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第八章 国際サミット
◇71 国際サミット
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やってまいりました国際サミット。王様に言われてしまい私も参加します。なんかいつもより気合いの入ったお洋服(もちろんリアさんが作ってくださったお洋服です)、そして忘れちゃいけない【クローバー】の髪飾りを身につけて王城に来ました。
「え? フェレール団長ですか?」
「おやおや、俺じゃ嫌ですか?」
「あ、いえ、そういうわけじゃ、ないんですけど」
私の護衛に、団長が付いてくれるそう。会議中に座る椅子の斜め後ろに立ってくれるらしくて。あ、お父様は王様の斜め後ろね。
すごい人達が集まっている場所だから、何かあるか分からない。だから何かあった時のためにそれぞれの護衛の方々が近くにいるそうだ。
「会議中にアヤメちゃんが何か困った事があっても、フォローしてあげるから。だから肩の力抜きな」
「あ、ありがとうございます」
とても頼もしいです。
その隣にいらっしゃる王様から、心の準備はどうだろうか、と聞かれてしまって。ダメです、死にそうです。いや、ずっとかも。
開かれた会場の会議室。もう他の方々が着席してるみたい。
入った瞬間の、視線。うわぁ、ここに何時間もいろって? 無理無理無理、視線怖いもん。
ご令嬢とかのものとは比べ物にならないくらい強いというか、重いというか。とにかく居心地悪そう。笑ってはいるけれど。だから私も笑顔を貼り付けてみた。
「本日ははるばるカーネリアン王国に足を運んでくださりありがとうございます。今回の国際サミット主催者である、エトムント・エレス・ラスティウスです。そしてこちらの方は、数ヶ月前異世界からいらっしゃった異世界人です」
さぁ、自己紹介を。と目線で言われ、冷や汗ダラダラの中、スカートの両端を掴みご挨拶をした。
「お初にお目にかかります。奥村菖と申します。数ヶ月前異世界から来ました。その際、アドマンス家の方々に保護していただき、今はアヤメ・アドマンスという名で娘として生活しております。
皆様、どうぞよろしくお願いいたします」
ちゃんと言えただろうか。でも言い切った後に拍手が来て。本来ならこんな小娘がここにいる事が間違ってるはずなんだけど、ありがとうございます。
では左側の方からよろしくお願いします。そう王様が言っていて。自己紹介が始まった。
今回の席には、まさかの中村さんも出席したようで。だからこの中での知っている方は中村さんとこの前邸宅にいらしたヴィスティウス大公閣下。そして……
「フリッツ・エマ・アルムホルド、セオリシア王国王太子です」
どうして、あの方がいらっしゃるんでしょう。以前、ピぺリメの花を昼間に見に行った時お会いしたお喋りなお兄さん。名乗ってなかったから誰だか分らなかったけれど、まさかあのセオリシア王国の王太子だったとは。何という無礼な行為をしてしまったのだろう。
顔を引きつらせてしまった私に気が付いたセオリシアの王太子殿下は、私に向かってにこりと微笑んだ。あぁ、終わったかもしれない。後で罰せられる? 怖いよぉ。
そして、もう一人。とても綺麗な方がいらっしゃるなぁって思っていたら、まさかの知っている方だった。
「ルーチェリン王国第二王子、ヨナン・ティ・バルヒェットだ。そして、こちらは四番目の異世界人」
「パトラシス・シェシェです」
もう一人の異世界人様とご対面です! でもまたまたおかしなことに、61歳のはずなのにとても見えないくらい若々しい。20代後半? 30代前半? とりあえず色白で美人過ぎて頭に天使の輪っかが付いてるんじゃないかって思っちゃう。
でも、椅子に座ってるけれど座高高くないですか? 周りの方々と頭一つ分くらい違う。
自己紹介が終わったところで、会議が始まった。情勢とか、政治とか全く分からなかった私にとってはもう置いてけぼり。ちらりと見えた中村さんは……興味なさげだぁ。
「今年も、北部の方が大寒波に見舞われる予測が出ております」
「今年もですか……参りましたな、でしたらこちらも対策を考えねばなりませんな」
「今のうちに食料準備をしておかなければ食糧困難に陥ってしまう可能性があります。去年はうちもこれでやられてしまいました。何とか応援物資を届けることが出来たので大事には至りませんでしたが」
「ウチは毎年、食糧難に備えて日持ちのするペテランやトトメリを倉庫にため込んでいるのですが、それでは栄養失調が多く出てしまいましてね」
「なら米を食えばいいじゃねぇか」
「えっ」
そう言い出したのは、中村さんだった。テーブルに頬杖を付いてつまらなそうな様子だけれど。
「ペテランもトトメリも、どっちも野菜だろ。炭水化物を取らなきゃ栄養失調になるのは当たり前じゃねぇか。なら米を食え」
「米、とは」
「ウチの特産品だ。主食としてこっちじゃ食べられてる。長期保存が可能だし、最近そこの嬢ちゃんが簡単に米を料理できる機械を発明してな。すぐに出来たてホカホカの米が食えるぞ」
「なるほど……魔道具でしょうか」
そこの発明者に話を聞け、とまさかのここで私に話を振る中村さん。え、いきなりですか。
「はい、魔道具です。ナカムラ領特産の米を水と一緒に入れてスイッチを押せば出来上がります」
「何と、それならとても簡単ですな。それに、こちらは魔石の生産量もカーネリアンには劣りますが北部の方に賄えるほどの余裕はあります。ぜひ、こちらで買い取らせていただけないでしょうか」
「勿論です。後ほどお話させてください」
「ナカムラ殿も、この後米について話をさせてください」
「俺よりウチの商会を管理してる息子と話をしてくれ」
「ありがとうございます」
うわ~、顧客ゲット。まさかここで商品販売するとは思わなかったよ。でもそちらの国の北部の方々が安心して冬越しが出来るのならこちらとしても嬉しい限りです。
まぁ、こんな感じで会議は終了となった。困った時には、周りの国々が手を取り合って手助けをしてくれるくらい皆さん仲良しで平和的な事がよく分かった。戦争とかあったら大変だもんね。平和な所に居られて嬉しいです。
「偉かったぞ~アヤメちゃん!」
「フェレール団長……疲れました」
「いいじゃねぇか、商売上手で何よりだ」
「あははー、中村さんに言って下さい」
まさかこんな事になるとは。ウチの魔道具師さんに言わなきゃ。間に合わなかったらどこかから魔道具師を何人か雇わないといけないか。
お父様には、お疲れ様と頭を撫でてくれた。私、そこまで子供でしたっけ。嬉しいけど。
「ご令嬢」
そう私に声をかけたのは、あの日王城の庭園で出会った方。セオリシア王国王太子殿下だった。
「あの日は名乗らずにすみませんでした。騙す気はなかったんです」
「いえ、こちらこそ。殿下に無礼を働いてしまい申し訳ございませんでした」
「悪いのはこちらですから、気にしないでください」
まさか、王太子殿下だったとは。最近は驚きが沢山ありすぎて心臓が持たない事ばかりだ。サミット、無事終わるだろうか。
「本当に申し訳ない事をした事は分かっていますから、何かお願いを聞きましょうか」
「……え?」
「例え王太子であっても、初対面の貴方に無礼を働いたのですから。何かありませんか? 何でもいいですよ」
「いえ、そんな……」
「それでは私の気が済みませんから」
困ったな、王太子殿下にお願いだなんて……
あ、でも待って、この人の国、スフェーン王国と絶交中の国だ。でも、前の王様達の話だよね、あれって。じゃあ、それを言ったら……いや、これは国際問題。ただの異世界人の小娘の話に耳を傾けてくれるだろうか。
「あの、一度お茶はいかがでしょうか」
「お茶、ですか。勿論、ご令嬢とでしたらいくらでも」
「あ、ありがとうございます」
昨日セオリシアを通れるのであればいいのだが、とドリファリス王太子殿下がぼやいていたのを私は聞いた。ここまでだいぶ苦労したって言ってたし、だからセオリシアが通れるようになるのであればいいと思っている。
じゃあどうしたらいいのだろうか。スフェーン王国の事を知ってもらう?
とりあえず……行くか、【なかむら】に。
「え? フェレール団長ですか?」
「おやおや、俺じゃ嫌ですか?」
「あ、いえ、そういうわけじゃ、ないんですけど」
私の護衛に、団長が付いてくれるそう。会議中に座る椅子の斜め後ろに立ってくれるらしくて。あ、お父様は王様の斜め後ろね。
すごい人達が集まっている場所だから、何かあるか分からない。だから何かあった時のためにそれぞれの護衛の方々が近くにいるそうだ。
「会議中にアヤメちゃんが何か困った事があっても、フォローしてあげるから。だから肩の力抜きな」
「あ、ありがとうございます」
とても頼もしいです。
その隣にいらっしゃる王様から、心の準備はどうだろうか、と聞かれてしまって。ダメです、死にそうです。いや、ずっとかも。
開かれた会場の会議室。もう他の方々が着席してるみたい。
入った瞬間の、視線。うわぁ、ここに何時間もいろって? 無理無理無理、視線怖いもん。
ご令嬢とかのものとは比べ物にならないくらい強いというか、重いというか。とにかく居心地悪そう。笑ってはいるけれど。だから私も笑顔を貼り付けてみた。
「本日ははるばるカーネリアン王国に足を運んでくださりありがとうございます。今回の国際サミット主催者である、エトムント・エレス・ラスティウスです。そしてこちらの方は、数ヶ月前異世界からいらっしゃった異世界人です」
さぁ、自己紹介を。と目線で言われ、冷や汗ダラダラの中、スカートの両端を掴みご挨拶をした。
「お初にお目にかかります。奥村菖と申します。数ヶ月前異世界から来ました。その際、アドマンス家の方々に保護していただき、今はアヤメ・アドマンスという名で娘として生活しております。
皆様、どうぞよろしくお願いいたします」
ちゃんと言えただろうか。でも言い切った後に拍手が来て。本来ならこんな小娘がここにいる事が間違ってるはずなんだけど、ありがとうございます。
では左側の方からよろしくお願いします。そう王様が言っていて。自己紹介が始まった。
今回の席には、まさかの中村さんも出席したようで。だからこの中での知っている方は中村さんとこの前邸宅にいらしたヴィスティウス大公閣下。そして……
「フリッツ・エマ・アルムホルド、セオリシア王国王太子です」
どうして、あの方がいらっしゃるんでしょう。以前、ピぺリメの花を昼間に見に行った時お会いしたお喋りなお兄さん。名乗ってなかったから誰だか分らなかったけれど、まさかあのセオリシア王国の王太子だったとは。何という無礼な行為をしてしまったのだろう。
顔を引きつらせてしまった私に気が付いたセオリシアの王太子殿下は、私に向かってにこりと微笑んだ。あぁ、終わったかもしれない。後で罰せられる? 怖いよぉ。
そして、もう一人。とても綺麗な方がいらっしゃるなぁって思っていたら、まさかの知っている方だった。
「ルーチェリン王国第二王子、ヨナン・ティ・バルヒェットだ。そして、こちらは四番目の異世界人」
「パトラシス・シェシェです」
もう一人の異世界人様とご対面です! でもまたまたおかしなことに、61歳のはずなのにとても見えないくらい若々しい。20代後半? 30代前半? とりあえず色白で美人過ぎて頭に天使の輪っかが付いてるんじゃないかって思っちゃう。
でも、椅子に座ってるけれど座高高くないですか? 周りの方々と頭一つ分くらい違う。
自己紹介が終わったところで、会議が始まった。情勢とか、政治とか全く分からなかった私にとってはもう置いてけぼり。ちらりと見えた中村さんは……興味なさげだぁ。
「今年も、北部の方が大寒波に見舞われる予測が出ております」
「今年もですか……参りましたな、でしたらこちらも対策を考えねばなりませんな」
「今のうちに食料準備をしておかなければ食糧困難に陥ってしまう可能性があります。去年はうちもこれでやられてしまいました。何とか応援物資を届けることが出来たので大事には至りませんでしたが」
「ウチは毎年、食糧難に備えて日持ちのするペテランやトトメリを倉庫にため込んでいるのですが、それでは栄養失調が多く出てしまいましてね」
「なら米を食えばいいじゃねぇか」
「えっ」
そう言い出したのは、中村さんだった。テーブルに頬杖を付いてつまらなそうな様子だけれど。
「ペテランもトトメリも、どっちも野菜だろ。炭水化物を取らなきゃ栄養失調になるのは当たり前じゃねぇか。なら米を食え」
「米、とは」
「ウチの特産品だ。主食としてこっちじゃ食べられてる。長期保存が可能だし、最近そこの嬢ちゃんが簡単に米を料理できる機械を発明してな。すぐに出来たてホカホカの米が食えるぞ」
「なるほど……魔道具でしょうか」
そこの発明者に話を聞け、とまさかのここで私に話を振る中村さん。え、いきなりですか。
「はい、魔道具です。ナカムラ領特産の米を水と一緒に入れてスイッチを押せば出来上がります」
「何と、それならとても簡単ですな。それに、こちらは魔石の生産量もカーネリアンには劣りますが北部の方に賄えるほどの余裕はあります。ぜひ、こちらで買い取らせていただけないでしょうか」
「勿論です。後ほどお話させてください」
「ナカムラ殿も、この後米について話をさせてください」
「俺よりウチの商会を管理してる息子と話をしてくれ」
「ありがとうございます」
うわ~、顧客ゲット。まさかここで商品販売するとは思わなかったよ。でもそちらの国の北部の方々が安心して冬越しが出来るのならこちらとしても嬉しい限りです。
まぁ、こんな感じで会議は終了となった。困った時には、周りの国々が手を取り合って手助けをしてくれるくらい皆さん仲良しで平和的な事がよく分かった。戦争とかあったら大変だもんね。平和な所に居られて嬉しいです。
「偉かったぞ~アヤメちゃん!」
「フェレール団長……疲れました」
「いいじゃねぇか、商売上手で何よりだ」
「あははー、中村さんに言って下さい」
まさかこんな事になるとは。ウチの魔道具師さんに言わなきゃ。間に合わなかったらどこかから魔道具師を何人か雇わないといけないか。
お父様には、お疲れ様と頭を撫でてくれた。私、そこまで子供でしたっけ。嬉しいけど。
「ご令嬢」
そう私に声をかけたのは、あの日王城の庭園で出会った方。セオリシア王国王太子殿下だった。
「あの日は名乗らずにすみませんでした。騙す気はなかったんです」
「いえ、こちらこそ。殿下に無礼を働いてしまい申し訳ございませんでした」
「悪いのはこちらですから、気にしないでください」
まさか、王太子殿下だったとは。最近は驚きが沢山ありすぎて心臓が持たない事ばかりだ。サミット、無事終わるだろうか。
「本当に申し訳ない事をした事は分かっていますから、何かお願いを聞きましょうか」
「……え?」
「例え王太子であっても、初対面の貴方に無礼を働いたのですから。何かありませんか? 何でもいいですよ」
「いえ、そんな……」
「それでは私の気が済みませんから」
困ったな、王太子殿下にお願いだなんて……
あ、でも待って、この人の国、スフェーン王国と絶交中の国だ。でも、前の王様達の話だよね、あれって。じゃあ、それを言ったら……いや、これは国際問題。ただの異世界人の小娘の話に耳を傾けてくれるだろうか。
「あの、一度お茶はいかがでしょうか」
「お茶、ですか。勿論、ご令嬢とでしたらいくらでも」
「あ、ありがとうございます」
昨日セオリシアを通れるのであればいいのだが、とドリファリス王太子殿下がぼやいていたのを私は聞いた。ここまでだいぶ苦労したって言ってたし、だからセオリシアが通れるようになるのであればいいと思っている。
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