3 / 65
一章 一ノ瀬兄弟
愛のないセックス 1
しおりを挟む凛が連れてこられたのは綾瀬が住んでいるアパートだった。四階建てで一階部分は複数の店舗が入っている。階段を上って三階の角部屋が綾瀬の部屋のようだ。
凛は無言で前を歩く綾瀬を盗み見る。凛の知る綾瀬は無口で一見怖く見えるが、優しくて頼れる人だった。まさかそんな人が動画をちらつかせて脅してくるなんて……まるで悪い夢のようだった。
綾瀬が玄関のドアを開ける。すぐ近くにキッチンスペースや冷蔵庫。左右に開けっ放しのドアが二つあって、それぞれ洗面所・お風呂と寝室が見えた。奥にはテレビとソファとテーブルがあって、飲みかけのマグカップや読みかけの本が置いてある。意外と綺麗にしているがよく見ると散らかっている部屋。
身近に一人暮らしの人がいない凛には何もかもが新鮮に見える。思わずきょろきょろと辺りを見回してしまった。しかし……すぐにここに連れてこられた目的を思い出して、身を竦める。
「こっち」
手を引っ張られて隣の部屋に連れていかれた。少し開いたクローゼット、漫画の入った本棚、脱いだ服が落ちている床……シーツが乱れたベッド。
凛は今からされることを考えて、恐怖でがたがたと震える。怖くて、思わず部屋から出ようと後ずさりをしてしまうが……綾瀬が見逃すはずもなく、腕を掴まれてベッドに放り投げるようにして押し倒される。その上からのしかかってくる大きな身体。
こわい、こわいこわいこわい……凛は震えながらいやいや、と首を振る。身体をこわばらせて、唇を噛む。目頭が熱くなって、鼻の頭がツンとなって、今にも涙がこぼれそう。
ベッドに仰向けに寝転がる凛の足を掴んで覆いかぶさってくる綾瀬は、まるで一匹の獣のようだった。今から俺、この人に……凛はそこまで考えて、嫌悪感でいっぱいになる。
「いや! いやだ、やめて! やっぱりこんなのいやだ!」
全力で暴れるが、綾瀬の力は強くてびくともしない。はぁ、はぁと荒い息が首元にかかる。まるで猛獣に襲われて今から食べられてしまう小動物のようだった。乱暴に前開きのシャツのボタンが外される。股間には凶暴なまでにそそりたった綾瀬の性器が押し付けられていて……もう逃げられないのだと凛は絶望に震える。身をよじると綾瀬が唇を寄せてきた。凛は首を曲げられるだけ曲げて、涙をこぼしながら抵抗する。
「キスは、キスだけは絶対しない!! か、からだは好きにされても……キスだけは嫌だ!」
「……わかった」
だって、キスはお兄ちゃん……好きな人とだけしたい。ダメで元々だったが、綾瀬は複雑そうな顔をして口元から顔を離す。耳元に息を吹きかけ、首に吸い付いて跡を残す。まるで所有を主張するように何度も、何度も。はやく、早く終わって……!
凛はただただ恐怖と嫌悪感でいっぱいだった。
不意に綾瀬の指が凛の乳首をつつく。ぷに、くりゅ、くりゅ……インナーシャツの布越しにいじられるたびになぜか凛の身体に甘い痺れが走る。初めての感覚だった。
「航……お兄ちゃんは、乳首をいじってくれないんだ?」
「な、なんで、こんな所を……感じるわけ……んっ、やめて……あっ、あ!」
こりこりとシャツ越しに乳輪を摘まれ、カリカリと緩急をつけてひっかかれる。
「あっ、あっ、あっ、んぁ、やめ……やめて!」
くりくりと円を描くようになぞられ、ぎゅっぎゅと力任せに強く引っ張られる。
「んっ、ん、んん、あん、あんっ、ひっ、ひぁ……」
羽根で撫でるようにそっと触れられ、ぎゅんぎゅんと圧し潰すようにしごかれる。
「ん゛ん゛ん゛んッ! いや、そこいやぁ!」
凛は初めて人に乳首を触られた。そもそも自分で触る場所でもない。人生で触れたのは数回、そんな部位がいきなり他人の手によってめちゃくちゃに弄られる。乳首がぴんと張り詰めて、インナーシャツの下から主張していた。
「嫌っていうわりに、感じるんだな」
「ちがう! ちがう、ちがう……こ、こんなのおかしいよ」
びくびくと身体を震わせ、口元から飲み込めなかった唾液を垂れ流す。頬を真っ赤にして……はーっ、はーっと吐きだされる息。凛の性器はいつのまにか勃っていて、綾瀬の性器とくっついてまるでキスをしているようだった。腰を無意識に動かし、すりすりとこすりつける。
兄相手にしている時だったら、迷わず足を腰に絡ませて生中出しを要求していただろう。しかし相手は綾瀬である。兄との情事を盾に性行為を要求してきた男におねだりなどするはずがない。
「あ、あん、あんっ、やめて、いじらないで……爪で、こすらないでぇ……」
「男の乳首は気持ち良くなるため……それだけのために、あるんだよ」
綾瀬は布越しに乳首をいじりながら、耳元で囁く。押すと気持ちが良くなるスイッチだ、凛はそんな事を考えてしまう。意識した瞬間、乳首が甘く切なく痛痒くなる。きゅん、と下腹のあたりが痺れる。これは一体何なんだろう。そんな凛の様子を見て、綾瀬はインナーシャツをめくりあげ、乳首を舐める。
「あ゛あ゛あっ、あっ、ああ……なにっ」
前歯で甘噛みして、唇で食んで、舌でつついて、赤ん坊が乳を飲むように吸った。右側は口で、左側は指で。それぞれ違った刺激に晒されて、ぷるぷると震えて喜ぶ乳首。
凛の性器は固く張り詰め、ズボンの前を痛いくらいに押し上げる。普段全く意識することもない器官が、凛を乱れさせて気持ち良くさせる。先走りの汁がだらだらと流れて下着の中はびしょびしょ、そこを綾瀬の太くて大きな指がこすこすと撫でさする。その優しい刺激だけで、凛は絶頂しそうになる。
「あ、あ、あ、ああああ、イクっ、イク……んっ、な、なに!?」
あと少しでイッてしまうという時に、綾瀬が動きを止めた。肩透かしをくらった凛はイケそうだったのにイケず……体内をぐるぐるとめぐる、過ぎた快感に身をよじらせていた。
「イクならこっち」
「え、え……いや!」
凛は思わず右腕を伸ばして綾瀬から逃れようとするが……強い力で掴まれてうつ伏せにされる。頭も一緒に押さえつけられて、綾瀬は凛の服を無理矢理脱がせて下着一枚にした。灰色のボクサーパンツ。その辺に売っている、普通の下着だった。
0
お気に入りに追加
242
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。



ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる