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[外伝]リドルの美味しい珈琲
(番外編)男たちの嫁談義
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「『コーヒーは、魔法がかかるから美味しいんじゃない。2人で飲むから美味しいんだ。』って、なかなかいいキャッチコピーを考えたな。このポスターのおかげで、相当な繁盛だそうじゃないか。」
真面目な顔でそう切り出したルバートの横で、フェリクスが我慢できないとばかりに腹を抱えて笑い出す。
いよいよ来月に迫った俺の結婚式を前に、俺たち三人はまた集まって飲むことにしたのだ。
「それ、リドルが言ったプロポーズの言葉なんだろ?お前のところの従業員、本当に優秀だな。それを聞いた時、もう笑いが止まらなかったぞ!」
「え?そうなのか!」
と驚いた顔で、ルバートが俺を見る。
「一番驚いたのは、俺だっつーの!」
まさか、俺がシンシアにしたプロポーズの一部始終を、従業員のヒューゴに見られていたなんて!
その言葉と共に、コーヒーメーカーを差し出して跪く男と、その前に立つ女が描かれたポスターを俺が目にしたのは、既に街中に貼り出された後のことだった。
けれど、そのポスターのおかげで、今やコーヒーメーカーはプロポーズの際に欠かせないものとなり、またそれを妻に贈る男も増えているため、生産が追いつかない状態が続いていた。
「しかし、リドルは本当に笑わせてくれるよな。出会いの時から笑えたが、俺は今、心からお前と知り合えて良かったと思ってる。『リドル系』も最高だったが、街中にプロポーズの言葉を貼り出されてるとか、本当にすごいな!」
フェリクスが俺の背中を痛いほどバンバンと叩く。
俺の記憶では、出会った時、フェリクスは魔王のような形相で俺を睨んでいたはずなのだが。
「え?出会いの時って、生徒会室でのこと?お前、すごい形相で睨んでたじゃん!」
「言ってなかったか?あれは、お前の姿があんまりにもおかしかったんで、必死で笑いを堪えてたんだぞ。『頭隠して尻隠さず』っていうのを現実に見るとは思わなかったからな!」
フェリクスは飲むと笑い上戸だ。
このまましばらく笑い続けるつもりだろう。
その隣りにいるルバートは、そんなフェリクスの様子を笑って眺めていたが、しばらくするとどこか言い出しづらそうに口を開いた。
「すごい売れ行きなんだろ?今予約しても、1年待ちだと聞いたぞ。実は、俺も一台欲しいんだが、なんとかならんか?」
いつも尊大な態度のルバートが、今日はやけに大人しいような気がする。
無駄に大きな体も、心なしか小さく見えるのは気のせいか。
「お前はアメリアがいるから、自宅用はいらないんじゃなかったのかよ。」
俺がそう突っ込むと、ルバートではなくフェリクスがその問いに応えた。
「いや、それがどうやらそうでもないらしいぞ。な、ルバート?」
フェリクスの言葉に、ルバートは苦笑いを浮かべた。
「子供が生まれてからは、ほとんど淹れてくれなくなってしまってな。」
「え?そうなの?」
ルバートが珍しく肩を落として、頷いた。
まあ、子供が生まれると女は変わると言うし、しかもルバートとアメリアには双子の女の子が生まれていた。
アメリアが、ルバートの世話までやっていられないのも無理はないだろうと思う。
「そうだ。あの面白い話、リドルにもしてやれよ。」
フェリクスがそう言うと、ルバートは余計なことを言うなとフェリクスを突きつつ、観念したように話し出した。
「クレア王女の叙爵式の後、俺たち久しぶりに集まって飲んだだろ?」
「ああ。お前、明日は朝早いとかいいつつ、結局、朝まで飲んでたよな?」
「で、翌朝、二日酔いが酷かったんで、久しぶりにアメリアにコーヒーを淹れてくれないかと頼んだんだよ。」
「断られたとか?」
「いや、淹れてはくれたんだが、そのコーヒーが飛び上がるほど辛くてな。」
ルバートの言葉に、隣で聞いていたフェリクスが涙を流して笑い転げる。
オチを知ってても、ここまで笑えるフェリクスはすごいと妙に感心してしまう。
「辛いコーヒー?アメリア、そんなの淹れられるのかよ。ある意味すごいな。」
シンシアが作った魔法のコーヒーメーカーで魔力を帯びたコーヒーを淹れてみているが、辛いコーヒーなんてものができたことは一度もない。
「アメリアは、わざとやったんじゃないと言って謝ってはいたぞ。後で聞いたら、その前の晩、子供たちの夜泣きが酷くて、アメリアはほとんど寝ていなかったらしい。明け方やっと寝ついてくれて、一休みしようと思ったところに、二日酔いの俺がコーヒーを淹れて欲しいと言ってしまったわけだ。」
「それは・・・完全に、お前が悪いな。」
「ああ、本当に反省してる。だから、お詫びの気持ちを込めて、アメリアにコーヒーメーカーを贈りたいと思っているわけだ。」
ルバートが心から反省しているようだった。
まあ、一台くらいは何とかなるだろう。
「案外、わざとかもしれんぞ。ああいう大人しそうな女こそ、腹の中で何を考えているか分かったものではない。それに比べて、ソフィアなんて考えていることが全部顔に出るから可愛いものだ。ソフィアが一番いい!」
フェリクスが上機嫌でグラスを掲げた。
いかにも愛妻家を装ってはいるが、俺はこいつの裏の顔を知っている。
「あ、フェリクス、そんなこと言っていいのかよ。お前もあの晩は、大変だったんだろ?」
俺の言葉に、フェリクスがさっと顔色を変えた。
「お前、その話、どこで聞いた。重要機密を漏らすとは、事と次第によってはその者の口を封じなければならんな。」
どこの悪役なんだよと思うような顔を作って、フェリクスが呟いた。
「封じられるもんなら封じてみるんだな。出どころは侍女たちだよ。あいつらの口を塞げると思ってるんなら、お前もまだまだだな。お前のところの諜報部より、よっぽど優秀だぞ。」
「なんだ、何があった。俺はまだ聞いてないぞ。」
身を乗り出してきたルバートに対し、フェリクスは忘れたふりをして誤魔化そうとしている。
けれど、これまで散々コケにされてきた俺としては、ここで一矢報いないわけにはいかない。
「あの日、ルバートも挨拶されただろ?元男爵令嬢のヴァイオレット嬢。」
「ああ、覚えてるな。高等部時代、フェリクスに粉かけてたあの小リスのような令嬢か。結婚したもののご夫君を亡くされて、未亡人になったって言ってたな。」
「あの日、フェリクスは急用があるとか言って、先に帰っただろ?急用っていうのが、その未亡人だったらしいんだよ。俺たちの友情も軽くみられたもんだよな。」
「いやいや、誤解だよ。彼女が久しぶりに王都へ戻ってきて、まだ親しい友達もいないと言うから、ちょっと話していただけで。」
「お前も見えすいた嘘つくな。わざわざ二人で温室に行って話するかよ。」
「お前、そんなことしてたのか!ソフィアに殺されるぞ!」
「いやいや、してない。未遂だよ、未遂。してたら、俺は今ここにいない!」
「ああ、残念ながら未遂だったらしいな。こいつ、ソフィアに〈追跡〉されてたらしいんだよ。で、フェリクスが温室に入っていくのに気づいたソフィアに現場を押さえられたらしい。」
俺がそこまで言うと、フェリクスは開き直ったように話し始めた。
「温室の入り口に立つソフィアの顔を見た時の俺の気持ち、お前たちには分からないだろうな。上級魔獣を目にした時よりも恐ろしかったぞ。一瞬で血の気が引いた。お前たちと飲むときは、いつも朝までコースだから、ソフィアも油断していると思ったんだが、甘かった!」
フェリクスはその時のことを思い出し、悔しそうな顔をして見せた。
「ソフィアも王女みたいに王都全域とか〈捜索〉できるのか?」
俺はそこまで魔力が強くないので、魔力が多いルバートに聞いてみる。
「いや、あんなことができるのはクレア王女改め、レイモンド女公爵だけだろうな。〈追跡〉は相手と離れる時から気配を追っていくから、あそこまで魔力が多くなくてもできるはずだ。まあ、ソフィアほどの魔力なら、おそらく王都全域くらいは楽に〈追跡〉できるだろうがな。」
「そうか。王都内は無理か。」
全く反省していないのか、フェリクスが苦虫を噛み潰したような顔をした。
「いやー、嫁にするなら魔力が弱いのが一番!辛いコーヒーも出てこないし、追跡もされない!つまり、シンシアが一番ってことだな!」
そう言って、俺はやっと親友二人を見返してやることができたのだった。
真面目な顔でそう切り出したルバートの横で、フェリクスが我慢できないとばかりに腹を抱えて笑い出す。
いよいよ来月に迫った俺の結婚式を前に、俺たち三人はまた集まって飲むことにしたのだ。
「それ、リドルが言ったプロポーズの言葉なんだろ?お前のところの従業員、本当に優秀だな。それを聞いた時、もう笑いが止まらなかったぞ!」
「え?そうなのか!」
と驚いた顔で、ルバートが俺を見る。
「一番驚いたのは、俺だっつーの!」
まさか、俺がシンシアにしたプロポーズの一部始終を、従業員のヒューゴに見られていたなんて!
その言葉と共に、コーヒーメーカーを差し出して跪く男と、その前に立つ女が描かれたポスターを俺が目にしたのは、既に街中に貼り出された後のことだった。
けれど、そのポスターのおかげで、今やコーヒーメーカーはプロポーズの際に欠かせないものとなり、またそれを妻に贈る男も増えているため、生産が追いつかない状態が続いていた。
「しかし、リドルは本当に笑わせてくれるよな。出会いの時から笑えたが、俺は今、心からお前と知り合えて良かったと思ってる。『リドル系』も最高だったが、街中にプロポーズの言葉を貼り出されてるとか、本当にすごいな!」
フェリクスが俺の背中を痛いほどバンバンと叩く。
俺の記憶では、出会った時、フェリクスは魔王のような形相で俺を睨んでいたはずなのだが。
「え?出会いの時って、生徒会室でのこと?お前、すごい形相で睨んでたじゃん!」
「言ってなかったか?あれは、お前の姿があんまりにもおかしかったんで、必死で笑いを堪えてたんだぞ。『頭隠して尻隠さず』っていうのを現実に見るとは思わなかったからな!」
フェリクスは飲むと笑い上戸だ。
このまましばらく笑い続けるつもりだろう。
その隣りにいるルバートは、そんなフェリクスの様子を笑って眺めていたが、しばらくするとどこか言い出しづらそうに口を開いた。
「すごい売れ行きなんだろ?今予約しても、1年待ちだと聞いたぞ。実は、俺も一台欲しいんだが、なんとかならんか?」
いつも尊大な態度のルバートが、今日はやけに大人しいような気がする。
無駄に大きな体も、心なしか小さく見えるのは気のせいか。
「お前はアメリアがいるから、自宅用はいらないんじゃなかったのかよ。」
俺がそう突っ込むと、ルバートではなくフェリクスがその問いに応えた。
「いや、それがどうやらそうでもないらしいぞ。な、ルバート?」
フェリクスの言葉に、ルバートは苦笑いを浮かべた。
「子供が生まれてからは、ほとんど淹れてくれなくなってしまってな。」
「え?そうなの?」
ルバートが珍しく肩を落として、頷いた。
まあ、子供が生まれると女は変わると言うし、しかもルバートとアメリアには双子の女の子が生まれていた。
アメリアが、ルバートの世話までやっていられないのも無理はないだろうと思う。
「そうだ。あの面白い話、リドルにもしてやれよ。」
フェリクスがそう言うと、ルバートは余計なことを言うなとフェリクスを突きつつ、観念したように話し出した。
「クレア王女の叙爵式の後、俺たち久しぶりに集まって飲んだだろ?」
「ああ。お前、明日は朝早いとかいいつつ、結局、朝まで飲んでたよな?」
「で、翌朝、二日酔いが酷かったんで、久しぶりにアメリアにコーヒーを淹れてくれないかと頼んだんだよ。」
「断られたとか?」
「いや、淹れてはくれたんだが、そのコーヒーが飛び上がるほど辛くてな。」
ルバートの言葉に、隣で聞いていたフェリクスが涙を流して笑い転げる。
オチを知ってても、ここまで笑えるフェリクスはすごいと妙に感心してしまう。
「辛いコーヒー?アメリア、そんなの淹れられるのかよ。ある意味すごいな。」
シンシアが作った魔法のコーヒーメーカーで魔力を帯びたコーヒーを淹れてみているが、辛いコーヒーなんてものができたことは一度もない。
「アメリアは、わざとやったんじゃないと言って謝ってはいたぞ。後で聞いたら、その前の晩、子供たちの夜泣きが酷くて、アメリアはほとんど寝ていなかったらしい。明け方やっと寝ついてくれて、一休みしようと思ったところに、二日酔いの俺がコーヒーを淹れて欲しいと言ってしまったわけだ。」
「それは・・・完全に、お前が悪いな。」
「ああ、本当に反省してる。だから、お詫びの気持ちを込めて、アメリアにコーヒーメーカーを贈りたいと思っているわけだ。」
ルバートが心から反省しているようだった。
まあ、一台くらいは何とかなるだろう。
「案外、わざとかもしれんぞ。ああいう大人しそうな女こそ、腹の中で何を考えているか分かったものではない。それに比べて、ソフィアなんて考えていることが全部顔に出るから可愛いものだ。ソフィアが一番いい!」
フェリクスが上機嫌でグラスを掲げた。
いかにも愛妻家を装ってはいるが、俺はこいつの裏の顔を知っている。
「あ、フェリクス、そんなこと言っていいのかよ。お前もあの晩は、大変だったんだろ?」
俺の言葉に、フェリクスがさっと顔色を変えた。
「お前、その話、どこで聞いた。重要機密を漏らすとは、事と次第によってはその者の口を封じなければならんな。」
どこの悪役なんだよと思うような顔を作って、フェリクスが呟いた。
「封じられるもんなら封じてみるんだな。出どころは侍女たちだよ。あいつらの口を塞げると思ってるんなら、お前もまだまだだな。お前のところの諜報部より、よっぽど優秀だぞ。」
「なんだ、何があった。俺はまだ聞いてないぞ。」
身を乗り出してきたルバートに対し、フェリクスは忘れたふりをして誤魔化そうとしている。
けれど、これまで散々コケにされてきた俺としては、ここで一矢報いないわけにはいかない。
「あの日、ルバートも挨拶されただろ?元男爵令嬢のヴァイオレット嬢。」
「ああ、覚えてるな。高等部時代、フェリクスに粉かけてたあの小リスのような令嬢か。結婚したもののご夫君を亡くされて、未亡人になったって言ってたな。」
「あの日、フェリクスは急用があるとか言って、先に帰っただろ?急用っていうのが、その未亡人だったらしいんだよ。俺たちの友情も軽くみられたもんだよな。」
「いやいや、誤解だよ。彼女が久しぶりに王都へ戻ってきて、まだ親しい友達もいないと言うから、ちょっと話していただけで。」
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「ああ、残念ながら未遂だったらしいな。こいつ、ソフィアに〈追跡〉されてたらしいんだよ。で、フェリクスが温室に入っていくのに気づいたソフィアに現場を押さえられたらしい。」
俺がそこまで言うと、フェリクスは開き直ったように話し始めた。
「温室の入り口に立つソフィアの顔を見た時の俺の気持ち、お前たちには分からないだろうな。上級魔獣を目にした時よりも恐ろしかったぞ。一瞬で血の気が引いた。お前たちと飲むときは、いつも朝までコースだから、ソフィアも油断していると思ったんだが、甘かった!」
フェリクスはその時のことを思い出し、悔しそうな顔をして見せた。
「ソフィアも王女みたいに王都全域とか〈捜索〉できるのか?」
俺はそこまで魔力が強くないので、魔力が多いルバートに聞いてみる。
「いや、あんなことができるのはクレア王女改め、レイモンド女公爵だけだろうな。〈追跡〉は相手と離れる時から気配を追っていくから、あそこまで魔力が多くなくてもできるはずだ。まあ、ソフィアほどの魔力なら、おそらく王都全域くらいは楽に〈追跡〉できるだろうがな。」
「そうか。王都内は無理か。」
全く反省していないのか、フェリクスが苦虫を噛み潰したような顔をした。
「いやー、嫁にするなら魔力が弱いのが一番!辛いコーヒーも出てこないし、追跡もされない!つまり、シンシアが一番ってことだな!」
そう言って、俺はやっと親友二人を見返してやることができたのだった。
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