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◇27 またあいつら……?
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招かれた孤児院の中は、結構ボロボロ。これだと何かあったとき子供たちが怪我しそうだな。
さっきこの国は孤児に優しくないって言ってたから、きっと支援金とかそういうのがないんだろうな。孤児院の運営とかどうなってるのかは分からないけれど。
「ここには何人いるんですか」
「子供たちが全部で9人、大人は私一人です」
となると、5人いなくなったから今ここにいるのは4人ってことか。てか、大人がおばあさん一人だなんて絶対大変だろ。しかもこんな国にいるわけだし。
これくらいの子供たちは活発な時期だろ。こりゃ大変だ。他人ごとになっちゃうけど。
「この孤児院の他に行方不明になってる人っていたりします?」
「そう、ですね……耳にはしなかったです。ここら辺だと孤児と関わりたくないと思っている人がほとんどですから、世間話とかは一言二言くらいですし……」
「そうですか……」
まじかよ、結構酷い扱いだな。これでいいのか。
でも、ここにいる子達は結構元気だ。それだけここのおばあさんが頑張ってるってことか? 優しそうだし、皆おばあさんと仲良しそうだし。
「あの……それで、どうやって見つけてくださるのでしょうか」
「そう、ですね……とりあえず周辺を探してみます」
「そうですか、お願いします」
まぁ、こんな獣人の小僧が探しても見つかるのだろうかとは思うけれど、おばあさんと子供達しかいなかったとなると周辺を探しに行くのは苦労したのではないだろうか。というか、ちゃんと探しに行けなかったかな。
じゃあ、と行方不明になった5人の特徴を教えてもらい建物を出た。
行方不明になった子達は全員個々の敷地内にある庭で遊んでいた時にふと姿が見えなくなったと聞いた。
「ふと、ね……」
自らここの敷地から出たとか? でも普段からここから一人で出てはいけないと言いつけているらしいし。……じゃあ、誘拐とか? でも、誘拐する理由は? 孤児の子供だぞ?
『見つけたぞ』
「え?」
『痕跡を消すのが下手くそのようだな』
「痕跡?」
肩に乗っていたアグスティンが指さしたのは、柵の外にある地面の一ヵ所。よ~く凝視してみても何も見えないけど、なんか小さなエネルギーというか。感じたことのあるものがある。なんだっけ、これ。
『また奴らの仕業、という事か』
「え?」
『ルアン達は魔力を保有しているが、奴らは魔素というものを保有している。ルアン達にとっては毒となるものが混ざっていると言ったほうが簡単か』
毒……毒?
毒みたいなのがあるのか? と思いつつ、もう一度凝視してみた。……ん? なんか、粉みたいなのが振りかかってないか? 粉糖みたいな。
「これか」
『あぁ、それだ。スキルや魔法を使う際に放出される魔素が飛び散り消したが残ってしまった、という事だ。まぁたいていの者は見落とすことだろうが、我の目は欺けん』
なんか、かっけぇなアグスティン。
アグスティンは悪魔が現れる直前に気が付いて俺に解除するよう言ってきた。だから結構そういう面では鋭い感じか。頼もしいな。まぁじいちゃんと一緒にいたから詳しいのかもしれないけど。
でも、毒……いや、まさか。
「……おかま?」
『おかまかどうかは知らぬが』
あ~は~、なるほどなるほど、そいつらね。
となると、途中でアグスティン解除しなきゃいけなくなるじゃん。こんなに頼もしいアグスティンがいなくなるなんて俺は心配でならないんですけど。
じゃあ、とりあえず手掛かりは見つけたからこれをたどってみるか。そう思いおばあさんに声をかけた。
「本当に申し訳ありません、いきなりお願い事をしてしまって……」
「いえいえ、人助けは当たり前ですから。でも、見つけられるかどうかは分からないですからあまり期待しないでください」
「はい……」
そうして孤児院の敷地を出た。
「よし、とりあえず……」
宿からここまでは結構遠い。だから一旦宿にいるトロワとバリスを召喚解除、そして再度精霊償還を行った。
大きな魔法陣が出現し、そこから……
「うぇっ!?」
『ルアン~!!』
『ルアン! ルアン!』
なんかデジャヴった。召喚する時に俺に突進するの、お約束なのか? それは勘弁してほしいんだが。
なんて思いつつ、今までの事を二人に話した。バリスは快く承諾してくれたけど、トロワは不満気だ。何々、面倒だって?
「トロワ、手伝ってくれるか?」
『……やだ』
「俺からのお願い」
『……飴三つ』
「おっけ、いつもと違うやつ買ってやる」
『うん』
……なんか元気ないな。子供嫌いなのかと思ったけれど……ちょっと違うのか? まぁあとでそれは聞いてみよう。いや、トロワ自身が言いたくなるまで待つか。
あとでトロワが気に入りそうな飴、探しておこう。
さっきこの国は孤児に優しくないって言ってたから、きっと支援金とかそういうのがないんだろうな。孤児院の運営とかどうなってるのかは分からないけれど。
「ここには何人いるんですか」
「子供たちが全部で9人、大人は私一人です」
となると、5人いなくなったから今ここにいるのは4人ってことか。てか、大人がおばあさん一人だなんて絶対大変だろ。しかもこんな国にいるわけだし。
これくらいの子供たちは活発な時期だろ。こりゃ大変だ。他人ごとになっちゃうけど。
「この孤児院の他に行方不明になってる人っていたりします?」
「そう、ですね……耳にはしなかったです。ここら辺だと孤児と関わりたくないと思っている人がほとんどですから、世間話とかは一言二言くらいですし……」
「そうですか……」
まじかよ、結構酷い扱いだな。これでいいのか。
でも、ここにいる子達は結構元気だ。それだけここのおばあさんが頑張ってるってことか? 優しそうだし、皆おばあさんと仲良しそうだし。
「あの……それで、どうやって見つけてくださるのでしょうか」
「そう、ですね……とりあえず周辺を探してみます」
「そうですか、お願いします」
まぁ、こんな獣人の小僧が探しても見つかるのだろうかとは思うけれど、おばあさんと子供達しかいなかったとなると周辺を探しに行くのは苦労したのではないだろうか。というか、ちゃんと探しに行けなかったかな。
じゃあ、と行方不明になった5人の特徴を教えてもらい建物を出た。
行方不明になった子達は全員個々の敷地内にある庭で遊んでいた時にふと姿が見えなくなったと聞いた。
「ふと、ね……」
自らここの敷地から出たとか? でも普段からここから一人で出てはいけないと言いつけているらしいし。……じゃあ、誘拐とか? でも、誘拐する理由は? 孤児の子供だぞ?
『見つけたぞ』
「え?」
『痕跡を消すのが下手くそのようだな』
「痕跡?」
肩に乗っていたアグスティンが指さしたのは、柵の外にある地面の一ヵ所。よ~く凝視してみても何も見えないけど、なんか小さなエネルギーというか。感じたことのあるものがある。なんだっけ、これ。
『また奴らの仕業、という事か』
「え?」
『ルアン達は魔力を保有しているが、奴らは魔素というものを保有している。ルアン達にとっては毒となるものが混ざっていると言ったほうが簡単か』
毒……毒?
毒みたいなのがあるのか? と思いつつ、もう一度凝視してみた。……ん? なんか、粉みたいなのが振りかかってないか? 粉糖みたいな。
「これか」
『あぁ、それだ。スキルや魔法を使う際に放出される魔素が飛び散り消したが残ってしまった、という事だ。まぁたいていの者は見落とすことだろうが、我の目は欺けん』
なんか、かっけぇなアグスティン。
アグスティンは悪魔が現れる直前に気が付いて俺に解除するよう言ってきた。だから結構そういう面では鋭い感じか。頼もしいな。まぁじいちゃんと一緒にいたから詳しいのかもしれないけど。
でも、毒……いや、まさか。
「……おかま?」
『おかまかどうかは知らぬが』
あ~は~、なるほどなるほど、そいつらね。
となると、途中でアグスティン解除しなきゃいけなくなるじゃん。こんなに頼もしいアグスティンがいなくなるなんて俺は心配でならないんですけど。
じゃあ、とりあえず手掛かりは見つけたからこれをたどってみるか。そう思いおばあさんに声をかけた。
「本当に申し訳ありません、いきなりお願い事をしてしまって……」
「いえいえ、人助けは当たり前ですから。でも、見つけられるかどうかは分からないですからあまり期待しないでください」
「はい……」
そうして孤児院の敷地を出た。
「よし、とりあえず……」
宿からここまでは結構遠い。だから一旦宿にいるトロワとバリスを召喚解除、そして再度精霊償還を行った。
大きな魔法陣が出現し、そこから……
「うぇっ!?」
『ルアン~!!』
『ルアン! ルアン!』
なんかデジャヴった。召喚する時に俺に突進するの、お約束なのか? それは勘弁してほしいんだが。
なんて思いつつ、今までの事を二人に話した。バリスは快く承諾してくれたけど、トロワは不満気だ。何々、面倒だって?
「トロワ、手伝ってくれるか?」
『……やだ』
「俺からのお願い」
『……飴三つ』
「おっけ、いつもと違うやつ買ってやる」
『うん』
……なんか元気ないな。子供嫌いなのかと思ったけれど……ちょっと違うのか? まぁあとでそれは聞いてみよう。いや、トロワ自身が言いたくなるまで待つか。
あとでトロワが気に入りそうな飴、探しておこう。
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