108 / 115
第十一章 冬が来る
◇108 タクミside
しおりを挟む
朝、王城から遣いが来た。次の日、国王陛下への謁見を言い渡されたのだ。
一体何を言われるのだろうか、まぁ色々と予想は出来るが。
「……これで行くか?」
「ちょおっと待てぃお兄ちゃん、遂に頭おかしくなった?」
「いや、面倒だなって思って」
きっと陛下は【なかむら】の従業員として呼んでいるのだろうが……いや、従業員用の制服じゃいけないのは分かってるけどさ。
馬鹿な事言ってないでさっさと着替えろ、と言われ、ガン無視で自室に戻った。
無駄に広い謁見室。目の前の玉座には、この国カーネリアン王国の国王陛下と王妃殿下。他の殿下などはいないらしい。てか、王妃殿下なにぶすーとしてるんだよ。眼光が凄いって。まぁ別に怖くも何ともねぇけどな。
「今日来てもらったのは、君達に依頼をしたくてな」
「えっ……依頼、ですか」
「あぁ、王城の者達の日頃の働きは我々も評価している。それに、サミットの件に、第一王女の結婚式もあった。だから、彼らに褒美を与えたく思っている。一日だけでいい、王城の者達への昼食を作ってもらいたい」
王城の者達全員、だと? しかも、昼食!?
「それは、陛下方も、でしょうか」
「そうだ。そうだな、今巷ではやっている〝エバニス料理〟を用意してくれ」
……マジかよ。エバニス料理かよ。
でも、ここで断るわけにはいかないな。さて、どうすっかな。
「承りました。それで、日程は?」
「そうだな……私達家族が揃って食事が出来るは5日後だったか。その日でよいか?」
「はい、かしこまりました」
家族って……それ、アヤメとか入ってないよな。アヤメは陛下の姪だけど、それで呼ばれるのは絶対嫌だな。だって王妃殿下もいらして、王太子殿下もいらっしゃるんだぞ? ふざけんな、マジで。
あとで、アドマンス夫人にでも相談してみるか。あの方ならまぁ何とかしてくださると思う。
でも、
「困ったな」
「エビ、足りないでしょ」
「陛下がああ言うんだから、王城の奴ら全員にもエビを振る舞わないといけないって事だな」
「これさぁ、絶対分かってて言ったでしょ。店でエバニス料理が数量限定になっている事も、その理由も分かってて言ったんだよ」
エビの他にも、王城の者達への昼飯って事にも問題がある。王城の者達は部署によってはちゃんと時間通りに食事が出来るところだったり、仕事に区切りがついた隙間時間にさっさと食べないといけないところと様々だ。
だから、昼飯を食べに来る者達の時間はバラバラ。早い者や、凄く遅い時間に昼飯を取る者もいるって事だ。
その度その度昼飯を作る事になるが……
「ナナミ、スフェーンの収穫祭の時の覚えてるか」
「あぁ、やったねぇ。おっけー」
「俺はアドマンス家に行ってくる」
「じゃあ私は一旦店に戻って確認してくるね」
俺達は、別々の巡回馬車に乗り込んだのだった。
ナナミに言った通り、俺の行き先はアドマンス家。事前の知らせなしで来ちまったけど、大丈夫かな。という心配は無用だった。すぐに迎え入れてくれて、夫人に会うことが出来た。
本当は王城にいらっしゃる公爵様に直接言ったほうがいいのかなとも思ったけれど、仕事中だしな。
「それで、陛下に何を言われたのかしら?」
「王城の者達全員と陛下方の昼飯を作れと仰いました」
「……あぁ、なるほどね」
夫人は、こんな事を言い出した陛下の意図を理解したようだ。俺も、まぁ何となく分かる気がする。たぶん、っていう程度だけど。
「となると、エバニスが足りなくなるって事ね」
「はい」
俺らがいつも仕入れている量では圧倒的に足りない。城で働く者達の人数が多すぎる。
「そうねぇ、今の時期領地では多く水揚げされているからその量はすぐに用意出来るわ。とは言っても、領地までの距離を往復するとなると、その日までに間に合うかどうか、という事になるわね。ギリギリでも大丈夫かしら?」
「はい、時間ギリギリになるのは承知しています」
「分かったわ、手紙を書いてあげる。その手紙を一番足の速い【フラワーメール】の配達員に届けさせるわ」
「ありがとうございます、お願いします」
ここから馬車で3日。行きは馬だとしても、エビを運ぶとなれば馬車でなければならない。だが、夫人がこう言って下さっているんだから、きっと間に合うに決まってる。
今、アヤメは違う事業で出回っているらしい。あの洗濯機とゴム手袋だ。だからこの事は関わらせないようにするらしい。俺としても心配させたくないから黙ってたほうがいいと思う。
「それで、夫人。その食事会にアヤメさんが呼ばれてる事は、ありませんよね?」
「え? ないわよ? 来たとしてもその手紙は私が燃やすに決まってるでしょ?」
……笑顔だけど、怖いな。王族とアヤメの件は本当に頭にきてるらしい。俺もだけど、夫人は相当だな。
とにかく、エビの確保が出来たんだ。後は他の事に集中しよう。
「今回は、〝弁当〟で行く」
「〝弁当〟?」
「あぁ」
今回も王城の厨房をお借りする事になる。だからここの料理人達の手も借りる事になる。まぁサミットで一緒に仕事したから大体は分かってるだろうが、だがあの時と明らかに違うのは人数だ。
「ここの使用人達は食事はバラバラだ。だから来てすぐに出せるものってなると限られてくる」
いつもは、スープとサラダ、あとパンみたいなものだけ。それなら簡単に出せるけれど今回はそうはいかない。エバニス料理を入れなきゃいけなくなるからだ。
だから弁当を選んだ。冷めても美味しい料理、そしてスープだけ温かいものを。スープだけなら温めてすぐに出せる。
「弁当は二種類。皆好みはあるだろうからな。まぁ早い者勝ちになるけど」
「ってなると、すっごく早く昼食を食べる人達が来る前に全部終わらせなきゃならなくなるし、朝食の中やらなきゃならなくなるって事ね。ここは広いっちゃ広いけれど朝食と昼食同時進行ってなると場所考えなきゃ」
「弁当箱を並べる場所も必要だしな」
ナナミはもう弁当箱を注文している。こっちに来た時に知り合ったやつに頼んで4日後までには全部終わらせると聞いた。あとはエビだけだ。
一日、また一日と勝負の日が近づいていき、そして前日、当日となったのだ。
だがまだ、エビは到着していない。連絡は無理だからただ早くエビが届くのを祈るだけ。だから、時間が近づいていくたびに不安が募ってくる。
だけど、こっちは大変だっていうのに……あいつらがやってきた。
「え、えぇえ!?」
「何で来てるんだよ……!!」
「来ちゃった♡」
「母上!!」
こっちは時間がないっていうのに店を代わりにやるだ何だって言い出す始末。あ~も~煩い。
もういいや、さっさと行こう。と父上達を無視して馬車に乗り込んだ。
箸を使えるのは【なかむら】の5人だけ。とは言ってもサンスは何とかって所だけど。だから盛り付けは俺らで流れ作業になる。エビが何時到着するかが分かればいいんだけど……
「よっしゃやるぞ」
「お~!」
俺らは数日しかここに来てないが、ここ出身のサンスはよく知ってる。だから聞きながらも作業を進めた。
昨日から準備していたものはあるけれど、当日じゃなきゃいけないものもある。あ~も~とっとと来いエビ!!
「ナカムラ様ー!! 【フラワーメール】です!!」
「来たぁ!!」
「リカルド!! 下処理!!」
「はいっス!!」
「私も~!」
「ナオはこっちっ!!」
「はいは~い!」
何だかんだとバタバタしつつ、でも時間ギリギリではあったけれど間に合わせることが出来た。
弁当と王様達の昼飯とで頭がこんがらがりそうにはなったけれど、まぁ何とかって所かな。今までこんなこと全然なかったんだけど、肝が冷えたわ。こんなのはもう勘弁だ。……って思ってたらまた来るんだろうなぁ、はぁ。
「……あ、店」
「ママ、暴れてないかな」
「ありましたね、そういえば。煩い奴のテーブルに穴開けた事」
「父上が母上の剣をちゃんと回収してたら大丈夫だろ。それか包丁を持たせなければな」
「何呑気な事言ってるのよ、あのテーブルいくらすると思ってるのよ」
とりあえず、帰ろう。
料理人達が賄いをたかってくる前に。
母上が剣を抜いて暴れ出す前に。
後日、陛下方からのお褒めの言葉を頂いた。
「今回の件と、サミットでの件を含めて褒美を与えたいと思っている。何が良いか申してみよ。店を新しくするのも良し、二号店を開くのも良し、食材を育てる畑を作る土地でも良いぞ」
はぁ、そんなの要らないんだけど。俺らは、ただ言われたからやっただけだし。……おい、ナナミ。何考えてんだ、なんだその顔は。
「では、ナカムラ家の商会の関税を少し下げて頂けないでしょうか」
「他には?」
「いえ、それだけで結構です」
「ほぅ、それだけでいいのか」
「はい」
「よかろう、後日書類を送るとしよう」
「ありがとうございます」
陛下がおっしゃった事。二号店を開いてもいいと言ったが、それならもっと従業員を増やさなくてはならない。新人教育も必要だけど、一番は従業員全員の面倒を見ないといけなくなるという事。
土地をやるとも言われたけれど、一体どこの土地をくれるのやら。場合によっては大変な事になる。
陛下がこうおっしゃった理由はただ一つ、俺らをカーネリアンから出さないようにする。ただそれだけだ。
王妃殿下が、王太子殿下とアヤメを結婚させたがっていたのは、他国出身である俺がアヤメを連れて行ってしまうのではと考えたためだ。
そして陛下は、アヤメが駄目なら俺を、と考えたんだろうな。まぁ、その気はないけれどな。
ここは、カーネリアンは俺とアヤメが出会った国。
それに、結婚したらアドマンス家の別邸で過ごすって決まってるしな。
まぁちょっと癪には触るけど、な。
一体何を言われるのだろうか、まぁ色々と予想は出来るが。
「……これで行くか?」
「ちょおっと待てぃお兄ちゃん、遂に頭おかしくなった?」
「いや、面倒だなって思って」
きっと陛下は【なかむら】の従業員として呼んでいるのだろうが……いや、従業員用の制服じゃいけないのは分かってるけどさ。
馬鹿な事言ってないでさっさと着替えろ、と言われ、ガン無視で自室に戻った。
無駄に広い謁見室。目の前の玉座には、この国カーネリアン王国の国王陛下と王妃殿下。他の殿下などはいないらしい。てか、王妃殿下なにぶすーとしてるんだよ。眼光が凄いって。まぁ別に怖くも何ともねぇけどな。
「今日来てもらったのは、君達に依頼をしたくてな」
「えっ……依頼、ですか」
「あぁ、王城の者達の日頃の働きは我々も評価している。それに、サミットの件に、第一王女の結婚式もあった。だから、彼らに褒美を与えたく思っている。一日だけでいい、王城の者達への昼食を作ってもらいたい」
王城の者達全員、だと? しかも、昼食!?
「それは、陛下方も、でしょうか」
「そうだ。そうだな、今巷ではやっている〝エバニス料理〟を用意してくれ」
……マジかよ。エバニス料理かよ。
でも、ここで断るわけにはいかないな。さて、どうすっかな。
「承りました。それで、日程は?」
「そうだな……私達家族が揃って食事が出来るは5日後だったか。その日でよいか?」
「はい、かしこまりました」
家族って……それ、アヤメとか入ってないよな。アヤメは陛下の姪だけど、それで呼ばれるのは絶対嫌だな。だって王妃殿下もいらして、王太子殿下もいらっしゃるんだぞ? ふざけんな、マジで。
あとで、アドマンス夫人にでも相談してみるか。あの方ならまぁ何とかしてくださると思う。
でも、
「困ったな」
「エビ、足りないでしょ」
「陛下がああ言うんだから、王城の奴ら全員にもエビを振る舞わないといけないって事だな」
「これさぁ、絶対分かってて言ったでしょ。店でエバニス料理が数量限定になっている事も、その理由も分かってて言ったんだよ」
エビの他にも、王城の者達への昼飯って事にも問題がある。王城の者達は部署によってはちゃんと時間通りに食事が出来るところだったり、仕事に区切りがついた隙間時間にさっさと食べないといけないところと様々だ。
だから、昼飯を食べに来る者達の時間はバラバラ。早い者や、凄く遅い時間に昼飯を取る者もいるって事だ。
その度その度昼飯を作る事になるが……
「ナナミ、スフェーンの収穫祭の時の覚えてるか」
「あぁ、やったねぇ。おっけー」
「俺はアドマンス家に行ってくる」
「じゃあ私は一旦店に戻って確認してくるね」
俺達は、別々の巡回馬車に乗り込んだのだった。
ナナミに言った通り、俺の行き先はアドマンス家。事前の知らせなしで来ちまったけど、大丈夫かな。という心配は無用だった。すぐに迎え入れてくれて、夫人に会うことが出来た。
本当は王城にいらっしゃる公爵様に直接言ったほうがいいのかなとも思ったけれど、仕事中だしな。
「それで、陛下に何を言われたのかしら?」
「王城の者達全員と陛下方の昼飯を作れと仰いました」
「……あぁ、なるほどね」
夫人は、こんな事を言い出した陛下の意図を理解したようだ。俺も、まぁ何となく分かる気がする。たぶん、っていう程度だけど。
「となると、エバニスが足りなくなるって事ね」
「はい」
俺らがいつも仕入れている量では圧倒的に足りない。城で働く者達の人数が多すぎる。
「そうねぇ、今の時期領地では多く水揚げされているからその量はすぐに用意出来るわ。とは言っても、領地までの距離を往復するとなると、その日までに間に合うかどうか、という事になるわね。ギリギリでも大丈夫かしら?」
「はい、時間ギリギリになるのは承知しています」
「分かったわ、手紙を書いてあげる。その手紙を一番足の速い【フラワーメール】の配達員に届けさせるわ」
「ありがとうございます、お願いします」
ここから馬車で3日。行きは馬だとしても、エビを運ぶとなれば馬車でなければならない。だが、夫人がこう言って下さっているんだから、きっと間に合うに決まってる。
今、アヤメは違う事業で出回っているらしい。あの洗濯機とゴム手袋だ。だからこの事は関わらせないようにするらしい。俺としても心配させたくないから黙ってたほうがいいと思う。
「それで、夫人。その食事会にアヤメさんが呼ばれてる事は、ありませんよね?」
「え? ないわよ? 来たとしてもその手紙は私が燃やすに決まってるでしょ?」
……笑顔だけど、怖いな。王族とアヤメの件は本当に頭にきてるらしい。俺もだけど、夫人は相当だな。
とにかく、エビの確保が出来たんだ。後は他の事に集中しよう。
「今回は、〝弁当〟で行く」
「〝弁当〟?」
「あぁ」
今回も王城の厨房をお借りする事になる。だからここの料理人達の手も借りる事になる。まぁサミットで一緒に仕事したから大体は分かってるだろうが、だがあの時と明らかに違うのは人数だ。
「ここの使用人達は食事はバラバラだ。だから来てすぐに出せるものってなると限られてくる」
いつもは、スープとサラダ、あとパンみたいなものだけ。それなら簡単に出せるけれど今回はそうはいかない。エバニス料理を入れなきゃいけなくなるからだ。
だから弁当を選んだ。冷めても美味しい料理、そしてスープだけ温かいものを。スープだけなら温めてすぐに出せる。
「弁当は二種類。皆好みはあるだろうからな。まぁ早い者勝ちになるけど」
「ってなると、すっごく早く昼食を食べる人達が来る前に全部終わらせなきゃならなくなるし、朝食の中やらなきゃならなくなるって事ね。ここは広いっちゃ広いけれど朝食と昼食同時進行ってなると場所考えなきゃ」
「弁当箱を並べる場所も必要だしな」
ナナミはもう弁当箱を注文している。こっちに来た時に知り合ったやつに頼んで4日後までには全部終わらせると聞いた。あとはエビだけだ。
一日、また一日と勝負の日が近づいていき、そして前日、当日となったのだ。
だがまだ、エビは到着していない。連絡は無理だからただ早くエビが届くのを祈るだけ。だから、時間が近づいていくたびに不安が募ってくる。
だけど、こっちは大変だっていうのに……あいつらがやってきた。
「え、えぇえ!?」
「何で来てるんだよ……!!」
「来ちゃった♡」
「母上!!」
こっちは時間がないっていうのに店を代わりにやるだ何だって言い出す始末。あ~も~煩い。
もういいや、さっさと行こう。と父上達を無視して馬車に乗り込んだ。
箸を使えるのは【なかむら】の5人だけ。とは言ってもサンスは何とかって所だけど。だから盛り付けは俺らで流れ作業になる。エビが何時到着するかが分かればいいんだけど……
「よっしゃやるぞ」
「お~!」
俺らは数日しかここに来てないが、ここ出身のサンスはよく知ってる。だから聞きながらも作業を進めた。
昨日から準備していたものはあるけれど、当日じゃなきゃいけないものもある。あ~も~とっとと来いエビ!!
「ナカムラ様ー!! 【フラワーメール】です!!」
「来たぁ!!」
「リカルド!! 下処理!!」
「はいっス!!」
「私も~!」
「ナオはこっちっ!!」
「はいは~い!」
何だかんだとバタバタしつつ、でも時間ギリギリではあったけれど間に合わせることが出来た。
弁当と王様達の昼飯とで頭がこんがらがりそうにはなったけれど、まぁ何とかって所かな。今までこんなこと全然なかったんだけど、肝が冷えたわ。こんなのはもう勘弁だ。……って思ってたらまた来るんだろうなぁ、はぁ。
「……あ、店」
「ママ、暴れてないかな」
「ありましたね、そういえば。煩い奴のテーブルに穴開けた事」
「父上が母上の剣をちゃんと回収してたら大丈夫だろ。それか包丁を持たせなければな」
「何呑気な事言ってるのよ、あのテーブルいくらすると思ってるのよ」
とりあえず、帰ろう。
料理人達が賄いをたかってくる前に。
母上が剣を抜いて暴れ出す前に。
後日、陛下方からのお褒めの言葉を頂いた。
「今回の件と、サミットでの件を含めて褒美を与えたいと思っている。何が良いか申してみよ。店を新しくするのも良し、二号店を開くのも良し、食材を育てる畑を作る土地でも良いぞ」
はぁ、そんなの要らないんだけど。俺らは、ただ言われたからやっただけだし。……おい、ナナミ。何考えてんだ、なんだその顔は。
「では、ナカムラ家の商会の関税を少し下げて頂けないでしょうか」
「他には?」
「いえ、それだけで結構です」
「ほぅ、それだけでいいのか」
「はい」
「よかろう、後日書類を送るとしよう」
「ありがとうございます」
陛下がおっしゃった事。二号店を開いてもいいと言ったが、それならもっと従業員を増やさなくてはならない。新人教育も必要だけど、一番は従業員全員の面倒を見ないといけなくなるという事。
土地をやるとも言われたけれど、一体どこの土地をくれるのやら。場合によっては大変な事になる。
陛下がこうおっしゃった理由はただ一つ、俺らをカーネリアンから出さないようにする。ただそれだけだ。
王妃殿下が、王太子殿下とアヤメを結婚させたがっていたのは、他国出身である俺がアヤメを連れて行ってしまうのではと考えたためだ。
そして陛下は、アヤメが駄目なら俺を、と考えたんだろうな。まぁ、その気はないけれどな。
ここは、カーネリアンは俺とアヤメが出会った国。
それに、結婚したらアドマンス家の別邸で過ごすって決まってるしな。
まぁちょっと癪には触るけど、な。
30
お気に入りに追加
2,241
あなたにおすすめの小説
私が美女??美醜逆転世界に転移した私
鍋
恋愛
私の名前は如月美夕。
27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。
私は都内で独り暮らし。
風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。
転移した世界は美醜逆転??
こんな地味な丸顔が絶世の美女。
私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。
このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。
※ゆるゆるな設定です
※ご都合主義
※感想欄はほとんど公開してます。
異世界でイケメンを引き上げた!〜突然現れた扉の先には異世界(船)が! 船には私一人だけ、そして海のど真ん中! 果たして生き延びられるのか!
楠ノ木雫
恋愛
突然異世界の船を手に入れてしまった平凡な会社員奈央。私に残されているのは自分の家とこの規格外な船のみ。
ガス水道電気完備、大きな大浴場に色々と便利な魔道具、甲板にあったよく分からない畑、そして何より優秀過ぎる船のスキル!
これなら何とかなるんじゃないか、と思っていた矢先に吊り上げてしまった……私の好みドンピシャなイケメン!!
何とも恐ろしい異世界ライフ(船)が今始まる!
拾った宰相閣下に溺愛されまして。~残念イケメンの執着が重すぎます!
枢 呂紅
恋愛
「わたしにだって、限界があるんですよ……」
そんな風に泣きながら、べろべろに酔いつぶれて行き倒れていたイケメンを拾ってしまったフィアナ。そのまま道端に放っておくのも忍びなくて、仏心をみせて拾ってやったのがすべての間違いの始まりだった――。
「天使で、女神で、マイスウィートハニーなフィアナさん。どうか私の愛を受け入れてください!」
「気持ち悪いし重いんで絶対嫌です」
外見だけは最強だが中身は残念なイケメン宰相と、そんな宰相に好かれてしまった庶民ムスメの、温度差しかない身分差×年の差溺愛ストーリー、ここに開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
えっ、じいちゃん昔勇者だったのっ!?〜祖父の遺品整理をしてたら異世界に飛ばされ、行方不明だった父に魔王の心臓を要求されたので逃げる事にした〜
楠ノ木雫
ファンタジー
まだ16歳の奥村留衣は、ずっと一人で育ててくれていた祖父を亡くした。親戚も両親もいないため、一人で遺品整理をしていた時に偶然見つけた腕輪。ふとそれを嵌めてみたら、いきなり違う世界に飛ばされてしまった。
目の前に浮かんでいた、よくあるシステムウィンドウというものに書かれていたものは『勇者の孫』。そう、亡くなった祖父はこの世界の勇者だったのだ。
そして、行方不明だと言われていた両親に会う事に。だが、祖父が以前討伐した魔王の心臓を渡すよう要求されたのでドラゴンを召喚して逃げた!
追われつつも、故郷らしい異世界での楽しい(?)セカンドライフが今始まる!
※他の投稿サイトにも掲載しています。
異世界で王城生活~陛下の隣で~
遥
恋愛
女子大生の友梨香はキャンピングカーで一人旅の途中にトラックと衝突して、谷底へ転落し死亡した。けれど、気が付けば異世界に車ごと飛ばされ王城に落ちていた。神様の計らいでキャンピングカーの内部は電気も食料も永久に賄えるられる事になった。
グランティア王国の人達は異世界人の友梨香を客人として迎え入れてくれて。なぜか保護者となった国陛下シリウスはやたらと構ってくる。一度死んだ命だもん、これからは楽しく生きさせて頂きます!
※キャンピングカー、魔石効果などなどご都合主義です。
※のんびり更新。他サイトにも投稿しております。
【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる