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第51話 俺だけができること
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日向さんが『かわいい後輩』から『かわいい彼女』になった。重ねていた唇を離し、改めて彼女を見つめた。彼女も俺を真っ直ぐに見つめている。
「先輩、私に彼氏ができました!」
「俺もさっき彼女ができたばかりなんだ」
「先輩の彼女はどんな人なんですか?」
「俺の彼女はいつも元気で明るくて、素直に感情を表に出して、人の気持ちを尊重して、ずっと一緒にいたいと思わせてくれる人だよ」
その言葉を聞いた彼女の目がうるんでいるように見えた。もっと自慢しようかと考えたが、止まらなくなりそうなのでやめておいた。
「俺にも彼氏がどんな人か聞かせてほしいな」
「私の彼氏はですね、他人に興味が無さそうに見えて実は、お話してみると楽しそうにいろんな話をしてくれたり、いつも私を見ていてくれて、さりげなく助けてくれて、でも私がそれを気にするといけないから、決して口に出さないような、優しくて頼れるカッコいい人です!」
こんなにも褒められたのは初めてだ。もっと彼女に喜んでもらいたいという気持ちが、自然と込み上げてくる。
まるで夢のような時間だが、今日はここまでになりそうだ。終電に間に合わせるためには、そろそろ駅に向かわなくてはならない。
「そろそろ帰らないと、終電に間に合わなくなるね」
「私、テレポートで帰りたいなー」
思ってもみなかった方法を希望された。初めて一緒に映画を観た帰りにも言われたっけ。
「確かに異世界では俺に触れていれば、二人でもテレポートできていたけど、こっちでは試したこと無いから、できるか分からないよ」
「きっと大丈夫です! それに私は先輩と一緒ならそれでいいんです」
彼女がそう言ってくれるだけで、なんでもできるような気になる。
俺にできる限りのことは叶えてあげて、もっと彼女の笑顔が見たい。
「分かった、やってみようか。最初だから、この公園の入り口まで試してみよう。俺に触れてもらえるかな」
俺がそうお願いすると、彼女に突然抱きしめられた。前からガバッと俺の背中に両手を回し、身動きがとれないほどだ。
「いや、あのね、普通は手を繋ぐとか腕を掴むとかだと思うんだけど」
「私はこれがいいです。……ダメ?」
密着されての上目遣いが強力すぎる。でも身長差を考えると、そうなって当然だ。俺の目を見て話そうとした結果なのだろう。
「まったく、最高だな! テレポート!」
俺の気合いのこもったテレポートが成功して、一瞬で公園の入り口へと到着した。どうやら問題はなさそうだ。
「私、初めてテレポート体験しました! 本当にジェットコースターみたいなんですね!」
「俺は苦手なんだよ」
「私もですよ」
そう、初めて一緒に食事をした日にそう言っていた。誰にだって苦手なものくらいあるだろう。
「やっぱり電車で帰る?」
「テレポートでしか帰りません!」
彼女がこうなった時の意思は固い。かわいいわがままなので、嫌な気分は全くしない。
俺は彼女が住むマンションを意識して、再びテレポートを使った。その間にも、俺は一人ではないことを実感していた。
一瞬で彼女が住むマンションへ到着した。何駅分を移動したのだろうか。経費削減である。
「テレポートすごいです!」
「この送り方ができるのは俺だけだろうな」
「私たち二人だけの秘密ですね!」
ここでようやく俺は身動きがとれるようになり、彼女がマンションの中へと入って行ったことを見届けてから、今度は自分の家までテレポートで帰った。
そして部屋に着いてから、彼女と他愛もないメッセージのやり取りをしたのだった。
「先輩、私に彼氏ができました!」
「俺もさっき彼女ができたばかりなんだ」
「先輩の彼女はどんな人なんですか?」
「俺の彼女はいつも元気で明るくて、素直に感情を表に出して、人の気持ちを尊重して、ずっと一緒にいたいと思わせてくれる人だよ」
その言葉を聞いた彼女の目がうるんでいるように見えた。もっと自慢しようかと考えたが、止まらなくなりそうなのでやめておいた。
「俺にも彼氏がどんな人か聞かせてほしいな」
「私の彼氏はですね、他人に興味が無さそうに見えて実は、お話してみると楽しそうにいろんな話をしてくれたり、いつも私を見ていてくれて、さりげなく助けてくれて、でも私がそれを気にするといけないから、決して口に出さないような、優しくて頼れるカッコいい人です!」
こんなにも褒められたのは初めてだ。もっと彼女に喜んでもらいたいという気持ちが、自然と込み上げてくる。
まるで夢のような時間だが、今日はここまでになりそうだ。終電に間に合わせるためには、そろそろ駅に向かわなくてはならない。
「そろそろ帰らないと、終電に間に合わなくなるね」
「私、テレポートで帰りたいなー」
思ってもみなかった方法を希望された。初めて一緒に映画を観た帰りにも言われたっけ。
「確かに異世界では俺に触れていれば、二人でもテレポートできていたけど、こっちでは試したこと無いから、できるか分からないよ」
「きっと大丈夫です! それに私は先輩と一緒ならそれでいいんです」
彼女がそう言ってくれるだけで、なんでもできるような気になる。
俺にできる限りのことは叶えてあげて、もっと彼女の笑顔が見たい。
「分かった、やってみようか。最初だから、この公園の入り口まで試してみよう。俺に触れてもらえるかな」
俺がそうお願いすると、彼女に突然抱きしめられた。前からガバッと俺の背中に両手を回し、身動きがとれないほどだ。
「いや、あのね、普通は手を繋ぐとか腕を掴むとかだと思うんだけど」
「私はこれがいいです。……ダメ?」
密着されての上目遣いが強力すぎる。でも身長差を考えると、そうなって当然だ。俺の目を見て話そうとした結果なのだろう。
「まったく、最高だな! テレポート!」
俺の気合いのこもったテレポートが成功して、一瞬で公園の入り口へと到着した。どうやら問題はなさそうだ。
「私、初めてテレポート体験しました! 本当にジェットコースターみたいなんですね!」
「俺は苦手なんだよ」
「私もですよ」
そう、初めて一緒に食事をした日にそう言っていた。誰にだって苦手なものくらいあるだろう。
「やっぱり電車で帰る?」
「テレポートでしか帰りません!」
彼女がこうなった時の意思は固い。かわいいわがままなので、嫌な気分は全くしない。
俺は彼女が住むマンションを意識して、再びテレポートを使った。その間にも、俺は一人ではないことを実感していた。
一瞬で彼女が住むマンションへ到着した。何駅分を移動したのだろうか。経費削減である。
「テレポートすごいです!」
「この送り方ができるのは俺だけだろうな」
「私たち二人だけの秘密ですね!」
ここでようやく俺は身動きがとれるようになり、彼女がマンションの中へと入って行ったことを見届けてから、今度は自分の家までテレポートで帰った。
そして部屋に着いてから、彼女と他愛もないメッセージのやり取りをしたのだった。
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