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最終章 故郷
◇26 聞きたい事がいっぱいありすぎる
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ようやく船に戻る事が出来て、休んだ方がいいと言われて部屋に戻った。疲れていたのかすぐに寝ちゃったんだけど……朝になって気が付いた。なんか、色々と話さなきゃいけない事あるじゃん、と。
早く準備をして、部屋を出た。きっと甲板にいると思い走ったら……あれ?
「何急いでんだ。危ないぞ、階段」
「お、はよ……」
「うん、はよ」
お皿を持ったら、ヴィンスがいた。お皿の上には、美味しそうなご飯。私が教えた料理が乗ってた。
あ、私の代わりに朝ご飯作ってくれたんだ。ありがたい。
これ甲板に運べ、と渡されてしまったので、そのまま甲板に。
久しぶりのように感じた、海の香り。吹いてる風が気持ちいい。
「頭とか痛くないか」
「ううん、大丈夫」
全部持って来てくれて、テーブルに並べて、いただきますをした。うん、美味しい。
「あの、さ……聞いていい?」
「ん? ん-、まぁ、そのつもりではあったんだが……まずは屋敷の事を説明するよ」
「あ……危険って言ってたっけ」
「そ。ナオ、魔力酔い起こしてたんだよ」
「魔力酔い?」
「そ。ナオ、魔力持ってないだろ。まぁ魔力を持ってないやつが大半だけど。魔力を持ってないやつが一定量以上の魔力を身体にため込むとそれが起こる。発熱を起こして、思考が鈍るような作用が起こる」
まぁ、私魔力とかなんて全くなかった世界に生まれたしな。けど、魔力酔いか。何か覚えがある。
「だが全部吸い出したから心配するな。副作用もない」
「あ、ありがと」
あぁ、そういう事だったのか。昨日のあれは。
じゃあ、ヴィンスって魔力持ってるって事か。魔法使い的な?
「まぁ、俺らをこの国に引き留めるのが目的だったんだろうな。お偉いさんに俺達の事を引き留めておくよう言われたか、アイツが独断でやっていたかだな。ま、貴族なんて大体そんなもんさ。悪かったな、勝手なことして」
「ううん、助けようとしてくれたんでしょ? 逆にお礼言いたいよ。ありがとう」
「……そうか。でも、これだけは謝りたい。俺、約束破った。ごめん」
……もしかして、私の部屋に入ったから? まぁ、約束してはいた。あの部屋には私の家とを繋ぐ扉があるから。
「……何か、見た?」
「扉?」
「……」
「でも、開けてないよ。というか、開けられなかった。まぁ開けようとは思ってなかったけど」
「え?」
「船長権限でしか開けられない扉だってシステムウィンドウが言ってた」
あ、なるほど。よ、よかったぁ……じゃあ私の秘密とかバレてないって事だね。安心安心。
「あとは、俺の事だな」
「あ……」
そうだ、そういえばこの人王子様だった。なんか殿下って呼ばれてた。まさかの急展開。
「悪いな、黙ってて」
「でも、私ヴィンスが隠してたの知ってた」
「え?」
「だって、船長権限でしか閲覧出来ない船の情報の中にクルーの名前書かれてたし」
「えっ」
「えぇと……ヴィンセント・レイス・ウィンスト・バールスさんだっけ」
「あ、あぁ、そう。何で聞かなかったんだ」
「え? 事情があると思うから、ヴィンスが言ってくれるまで待ってた」
「……」
なんか、結構びっくりしてません? そんなに驚くような事、私言った?
「……まぁ、ナオは疑うなんてこと全然しないしな……こっちが困るくらい」
「何か馬鹿にしてません?」
「……いや、そんな事ない。信頼してくれてたんだってちょっと嬉しいよ」
あら照れた。レアヴィンスだ。
「それで……私結構無礼働いてませんでした?」
「いや、そういうのいいし。気にすんな」
あ、否定はしないんだ。働いてたんだ。
「……ナオには、ヴィンセント殿下よりヴィンスで見てほしいんだけど、無理か」
「不敬罪とかないんなら」
「……あははっ、あぁ、そうだな、ナオはそういうやつだったな。そんなのないからいつも通りで頼むよ」
なんか、勝手に笑い出したぞ。王子様が台無しだぞ。折角イケメン王子様なのに。
「じゃあ、陛下達には俺の恩人で紹介するけどいいか」
「私、行くの!?」
「何だよ、昨日了承したろ」
「いや、港で待ってるもんだとばかり……」
「な訳ないだろ、ちゃんと客人として扱わせてもらうからな」
……マジかぁ。王族って事は、あの大きなお城とかにいるんでしょ? え、私そこ行くの?? 無理無理無理無理!!
「私作法とかそういうの全然分かりません」
「日本王国の人が何言ってんだ。全部日本式だって言えばいい。なら、ラモストエリス国で見た服とはかけ離れた何か派手な服、ないか?」
「え?」
何だか、嫌な予感がするのですが……
なんて思いつつ、私の家に戻ったのだ。
早く準備をして、部屋を出た。きっと甲板にいると思い走ったら……あれ?
「何急いでんだ。危ないぞ、階段」
「お、はよ……」
「うん、はよ」
お皿を持ったら、ヴィンスがいた。お皿の上には、美味しそうなご飯。私が教えた料理が乗ってた。
あ、私の代わりに朝ご飯作ってくれたんだ。ありがたい。
これ甲板に運べ、と渡されてしまったので、そのまま甲板に。
久しぶりのように感じた、海の香り。吹いてる風が気持ちいい。
「頭とか痛くないか」
「ううん、大丈夫」
全部持って来てくれて、テーブルに並べて、いただきますをした。うん、美味しい。
「あの、さ……聞いていい?」
「ん? ん-、まぁ、そのつもりではあったんだが……まずは屋敷の事を説明するよ」
「あ……危険って言ってたっけ」
「そ。ナオ、魔力酔い起こしてたんだよ」
「魔力酔い?」
「そ。ナオ、魔力持ってないだろ。まぁ魔力を持ってないやつが大半だけど。魔力を持ってないやつが一定量以上の魔力を身体にため込むとそれが起こる。発熱を起こして、思考が鈍るような作用が起こる」
まぁ、私魔力とかなんて全くなかった世界に生まれたしな。けど、魔力酔いか。何か覚えがある。
「だが全部吸い出したから心配するな。副作用もない」
「あ、ありがと」
あぁ、そういう事だったのか。昨日のあれは。
じゃあ、ヴィンスって魔力持ってるって事か。魔法使い的な?
「まぁ、俺らをこの国に引き留めるのが目的だったんだろうな。お偉いさんに俺達の事を引き留めておくよう言われたか、アイツが独断でやっていたかだな。ま、貴族なんて大体そんなもんさ。悪かったな、勝手なことして」
「ううん、助けようとしてくれたんでしょ? 逆にお礼言いたいよ。ありがとう」
「……そうか。でも、これだけは謝りたい。俺、約束破った。ごめん」
……もしかして、私の部屋に入ったから? まぁ、約束してはいた。あの部屋には私の家とを繋ぐ扉があるから。
「……何か、見た?」
「扉?」
「……」
「でも、開けてないよ。というか、開けられなかった。まぁ開けようとは思ってなかったけど」
「え?」
「船長権限でしか開けられない扉だってシステムウィンドウが言ってた」
あ、なるほど。よ、よかったぁ……じゃあ私の秘密とかバレてないって事だね。安心安心。
「あとは、俺の事だな」
「あ……」
そうだ、そういえばこの人王子様だった。なんか殿下って呼ばれてた。まさかの急展開。
「悪いな、黙ってて」
「でも、私ヴィンスが隠してたの知ってた」
「え?」
「だって、船長権限でしか閲覧出来ない船の情報の中にクルーの名前書かれてたし」
「えっ」
「えぇと……ヴィンセント・レイス・ウィンスト・バールスさんだっけ」
「あ、あぁ、そう。何で聞かなかったんだ」
「え? 事情があると思うから、ヴィンスが言ってくれるまで待ってた」
「……」
なんか、結構びっくりしてません? そんなに驚くような事、私言った?
「……まぁ、ナオは疑うなんてこと全然しないしな……こっちが困るくらい」
「何か馬鹿にしてません?」
「……いや、そんな事ない。信頼してくれてたんだってちょっと嬉しいよ」
あら照れた。レアヴィンスだ。
「それで……私結構無礼働いてませんでした?」
「いや、そういうのいいし。気にすんな」
あ、否定はしないんだ。働いてたんだ。
「……ナオには、ヴィンセント殿下よりヴィンスで見てほしいんだけど、無理か」
「不敬罪とかないんなら」
「……あははっ、あぁ、そうだな、ナオはそういうやつだったな。そんなのないからいつも通りで頼むよ」
なんか、勝手に笑い出したぞ。王子様が台無しだぞ。折角イケメン王子様なのに。
「じゃあ、陛下達には俺の恩人で紹介するけどいいか」
「私、行くの!?」
「何だよ、昨日了承したろ」
「いや、港で待ってるもんだとばかり……」
「な訳ないだろ、ちゃんと客人として扱わせてもらうからな」
……マジかぁ。王族って事は、あの大きなお城とかにいるんでしょ? え、私そこ行くの?? 無理無理無理無理!!
「私作法とかそういうの全然分かりません」
「日本王国の人が何言ってんだ。全部日本式だって言えばいい。なら、ラモストエリス国で見た服とはかけ離れた何か派手な服、ないか?」
「え?」
何だか、嫌な予感がするのですが……
なんて思いつつ、私の家に戻ったのだ。
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