えっちな義弟くんのカラダ共有♡年上二人に溺愛されて夜も眠れません

犯人はエリー

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一章 一ノ瀬兄弟

絶対に逃がさない 1

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 瓶子草という植物がある。筒状の葉をもち、酒器に似ている事からその名がついた。葉の表面に甘い蜜を出す腺があり、虫を誘う。蜜につられた虫が筒の中に入りこんだら最後……二度と出てこられない構造になっている。筒の底からは消化酵素を含む液体が分泌されていて、虫は生きながらにして溶かされて吸収されてしまう。


 綾瀬はふと、子どもの頃に図鑑で見た食虫植物の事を思い出した。一ノ瀬わたるはこの植物によく似た人間だ。優しい笑顔と温和な性格で人の心をつかむのが上手く、不思議と人を引き付ける。しかし仲良くなってその心の奥底にある暗い感情に一度でも触れると……引き寄せられるように落ちていく。そしていつしか航と秘密を共有せざるを得なくなり、逃れられなくなっていくのだ。
 その暗い感情とは、人の心の在りようを丸ごと変えてしまうほどの、狂気にも似た弟への愛情。


「凛の事、脅して抱いてくれない?」
「は!? お前、何言ってるんだよ……」


 それは今から三か月ほど前。ある夏の日、綾瀬は古くからの友人・航とビデオ通話をしていた。その時通話を切り損ねて、綾瀬と通話したまま航は凛を抱いてしまう。もちろんそれは綾瀬に丸見えで、動画として保存されてしまった。
 綾瀬は航と連絡を取り、会う約束を取りつける。後日、航が綾瀬の家で見せられた動画には何もかも全てが映っていた。いやらしい下着をつけて男を誘うように腰を振る凛。

 航は今までに感じた事のないような性的興奮を覚えていた。小さな頃に見た、義理の父親が近所のおじさんに犯されている時と同じ……とろんととろけた瞳。凛が自分ではない誰かに抱かれているのを想像すると……心臓が飛び出さんばかりに跳ね、友人の前なのに股間が痛いほど張り詰める。これだ。これだったんだ。ずっと探していたものが、手に入ったような気分だった。


「なあ、これどういうことだよ……お前、義理とはいえ弟と何してるんだよ……」
「…………凛がずっと好きで……こういう関係になった。」
「だからって、義兄弟で……」
「お前も凛の事が好きなんじゃないのか?」
「…………!」


 綾瀬は図星をつかれてしまう。素直でいつもにこにこしていて、その場にいるだけで温かな気持ちになる。人懐っこくて無邪気で愛嬌のある、可愛い子ども。さすがに初めて出会った時には凛は小さかったため、可愛いとは思うものの恋愛感情はなかった。
 しかし、航と遊んだりするために何年もずっと一ノ瀬家に出入りするたびに、凛は少しずつ成長していき……ある日、花が開くように突然綺麗になった。男なのに、細くしなやかな柳腰。伏せられた長いまつ毛、たれ目。やけに色っぽい口元のほくろ。少し長めのさらさらの黒髪はまっすぐでつややか。
 今まで弟のようにしか見ていなかった子どもが……急に一人の男性として成長した所を綾瀬は見てしまった。思えばその頃、航と関係を持ったのかもしれない。凛は儚く物憂げな雰囲気を持つ温和な男性として、綾瀬に接してきた。その時に初めて、今まで抱いていた不思議な感情の正体を知った。好き。君の事が好きだったんだ。

 動画を見た時、綾瀬はとても衝撃を受けた。可愛いあの子が、他の男に抱かれていて……それも相思相愛の様子。あの子がこんないやらしい事を……しかも相手が実の兄だなんて。その日は全く眠れなかった。そんな綾瀬の気持ちをおそらく航は手に取るように分かっている。相変わらず何を考えているのかよく分からない穏やかな顔をして、耳元で囁くように言う。


「ねえ、アーヤ。凛と、こういう事したくない?」
「……なに言ってるんだ、お前……」
「凛にこの動画を見せて少し揺さぶれば、簡単にあの子が手に入る」
「ダメだ! そんな……凛ちゃんの事を何だと思っているんだ! 俺はそんな事しない」
「このままだと、凛はアーヤの事を意識もしないだろうね。でも、動画を見せるだけで、凛の身体を手に入れることができる……心が手に入らないなら、身体だけでも欲しくない?」
「…………そんな、事は…………お前はそれでいいのか…………」


「僕ねぇ、気づいちゃったんだ……愛する人が誰かに抱かれている所が一番興奮する。凛が、お前に抱かれてめちゃくちゃにされてる所を想像するだけで……イキそう」


 航は嬉しそうに笑った。初めて、何を考えているのかがはっきりわかるほど……楽しそうな顔だった。凛にどこか似ている整った顔に浮かぶ、夢に出てきそうなほどの禍々しい笑顔。綾瀬の背筋に走る悪寒。耳に囁かれる甘言。お互いの利益が完全に合致してしまった。


 綾瀬はどうしても誘惑に抗えずに、動画や画像を撮影しては航に送っていた。凛には絶対秘密。絶対バレたくないこと。綾瀬もまたこの件で航に脅されているようなものだった。


 しかし、脅して行為を続けるうちに、凛の体調に異変が起きた。はっきりと診断がついた訳ではないが、おそらくストレスによる適応障害。痩せて、食事もとれなくなって、眠れない……全部俺のせいだ。好きな子を苦しめるような事をしてまで、自分の欲望を優先したくない。
 綾瀬はそこから凛に触れるのを止めた。が、なぜか凛は三日おきに家に来るようになった。おそらく画像や動画の消去を求めたり、この行為の理由を知るためだ。それでもよかった。ただ、話すだけで楽しかった。でも、あの日、全てが終わった。

『ひょっとして、綾瀬さんは……俺の事、好きなの?』
『好き、凛ちゃん……ずっと、ずっと好きだった』

 こんな関係がそもそも間違っているんだ。動画と画像を全て消して、もう二度と関わらない事に決めた……が、一ノ瀬家に呼び出され、航との言葉にできない程のおぞましいやりとりを経て……色々あって凛と身体を重ねてしまった。しかも兄と同じくらい好きと言われて……綾瀬はどうしたらいいか分からない。
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