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第一章 初恋は婚約破棄から
8.バランド公爵子息クレイグは嘆息する
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バランド公爵家の嫡男、クレイグは溜息をついた。
エイベル侯爵令嬢アンジェリカとの婚約披露の祝宴の場は、ゴシップ好きの宮廷雀たちの間でこの先数年は語り継がれること請け合いの、格好のスキャンダルの場となり果てていた。
口火を切ったのは王太子アドリアンだった。
彼は非公式とはいえ、若い貴族たちの集まるこの場に、あろうことか婚約者のアマーリア・クレヴィングではなく別の女性を同伴していた。
王立学院に入学して以来、アドリアンが蜜に吸い寄せられる蝶のように群がってくる令嬢たちを相手にずいぶんと奔放にお楽しみになっているという噂は耳に届いていた。
褒められたことでないのは確かだが、このエルトリア王国は周辺の多くの国の例に漏れず一夫多妻を容認していた。
現国王シュトラウス二世にも王妃クラリスの他に何人もの妃がいる。
それらの妃は側室というわけではなく、第二、第三王妃と呼ばれ、王妃と同じように尊重される。
だから若く美しいアドリアン王太子が、婚約者以外と浮名を流しても、とりたてて非難する声は聞かれなかった。
しかし、社交の場にパートナーとして同伴するとなれば話は別だ。
それは婚約者であるアマーリアに対する重大な侮辱になる。
よりにもよって自分たちの祝いの場で、妻となるアンジェリカの親友アマーリアを貶めるような真似をするとは。
クレイグは不快であった。
幸い、アマーリアはクレイグの妹のミレディと一緒に今日は主役の付添としてアンジェリカの側に付き添っている。
主賓の座からあまり動けないアンジェリカのために、飲み物や焼き菓子を取り寄せたり、ひっきりなしに祝いの言葉を述べにくる来客者たちの相手をしたりと忙しそうにしていて、アドリアンたちの様子を気にしている様子はなさそうだ。
アマーリアは、親友ヴィクトールの妹であり、クレイグ自身も彼女のことを幼い頃から知っている。アドリアンの態度は不愉快だったが、この場で諫めたりしようとして人の耳目を集めれば、かえってアマーリアを傷つけることになると思って我慢することにした。
(後日、これは父上の耳に入れてそれとなく殿下を諫めていただいた方がいいかもな……)
そんなことを考えていた矢先だった。
「アマーリア・クレヴィング! 私は今日をもってそなたとの婚約を解消する!!」
王太子アドリアンの高らかな声が響き渡ったのは。
しかし、それはまだ序の口だった。
その場に泣き崩れたかと思われたアマーリアが思いのほか、元気に立ち上がり、会場の隅に立っていた男に駆け寄ったのだ。
「ラルフ・クルーガーさま。お慕いしています。私と結婚を前提にお付き合いして下さい……っ」
その時の驚きは、アドリアンの発言の比ではなかった。
爆弾発言のあと、友人たちに引きずられるようにしてアマーリアが退場していったあと、周囲の人々はたちまちラルフ・クルーガーという士官に群がった。
しかしラルフ自身、何がなんだか分かっていないようで
「何かの間違いだろう」
と言いながら困惑しきっている。
「間違いって、間違いで深窓のご令嬢がこんなところで男にあんなことを言うか?」
しつこく食い下がる友人たちをあしらいながら、ラルフがこの場をあとにしようとしたその時。
「おい、待て! 貴様!!」
行く手に一人の男が立ちはだかった。
王太子アドリアンだった。
一介の騎士が直接言葉を交わせる相手ではない。ラルフはその場に片膝をつき、臣下の礼をとった。
アドリアンはラルフに立つようにとも言わずに、尊大に見下ろしながら言った。
「貴様、いったい何者だ。アマーリアとはどういった関係だ」
ラルフが黙って深く頭を垂れると、アドリアンは気がついたように
「良い。直答を許す」
と言った。ラルフは顔を上げた。
「私は『銀の鷲騎士団』所属、ラルフ・クルーガーと申します。クレヴィング公爵令嬢とは、近衛騎士団、ヴィクトール隊長のもとをお訪ねした際などに何度かお目にかかったことがありますが、関係などは何も……」
「嘘をつけ! 何の関係もないのにアマーリアがあのようなことを言いだすわけがないだろう!!」
アドリアンが決めつけた。
「貴様。アマーリアがこの私の婚約者であると知りながら、情を通じておったのか? 不敬……いや、姦通罪ではないか!」
(やれやれ。そこまでおバカだとは)
クレイグは二人に向かって歩き出した。
「『姦通』というのは、既婚の男女が正式な婚姻を交わした相手を裏切り、それ以外の異性と通じることを言いますのでこの場合は正しくありませんね」
その場の全員の注目がクレイグに集まった。
「少し落ち着いて下さい。王太子殿下。いずれにせよこのような場所で声高に論じるような話題ではないように思いますが」
クレイグは跪いたままのラルフに立つように言った。
本来ならば、王太子であるアドリアンをさしおいて起立の許可を与えたその行為の方がよほど「不敬」にあたるのだが、興奮しているアドリアンは気づいていないようだった。
「そうは言ってもだな。アマーリアはこんな公の場で他の男──それも、事もあろうに一介の騎士ごときに想いを告げ、この私の顔に泥を塗ったのだぞ。これを放置しておけるか!!」
「そもそも、アマーリア嬢があのような行動に出られたのは、殿下が先に婚約解消のお話をなされたからでしょう。こんな公の場で、女性に向かって聞くに耐えない罵声を浴びせ、アマーリア嬢のみならずクレヴィング公爵家の顔に泥を塗るようなことをされた。……事もあろうに一介の男爵令嬢ごときのために」
クレイグは、にこやかな笑みが浮かべたまま言ったが、内心ではアドリアンに対する怒りと軽蔑の念が渦巻いていた。
「我が親友、ヴィクトールが愛する妹君の身に加えられたこのような恥辱を知ったら、どれほど嘆くことでしょう。それを思うと胸が痛みます」
アドリアンは、クレイグの静かな迫力に気おされたように後ずさったが、そんな自分を励ますようにさらに声を張り上げた。
「う、うるさい。それもこれもアマーリアが自分で招いた種であろう。そなたはアマーリアがこのマリエッタにどのような酷い仕打ちをしたのか知らぬからそのような事が言えるのだ。真実を知ったらまた考えも変わるであろう」
「殿下。どうかもう、私のことは……」
先ほどから後ろに控えていたマリエッタが、アドリアンの腕にすがりつくようにして言う。
「私のことは良いのです。どうか事を大袈裟になさらないで。私は殿下にご迷惑をかけたくありません」
「マリエッタ……そなたは何と優しいのだ」
アドリアンが感極まったようにマリエッタを見た。
クレイグが「ともかく」と言うと、二人ははっとしたように顔をあげた。
「事の真偽は今後、しっかりと調査するとして」
クレイグに正面から見つめられると、マリエッタは怯えたようにアドリアンの背に隠れた。
「殿下。アマーリア嬢は、うら若くか弱い女性です。そのような方がこのような場所で殿下に婚約破棄を突き付けられたのです。驚き、悲しみ、取り乱されて常ならばありえない行動をとられたとしても責めることは出来ないでしょう」
「……つまり、アマーリアは私に婚約を破棄され、自暴自棄になってあんな事をしたと」
「その可能性もあるというお話です」
「そ、そうか。そうだな。あれは私のことを慕っておったからな。無理もない」
どこか嬉しそうに鼻をふくらませるアドリアンを冷ややかに見やって、クレイグはラルフの方を振り返った。
「こちらのクルーガーですが、ヴィクトールの配下の者ということで、友人である私がこの場を預からせて頂きます。この場は殿下も一度お引き取りのほどを。あとのことは私がしかるべく対処させていただきます」
「そうだな。このような場で王族である私に恥をかかせたアマーリアとその騎士に関しては、しかるべき処罰を下さぬわけにはいかないだろうな」
自分に都合の良いように解釈すると、アドリアンは
「うむ。あとは頼んだぞ」
尊大にクレイグに言い、マリエッタと数人の取り巻きたちを引き連れて意気揚々と去っていった。
「さて、と」
アドリアンたちの姿が見えなくなるとクレイグはラルフを振り返って微笑んだ。
「災難だったな」
「ああ……いえ、正直、何がなんだか……」
「みたいだな」
クレイグは苦笑した。
「まあ、あの王太子殿下に問題があるのは間違いないが……アマーリア嬢もなあ。最近はすっかりおしとやかになったと思っていたんだが……」
クレイグはもう一度、深い溜息をついた。
そしてラルフの肩をぽんっと叩く。
「悪いが今から少し付き合ってくれないか。君の上司のヴィクトールのところへ同行して欲しい」
エイベル侯爵令嬢アンジェリカとの婚約披露の祝宴の場は、ゴシップ好きの宮廷雀たちの間でこの先数年は語り継がれること請け合いの、格好のスキャンダルの場となり果てていた。
口火を切ったのは王太子アドリアンだった。
彼は非公式とはいえ、若い貴族たちの集まるこの場に、あろうことか婚約者のアマーリア・クレヴィングではなく別の女性を同伴していた。
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だから若く美しいアドリアン王太子が、婚約者以外と浮名を流しても、とりたてて非難する声は聞かれなかった。
しかし、社交の場にパートナーとして同伴するとなれば話は別だ。
それは婚約者であるアマーリアに対する重大な侮辱になる。
よりにもよって自分たちの祝いの場で、妻となるアンジェリカの親友アマーリアを貶めるような真似をするとは。
クレイグは不快であった。
幸い、アマーリアはクレイグの妹のミレディと一緒に今日は主役の付添としてアンジェリカの側に付き添っている。
主賓の座からあまり動けないアンジェリカのために、飲み物や焼き菓子を取り寄せたり、ひっきりなしに祝いの言葉を述べにくる来客者たちの相手をしたりと忙しそうにしていて、アドリアンたちの様子を気にしている様子はなさそうだ。
アマーリアは、親友ヴィクトールの妹であり、クレイグ自身も彼女のことを幼い頃から知っている。アドリアンの態度は不愉快だったが、この場で諫めたりしようとして人の耳目を集めれば、かえってアマーリアを傷つけることになると思って我慢することにした。
(後日、これは父上の耳に入れてそれとなく殿下を諫めていただいた方がいいかもな……)
そんなことを考えていた矢先だった。
「アマーリア・クレヴィング! 私は今日をもってそなたとの婚約を解消する!!」
王太子アドリアンの高らかな声が響き渡ったのは。
しかし、それはまだ序の口だった。
その場に泣き崩れたかと思われたアマーリアが思いのほか、元気に立ち上がり、会場の隅に立っていた男に駆け寄ったのだ。
「ラルフ・クルーガーさま。お慕いしています。私と結婚を前提にお付き合いして下さい……っ」
その時の驚きは、アドリアンの発言の比ではなかった。
爆弾発言のあと、友人たちに引きずられるようにしてアマーリアが退場していったあと、周囲の人々はたちまちラルフ・クルーガーという士官に群がった。
しかしラルフ自身、何がなんだか分かっていないようで
「何かの間違いだろう」
と言いながら困惑しきっている。
「間違いって、間違いで深窓のご令嬢がこんなところで男にあんなことを言うか?」
しつこく食い下がる友人たちをあしらいながら、ラルフがこの場をあとにしようとしたその時。
「おい、待て! 貴様!!」
行く手に一人の男が立ちはだかった。
王太子アドリアンだった。
一介の騎士が直接言葉を交わせる相手ではない。ラルフはその場に片膝をつき、臣下の礼をとった。
アドリアンはラルフに立つようにとも言わずに、尊大に見下ろしながら言った。
「貴様、いったい何者だ。アマーリアとはどういった関係だ」
ラルフが黙って深く頭を垂れると、アドリアンは気がついたように
「良い。直答を許す」
と言った。ラルフは顔を上げた。
「私は『銀の鷲騎士団』所属、ラルフ・クルーガーと申します。クレヴィング公爵令嬢とは、近衛騎士団、ヴィクトール隊長のもとをお訪ねした際などに何度かお目にかかったことがありますが、関係などは何も……」
「嘘をつけ! 何の関係もないのにアマーリアがあのようなことを言いだすわけがないだろう!!」
アドリアンが決めつけた。
「貴様。アマーリアがこの私の婚約者であると知りながら、情を通じておったのか? 不敬……いや、姦通罪ではないか!」
(やれやれ。そこまでおバカだとは)
クレイグは二人に向かって歩き出した。
「『姦通』というのは、既婚の男女が正式な婚姻を交わした相手を裏切り、それ以外の異性と通じることを言いますのでこの場合は正しくありませんね」
その場の全員の注目がクレイグに集まった。
「少し落ち着いて下さい。王太子殿下。いずれにせよこのような場所で声高に論じるような話題ではないように思いますが」
クレイグは跪いたままのラルフに立つように言った。
本来ならば、王太子であるアドリアンをさしおいて起立の許可を与えたその行為の方がよほど「不敬」にあたるのだが、興奮しているアドリアンは気づいていないようだった。
「そうは言ってもだな。アマーリアはこんな公の場で他の男──それも、事もあろうに一介の騎士ごときに想いを告げ、この私の顔に泥を塗ったのだぞ。これを放置しておけるか!!」
「そもそも、アマーリア嬢があのような行動に出られたのは、殿下が先に婚約解消のお話をなされたからでしょう。こんな公の場で、女性に向かって聞くに耐えない罵声を浴びせ、アマーリア嬢のみならずクレヴィング公爵家の顔に泥を塗るようなことをされた。……事もあろうに一介の男爵令嬢ごときのために」
クレイグは、にこやかな笑みが浮かべたまま言ったが、内心ではアドリアンに対する怒りと軽蔑の念が渦巻いていた。
「我が親友、ヴィクトールが愛する妹君の身に加えられたこのような恥辱を知ったら、どれほど嘆くことでしょう。それを思うと胸が痛みます」
アドリアンは、クレイグの静かな迫力に気おされたように後ずさったが、そんな自分を励ますようにさらに声を張り上げた。
「う、うるさい。それもこれもアマーリアが自分で招いた種であろう。そなたはアマーリアがこのマリエッタにどのような酷い仕打ちをしたのか知らぬからそのような事が言えるのだ。真実を知ったらまた考えも変わるであろう」
「殿下。どうかもう、私のことは……」
先ほどから後ろに控えていたマリエッタが、アドリアンの腕にすがりつくようにして言う。
「私のことは良いのです。どうか事を大袈裟になさらないで。私は殿下にご迷惑をかけたくありません」
「マリエッタ……そなたは何と優しいのだ」
アドリアンが感極まったようにマリエッタを見た。
クレイグが「ともかく」と言うと、二人ははっとしたように顔をあげた。
「事の真偽は今後、しっかりと調査するとして」
クレイグに正面から見つめられると、マリエッタは怯えたようにアドリアンの背に隠れた。
「殿下。アマーリア嬢は、うら若くか弱い女性です。そのような方がこのような場所で殿下に婚約破棄を突き付けられたのです。驚き、悲しみ、取り乱されて常ならばありえない行動をとられたとしても責めることは出来ないでしょう」
「……つまり、アマーリアは私に婚約を破棄され、自暴自棄になってあんな事をしたと」
「その可能性もあるというお話です」
「そ、そうか。そうだな。あれは私のことを慕っておったからな。無理もない」
どこか嬉しそうに鼻をふくらませるアドリアンを冷ややかに見やって、クレイグはラルフの方を振り返った。
「こちらのクルーガーですが、ヴィクトールの配下の者ということで、友人である私がこの場を預からせて頂きます。この場は殿下も一度お引き取りのほどを。あとのことは私がしかるべく対処させていただきます」
「そうだな。このような場で王族である私に恥をかかせたアマーリアとその騎士に関しては、しかるべき処罰を下さぬわけにはいかないだろうな」
自分に都合の良いように解釈すると、アドリアンは
「うむ。あとは頼んだぞ」
尊大にクレイグに言い、マリエッタと数人の取り巻きたちを引き連れて意気揚々と去っていった。
「さて、と」
アドリアンたちの姿が見えなくなるとクレイグはラルフを振り返って微笑んだ。
「災難だったな」
「ああ……いえ、正直、何がなんだか……」
「みたいだな」
クレイグは苦笑した。
「まあ、あの王太子殿下に問題があるのは間違いないが……アマーリア嬢もなあ。最近はすっかりおしとやかになったと思っていたんだが……」
クレイグはもう一度、深い溜息をついた。
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