えっちな義弟くんのカラダ共有♡年上二人に溺愛されて夜も眠れません

犯人はエリー

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一章 一ノ瀬兄弟

お兄ちゃんはいつだってお前の事を見ている 2

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 ――――凛が雨に濡れながら走って家に帰ると、明かりがついていた。母親は二交代制の深夜勤務で、十七時に家を出て翌朝九時以降にしか帰ってこない。ひょっとして、ひょっとして? 凛は慌てて玄関のドアを開ける。


「お帰り、凛。雨がすごいから、お風呂を沸かしておいたよ」
「お兄ちゃん!」


 仕事が忙しくて一ヶ月半会っていなかった航が帰ってきていた。凛は思わず嬉しくて濡れた身体で抱きつく。航は気にせず頭を撫で、タオルで水滴を拭いてくれる。
 久しぶりに会う兄は、波打つウェーブの髪の毛をラフにセットして、大人っぽく仕上げている。家なので、コンタクトを外して眼鏡にしている。はぁ、今日もかっこいい……凛はほう、とため息をつく。


「お兄ちゃん、俳優のKeiっていう人に似てるよね……今、主演のドラマめっちゃ見てる! 好き! ……あの人もそういえばこんな髪型にしてた気がする、おそろいだ」
「ありがとう、凛。良かった、こういうの好き? これで、大丈夫……?」
「うん、めっちゃイケメン! お兄ちゃんだーいすき!」

「ふふ、凛が喜んでくれるなら……お兄ちゃんは、どんな事だってするよ……」


 よく分からないけれど落ち込んでいた心が、ほっこりと温まるような気がした。
 凛はお風呂に入り、ドライヤーで髪を乾かしてもらう。アウトバストリートメントを塗って、温風を当てて冷風。丁寧に、綺麗に乾かしてもらって、頭の先からつま先まで綺麗になって、凛は航に抱きつく。

 物心ついた時からずっと好きだった。お兄ちゃんはかっこよくて優しくて頭が良くて家事もできる……そんな自分の好みドストライクの人から毎日好きって言われたら、好きになってしまっても仕方がないと思う。好き好き大好き。お兄ちゃん、大好き。
 本当はずっとそばにいてほしい。出張なんてやめて、帰ってきてほしい。そんなわがままを言いたくなる。


「……お兄ちゃんとずっと一緒にいたい」
「大丈夫。お兄ちゃんはいつだってお前の事を見ている……離れていてもずっと一緒だよ、凛」
「おにいちゃん……はっ、はふ」


 凛はもうたまらなくなって、航にキスをねだる。ちゅ、ちゅと触れあうようなキスを何度も何度もして、舌を絡ませる。唇を柔らかく噛んで、舌をちゅ、と吸ったところで、オーブンが鳴る音がした。その少し間の抜けた音で中断したキス。思わず二人で顔を見合わせて笑う。
 今日はグラタン。具材は玉ねぎとシーチキンとマカロニ。エビが入っていたら当たり。宝探しをするようにして凛はグラタンを食べる。それを航は微笑みながら見ていた。

 
「いっぱい食べてね。せっかく良くなってきたのに、また具合悪くなるから」
「うん…………あれ?」


 俺、お兄ちゃんに具合が悪くなった事、言ったっけ……?
 凛の小さな疑問は、頭を撫でる手の優しさでかき消えた。二人で後片付けをしてゆっくりしているとチャイムが鳴った。凛はたまたまトイレに行っていたので、航が応対をする。手を洗ってリビングに入ると、そこにいたのは……。

「あ、綾瀬さん?」
「…………………」

 バツの悪そうな顔をした綾瀬が、ソファに座っていた。凛は一瞬、何が起きたのか分からなかった。何で、何で綾瀬さんがここにいるの?


「お兄ちゃん、アーヤと大事な話があって呼んじゃった。いきなりだけど、今日、泊めていいかな? 凛は僕の部屋で待っててくれる?」


 航は綾瀬の事をアーヤという昔からのあだ名で呼んで、肩をぽんぽんと叩く。凛は複雑な気持ちになる。もう会えないと思っていたのに、まさか……それも航のいるときに綾瀬に会うとは思ってもいなかった。しかもこの家に泊まる? 大事な話って何? ひょっとしてバレたんじゃ……凛の頭の中に最悪のシナリオがよぎる。

 しかし、航の様子はいつもと全然変わらない。優しいけれど、何を考えているのか全く読めない笑顔だった。柔らかな雰囲気とおっとりとした声色で有無を言わさず自分の要望を通す……航には昔からそういう所があった。
 凛は綾瀬を見た。少し疲れた顔をしている。心なしか顔色が悪いような……仕事が終わってから来たのだろうか。凛は綾瀬に軽く挨拶をして、航の部屋に向かった。 
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