14 / 29
第三章 初めての陸地
◇14 お貴族さん達ってよく分からない
しおりを挟む
あれから黒のローブを購入し身に着け、港から離れた場所を歩き回り、ようやく見つけた格安の宿。
と言っても、全然ボロッちくない。私が想像していたものより断然いい。これ本当に格安?
「ごめんな、一部屋しか取れなくて」
「いいよ、お金節約しないとね」
まさかのイケメンと相部屋ですよ。私絶対一睡も出来ないと思う。
「それでだ、まずは明日他に必要なものを購入しよう。魔道具があるから荷物を全部そのまま入れておけば何があっても荷物の心配はない」
「アイツ等は?」
「そうだな……とりあえずそのまま行こう。きっとさっき買い取ってくれた貴族の旦那から話は聞いている事だろうから、船長は今船にいると分かって話しかけてくるだろう。
会わせろと言われる可能性もあるし、どこかに連れてかれる可能性もあるな」
「これ、やばいやつ?」
「まぁ、簡単にはいかないのは当然だが……話の内容によるが、最悪強行突破も考えてる」
「強行突破、ですか……」
「穏便に済ませるよう努力はするが、なぁに、大丈夫。俺が何とかするから」
「……うん、ありがとう」
「よし、いい子だ」
と、頭を撫でられてしまった。子ども扱いされてるな。と言い返したかったのだけど、もう私の命綱はヴィンスに握られてるから何も言えない。
「命、預けさせて頂きます。ヴィンス様」
「あははっ、大船に乗ったつもりでいな」
「船だけに?」
「そ。船だけに」
なんか……さっきまで不安だったけど、ちょっとホッとしたな。ありがとう、ヴィンス。
私、ヴィンスに頼ってばっかだな。でも頼るしかないしな。この異世界の事全く知らないし。
ちょっと行ってくるな、と外出したヴィンス。ちょっと見回りに行ってくるらしい。まぁアイツ等私達を探してるみたいだし。でもヴィンス大丈夫かな。私、ヴィンスの事ちゃんとは知らないし……どうなんだろう。ちょっと不安ではある。
まぁ私は何にも出来ない凡人だしな。運動音痴ではないけれど、剣とかそういうの触った事ないし。剣道もやってなかったし。
「ヴィンス、帰ってこないなぁ……」
……ヴィンス大丈夫かな。捕まったりしてないかな。あ、いや、あの人達が何を考えてるのか分からないけれど。
あの船を寄こせ、とでも言われるのかな。それか……この国に留まらせられちゃったり。何やらされちゃうのか分からないから本当に怖い。
お偉いさん、あ、貴族様か。わがままで欲でまみれてるだのなんだのってヴィンス言ってたな。そんな人達になんて絶対捕まりたくない。
貴族、かぁ。お金持ちの人達って事だよね。あんな兵隊さん達雇えるくらいの凄い人って事か。あの港町を管理してる、ジャムを買い取ってくれた人の屋敷、凄かった。一体どれだけお金を費やせばあんな立派なお屋敷を持てるんだろう。
使用人さんとかもいっぱいいるだろうし、凄いな。
じゃあ、私達を探してる貴族の人って、一体どんな感じなんだろう、そういうのってマンガとかでしか知らないなぁ。
そしたら、コンコン、とこの部屋のドアがノックされた。その相手はヴィンスだった。
「ただいま」
「おかえり、大丈夫だった?」
「うん、近くにはいなかった。たぶん大丈夫だ」
「そっか」
だから安心して寝な。と言ってくれた。まぁ、ちょっと不安ではあったけど……近くにヴィンスがいてくれるのであればちょっとは寝れるかも。
じゃあおやすみ、そう挨拶をかわしてベッドに潜り込んだ。
寝れるかな、そう思ってはいたけれど……案外普通に瞼が重くなっていった。
その時、私は知らなかった。
私が眠った後、ヴィンスが窓から出て行っていた事を。
と言っても、全然ボロッちくない。私が想像していたものより断然いい。これ本当に格安?
「ごめんな、一部屋しか取れなくて」
「いいよ、お金節約しないとね」
まさかのイケメンと相部屋ですよ。私絶対一睡も出来ないと思う。
「それでだ、まずは明日他に必要なものを購入しよう。魔道具があるから荷物を全部そのまま入れておけば何があっても荷物の心配はない」
「アイツ等は?」
「そうだな……とりあえずそのまま行こう。きっとさっき買い取ってくれた貴族の旦那から話は聞いている事だろうから、船長は今船にいると分かって話しかけてくるだろう。
会わせろと言われる可能性もあるし、どこかに連れてかれる可能性もあるな」
「これ、やばいやつ?」
「まぁ、簡単にはいかないのは当然だが……話の内容によるが、最悪強行突破も考えてる」
「強行突破、ですか……」
「穏便に済ませるよう努力はするが、なぁに、大丈夫。俺が何とかするから」
「……うん、ありがとう」
「よし、いい子だ」
と、頭を撫でられてしまった。子ども扱いされてるな。と言い返したかったのだけど、もう私の命綱はヴィンスに握られてるから何も言えない。
「命、預けさせて頂きます。ヴィンス様」
「あははっ、大船に乗ったつもりでいな」
「船だけに?」
「そ。船だけに」
なんか……さっきまで不安だったけど、ちょっとホッとしたな。ありがとう、ヴィンス。
私、ヴィンスに頼ってばっかだな。でも頼るしかないしな。この異世界の事全く知らないし。
ちょっと行ってくるな、と外出したヴィンス。ちょっと見回りに行ってくるらしい。まぁアイツ等私達を探してるみたいだし。でもヴィンス大丈夫かな。私、ヴィンスの事ちゃんとは知らないし……どうなんだろう。ちょっと不安ではある。
まぁ私は何にも出来ない凡人だしな。運動音痴ではないけれど、剣とかそういうの触った事ないし。剣道もやってなかったし。
「ヴィンス、帰ってこないなぁ……」
……ヴィンス大丈夫かな。捕まったりしてないかな。あ、いや、あの人達が何を考えてるのか分からないけれど。
あの船を寄こせ、とでも言われるのかな。それか……この国に留まらせられちゃったり。何やらされちゃうのか分からないから本当に怖い。
お偉いさん、あ、貴族様か。わがままで欲でまみれてるだのなんだのってヴィンス言ってたな。そんな人達になんて絶対捕まりたくない。
貴族、かぁ。お金持ちの人達って事だよね。あんな兵隊さん達雇えるくらいの凄い人って事か。あの港町を管理してる、ジャムを買い取ってくれた人の屋敷、凄かった。一体どれだけお金を費やせばあんな立派なお屋敷を持てるんだろう。
使用人さんとかもいっぱいいるだろうし、凄いな。
じゃあ、私達を探してる貴族の人って、一体どんな感じなんだろう、そういうのってマンガとかでしか知らないなぁ。
そしたら、コンコン、とこの部屋のドアがノックされた。その相手はヴィンスだった。
「ただいま」
「おかえり、大丈夫だった?」
「うん、近くにはいなかった。たぶん大丈夫だ」
「そっか」
だから安心して寝な。と言ってくれた。まぁ、ちょっと不安ではあったけど……近くにヴィンスがいてくれるのであればちょっとは寝れるかも。
じゃあおやすみ、そう挨拶をかわしてベッドに潜り込んだ。
寝れるかな、そう思ってはいたけれど……案外普通に瞼が重くなっていった。
その時、私は知らなかった。
私が眠った後、ヴィンスが窓から出て行っていた事を。
5
お気に入りに追加
153
あなたにおすすめの小説
没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!
虐げられていた黒魔術師は辺境伯に溺愛される
朝露ココア
恋愛
リナルディ伯爵令嬢のクラーラ。
クラーラは白魔術の名門に生まれながらも、黒魔術を得意としていた。
そのため実家では冷遇され、いつも両親や姉から蔑まれる日々を送っている。
父の強引な婚約の取り付けにより、彼女はとある辺境伯のもとに嫁ぐことになる。
縁談相手のハルトリー辺境伯は社交界でも評判がよくない人物。
しかし、逃げ場のないクラーラは黙って縁談を受け入れるしかなかった。
実際に会った辺境伯は臆病ながらも誠実な人物で。
クラーラと日々を過ごす中で、彼は次第に成長し……そして彼にまつわる『呪い』も明らかになっていく。
「二度と君を手放すつもりはない。俺を幸せにしてくれた君を……これから先、俺が幸せにする」
告白さえできずに失恋したので、酒場でやけ酒しています。目が覚めたら、なぜか夜会の前夜に戻っていました。
石河 翠
恋愛
ほんのり想いを寄せていたイケメン文官に、告白する間もなく失恋した主人公。その夜、彼女は親友の魔導士にくだを巻きながら、酒場でやけ酒をしていた。見事に酔いつぶれる彼女。
いつもならば二日酔いとともに目が覚めるはずが、不思議なほど爽やかな気持ちで起き上がる。なんと彼女は、失恋する前の日の晩に戻ってきていたのだ。
前回の失敗をすべて回避すれば、好きなひとと付き合うこともできるはず。そう考えて動き始める彼女だったが……。
ちょっとがさつだけれどまっすぐで優しいヒロインと、そんな彼女のことを一途に思っていた魔導士の恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。
似非聖女呼ばわりされたのでスローライフ満喫しながら引き篭もります
秋月乃衣
恋愛
侯爵令嬢オリヴィアは聖女として今まで16年間生きてきたのにも関わらず、婚約者である王子から「お前は聖女ではない」と言われた挙句、婚約破棄をされてしまった。
そして、その瞬間オリヴィアの背中には何故か純白の羽が出現し、オリヴィアは泣き叫んだ。
「私、仰向け派なのに!これからどうやって寝たらいいの!?」
聖女じゃないみたいだし、婚約破棄されたし、何より羽が邪魔なので王都の外れでスローライフ始めます。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
異世界で王城生活~陛下の隣で~
遥
恋愛
女子大生の友梨香はキャンピングカーで一人旅の途中にトラックと衝突して、谷底へ転落し死亡した。けれど、気が付けば異世界に車ごと飛ばされ王城に落ちていた。神様の計らいでキャンピングカーの内部は電気も食料も永久に賄えるられる事になった。
グランティア王国の人達は異世界人の友梨香を客人として迎え入れてくれて。なぜか保護者となった国陛下シリウスはやたらと構ってくる。一度死んだ命だもん、これからは楽しく生きさせて頂きます!
※キャンピングカー、魔石効果などなどご都合主義です。
※のんびり更新。他サイトにも投稿しております。
求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
待鳥園子
恋愛
グレンジャー伯爵令嬢ウェンディは父が友人に裏切られ、社交界デビューを目前にして無一文になってしまった。
父は異国へと一人出稼ぎに行ってしまい、行く宛てのない姉を心配する弟を安心させるために、以前邸で働いていた竜騎士を頼ることに。
彼が働くアレイスター竜騎士団は『恋愛禁止』という厳格な規則があり、そのため若い女性は働いていない。しかし、ウェンディは竜力を持つ貴族の血を引く女性にしかなれないという『子竜守』として特別に採用されることになり……。
子竜守として働くことになった没落貴族令嬢が、不器用だけどとても優しい団長と恋愛禁止な竜騎士団で働くために秘密の契約結婚をすることなってしまう、ほのぼの子竜育てありな可愛い恋物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる