54 / 58
番外編 聖女様②
しおりを挟む
目の前のスケルトン50体くらいを、聖女様が範囲魔法で一瞬にして消し去った。スケルトンだって生きて(?)いる。さぞかし心を痛めてると思ったんだけど……。
「気ん持ちいいぃぃぃーっ!」
聖女様は別人かと思うほどに恍惚な表情を浮かべていた。
「あの、聖女様……?」
「……はっ!? ごめんなさい、私としたことが、つい……」
「い、いえ。さすが聖女様です。あんなにいたスケルトンが一瞬で消え去りました」
聖女様はとても神秘的で、透き通るような白い肌と銀髪が光り輝き、顔立ちはモデルかと思うほどに整っている。20歳になったばかりなんだっけ。
それが今や、マンガで例えるなら「ぐへへ……」みたいな表情をしていて、超嬉しそうだ。よだれを垂らしていないだろうな?
「おい! また向こうからスケルトンの大群が来やがったぞ!」
パーティーメンバーの屈強な戦士が大声で注意を促す。ざっと30体といったところか。
「聖女様、今度は俺達パーティーに任せて下さい!」
「いいえ、やはりアンデッドには光属性が有効ですから、私にお任せを」
聖女様はそう言うと、またもや最前列に躍り出て、詠唱を始めた。
「ホーリーバースト!」
ホーリーバーストとは、30センチくらいの光の玉を相手に飛ばして、触れた瞬間に爆発するという、なかなかに派手な魔法だ。だがそれで相手を倒した時は、見ている俺ですらスカッとするんだ。範囲魔法もいいけど、スカッと度はこっちの方が上だろうな。
聖女様が放った光の玉が1体のスケルトンに触れた瞬間、激しい爆発が起きた! そしてそこにスケルトンの姿は無く、跡形もなく消え去っていた。
「ヒャッハー! これが聖女の力よっ! 次は誰かしら!」
どんな精神状態だと「ヒャッハー!」なんて言葉が出てくるんだよ……。
その後も聖女様はホーリーバーストを繰り返し、スケルトンを全滅させたのだった。時間がかかるので次からは範囲魔法を使って下さい。
そして俺達はダンジョン攻略に成功したんだけど……。
「私、フルーツパフェがいいわ」
ダンジョン攻略した帰りに、俺と聖女様は二人でカフェに来ている。どうしてこうなった? 可愛い女の子と二人でカフェだなんて、ちょっとしたデートなんだけど全然そんな気がしない。
大勢いた護衛はどこへ行ったのかというと、店の外で待機中だ。なんだかずっと拳銃を突きつけられているような気分になって、落ち着かない。
「ちょっと聞いてくれる? 私、聖女なんだけどさぁー、毎日毎日教会でお祈りばっかりなの。でもいい加減ツラくなってくるじゃない?」
「そ、そうでしょうね……」
「だからさ、ちょうど暴れたいなと思ってたんだよねー」
聖女とは? もっとこう、おしとやかで気品があって、争いなんて好まない、とても尊い存在なんだと思っていた。
実際に異世界で目の当たりにすると、マンガやラノベで描かれている聖女様は幻想なんだなということがよく分かる。
その後も俺は少しの間、聖女様のグチに付き合わされた。みんな陰で苦労してるんだなぁ……。
「あ、もうこんな時間かぁー。私もう帰らなきゃ。話聞いてくれてありがとね」
「えっ!? もうですか? まだ来て10分くらいですよ?」
「うん、だから代わりを呼んであるの。じゃあね」
そう言い残して聖女様は店から出ていった。それから1分後くらいに、1人の人物が姿を見せた。
「げっ! なんでアンタがいるのよ!?」
それは今日『欠席』したはずの如月だった。
「気ん持ちいいぃぃぃーっ!」
聖女様は別人かと思うほどに恍惚な表情を浮かべていた。
「あの、聖女様……?」
「……はっ!? ごめんなさい、私としたことが、つい……」
「い、いえ。さすが聖女様です。あんなにいたスケルトンが一瞬で消え去りました」
聖女様はとても神秘的で、透き通るような白い肌と銀髪が光り輝き、顔立ちはモデルかと思うほどに整っている。20歳になったばかりなんだっけ。
それが今や、マンガで例えるなら「ぐへへ……」みたいな表情をしていて、超嬉しそうだ。よだれを垂らしていないだろうな?
「おい! また向こうからスケルトンの大群が来やがったぞ!」
パーティーメンバーの屈強な戦士が大声で注意を促す。ざっと30体といったところか。
「聖女様、今度は俺達パーティーに任せて下さい!」
「いいえ、やはりアンデッドには光属性が有効ですから、私にお任せを」
聖女様はそう言うと、またもや最前列に躍り出て、詠唱を始めた。
「ホーリーバースト!」
ホーリーバーストとは、30センチくらいの光の玉を相手に飛ばして、触れた瞬間に爆発するという、なかなかに派手な魔法だ。だがそれで相手を倒した時は、見ている俺ですらスカッとするんだ。範囲魔法もいいけど、スカッと度はこっちの方が上だろうな。
聖女様が放った光の玉が1体のスケルトンに触れた瞬間、激しい爆発が起きた! そしてそこにスケルトンの姿は無く、跡形もなく消え去っていた。
「ヒャッハー! これが聖女の力よっ! 次は誰かしら!」
どんな精神状態だと「ヒャッハー!」なんて言葉が出てくるんだよ……。
その後も聖女様はホーリーバーストを繰り返し、スケルトンを全滅させたのだった。時間がかかるので次からは範囲魔法を使って下さい。
そして俺達はダンジョン攻略に成功したんだけど……。
「私、フルーツパフェがいいわ」
ダンジョン攻略した帰りに、俺と聖女様は二人でカフェに来ている。どうしてこうなった? 可愛い女の子と二人でカフェだなんて、ちょっとしたデートなんだけど全然そんな気がしない。
大勢いた護衛はどこへ行ったのかというと、店の外で待機中だ。なんだかずっと拳銃を突きつけられているような気分になって、落ち着かない。
「ちょっと聞いてくれる? 私、聖女なんだけどさぁー、毎日毎日教会でお祈りばっかりなの。でもいい加減ツラくなってくるじゃない?」
「そ、そうでしょうね……」
「だからさ、ちょうど暴れたいなと思ってたんだよねー」
聖女とは? もっとこう、おしとやかで気品があって、争いなんて好まない、とても尊い存在なんだと思っていた。
実際に異世界で目の当たりにすると、マンガやラノベで描かれている聖女様は幻想なんだなということがよく分かる。
その後も俺は少しの間、聖女様のグチに付き合わされた。みんな陰で苦労してるんだなぁ……。
「あ、もうこんな時間かぁー。私もう帰らなきゃ。話聞いてくれてありがとね」
「えっ!? もうですか? まだ来て10分くらいですよ?」
「うん、だから代わりを呼んであるの。じゃあね」
そう言い残して聖女様は店から出ていった。それから1分後くらいに、1人の人物が姿を見せた。
「げっ! なんでアンタがいるのよ!?」
それは今日『欠席』したはずの如月だった。
55
お気に入りに追加
584
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました
夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。
スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。
ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。
驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。
※カクヨムで先行配信をしています。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる