5 / 29
第二章 なんてものを釣り上げてしまったんだ
◇5 色々と危険!
しおりを挟む
晴れて新しくこの船のクルーが増えた。だからすぐに船の案内をしようと思ったんだけど……いや、服ボロボロだし海水まみれでわかめとかくっついてたし。だからまずはお風呂よね。
「ここがお風呂ね。と言っても大浴場みたいなもんなんですけど」
「広いな」
「のんびり出来るでしょ? こっちは男風呂、私が入る女風呂は隣にあるので、こっちは自由に使ってください」
「いいのか、そんなに」
「燃料とか、水とかは魔法道具で無限だから問題ありません! だからどーぞ!」
そう、船橋で色々調べたらこの船動かしてるエンジンみたいなものは魔法道具らしくて。しかも無限大。どこからエネルギーを蓄えてるのかは分からないけれど、それは後でゆっくり調べてみよう。
これがシャワー、これがシャンプーで……と説明していくけれど、どれもこれも知らないものらしくて、ずっとびっくりしている様子だった。それで……と次を説明しようとしていた次の瞬間。
「うわっ!?」
「おいっ!!」
つるん、と足元が滑って。あ、やばい転ぶ。……って思ってたのに、あれ、痛くない。
「あ、ありがと、ございます……」
ヴィンスに支えてもらってしまった。腹に、ヴィンスの手が回ってる……
「怪我はないか」
「いえ」
ならいい、と離してくれた。まじでビビった。
「それと、敬語はいらない。君は船長で、俺はクルーだろ」
「あ、うん……」
イケメンにため口とか、いいのか?
……いや、ちょっと待て。
この船、私とヴィンスだけだよね。これは、あれか。男女二人同じ屋根(?)の下ってやつ。いやいや、でもそれに入るのか? 確かにヴィンスの顔好みだけどさ。
「どうした」
「え、あ、いえ、じゃあどうぞごゆっくり!!」
そう一言言い残しその場を後にした。いや、逃げた。……私、何でバカなこと考えてるんだろ。それより向こう側の私の部屋に行かなきゃ。ヴィンスの服とバスタオル取ってこなきゃ。
男物は一応ある。亡くなったお父さんの服がそのままあるんだよね。お母さんのも残ってる。手が付けられずそのままになってるって感じ。
部屋から持ってきて、滅茶苦茶大きな声で脱衣所に入ってこないで!! って言ってからタオルと服を置いて離脱した。いや、そりゃダメだって。無理無理無理無理。事故っちゃダメでしょ、ここ。
とりあえず、危険行為はしないよう気を付けよう。細心の注意を払って生活しよう。
「さて、お昼ご飯か」
部屋とか用意しなきゃいけないけれど、私ご飯食べてないし。てか、お昼ご飯の為にお魚獲ろうとしたら人引き上げちゃったわけだし。さ、そうと決まれば魚だ魚!
……また人引き上げたくはないな。また命の危険に晒されたくはない。
「それは?」
……後ろから声をかけないでほしいんですけど。イケメンさんよ。あぁ、ヴィンスか。
「温まった?」
「あぁ、いい湯だった」
それはようござんした。
「今日のお昼ご飯です」
「何か出来る事は」
うん、イケメンさんはやる事もイケメンね。眩しいわ。
「今日は魚の塩焼きにしようと思うんだけど、大丈夫?」
「えっ」
……あれ、魚食べられなかった? といっても肉とかないんだけど。野菜しかないんだけど。あ、冷凍庫にあったか。お肉。加工食品だけど。ロースとんかつ。
「……塩が、あるのか……?」
「え? うん、手作り」
「てづっ……!?」
もしかして、塩ってあまり食べてない?
「一緒に作ってみる? あとで」
「あ、いや、大事な技術を教えてもらうのは……どうかと、思うのだが……」
「もしかして、塩って貴重な調味料だったりする?」
「当たり前だろ、他の調味料の比じゃない」
へぇ、そんな簡単に作れちゃうのに、貴重だなんて。なんかもったいない気もするんだけど。だって材料は周りにこんなに沢山あるのに。海水をただぐるぐる回して煮詰めるだけなのに。
「じゃあ、いっぱい食べよっか!」
「え、あ、いや、俺は、置いてもらってる身なんだし……」
「そんな遠慮しないで、いっぱいあるから大丈夫! あ、食べすぎ注意だけど」
「え”っ!?」
地球だとスーパーで簡単に買えちゃうから、こっちの人達と感覚が違うってことか。だから何というか、不思議な感じがするな。
ヴィンスがお風呂に入っていた時に獲った魚の下処理も完了。そして塩が登場! ヴィンスは目をキラキラさせていたけれど……
「これが、塩……?」
あれ、ちょっと違った? 異世界とこちらの食べ物って、ちょっと違う感じ?
でも、味見させたら味は大体一緒だという。見た目の違い? と思い聞いてみると、こちらでは塩は白ではなくピンク色をしてるらしい。
「もしかして、岩から取ってる?」
「え? 塩ってそうじゃないのか?」
当たり前だろ? そんな顔をされてしまった。あーなるほど、そっちは〝岩塩〟なのね。となると、この普通の塩は食べられてないって事?
「これ、海から作った塩なの」
「……は?」
確かに海水はしょっぱいけど、理解出来てないようで。もう一度塩を舐めてうんうん考え込んでる。見てて面白い。
作り方を教えてあげたいけど、またさっきみたいに断られちゃうかも。
私が作ったお昼ご飯、魚の塩焼きは、とっても美味しそうに食べてくれた。というか、目を輝かせていた。私、料理人でも何でもないただの社会人なんだけどなぁ。ま、でも美味しく食べてくれるならそれでいっか。
「ここがお風呂ね。と言っても大浴場みたいなもんなんですけど」
「広いな」
「のんびり出来るでしょ? こっちは男風呂、私が入る女風呂は隣にあるので、こっちは自由に使ってください」
「いいのか、そんなに」
「燃料とか、水とかは魔法道具で無限だから問題ありません! だからどーぞ!」
そう、船橋で色々調べたらこの船動かしてるエンジンみたいなものは魔法道具らしくて。しかも無限大。どこからエネルギーを蓄えてるのかは分からないけれど、それは後でゆっくり調べてみよう。
これがシャワー、これがシャンプーで……と説明していくけれど、どれもこれも知らないものらしくて、ずっとびっくりしている様子だった。それで……と次を説明しようとしていた次の瞬間。
「うわっ!?」
「おいっ!!」
つるん、と足元が滑って。あ、やばい転ぶ。……って思ってたのに、あれ、痛くない。
「あ、ありがと、ございます……」
ヴィンスに支えてもらってしまった。腹に、ヴィンスの手が回ってる……
「怪我はないか」
「いえ」
ならいい、と離してくれた。まじでビビった。
「それと、敬語はいらない。君は船長で、俺はクルーだろ」
「あ、うん……」
イケメンにため口とか、いいのか?
……いや、ちょっと待て。
この船、私とヴィンスだけだよね。これは、あれか。男女二人同じ屋根(?)の下ってやつ。いやいや、でもそれに入るのか? 確かにヴィンスの顔好みだけどさ。
「どうした」
「え、あ、いえ、じゃあどうぞごゆっくり!!」
そう一言言い残しその場を後にした。いや、逃げた。……私、何でバカなこと考えてるんだろ。それより向こう側の私の部屋に行かなきゃ。ヴィンスの服とバスタオル取ってこなきゃ。
男物は一応ある。亡くなったお父さんの服がそのままあるんだよね。お母さんのも残ってる。手が付けられずそのままになってるって感じ。
部屋から持ってきて、滅茶苦茶大きな声で脱衣所に入ってこないで!! って言ってからタオルと服を置いて離脱した。いや、そりゃダメだって。無理無理無理無理。事故っちゃダメでしょ、ここ。
とりあえず、危険行為はしないよう気を付けよう。細心の注意を払って生活しよう。
「さて、お昼ご飯か」
部屋とか用意しなきゃいけないけれど、私ご飯食べてないし。てか、お昼ご飯の為にお魚獲ろうとしたら人引き上げちゃったわけだし。さ、そうと決まれば魚だ魚!
……また人引き上げたくはないな。また命の危険に晒されたくはない。
「それは?」
……後ろから声をかけないでほしいんですけど。イケメンさんよ。あぁ、ヴィンスか。
「温まった?」
「あぁ、いい湯だった」
それはようござんした。
「今日のお昼ご飯です」
「何か出来る事は」
うん、イケメンさんはやる事もイケメンね。眩しいわ。
「今日は魚の塩焼きにしようと思うんだけど、大丈夫?」
「えっ」
……あれ、魚食べられなかった? といっても肉とかないんだけど。野菜しかないんだけど。あ、冷凍庫にあったか。お肉。加工食品だけど。ロースとんかつ。
「……塩が、あるのか……?」
「え? うん、手作り」
「てづっ……!?」
もしかして、塩ってあまり食べてない?
「一緒に作ってみる? あとで」
「あ、いや、大事な技術を教えてもらうのは……どうかと、思うのだが……」
「もしかして、塩って貴重な調味料だったりする?」
「当たり前だろ、他の調味料の比じゃない」
へぇ、そんな簡単に作れちゃうのに、貴重だなんて。なんかもったいない気もするんだけど。だって材料は周りにこんなに沢山あるのに。海水をただぐるぐる回して煮詰めるだけなのに。
「じゃあ、いっぱい食べよっか!」
「え、あ、いや、俺は、置いてもらってる身なんだし……」
「そんな遠慮しないで、いっぱいあるから大丈夫! あ、食べすぎ注意だけど」
「え”っ!?」
地球だとスーパーで簡単に買えちゃうから、こっちの人達と感覚が違うってことか。だから何というか、不思議な感じがするな。
ヴィンスがお風呂に入っていた時に獲った魚の下処理も完了。そして塩が登場! ヴィンスは目をキラキラさせていたけれど……
「これが、塩……?」
あれ、ちょっと違った? 異世界とこちらの食べ物って、ちょっと違う感じ?
でも、味見させたら味は大体一緒だという。見た目の違い? と思い聞いてみると、こちらでは塩は白ではなくピンク色をしてるらしい。
「もしかして、岩から取ってる?」
「え? 塩ってそうじゃないのか?」
当たり前だろ? そんな顔をされてしまった。あーなるほど、そっちは〝岩塩〟なのね。となると、この普通の塩は食べられてないって事?
「これ、海から作った塩なの」
「……は?」
確かに海水はしょっぱいけど、理解出来てないようで。もう一度塩を舐めてうんうん考え込んでる。見てて面白い。
作り方を教えてあげたいけど、またさっきみたいに断られちゃうかも。
私が作ったお昼ご飯、魚の塩焼きは、とっても美味しそうに食べてくれた。というか、目を輝かせていた。私、料理人でも何でもないただの社会人なんだけどなぁ。ま、でも美味しく食べてくれるならそれでいっか。
5
お気に入りに追加
158
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
転生先は盲目幼女でした ~前世の記憶と魔法を頼りに生き延びます~
丹辺るん
ファンタジー
前世の記憶を持つ私、フィリス。思い出したのは五歳の誕生日の前日。
一応貴族……伯爵家の三女らしい……私は、なんと生まれつき目が見えなかった。
それでも、優しいお姉さんとメイドのおかげで、寂しくはなかった。
ところが、まともに話したこともなく、私を気に掛けることもない父親と兄からは、なぜか厄介者扱い。
ある日、不幸な事故に見せかけて、私は魔物の跋扈する場所で見捨てられてしまう。
もうダメだと思ったとき、私の前に現れたのは……
これは捨てられた盲目の私が、魔法と前世の記憶を頼りに生きる物語。
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!
鳥柄ささみ
恋愛
美人になんて、生まれたくなかった……!
前世で絶世の美女として生まれ、その見た目で国王に好かれてしまったのが運の尽き。
正妃に嫌われ、私は国を傾けた悪女とレッテルを貼られて処刑されてしまった。
そして、気づけば違う世界に転生!
けれど、なんとこの世界でも私は絶世の美女として生まれてしまったのだ!
私は前世の経験を生かし、今世こそは目立たず、人目にもつかない喪女になろうと引きこもり生活をして平穏な人生を手に入れようと試みていたのだが、なぜか世界有数の魔法学校で陽キャがいっぱいいるはずのNMA(ノーマ)から招待状が来て……?
前世の教訓から喪女生活を目指していたはずの主人公クラリスが、トラウマを抱えながらも奮闘し、四苦八苦しながら魔法学園で成長する異世界恋愛ファンタジー!
※第15回恋愛大賞にエントリーしてます!
開催中はポチッと投票してもらえると嬉しいです!
よろしくお願いします!!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです
新条 カイ
恋愛
ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。
それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?
将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!?
婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。
■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…)
■■
捨てた騎士と拾った魔術師
吉野屋
恋愛
貴族の庶子であるミリアムは、前世持ちである。冷遇されていたが政略でおっさん貴族の後妻落ちになる事を懸念して逃げ出した。実家では隠していたが、魔力にギフトと生活能力はあるので、王都に行き暮らす。優しくて美しい夫も出来て幸せな生活をしていたが、夫の兄の死で伯爵家を継いだ夫に捨てられてしまう。その後、王都に来る前に出会った男(その時は鳥だった)に再会して国を左右する陰謀に巻き込まれていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる