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第九章 異世界人集結!
◇77 お客様
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サミットも無事終わり、来訪していた使節団の方々は各々の自国に戻っていった。
少しして、アドマンス邸宅には沢山のお手紙やプレゼントボックスが贈られて来た。国内からも、外国からも。その中には、サミットに参加しなかった国からも来ていた。
サミット中にはレターセットと切手が大分売れた。購入者は他国の方々。お母様がこうなるのではないかと読んでいたので一応沢山印刷をして用意していたけれど、それでも追加で印刷するほどの売れ行きだった。
だからこの中には消印が押されていない手紙もいくつかある。他はわざわざ郵便局に持っていってこちらに届けさせたもの。プレゼントボックスも持ってくるのなら手紙も一緒に持ってくればいいのに、とは言えなかった。ご贔屓にありがとうございます。
「ん~、難しいものばかりね」
「まだ実現できないものばかりです」
お母様とお手紙に書かれた内容を確認している。けれど、こちらまで郵便のルートを伸ばしてほしいというミュレーンス王国のヴィスティウス大公閣下の提案と同じものが大半。
その他には、友好の証としてこちらでしか咲かない花を贈りますので【クローバー】で何かを作ってくださいという話とか。
サミット中の炊飯器の件でも大変だというのに、もうやる事がい~っぱい。頭がショートしちゃうんじゃないかってくらいだ。
そう頭を悩ませていた時、一人のメイドさんが私達にこう伝えてきた。
「お客様がお見えです」
と。
そう、今日はお客様がいらっしゃる。しかも、とても珍しいお客様だ。一人は、
「今日も元気そうじゃねぇか、嬢ちゃん」
中村さんだ。
そしてもう一人、
「お越しいただきありがとうございます。パトラシス・シェシェ様」
「来訪許可をありがとう」
……異世界人、集結である。皆さん帰りましたよね、と思ったんだけど……中村さんはずぅ~っと溜まっていた有休をここで全部使うらしくて。それと……
「あんな道二度と通るか!!」
らしい。まぁ大荒れだったらしいし。というか、こっちが本音? もしかして、セオリシア王国の道が開通するまでここにいる訳じゃ、ないよね?
あ、でも一応道はあるみたい。絶交はしたけれどただ門を閉じただけだったらしくて。だからすぐにでも通れるようになるみたい。
あと、シェシェさんも一人だけで残ったそう。他の方々は帰ったみたい。
「また異世界人がこっちに来たって言うから来てみたんだけど、まさか16歳の女の子だとは思わなかった」
「しかも病弱だぜ? あのチビ達も大胆なことするぜ、全く」
お二人、以前にもお会いしたことがあるみたい。
もしかして、今回のサミットで何故か参加させてくれと言ったルーチェリン王国は、シェシェさんが会いに行きたいって言ったからなのかな。
「貴方、保護されてこの一族に入ったみたいだけど、何か強制されたことは?」
「えっいえいえっ!! そんな事はありません!! すごくよくしてくださって、むしろ私の方が感謝しています。こんなに元気になれたのは、アドマンス家の方々がいらっしゃったからで、もしかしたら私そこらへんで野垂れ死んでたかもしれないし……」
「ふ~ん」
「おい、嬢ちゃん困らせんな」
相変わらずだな、と呆れ顔をしている中村さん。いつもこんな感じなのね。
それにしてもこの方、本当に美しい。水色の髪がつやつやで瞳も金色で女神みたい。眩しくてサングラスが欲しい。
本当に私とは比べ物にならないくらい美人。いや、比べちゃダメだ。
「あ、あの、お二人はどんな感じで、こちらに……?」
「あぁ、俺は車にはねられる直前だ」
「へっ……」
く、車にはねられる、直前……?
あ、でもマンガとかでありそうな話。よくトラックとかではねられて気が付いたら異世界、みたいな。
「荷物を持ってたって所が救いだったな。ほら、お前にやったろ、交通安全」
「あ、はい。ありがとうございました」
……待てよ、交通安全のお守り持ってたのに車にはねられそうになってたって事? あ、でも助かったんだからそのお陰もあるかもしれない。
「私は元カレの執着男に殺される寸前」
「ヒッ……」
え、死んじゃう寸前? というより、元カレの執着男? あ、でもシェシェさん神秘的なレベルで美人だから周りの男性達は放っておかないもん。取り合い、とか? あ、そこまではいかない?
でも、それを聞くと妖精さんって救世主的な?
私は、病室にいた時に気が付いたらって感じだったんだけど……もしかして、死ぬ寸前だった? いやいやいや、そういうのは考えないようにしよう。
「で、おめぇさんはいつ帰るんだよ」
「私? あの男が諦めるまで」
「あの男ぉ? まぁたやらかしたんか」
「また、ですか?」
「こいつ、男振り回す達人だからよ。周りの奴らが可哀想でならねぇよ」
「私は悪くないわ。煩かったから仕方なく結婚してあげたけど、色々と面倒だったから離婚したの。そしたら考え直してくれとかって言ってくるからこっちに来たの」
「はぁ、おめぇさん相変わらずだな。あと、それだけじゃねぇだろ」
「え?」
「どうせ酒だろ。カーネリアンの酒」
「当たり前でしょ。アイツが諦めるまで暇だからここの観光でもして休みを満喫しなきゃ損しちゃうじゃない」
……色々と、大変ですね。
というか、お酒?
中村さんが言うには、この方は酒豪らしい。そして大ザル。浴びるほどに飲んでも全く酔わない人らしい。だから酒は飲ませるなと言われてしまった。無理、じゃないかな?
その後、お二人はここに滞在する事となったのである。パトラさん、あ、シェシェさんは嫌よと言われたのでそっちで呼ばせていただく事になりました。彼女は、あんなむさ苦しい所は嫌よと王宮からこちらに。むさ苦しい何て言っちゃっていいのかどうか分からないけれど。
それで、中村さんは……
「ローストビーフ」
「っ!?」
「お好み焼き、ラーメン」
「んんんんん!!!」
「食いたいか」
「食べたいですっ!!」
お母様とお父様の所に直行してお願いしてしまったのである。
チョロいな、私。
そして中村さんは早くも、アドマンス邸宅の厨房を掌握してしまったのである。……言い方間違った?
それを聞いたタクミとナナミちゃんは……とっても不満顔だった。タクミは、とっても怖い顔をしていて。ナナミちゃんはずるいずるいと駄々をこねていた。
遊びにおいで、と言っておいたけれど。
少しして、アドマンス邸宅には沢山のお手紙やプレゼントボックスが贈られて来た。国内からも、外国からも。その中には、サミットに参加しなかった国からも来ていた。
サミット中にはレターセットと切手が大分売れた。購入者は他国の方々。お母様がこうなるのではないかと読んでいたので一応沢山印刷をして用意していたけれど、それでも追加で印刷するほどの売れ行きだった。
だからこの中には消印が押されていない手紙もいくつかある。他はわざわざ郵便局に持っていってこちらに届けさせたもの。プレゼントボックスも持ってくるのなら手紙も一緒に持ってくればいいのに、とは言えなかった。ご贔屓にありがとうございます。
「ん~、難しいものばかりね」
「まだ実現できないものばかりです」
お母様とお手紙に書かれた内容を確認している。けれど、こちらまで郵便のルートを伸ばしてほしいというミュレーンス王国のヴィスティウス大公閣下の提案と同じものが大半。
その他には、友好の証としてこちらでしか咲かない花を贈りますので【クローバー】で何かを作ってくださいという話とか。
サミット中の炊飯器の件でも大変だというのに、もうやる事がい~っぱい。頭がショートしちゃうんじゃないかってくらいだ。
そう頭を悩ませていた時、一人のメイドさんが私達にこう伝えてきた。
「お客様がお見えです」
と。
そう、今日はお客様がいらっしゃる。しかも、とても珍しいお客様だ。一人は、
「今日も元気そうじゃねぇか、嬢ちゃん」
中村さんだ。
そしてもう一人、
「お越しいただきありがとうございます。パトラシス・シェシェ様」
「来訪許可をありがとう」
……異世界人、集結である。皆さん帰りましたよね、と思ったんだけど……中村さんはずぅ~っと溜まっていた有休をここで全部使うらしくて。それと……
「あんな道二度と通るか!!」
らしい。まぁ大荒れだったらしいし。というか、こっちが本音? もしかして、セオリシア王国の道が開通するまでここにいる訳じゃ、ないよね?
あ、でも一応道はあるみたい。絶交はしたけれどただ門を閉じただけだったらしくて。だからすぐにでも通れるようになるみたい。
あと、シェシェさんも一人だけで残ったそう。他の方々は帰ったみたい。
「また異世界人がこっちに来たって言うから来てみたんだけど、まさか16歳の女の子だとは思わなかった」
「しかも病弱だぜ? あのチビ達も大胆なことするぜ、全く」
お二人、以前にもお会いしたことがあるみたい。
もしかして、今回のサミットで何故か参加させてくれと言ったルーチェリン王国は、シェシェさんが会いに行きたいって言ったからなのかな。
「貴方、保護されてこの一族に入ったみたいだけど、何か強制されたことは?」
「えっいえいえっ!! そんな事はありません!! すごくよくしてくださって、むしろ私の方が感謝しています。こんなに元気になれたのは、アドマンス家の方々がいらっしゃったからで、もしかしたら私そこらへんで野垂れ死んでたかもしれないし……」
「ふ~ん」
「おい、嬢ちゃん困らせんな」
相変わらずだな、と呆れ顔をしている中村さん。いつもこんな感じなのね。
それにしてもこの方、本当に美しい。水色の髪がつやつやで瞳も金色で女神みたい。眩しくてサングラスが欲しい。
本当に私とは比べ物にならないくらい美人。いや、比べちゃダメだ。
「あ、あの、お二人はどんな感じで、こちらに……?」
「あぁ、俺は車にはねられる直前だ」
「へっ……」
く、車にはねられる、直前……?
あ、でもマンガとかでありそうな話。よくトラックとかではねられて気が付いたら異世界、みたいな。
「荷物を持ってたって所が救いだったな。ほら、お前にやったろ、交通安全」
「あ、はい。ありがとうございました」
……待てよ、交通安全のお守り持ってたのに車にはねられそうになってたって事? あ、でも助かったんだからそのお陰もあるかもしれない。
「私は元カレの執着男に殺される寸前」
「ヒッ……」
え、死んじゃう寸前? というより、元カレの執着男? あ、でもシェシェさん神秘的なレベルで美人だから周りの男性達は放っておかないもん。取り合い、とか? あ、そこまではいかない?
でも、それを聞くと妖精さんって救世主的な?
私は、病室にいた時に気が付いたらって感じだったんだけど……もしかして、死ぬ寸前だった? いやいやいや、そういうのは考えないようにしよう。
「で、おめぇさんはいつ帰るんだよ」
「私? あの男が諦めるまで」
「あの男ぉ? まぁたやらかしたんか」
「また、ですか?」
「こいつ、男振り回す達人だからよ。周りの奴らが可哀想でならねぇよ」
「私は悪くないわ。煩かったから仕方なく結婚してあげたけど、色々と面倒だったから離婚したの。そしたら考え直してくれとかって言ってくるからこっちに来たの」
「はぁ、おめぇさん相変わらずだな。あと、それだけじゃねぇだろ」
「え?」
「どうせ酒だろ。カーネリアンの酒」
「当たり前でしょ。アイツが諦めるまで暇だからここの観光でもして休みを満喫しなきゃ損しちゃうじゃない」
……色々と、大変ですね。
というか、お酒?
中村さんが言うには、この方は酒豪らしい。そして大ザル。浴びるほどに飲んでも全く酔わない人らしい。だから酒は飲ませるなと言われてしまった。無理、じゃないかな?
その後、お二人はここに滞在する事となったのである。パトラさん、あ、シェシェさんは嫌よと言われたのでそっちで呼ばせていただく事になりました。彼女は、あんなむさ苦しい所は嫌よと王宮からこちらに。むさ苦しい何て言っちゃっていいのかどうか分からないけれど。
それで、中村さんは……
「ローストビーフ」
「っ!?」
「お好み焼き、ラーメン」
「んんんんん!!!」
「食いたいか」
「食べたいですっ!!」
お母様とお父様の所に直行してお願いしてしまったのである。
チョロいな、私。
そして中村さんは早くも、アドマンス邸宅の厨房を掌握してしまったのである。……言い方間違った?
それを聞いたタクミとナナミちゃんは……とっても不満顔だった。タクミは、とっても怖い顔をしていて。ナナミちゃんはずるいずるいと駄々をこねていた。
遊びにおいで、と言っておいたけれど。
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