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第七章 フェリアス王立学院
◇64 和紙
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以前、タクミからもらった和紙。しかもこんなにいただいてしまった。丸めてあるんだけど、これ全部広げたら一体何mになるんだろう。
しかも、色とりどりだし厚みも違う。とっても薄くて透けているものもあるし。
「額縁の、後ろの台紙にしようか」
「えぇ、素敵だと思います」
「でも、それだけだとつまらないよね」
それにこんなにあるしとても綺麗なものばかりなんだもん、他にも作りたいよね。ん~、何がいいかしら。あぁ、栞の台紙にするのもいいかも。この透けてる方使っても素敵だと思う。
そんな時、ふととあるものが視界に入った。朝マリアが持ってきてくれた手紙だ。
そうだ、手紙だ!
「これでレターセットを作ってみようか!」
「いいですね! とても素敵なものが出来ると思います!」
レターセットの封筒をどう作るのかは一応知ってる。なら、それ通りに作ってみよう。
マリアに、筆記用具を持ってきてもらい、作業用の台に和紙を広げてみた。これ、本当に素敵な和紙だ。きっと凄い腕を持った職人さん達が作ってるんだと思う。
そんな素晴らしい和紙を私が使ってもいいのだろうかと思ってしまうけれど、ありがたく使わせてもらいます。
以前貰った、まだ未完成の接着していない封筒の紙。それを重ねて印をつけて和紙をカット。そして、慎重に折り目を付けて……
「うん、いいかも!」
「頑丈な紙ですから、郵便配達員が運ぶ時も安心して配達できますね。これらはどういった方に使うおつもりですか?」
「貰い物だし、スフェーン王国のナカムラ領の特産品だから、販売はせずナナミちゃんとかナカムラ男爵様とかのスフェーン王国の方々に使うつもりなの。栞とかもプレゼントしようと思ってる」
「なるほど、良いと思います。でも、それを知ったカーネリアンの方々からお手紙が来そうですね。その和紙のレターセットを購入させてくれと」
「そうかな? でもこれでナカムラ商会が商売繁盛してくれたら嬉しいかな」
じゃあ、まずはこれをくれたタクミと、あと彼の叔父さんであるユウゴ・ナカムラさんにもお手紙出さなきゃ。とても素敵な和紙を甥っ子さんから頂きましたって。
あ、あとで郵便局の方に一言言っとかないと。この手紙は? ってなっちゃうと思うから。吃驚しちゃうもんね。きっとすぐこっちにラロクちゃん飛んでくるに違いない。
まぁラロクちゃんに会いたい気持ちはあるけれど。そこは我慢。
そうと決まれば早速作り始めよう! と思っていたら、何故かこの部屋のドアから覗いている人物達を発見。ここのメイドさん達だ。
「ふふ、お仕事は?」
「あ、いえ、休憩時間でして……」
「は、はい、ちょうど休憩時間で……」
「さっき仕事が終わって、あの、決してサボっているわけでは……」
「ふふっ、おいで、一緒にやろ!」
「わぁ!」
「ありがとうございます、お嬢様!」
皆さん和紙に興味を持ってくれているみたいで嬉しいです。
「この透けた和紙、これと重ねるともっといいかしら」
「うんうん! 私この色と重ねたい!」
相変わらず皆さんセンスがいいようで。私より皆さんがやった方がいいんじゃないかなって思っちゃう。
こちらはスフェーンの? と聞かれたのでそうだよって答えたら、もしや! と皆目を光らせてきた。
「恋人様から頂いたのですか?」
「送る相手はもしかして!」
あぁ、そう言えばそういう話が大好物でしたね。お母様と似て。まぁ正解なんだけどさ。その話、どうしてかお父様にバレた後この屋敷中に広まったんだよね。皆こういう話が好きだからだよね。
私的には苦手だからやめてほしいんだけど。
「うん、まぁ、そうなんだけど、その……」
「やっぱり!」
「いや、そうじゃなくて……」
「この前公爵様に呼ばれたようですが、ご婚約は何時ですか?」
「いや、まだその話は……」
メイドさん達の圧に潰されそうになった。だから、そういう話はまだなんだって。ただ付き合っただけだって、もうっ。
そんな話をしつつ作ったレターセットは、すぐさまナカムラ商会長とタクミ、ナナミちゃんの元へ。その後【なかむら】に行くと、ナナミちゃんにはあのレターセットを購入させてくれと言われてしまった。
「ママ達に送ってるお手紙に和紙のレターセットを使いたいなって思ったの。ダメ?」
「いいよ、プレゼントさせて」
「え? でも……」
「いいのいいの、いつも美味しいご飯をありがとう、って事で!」
「アヤメちゃんありがとぉ~!」
うぐっ、と声が出そうなくらい思いっきり抱き着かれてしまった。その後すぐにタクミによって剥がされたけれど。
「暑苦しい」
「アヤメちゃんはそんな事言いません~、羨ましいからって私に嫉妬しないでください~」
「してねぇわ。アヤメが潰れるからだろ」
今日も仲が良いようで安心安心。喧嘩するほど仲が良いってのはこういう事を言うのね。私もこれくらいお兄様と……いや、無理だな。私が恐れ多くて喧嘩できない。そもそもお兄様は冗談すら通じないし。
あの日、マリアが言った通りこの話を聞きつけたらしい夫人達が私の元にお手紙を送ってきた。何やら新しいレターセットを作ったと小耳にはさんだのですが、と。
それをナカムラ商会長にお伝えした所、実はスフェーン国内でも、と言われてしまい、これはやらなきゃいけない所まで来てしまっているなと仕方なく作る事になってしまった。
「こちらとしては、中々売れ行きの伸びなかった和紙を使っていただけて嬉しい限りです。領地でも、和紙作りが好きな者達が沢山いて和紙生産量が多いんです。アドマンス嬢には本当に感謝しています」
と、喜ばれてしまった。まぁ確かにちょっとしか知らないけれど和紙作りって楽しそうだし。
これからナカムラ商会と契約を結んで、レストリス侯爵様と話も付けて、とやる事満載。まぁ自分が蒔いた種だから精一杯やらせていただきますよ。
しかも、色とりどりだし厚みも違う。とっても薄くて透けているものもあるし。
「額縁の、後ろの台紙にしようか」
「えぇ、素敵だと思います」
「でも、それだけだとつまらないよね」
それにこんなにあるしとても綺麗なものばかりなんだもん、他にも作りたいよね。ん~、何がいいかしら。あぁ、栞の台紙にするのもいいかも。この透けてる方使っても素敵だと思う。
そんな時、ふととあるものが視界に入った。朝マリアが持ってきてくれた手紙だ。
そうだ、手紙だ!
「これでレターセットを作ってみようか!」
「いいですね! とても素敵なものが出来ると思います!」
レターセットの封筒をどう作るのかは一応知ってる。なら、それ通りに作ってみよう。
マリアに、筆記用具を持ってきてもらい、作業用の台に和紙を広げてみた。これ、本当に素敵な和紙だ。きっと凄い腕を持った職人さん達が作ってるんだと思う。
そんな素晴らしい和紙を私が使ってもいいのだろうかと思ってしまうけれど、ありがたく使わせてもらいます。
以前貰った、まだ未完成の接着していない封筒の紙。それを重ねて印をつけて和紙をカット。そして、慎重に折り目を付けて……
「うん、いいかも!」
「頑丈な紙ですから、郵便配達員が運ぶ時も安心して配達できますね。これらはどういった方に使うおつもりですか?」
「貰い物だし、スフェーン王国のナカムラ領の特産品だから、販売はせずナナミちゃんとかナカムラ男爵様とかのスフェーン王国の方々に使うつもりなの。栞とかもプレゼントしようと思ってる」
「なるほど、良いと思います。でも、それを知ったカーネリアンの方々からお手紙が来そうですね。その和紙のレターセットを購入させてくれと」
「そうかな? でもこれでナカムラ商会が商売繁盛してくれたら嬉しいかな」
じゃあ、まずはこれをくれたタクミと、あと彼の叔父さんであるユウゴ・ナカムラさんにもお手紙出さなきゃ。とても素敵な和紙を甥っ子さんから頂きましたって。
あ、あとで郵便局の方に一言言っとかないと。この手紙は? ってなっちゃうと思うから。吃驚しちゃうもんね。きっとすぐこっちにラロクちゃん飛んでくるに違いない。
まぁラロクちゃんに会いたい気持ちはあるけれど。そこは我慢。
そうと決まれば早速作り始めよう! と思っていたら、何故かこの部屋のドアから覗いている人物達を発見。ここのメイドさん達だ。
「ふふ、お仕事は?」
「あ、いえ、休憩時間でして……」
「は、はい、ちょうど休憩時間で……」
「さっき仕事が終わって、あの、決してサボっているわけでは……」
「ふふっ、おいで、一緒にやろ!」
「わぁ!」
「ありがとうございます、お嬢様!」
皆さん和紙に興味を持ってくれているみたいで嬉しいです。
「この透けた和紙、これと重ねるともっといいかしら」
「うんうん! 私この色と重ねたい!」
相変わらず皆さんセンスがいいようで。私より皆さんがやった方がいいんじゃないかなって思っちゃう。
こちらはスフェーンの? と聞かれたのでそうだよって答えたら、もしや! と皆目を光らせてきた。
「恋人様から頂いたのですか?」
「送る相手はもしかして!」
あぁ、そう言えばそういう話が大好物でしたね。お母様と似て。まぁ正解なんだけどさ。その話、どうしてかお父様にバレた後この屋敷中に広まったんだよね。皆こういう話が好きだからだよね。
私的には苦手だからやめてほしいんだけど。
「うん、まぁ、そうなんだけど、その……」
「やっぱり!」
「いや、そうじゃなくて……」
「この前公爵様に呼ばれたようですが、ご婚約は何時ですか?」
「いや、まだその話は……」
メイドさん達の圧に潰されそうになった。だから、そういう話はまだなんだって。ただ付き合っただけだって、もうっ。
そんな話をしつつ作ったレターセットは、すぐさまナカムラ商会長とタクミ、ナナミちゃんの元へ。その後【なかむら】に行くと、ナナミちゃんにはあのレターセットを購入させてくれと言われてしまった。
「ママ達に送ってるお手紙に和紙のレターセットを使いたいなって思ったの。ダメ?」
「いいよ、プレゼントさせて」
「え? でも……」
「いいのいいの、いつも美味しいご飯をありがとう、って事で!」
「アヤメちゃんありがとぉ~!」
うぐっ、と声が出そうなくらい思いっきり抱き着かれてしまった。その後すぐにタクミによって剥がされたけれど。
「暑苦しい」
「アヤメちゃんはそんな事言いません~、羨ましいからって私に嫉妬しないでください~」
「してねぇわ。アヤメが潰れるからだろ」
今日も仲が良いようで安心安心。喧嘩するほど仲が良いってのはこういう事を言うのね。私もこれくらいお兄様と……いや、無理だな。私が恐れ多くて喧嘩できない。そもそもお兄様は冗談すら通じないし。
あの日、マリアが言った通りこの話を聞きつけたらしい夫人達が私の元にお手紙を送ってきた。何やら新しいレターセットを作ったと小耳にはさんだのですが、と。
それをナカムラ商会長にお伝えした所、実はスフェーン国内でも、と言われてしまい、これはやらなきゃいけない所まで来てしまっているなと仕方なく作る事になってしまった。
「こちらとしては、中々売れ行きの伸びなかった和紙を使っていただけて嬉しい限りです。領地でも、和紙作りが好きな者達が沢山いて和紙生産量が多いんです。アドマンス嬢には本当に感謝しています」
と、喜ばれてしまった。まぁ確かにちょっとしか知らないけれど和紙作りって楽しそうだし。
これからナカムラ商会と契約を結んで、レストリス侯爵様と話も付けて、とやる事満載。まぁ自分が蒔いた種だから精一杯やらせていただきますよ。
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