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第19話 歓迎会の終わりに
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会社の飲み会は出会いのチャンスでもある。思った通り、日向さんに近づいて来た男性社員がいた。そういった積極性も恋人を作るうえで必要なスキルなのだろう。
今までの俺なら「おーおー、元気ですなぁ」と気にしていなかったが、日向さんが狙われているとなれば見過ごせなかった。
話しかけてきたのが他チームの若きイケメン君(仮)だったので、俺は角が立たないよう『友達になって平和的に諦めるよう促す』という行動をとることにした。
その結果、俺と日向さんとイケメン君の三人でお互いのチームについての話である程度の時間を過ごすことになった。
もし俺がいなかったら、日向さんは断り切れずにイケメン君に連絡先を教えていただろう。
「僕、そろそろ帰らないと。お疲れ様でした」
そう言ってイケメン君は歓迎会を早退した。俺の意図を察したのかは分からない。おそらく経験ではイケメン君の方が上だろう。なので、空気を読むスキルのレベルも高いのかもしれない。
「驚いたね。日向さんの右隣は出入り口だから座る場所なんて無いのに、強引に座ってきたんだから。かといって俺は横にずれる気なんて無かったけどね」
「フフッ、先輩、頑固ですね!」
「そうだよ、俺は頑固なんだ」
そう言ってグラスの中の液体を一口飲んでふと思い出した。これはウーロン茶だった。本当はビールを飲みたかったけどあの場面でビールを頼むと、お酒の話題から遠ざけようとしたことが無意味になる気がしたんだ。
俺は改めてビールを注文しようとタッチパネルを操作したが、グラス交換制なのでこのウーロン茶を飲み干さなければならない。
「ビールを注文するんですか?」
「そうだけどこのウーロン茶を飲み干してからだね」
「それなら私が飲みます!」
日向さんはそう言うと、ウーロン茶がほぼ満タンに入ったグラスを目の前に持っていき、元々あった半分ほど残っていたウーロン茶を一気に飲み干しグラスを出入り口付近に置いた。
「はいどうぞ!」
「ありがとう」
日向さんからすれば予定外の一杯だったのかもしれない。ビールを注文した俺は如月の様子を確認することにした。
なんてこった、逆ハーレム要員が増えている。正確には六人だ。というより今、如月の近くに居ない男って俺と主任しかいないじゃないか。
女性社員は如月の近くにいたり、女性同士でグループができていたり、主任と話していたり、ずっと俺の横にいたりする。もちろん日向さんのことだ。
少しすると注文したビールをホールスタッフが持って来たので、出入り口から一番近くにいる日向さんが受け取った。
俺は「ありがとう」と言う準備をしたが、一向にビールが届かない。
「日向さん、俺に渡してもらっていい?」
数秒ほど間が空いただろうか、日向さんが少し強い口調で俺に話しかける。
「先輩、私ビール飲んでみます」
「えっ!? そんな無理して飲まなくてもいいと思うよ」
「大丈夫ですよ、全く飲んだことが無いわけじゃないですから」
そう言って日向さんは中ジョッキの半分を飲んだ。
「どう? 飲めそう?」
「うーん、まだ私には早いのかもしれません」
「そうか。まあビールだけがお酒じゃないし、他のも試してみればいいと思うよ」
「そうですよね! はい、どうぞ!」
そう言って俺に中ジョッキを手渡す日向さん。いや、飲みかけなんですけど……。
今さら間接キスなんて気にしないが、なんとなく日向さんの唇を見てしまった。
そこへ如月が戻って来た。見る限り酔っている様子は無い。
「よう、キサラギ姫。逆ハーレムはもういいのか?」
キサラギ姫とは、異世界にいた頃の如月の通称だ。強敵を圧倒する強さと凜とした振る舞いに、人々は尊敬の念を込めてそう呼んでいた。
「次その呼び方したら魔法でアンタの背中に氷を山ほどブチ込むわよ!」
「間違った使い方をするんじゃない!」
氷属性魔法は『飲み物に氷を入れる程度』だと言ってたじゃないか。
「そろそろ解散の時間だな。全員外に出るとしようか。二次会に行く人は待っていてくれ」
主任が締めのあいさつをして、如月の歓迎会は終了した。俺は二次会の類には行かない。日向さんと如月はどうするんだろう。
今までの俺なら「おーおー、元気ですなぁ」と気にしていなかったが、日向さんが狙われているとなれば見過ごせなかった。
話しかけてきたのが他チームの若きイケメン君(仮)だったので、俺は角が立たないよう『友達になって平和的に諦めるよう促す』という行動をとることにした。
その結果、俺と日向さんとイケメン君の三人でお互いのチームについての話である程度の時間を過ごすことになった。
もし俺がいなかったら、日向さんは断り切れずにイケメン君に連絡先を教えていただろう。
「僕、そろそろ帰らないと。お疲れ様でした」
そう言ってイケメン君は歓迎会を早退した。俺の意図を察したのかは分からない。おそらく経験ではイケメン君の方が上だろう。なので、空気を読むスキルのレベルも高いのかもしれない。
「驚いたね。日向さんの右隣は出入り口だから座る場所なんて無いのに、強引に座ってきたんだから。かといって俺は横にずれる気なんて無かったけどね」
「フフッ、先輩、頑固ですね!」
「そうだよ、俺は頑固なんだ」
そう言ってグラスの中の液体を一口飲んでふと思い出した。これはウーロン茶だった。本当はビールを飲みたかったけどあの場面でビールを頼むと、お酒の話題から遠ざけようとしたことが無意味になる気がしたんだ。
俺は改めてビールを注文しようとタッチパネルを操作したが、グラス交換制なのでこのウーロン茶を飲み干さなければならない。
「ビールを注文するんですか?」
「そうだけどこのウーロン茶を飲み干してからだね」
「それなら私が飲みます!」
日向さんはそう言うと、ウーロン茶がほぼ満タンに入ったグラスを目の前に持っていき、元々あった半分ほど残っていたウーロン茶を一気に飲み干しグラスを出入り口付近に置いた。
「はいどうぞ!」
「ありがとう」
日向さんからすれば予定外の一杯だったのかもしれない。ビールを注文した俺は如月の様子を確認することにした。
なんてこった、逆ハーレム要員が増えている。正確には六人だ。というより今、如月の近くに居ない男って俺と主任しかいないじゃないか。
女性社員は如月の近くにいたり、女性同士でグループができていたり、主任と話していたり、ずっと俺の横にいたりする。もちろん日向さんのことだ。
少しすると注文したビールをホールスタッフが持って来たので、出入り口から一番近くにいる日向さんが受け取った。
俺は「ありがとう」と言う準備をしたが、一向にビールが届かない。
「日向さん、俺に渡してもらっていい?」
数秒ほど間が空いただろうか、日向さんが少し強い口調で俺に話しかける。
「先輩、私ビール飲んでみます」
「えっ!? そんな無理して飲まなくてもいいと思うよ」
「大丈夫ですよ、全く飲んだことが無いわけじゃないですから」
そう言って日向さんは中ジョッキの半分を飲んだ。
「どう? 飲めそう?」
「うーん、まだ私には早いのかもしれません」
「そうか。まあビールだけがお酒じゃないし、他のも試してみればいいと思うよ」
「そうですよね! はい、どうぞ!」
そう言って俺に中ジョッキを手渡す日向さん。いや、飲みかけなんですけど……。
今さら間接キスなんて気にしないが、なんとなく日向さんの唇を見てしまった。
そこへ如月が戻って来た。見る限り酔っている様子は無い。
「よう、キサラギ姫。逆ハーレムはもういいのか?」
キサラギ姫とは、異世界にいた頃の如月の通称だ。強敵を圧倒する強さと凜とした振る舞いに、人々は尊敬の念を込めてそう呼んでいた。
「次その呼び方したら魔法でアンタの背中に氷を山ほどブチ込むわよ!」
「間違った使い方をするんじゃない!」
氷属性魔法は『飲み物に氷を入れる程度』だと言ってたじゃないか。
「そろそろ解散の時間だな。全員外に出るとしようか。二次会に行く人は待っていてくれ」
主任が締めのあいさつをして、如月の歓迎会は終了した。俺は二次会の類には行かない。日向さんと如月はどうするんだろう。
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