頭が上がらなかった。
公爵家の令嬢であったエリザベートがなぜ、伯爵である父の、しかも後妻として嫁ぐことになったのかについては、当時は宮廷でもかなり、あれこれと取沙汰されたらしい。
何がなんでも王妃になる、王太子以外の男には嫁がないと言い張って婚期を逃しただとか、その気の強さが災いして、挙式の直前になって婚約者に逃げられただとか様々な説がまことしやかに囁かれたが、本当のところは不明である。
ともかく、
「新しいお母さまがいらっしゃいますよ」
と乳母のクララに言われて幼心に期待と不安で胸をときめかせて出迎えたラルフを、エリザベートは出会った最初から当然のように無視をした。
冷たい無関心は、異母弟のレイフォードが生まれてからは激しい嫌悪と敵視に変わった。
生まれたばかりの赤ん坊が珍しくて揺りかごを覗いていただけなのに、レイフォードの頬や手をつねって泣かせたと言われて鞭で手を打たれた。
よちよち歩きのレイフォードが、ラルフの姿をみつけて歩いて来ようとして転べば、突き飛ばしたと言われて食事を抜かれて屋根裏部屋に閉じ込められた。
弟と関わるのを出来るだけ避けるようにすれば、
「レイフォードの存在が邪魔なのね。憎んでいるんでしょう!」
と泣き叫ばれ物を投げつけられた。
そんな時、父は困惑しきった顔で、
「もうやめなさい。ラルフはそんな子ではないよ」
と言うだけだった。
そう言われたエリザベートは、ますますラルフへの憎悪を大きくし、父がいないところで執拗にラルフを責め立て、やってもいない罪をきせて罰するようになった。
そんなエリザベートに対して猛烈に抗議をしてくれたのは、ラルフの母の生前から仕えてくれている使用人たちだった。
特に乳母のクララは、ラルフをかばって真っ向からエリザベートと対立した。
エリザベートは「使用人風情がなんと無礼な」と激昂し、父に訴えて彼女を解雇しようとした。
そうならなかったのは、ラルフが泣いて父に懇願したからだ。
クララがエリザベートに抗議したのは、自分がクララにエリザベートに苛められていると嘘を言ったからだ、クララは何も悪くない。だから辞めさせないでと訴えた。
母に先立たれ、父は新しく来た義母と異母弟を尊重しなければならない立場となった今、ラルフのことを心から愛してくれるのはクララをはじめとする数人の使用人たちだけだった。
クララがいなくなったら自分は一人ぼっちになってしまう。お願いだから僕を一人にしないで、とラルフに縋りつかれたクララは泣きながらラルフが父にそう訴えることを承諾してくれた。
父は戸惑いながらも、エリザベートの手前、見過ごしにすることは出来ずラルフを鞭で打たせた。クララはその間、床に突っ伏して泣きじゃくっていた。
十三歳になったラルフが、王都に実家があるにも関わらず王立学院の寄宿舎へ入ることを望んだのは、自分が実家から出ることで、クララやバートラムなど、自分に同情的だと思われている使用人たちを守りたかったからだ。
自分が実家にいる限り、エリザベートは何かと理由をつけて攻撃して来ようとする。
それを目の当たりにしたクララたちは、止めたい気持ちと、止めることで自分たちが解雇されればラルフがつらい思いをするという気持ちとの板挟みで苦しみ続けることになる。
それをなくしたかったのだ。
学院を卒業したラルフは、クルーガー伯爵家の当主が代々たどった文官としての道ではなく、騎士団へ入団することを選んだ。
それと同時に騎士団の宿舎へと入寮し、そのままほとんど家に寄り付かない生活を送ってきた。
名門公爵家の出のエリザベートが再嫁してきて以来、先妻の子のラルフを良く思っていないことを公然と口にして憚らないので、ラルフが年頃になっても、本来、縁談が持ち上がるはずの伯爵家、男爵家などはザイフリート家に睨まれるのを恐れて、縁組を避けるようになってしまった。
父がいくつかの家に打診をしたらしいのだが、どれも曖昧な理由をつけて断られた。
ラルフが二十四にもなって婚約の話の一つもなく、独り身でいるのにはそういった事情があった。
騎士団に入ってからは上役や朋輩たちから、知人の令嬢や姉妹をどうかという申し出を受けたことが何度かあるが、面倒に巻き込むのも申し訳ないと思い、自分の未熟さを理由に辞退してきた。
おかげで騎士団内では、すっかり色恋に興味のない、朴念仁の変わり者だと思われている。
(まあ、レイフが成人して正式に伯爵家の跡取りと認められればあの人も気が済むんだろうから、それからゆっくり考えてもいいか。まあ、その時にこんな俺でもいいという物好きな女性がいればの話だが……)
そんな風に考えていたのだが、まさかこんな風に突然、縁談が宙から降ってくるとは思わなかった。
公爵邸に着くと、門の大きさを見てすでに父は圧倒されていた。
「四頭立ての馬車がゆうに二台はすれ違えるな」
ラルフはヴィクトールに呼ばれて何度か来たことがあるので、邸の豪壮さには今さら驚かなかったが、馬車が門を入り、馬車寄せに入っていったときに、ヴィクトールだけでなくクレヴィング公爵自身が出迎えに出ていることには度肝を抜かれた。
「こ、公爵閣下!」
父はその場で馬車から飛び降りてひれ伏さんばかりに動転していた。
馬車が止まると、ラルフと父は御者がステップを置き、扉を開けるのを待つのももどかしく転がるように馬車から降りるとその場に跪いた。
「こ、これは公爵閣下。直々のお出迎えなどあまりに畏れ多い……っ」
「ほら。こうなるから父上は部屋でお待ち下さいと申し上げたでしょう」
公爵のかたわらに控えたヴィクトールが苦笑しながら言う。
公爵はヴィクトールによく似た精悍な顔立ちに、威厳と風格を加えた顔で重々しく首を振った。
「いやいや。本来ならばこちらから伯爵家へお詫びに伺わねばならぬところを、それではかえってご迷惑をおかけするということでこちらへご足労頂いたのだ。出迎えくらいはさせていただかねば申し訳がたたぬ」
そう言って頭を下げる公爵の姿に、ラルフは父と並んで
「はっ。もったいなきお言葉!」
とさらに深く頭を下げた。
当日の朝、騎士団の宿舎を出たラルフが実家へ行くと、父もすでに身支度を済ませて待っていた。
父の隣りには相変わらず不機嫌を隠そうともしない顔のエリザベートが立っている。
先ほどまでさんざん苦情を言われていたのか、父はぐったりと疲れた顔をしていた。
エリザベートはそれでも言い足りないのか、馬車寄せのところにまでついて来て、馬車に乗り込む父の背中に向かって、
「大切なご令嬢のお心を誑かし、王太子殿下とのご婚約を駄目にされたことでクレヴィング公爵はさぞやお怒りのことでしょうね。厳罰が下されるのは避けられないとしても、くれぐれもそれが当家にまで及ぶようなことがないようにお願いいたしますよ。この度のことはすべてラルフさま個人がなさったことで、私やレイフォードには何の関わりもないのですから!」
と叫びたてた。
「……すまぬな」
馬車が走り出すと父が詫びた。
「あれも悪い人間ではないのだが」
「分かっていますよ。義母上は父上やクルーガーの家のことを大切に想って下さっているのです。この度のことで驚かれ、お心を痛められるのも無理なきことかと」
正しくは、エリザベートが大切に想っているのは自分の産んだレイフォードだけだろうが、それは口にしないでおく。
「すまぬ」
父がもう一度詫びた。
気の優しいこの父に、二人きりでいる時にこうして詫びてくれる以上のことを期待しても無駄なことをラルフは少年の頃からよく知っていた。
エリザベートの実家のザイフリート家は四大公爵家の一つで、彼女が嫁いできた当初から父は頭が上がらなかった。
公爵家の令嬢であったエリザベートがなぜ、伯爵である父の、しかも後妻として嫁ぐことになったのかについては、当時は宮廷でもかなり、あれこれと取沙汰されたらしい。
何がなんでも王妃になる、王太子以外の男には嫁がないと言い張って婚期を逃しただとか、その気の強さが災いして、挙式の直前になって婚約者に逃げられただとか様々な説がまことしやかに囁かれたが、本当のところは不明である。
ともかく、
「新しいお母さまがいらっしゃいますよ」
と乳母のクララに言われて幼心に期待と不安で胸をときめかせて出迎えたラルフを、エリザベートは出会った最初から当然のように無視をした。
冷たい無関心は、異母弟のレイフォードが生まれてからは激しい嫌悪と敵視に変わった。
生まれたばかりの赤ん坊が珍しくて揺りかごを覗いていただけなのに、レイフォードの頬や手をつねって泣かせたと言われて鞭で手を打たれた。
よちよち歩きのレイフォードが、ラルフの姿をみつけて歩いて来ようとして転べば、突き飛ばしたと言われて食事を抜かれて屋根裏部屋に閉じ込められた。
弟と関わるのを出来るだけ避けるようにすれば、
「レイフォードの存在が邪魔なのね。憎んでいるんでしょう!」
と泣き叫ばれ物を投げつけられた。
そんな時、父は困惑しきった顔で、
「もうやめなさい。ラルフはそんな子ではないよ」
と言うだけだった。
そう言われたエリザベートは、ますますラルフへの憎悪を大きくし、父がいないところで執拗にラルフを責め立て、やってもいない罪をきせて罰するようになった。
そんなエリザベートに対して猛烈に抗議をしてくれたのは、ラルフの母の生前から仕えてくれている使用人たちだった。
特に乳母のクララは、ラルフをかばって真っ向からエリザベートと対立した。
エリザベートは「使用人風情がなんと無礼な」と激昂し、父に訴えて彼女を解雇しようとした。
そうならなかったのは、ラルフが泣いて父に懇願したからだ。
クララがエリザベートに抗議したのは、自分がクララにエリザベートに苛められていると嘘を言ったからだ、クララは何も悪くない。だから辞めさせないでと訴えた。
母に先立たれ、父は新しく来た義母と異母弟を尊重しなければならない立場となった今、ラルフのことを心から愛してくれるのはクララをはじめとする数人の使用人たちだけだった。
クララがいなくなったら自分は一人ぼっちになってしまう。お願いだから僕を一人にしないで、とラルフに縋りつかれたクララは泣きながらラルフが父にそう訴えることを承諾してくれた。
父は戸惑いながらも、エリザベートの手前、見過ごしにすることは出来ずラルフを鞭で打たせた。クララはその間、床に突っ伏して泣きじゃくっていた。
十三歳になったラルフが、王都に実家があるにも関わらず王立学院の寄宿舎へ入ることを望んだのは、自分が実家から出ることで、クララやバートラムなど、自分に同情的だと思われている使用人たちを守りたかったからだ。
自分が実家にいる限り、エリザベートは何かと理由をつけて攻撃して来ようとする。
それを目の当たりにしたクララたちは、止めたい気持ちと、止めることで自分たちが解雇されればラルフがつらい思いをするという気持ちとの板挟みで苦しみ続けることになる。
それをなくしたかったのだ。
学院を卒業したラルフは、クルーガー伯爵家の当主が代々たどった文官としての道ではなく、騎士団へ入団することを選んだ。
それと同時に騎士団の宿舎へと入寮し、そのままほとんど家に寄り付かない生活を送ってきた。
名門公爵家の出のエリザベートが再嫁してきて以来、先妻の子のラルフを良く思っていないことを公然と口にして憚らないので、ラルフが年頃になっても、本来、縁談が持ち上がるはずの伯爵家、男爵家などはザイフリート家に睨まれるのを恐れて、縁組を避けるようになってしまった。
父がいくつかの家に打診をしたらしいのだが、どれも曖昧な理由をつけて断られた。
ラルフが二十四にもなって婚約の話の一つもなく、独り身でいるのにはそういった事情があった。
騎士団に入ってからは上役や朋輩たちから、知人の令嬢や姉妹をどうかという申し出を受けたことが何度かあるが、面倒に巻き込むのも申し訳ないと思い、自分の未熟さを理由に辞退してきた。
おかげで騎士団内では、すっかり色恋に興味のない、朴念仁の変わり者だと思われている。
(まあ、レイフが成人して正式に伯爵家の跡取りと認められればあの人も気が済むんだろうから、それからゆっくり考えてもいいか。まあ、その時にこんな俺でもいいという物好きな女性がいればの話だが……)
そんな風に考えていたのだが、まさかこんな風に突然、縁談が宙から降ってくるとは思わなかった。
公爵邸に着くと、門の大きさを見てすでに父は圧倒されていた。
「四頭立ての馬車がゆうに二台はすれ違えるな」
ラルフはヴィクトールに呼ばれて何度か来たことがあるので、邸の豪壮さには今さら驚かなかったが、馬車が門を入り、馬車寄せに入っていったときに、ヴィクトールだけでなくクレヴィング公爵自身が出迎えに出ていることには度肝を抜かれた。
「こ、公爵閣下!」
父はその場で馬車から飛び降りてひれ伏さんばかりに動転していた。
馬車が止まると、ラルフと父は御者がステップを置き、扉を開けるのを待つのももどかしく転がるように馬車から降りるとその場に跪いた。
「こ、これは公爵閣下。直々のお出迎えなどあまりに畏れ多い……っ」
「ほら。こうなるから父上は部屋でお待ち下さいと申し上げたでしょう」
公爵のかたわらに控えたヴィクトールが苦笑しながら言う。
公爵はヴィクトールによく似た精悍な顔立ちに、威厳と風格を加えた顔で重々しく首を振った。
「いやいや。本来ならばこちらから伯爵家へお詫びに伺わねばならぬところを、それではかえってご迷惑をおかけするということでこちらへご足労頂いたのだ。出迎えくらいはさせていただかねば申し訳がたたぬ」
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