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第五章 恋の行方
◇ 39 第二王女殿下
しおりを挟むその後、【フラワーメール】では第二首都と第三首都に新しく郵便局が一つずつ設けられた。
前々からその予定ではあったんだけど、なかなか上手くいかず、ここの郵便局だけしか営業を開始出来なかった。
だけど今回、やっと開業する事が出来たのだ。だから、第二首都と第三首都から手紙が配達できる事となった。
第一首都から第二首都、第三首都に送る手紙は、そちらの郵便局まで届けて後はそこの配達員に頼むというシステムにしている。勿論逆も同じだ。
そして、三つの郵便局で連絡を取る必要も出てきた。その連絡手段としてお父様に勧められたのは、〝伝書ラロク〟。
ラロクという動物を訓練させ小さな手紙を運ばせる事ができるお利口さんな動物。見た目はフクロウっぽいかな。ピュイ、ピュイ、って可愛く鳴くの。それがもう本当に可愛いんだよ~♪
小さい紙に書き記して、足につけている小さな筒に入れて送っているのだ。
しかもその筒は魔道具で、特殊な鍵で開けないと取り出す事が出来ないみたい。だから、針金とかで鍵とかは開けられないらしい。ほら、ミステリーとかでたまに出てくるじゃん、侵入するのに針金使って鍵開けるやつ。
だから、ここから第二首都、第三首都の郵便局に伝書ラロクを飛ばせば2~3時間で到着するという事だ。ラロクがそのルートに慣れてくればもっと早く到着できるみたい。
あ、因みに言いますと、第一首都郵便局にいる伝書ラロクちゃんは3匹いまして、もう局員達の人気者らしい。ピメちゃん、ミラちゃん、ロミ君という名前がついているのですが、もう局員達はメロメロだそうで。
うん、メンタル面でのケアも出来るなんてうちの伝書ラロクちゃん達はとても優秀ですね。
「お嬢様、お嬢様宛にお手紙が来ていますよ」
「え?」
誰からだろう、と思ってたら、目が飛び出そうになった。金色の封筒、王族の方だ。
王妃様? 王太子殿下? いえ、違います。この国の、第二王女様からでした。
そう言えばラル夫人から勉強で習ったな。この国の王族は、国王陛下、王妃殿下、王太子殿下、第一王女に、第二王女だ。私がお会いしていない方は、第一王女殿下と第二王女殿下。
でも、この第二王女には色々あるらしい。
第二王女は、実は今の王妃様のお子さんではない。国王陛下には、弟が一人いて、大公という地位にいた。だけど、数年前に馬車の事故でお亡くなりになり、当時身籠られていられた彼の奥様は、出産時にお亡くなりとなられたらしい。そこで産まれたのが、今の第二王女だ。
国王陛下は、若くして亡くなってしまった弟と夫人の為、そして両親のいない姪を家族にと養女として迎えられたそうだ。と言っても、彼女に国王継承権はない。
当時は騒がれたそうだ、だけど彼女にはちゃんと王族の血が流れているからとすぐに収まった。
彼女は今、7才だ。となると、小学校……1年生かな? 私より9歳も年下だ。一応国王陛下と王妃様がいるけれど、自分の両親がいないから、きっと寂しいんじゃないかな。まぁ本当かどうかは分からないけれど。ちょっと、私と同じような所はあるかな?
あ、でも私は今幸せだよ。寂しいと思った事はちょっぴりあるけれど、お父様とお母様、お兄様とマリアやジルベルト、この屋敷の皆さん、お友達になってくれた人達もいるから。
さてさて、手紙の内容は……と封筒から便箋を出して開いてみた。とっても綺麗な文字。きっと誰かに書いてもらったのかな。
「お茶会?」
「第二王女殿下と、ですか?」
「うん、2人だけだって」
「珍しいですね、第二王女殿下はあまりお茶会を開かないと有名でしたし」
「あ、そういえばそう言ってたね」
異世界から来た私と、お話がしたいみたい。実は私も一緒にお話ししたいなって思ってたんだよね。親近感があるからかな。うん、そうかも。
じゃあ早くお返事書かなきゃ! 切手、実はそろそろ新しいものを発売しようと思ってて、今印刷したものが2種類手元にあるんだよね。じゃあ、これ使ってみようかな。
でも、どんな人なのか分からないからどんなデザインがいいのか分からないな。じゃあ、何となくになっちゃうけど……ピンクにしようかな。
会える日が楽しみだなぁ、ふふ。
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