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◇19 悪寒がするんだが
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その後、倒してしまったシシスゴマンダーの件はエルフお姉さんが何とかしてくれる事になった。もう既に死んでいた、で突き通すらしい。いや、それでいいのか?
でも、事実もう死んでるんだから誰も何も言えない訳で。だって誰もこいつ倒せなかったんだろ? もしかしたらS級の誰かが倒してそのままになってしまっていたのかもしれないという意見とかも出てるみたいだし、まぁ勝手にやってくれ。
けど、こんだけ騒ぎを起こしたんだ。もうここにはいられないな。次の行き先を決めて早くどっか行かないとだな。
「ありがとう、君のお陰で薬が作れるよ」
「いえ、気にしないでください。でも、」
「あぁ、あの件に関しては他言無用だよ。命の恩人にそんな事をするほど恩知らずじゃないから」
おぉ、よかった。あんなハンマー一発でシシスゴマンダー倒しちゃいましただなんてギルドの奴らが聞いたら大変な事になってただろうし。そしてギルド経由であの皇帝達の耳にも入ってしまうだろうし。それだけは避けないとだな。
「ねぇ、君。もしよかったら私とパーティー組まない?」
「えっ、また?」
「うん、正式には私がソロって事になるんだけど。君はギルドには登録せず、ただ一緒に依頼をこなしてほしいってだけ。ちゃんと依頼の報酬は半分ずつに分けるし。同じ精霊使いに会えたんだ、ここで別れてしまうのは勿体ないって思ったんだけど、どうかな」
どう? と言われてしまった。まぁギルドに入りたくないからそれもいいかもしれないけど……
でも、これだと解除しちゃったアグスティンをまた召喚出来なくなっちゃうな。
「申し訳ないけど、断らせてください。こいつらわがままだから、きっと迷惑かけちゃうし」
「それは問題ないよ、私も精霊の事をよく知ってるから」
「それに、俺、結構訳ありな所があるんで、すんません」
「……そっか、残念ではあるけれど、でも無理強いはするつもりはないからさ。もしその気になったら言って」
「はい、ありがとうございます」
まぁ、ここで美人エルフお姉さんと別れちゃうのはちょっと残念ではある。
けどトロワが不満気だし、アグスティンが召喚出来ないからな。仕方ない。
そして、ようやく宿に戻る事が出来た。丁度飯の時間で、俺の分の飯を受け取って部屋に。
「【精霊召喚】――黒炎龍アグスティン」
そう唱え、目の前に魔法陣が出現。つい先程精霊界に戻したアグスティンが戻って来た。戻した時と同じようなサイズだが、今更ながらにあの時みたいに大きくなって出てきたら危なかったな。宿がなくなっちまう。
「よ、アグスティン」
『あぁ、兄弟よ』
腹、減っただろ。と俺の飯を分けてやった。トロワ達はぶーぶー文句を言うが、全然喋らせてあげられなかったから今日はアグスティンに譲ろう。
「そういえば、どうして戻せって言ったんだ?」
『我はアンリークにより精霊となったからな。我がルアンと一緒にいればアンリークの関係者だと疑われる事だろう』
「あ、なるほど」
でも、よく分かったな。現れるのが悪魔だって。まぁ長寿のアグスティンだしな。
「あ、なぁなぁ、あの悪魔にさ、臭いでじいちゃんの関係者だって見破られちったんだけど、対策とかってあるか?」
『臭いか、まぁ我らも臭いで理解したからな。だが臭いを消すのにはちと厄介だ』
「え?」
『あれよあれ、魔道具』
「じいちゃん持ってた?」
『そんなこざかしい事、アンリークがすると思うか?』
あ、しませんね。
『あとは、薬か?』
「薬?」
『まぁでも結構作るの大変な薬だから手に入れるのは大変かもしれないわ』
そっか、薬か……
あ、エルフお姉さん。あの人薬剤師じゃなかったっけ。じゃあ、お願いしたら作ってくれるかもしれない。
じゃあ明日、お願いしに行ってみよう。どうせ隣にいるし。
「悪魔、か……」
あれ、倒しちゃってよかったんだよな? まぁ、あれは正当防衛ってやつだよな。うん、俺は悪くない。
さ、とりあえず疲れたから寝よう。この食べ終わった皿を持っていかなきゃ。
そして次の日、やっぱり息苦しくはあったけど怒る気力がなかったから転がすだけにした。
朝食を取りに行ってから、もう既に食べ始めていたエルフお姉さんを見つけた。俺を見つけると、おいでおいでと手招きをしてくれて。急いでご飯を取りに行き、エルフお姉さんの席に座らせてもらった。
……けど、何やらマズいことになったような、そんな顔をしていた。
嫌な予感がした。
「あの、ね……ちょっとヤバいことになっちゃった」
「えっ」
「呼ばれちゃったんだ、私と君」
ほらな、予想的中だ。
一体誰が、俺たちを呼んだのだろうか。なんか悪寒がするのは俺だけか?
でも、事実もう死んでるんだから誰も何も言えない訳で。だって誰もこいつ倒せなかったんだろ? もしかしたらS級の誰かが倒してそのままになってしまっていたのかもしれないという意見とかも出てるみたいだし、まぁ勝手にやってくれ。
けど、こんだけ騒ぎを起こしたんだ。もうここにはいられないな。次の行き先を決めて早くどっか行かないとだな。
「ありがとう、君のお陰で薬が作れるよ」
「いえ、気にしないでください。でも、」
「あぁ、あの件に関しては他言無用だよ。命の恩人にそんな事をするほど恩知らずじゃないから」
おぉ、よかった。あんなハンマー一発でシシスゴマンダー倒しちゃいましただなんてギルドの奴らが聞いたら大変な事になってただろうし。そしてギルド経由であの皇帝達の耳にも入ってしまうだろうし。それだけは避けないとだな。
「ねぇ、君。もしよかったら私とパーティー組まない?」
「えっ、また?」
「うん、正式には私がソロって事になるんだけど。君はギルドには登録せず、ただ一緒に依頼をこなしてほしいってだけ。ちゃんと依頼の報酬は半分ずつに分けるし。同じ精霊使いに会えたんだ、ここで別れてしまうのは勿体ないって思ったんだけど、どうかな」
どう? と言われてしまった。まぁギルドに入りたくないからそれもいいかもしれないけど……
でも、これだと解除しちゃったアグスティンをまた召喚出来なくなっちゃうな。
「申し訳ないけど、断らせてください。こいつらわがままだから、きっと迷惑かけちゃうし」
「それは問題ないよ、私も精霊の事をよく知ってるから」
「それに、俺、結構訳ありな所があるんで、すんません」
「……そっか、残念ではあるけれど、でも無理強いはするつもりはないからさ。もしその気になったら言って」
「はい、ありがとうございます」
まぁ、ここで美人エルフお姉さんと別れちゃうのはちょっと残念ではある。
けどトロワが不満気だし、アグスティンが召喚出来ないからな。仕方ない。
そして、ようやく宿に戻る事が出来た。丁度飯の時間で、俺の分の飯を受け取って部屋に。
「【精霊召喚】――黒炎龍アグスティン」
そう唱え、目の前に魔法陣が出現。つい先程精霊界に戻したアグスティンが戻って来た。戻した時と同じようなサイズだが、今更ながらにあの時みたいに大きくなって出てきたら危なかったな。宿がなくなっちまう。
「よ、アグスティン」
『あぁ、兄弟よ』
腹、減っただろ。と俺の飯を分けてやった。トロワ達はぶーぶー文句を言うが、全然喋らせてあげられなかったから今日はアグスティンに譲ろう。
「そういえば、どうして戻せって言ったんだ?」
『我はアンリークにより精霊となったからな。我がルアンと一緒にいればアンリークの関係者だと疑われる事だろう』
「あ、なるほど」
でも、よく分かったな。現れるのが悪魔だって。まぁ長寿のアグスティンだしな。
「あ、なぁなぁ、あの悪魔にさ、臭いでじいちゃんの関係者だって見破られちったんだけど、対策とかってあるか?」
『臭いか、まぁ我らも臭いで理解したからな。だが臭いを消すのにはちと厄介だ』
「え?」
『あれよあれ、魔道具』
「じいちゃん持ってた?」
『そんなこざかしい事、アンリークがすると思うか?』
あ、しませんね。
『あとは、薬か?』
「薬?」
『まぁでも結構作るの大変な薬だから手に入れるのは大変かもしれないわ』
そっか、薬か……
あ、エルフお姉さん。あの人薬剤師じゃなかったっけ。じゃあ、お願いしたら作ってくれるかもしれない。
じゃあ明日、お願いしに行ってみよう。どうせ隣にいるし。
「悪魔、か……」
あれ、倒しちゃってよかったんだよな? まぁ、あれは正当防衛ってやつだよな。うん、俺は悪くない。
さ、とりあえず疲れたから寝よう。この食べ終わった皿を持っていかなきゃ。
そして次の日、やっぱり息苦しくはあったけど怒る気力がなかったから転がすだけにした。
朝食を取りに行ってから、もう既に食べ始めていたエルフお姉さんを見つけた。俺を見つけると、おいでおいでと手招きをしてくれて。急いでご飯を取りに行き、エルフお姉さんの席に座らせてもらった。
……けど、何やらマズいことになったような、そんな顔をしていた。
嫌な予感がした。
「あの、ね……ちょっとヤバいことになっちゃった」
「えっ」
「呼ばれちゃったんだ、私と君」
ほらな、予想的中だ。
一体誰が、俺たちを呼んだのだろうか。なんか悪寒がするのは俺だけか?
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