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本編

05  キスを2時間しなさい

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揺さぶられているような感覚がする…。ついに来てしまったかぁ…。

ぱちりと目を開けると目の前には毛布があって、向こう側から光が透けていた。今はもう現実では毛布を使ってないけど、夢の中はそのままなんだなぁ。
まあここは毛布とかあるわりに冷えてないし、深い意味はないのかもしれない。


「ユキミ?」

夢のなかだけど、現実逃避をしていたらギゼルに声を掛けられてしまう。どうしようもないので、ゆっくり毛布をまくって起き上がる。

「こんにちは」

いつもはしていなかったけど、今日は気まずくて挨拶してしまう。いや、いつもしとけよって感じだけどさ。
そして、いつもなら少しでも長く見ていたいから、恥ずかしくてどうしようもない時以外は基本見ているギゼルを見ることができない。
こんな態度最悪だって思うんだけど、気まずいし怖いし、どうしたらいいんだろう。

「ユキミ、前回はどうしたんだ?大丈夫だったか?」

…こうやって聞かれるのも一応想定はしていたから、大丈夫、大丈夫。

「えっと、お腹が痛くなっちゃってさ!ごめんごめん。…あ、すぐ治ったから今は全然平気」

「ふうん…そうか」

「そうだ、今回の試練はどんなやつだった?」

「…キスを2時間だ」

「そっか、じゃあさっさとしちゃおう」

前回の話をされたくなくて勢いで話してみたけど、今回の試練はキスかぁ。最初のやつと一緒だなんて初めてのパターンだ…。
キスをするためには顔をくっつける必要があるからなんとかギゼルの方を向いて笑いかけた。

「わかった」

そうして、クリーンをかけてもらうかあの液体を口に入れるか、どちらかを提案しようと考えていると、なんとも言えない顔をしているギゼルがあっという間に抱き寄せてきてキスをしてくる。ぎゅっと目を瞑ると、唇からちゅっと可愛い音がした。

そのまま何度も啄まれてちゅっちゅっとキスをされながらも、合間に唇をぺろりと舐められる。
少しピクっと反応してしまったけど、開けろって言われてるわけじゃないしと都合の良いように解釈してそのままやり過ごした。

そうしていると、次は唇を舌でつつかれる。それでも動かないでいると、何度も舌で閉じた唇をつつかれ、さすがに観念して唇を薄っすら開いた。クリーン…。
それに、多分キスを2時間という判定は、口さえくっついていればいい気がしてる。だから無理にすることないと思ったんだけど。

「ンんぅ…んぅぅっ」

すぐにギゼルの舌が入ってきて舌を絡めとられじゅぅっと唾液ごと吸われてしまう。そのまま流れるように顔を上に向かされて、2人分の唾液を口に流し込まれた。
突然の行動にびっくりして目を見開くと、ギゼルの紅い目が間近に見えた。目を逸らすこともできず、なんとかこくりこくりと唾液を飲みこんでいく。

すこし唇の端からこぼれてしまった唾液を伸ばすように首筋をなぞられて、ふるりと背中が戦慄いた。

ギゼルにそのつもりはないとしても、やっぱりエッチな夢としてご褒美だと割り切って楽しもうかな?という気持ちがわいてしまう。でも…きっと、苦しくなるんだよなぁ。
懲りない俺は、これはエッチな夢!ご褒美の夢だから!とちょっと前に感じた苦しさや虚しさを放り出すことにした。

自分からギゼルの舌に吸いついて、おずおずとギゼルの首に手を回す。そうするとようやく唇がゆっくりとはなされた。

「っはぁっはぁ…はぁ」

「キスの仕方、忘れたのか?」

呼吸を整えるのに必死な俺に、ギゼルがなんだか少し寂しそうに笑いかけてくる。

…その表情はずっるくないか!?

心がぎゅっと掴まれた気がする。いや、もうだいぶ前から掴まれてるけど、そういう表情されると俺みたいに勘違いするやつが出るんだよ。なんて罪深い男なんだ。

「クリーンかけてほしかった…それに、試練の条件は結構緩いんじゃないかなって、何もせず口と口を合わせるだけでも済むんじゃないかなとも思ったり…」

「クリーンか、わりぃ気づかなかった。…試練の達成条件は同じ説明内容でも多少ズレることはある、ここに時間を確認する道具がない以上出来るだけのことはした方が良い。俺たちはすでに最初の試練で色々しているしな」

うぅ、それを言われると、反論できない。なにより最初の時を思い出すとかなりノリ気というか、夢中になってしまった自覚があるだけに…!!

うわあぁ、俺気持ちいいのに弱すぎないか?男としては普通か?許されるか? このまま頭を抱えてゴロゴロと転がりたくなる!

「ユキミ」

内心で悶絶している俺をよそに、ギゼルは自分の膝の上を叩いて俺に呼び掛けてくる、そこに乗れってことか?まあ長時間キスするなら必要な体勢だけど。
ギゼルの膝の上に乗り上げて、膝立ちのような状態になると腰に腕が回されて囲い込まれる。そして何故か目を覗き込まれた。

「ユキミ、前回の時は怯えさせたか?」

「っ……」

すっかり流されてくれたと思った話題をここで蒸し返されるとは思ってなかったから、どう答えていいかわからず黙ってしまう。

「別にあれ以上なにかするつもりは無かった。怯えさせたなら悪い」

俺の態度を肯定と受け取ったのか、優しい声で謝ってくる。
まさかそんな風に思われていたとは……むしろ逆なんだといったらどうなるんだろう…。俺の夢は結構そういうところシビアだから、きっとなんとも言えない感じに引かれてしまったりするかもしれない。

「平気…試練だってちゃんとわかってるから、大丈夫」

「そうか、それなら良いが」

ほっとしたように笑うギゼルに苦しくなる。

「ギゼル」

そんな気持ちを振りきるように、ギゼルの名前を呼んでキスをした。 
一瞬驚いていたみたいだったけど、すぐに応えてくれる。そのままくちゅくちゅとお互いに舌を絡めては甘噛みし合った。

少しするとまた息が苦しくなってきたので、口を離して息を整える。
ギゼルの口の端から少し唾液が流れているのが見えて、さっきのお返しに指でツーっと顎の下をすべらせるように伸ばし、ついでにニヤと笑いかけてみる。

特に動揺することなくニヤっと笑い返されたので今度はドヤ顔で返してやろうと思ったんだけど、俺の口の端にも唾液がついていたのか片手で頭を押さえられ、ギゼルの舌で舐めとられる。そのまま舌で顎から喉仏まで舐めれて、柔らかく甘嚙みされた。

「ンっ…」

なんだそれは! ギゼルのエッチさにまた軽くちんこが勃ってしまって、悔しくなる。こいつ自体には全然その気が起きてる様子はないっていうのに…。

……あ!このテクニックを真似してなんとかその気にさせられないか…?
そうだよ、俺自体の色気じゃ絶対無理だけど、こういう小技を真似ていけばいつかはあり得るかもしれないよな。

勝算は薄いけど、まあ夢を見るだけならただ……まあここも夢なんだけど。

思い立ったら即実行、俺はギゼルの頭を両手で押さえて、口の端から顎、喉仏を舐める。そしてがぶがぶと何度も甘嚙みしてみる。…どうだ?

そろりと伺うように見上げると、きちんと表情を見る前にがぶりと口を嚙みつくように塞がれる。
でも、その後に荒々しさはなくて、ゆっくりと上顎をなぞられては、歯列を丁寧に舐められる。やっぱりクリーンかけてもらっておくんだったぁ。

ギゼルの目から何か感情が読み取れないかと思ったけど、ニヤけてそうっていうことぐらいしか分からなかった。

頭を押さえてくる手とは別の手で、するりと耳の裏を撫でられる。くすぐったくてちょっと笑いそうになったけど、なんとか堪えた。うなじをゆるゆると確認するよう丁寧になぞられて気持ちいいようなぞわぞわするような感覚。
そのまま首周りのゆるいTシャツから背中をなぞるように手が入ってくる。触れるか触れないかという絶妙さで爪を当てながらなぞられると、もう誤魔化せないほど気持ちよくなってしまう。

「んっ…っぷはぁ…ぎぜるっんンンっ」

一度呼吸をしてからギゼルの動きを真似するように耳の裏側をなぞって、うなじに手を伸ばそうとするけど、縦になぞっていくには手の長さが足りない。色んな意味で悔しさを感じながら、体をぎゅっと近づけて抱きつくような状態になるとギリギリなぞる動きができるくらいになった。

ちょっとうなじをなぞってから気づいたけどこいつの服、襟ががっちりしていて中に手が入れられない。これじゃあ無理だ!うなじから背中のところが一番気持ち良かったのに…。

仕方ないからギゼルの口にそっと舌を入れて歯列をなぞっていくけど、口の大きさが違うからあんまりちゃんとできない。

「ぁんンっ」

ムキになって顔を近づけようとした時、ちんこが服越しにギゼルの腹に当たってめっちゃ声がでてしまった。きっもちい!

慌てて腰を離そうとしたけど、そのままぐっと腰を押えられてぐっぐっと動かされる。

「あっぁっ、ぎぜるっ」

すっごく気持ちいいけど、困るって、イっちゃういそうだよ…。

ギゼルは俺の挑戦を受け身で待っていたし、俺が自力でキスを続けられなくなってしまったから、唇が離れてしまう。

「きっ、ぅんンっ、きす、しなっぃと…ぁぁっ」

気持ちいい。すでに下着はぐちゃぐちゃで、そこに擦れるのがまたたまらない。このままだとイってしまう。腰を何度も揺すられて、俺はキスもしたいのに縋るように抱きついて堪えることしかできない。

きもちいい。俺ばっかり気持ちよくなってるから、何か真似をしてギゼルを興奮させたいのに何も思いつかない。気持ちいいのになんだか寂しくて、せめて言葉だけでも伝えられればと呼びかける。

「はぁっ…ぎぜる、きもちいっ」

「ユキミ」

呼びかけた俺に応えるように優しい声で呼び返してくれる。そのまま耳にぐちゅりと舌を入れられては耳を食まれた。
気付くと腰を押えている手が下にずれてお尻を掴んでいて、それに前回の試練を思い出しお尻にきゅっと力が入る。

「ぅぁあっ」

一定の間隔で揺さぶられる体に、掴まれたお尻に、勝手にセックスを想像してたまらなくなった俺は、その興奮で我慢できずにイってしまう。ぎゅうっと力を入れて抱きつき、ひくひくと腰を震わせながらすべてを出しきる。

「はぁっ…はぁ…はぁ」

ふわぁー、きもちかったぁ…。

ぺたんと足から力が抜けて、顔をギゼルの胸に押しつけるようにしながら寄りかかる。そのまま言葉にできない気持ちを押しつけるようにぐりぐりと頭を動かす。

「ん、甘えた坊ちゃんか?」

そういいながら頭を撫でられて、さらに負けた気持ちになる。でも、今は素直になることにした。

「ぅん…だから、甘やかしてほしぃ」

ちょっと恥ずかしいけど、イった後で力が抜けてしまって何かを仕掛けることもできないし、甘やかして欲しいのも本心だし。さっさと試練をするように言った方がいいんだろうけど、ちょっとぐらい、いいよな。
俺の返事を聞いても特に反応はしてもらえなかったけど、優しく頭を撫で続けてくれる。

寄りかかった胸に耳を当ててみるけど、俺自身の心臓がバクバクしているせいかギゼルの心音がちゃんと聞こえない。俺みたいにバクバクしていないのだけは確かだけど。
ちぇっ、目の前で人がイってるんですけど!ちょっとはドキドキしてもいいんじゃないですか!?

「ユキミ」

「っ!?」

顔を上に向かされてちゅっとおでこにキスされた。もともと熱かった頬がさらに熱くなってしまった気がする!なんだその甘やかしは!
ちょっと恨みがましい気持ちでジト目になってしまう。そんな俺を見ても面白そうに笑うだけで、全然気にした様子はない。くっそぉ…。

そのままちゅっちゅっと唇を啄んではこちらを楽しそうに見てくるんだから、色々たちが悪い。

「舌くっつけるキスがいい」

不貞腐れながら提案したけど、一も二もなく口に舌が入ってきた。今日はこのまま甘え続けようと開き直って、ギゼルの舌に自分の舌を押しつける。

面白そうに笑っているギゼルを見ながら舌同士をざりざりとこすり合わせるように動かして、たまらず熱い息を吐く。唇がしっかりくっついていなければ息をできるようになってきたかもしれない…!自身の成長に嬉しくなってギゼルに笑いかける。
またニヤけ返してくれるかと思ったけどそんなことはなく、ぐっと舌が侵入してきて口内をぐちゅぐちゅとかき回される。

なんだよぉ。ちょっと寂しくなりながら、動き回るギゼルの舌を追いかける。

「んぅっ……ん…はぁっ…んン」

上顎を舐めるようにしながら、口から舌を抜き差しするように動かされて、さっきしてしまった想像がぶり返す。なんか、口でセックスしてるみたい…。そう思うだけでイってそんなに経ってないっていうのにどんどんちんこが勃ってくる。我ながらここまで勃ちやすいと困るんだけど。

自分がした想像に、恥ずかしいのに気持ちよくなって、あまり舌が上手く動かせない。ギゼルにされるがまま、上顎をこすられる気持ち良さとセックスを想像する背徳感でとろけてしまう。

「ン…ぎれう、きもちぃ」

キスをされながら上手く喋れないけど、言葉にするのをやめられない。


優しく頭を撫でられて甘やかすようなキスをされたり、激しくぐちゃぐちゃというようなキスをされたり、擦りつけるよう腰を押さえられながら唾液をたっぷり飲まされたり。
俺はほとんどギゼルにされるがまま、名前を呼んで気持ちいいとなくしかできない、とろけきった状態で試練の2時間をすごした。




そうして、また自室のベッドで横になっている自分がいた。

「……良かったぁ」

安心して声がでる。

あの気まずいまま終わった試練から、もう夢は見れないんじゃないか、夢が見れたとして今度はどんな風にギゼルと過ごすことになるかと怖かった。
勝手に期待して勝手にショックをうけて、次は怖くなって上手く対応できないとか、全部自分が悪いのに。

ギゼルがちゃんと話そうとしてくれてよかった…俺は結局何も伝えられなかったけど…。まあ、もうちゃんと分かってるから、多少寂しくなるとしても大丈夫だと思えた。

………………しかし、今日のギゼルもえっちで優しかったなぁ…。

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